319
小 児 呼 吸 器 感 染 症 の ウ イ ル ス学 的 サ ー ベ イ ラ ン ス III.ヒ
ト呼 吸 器 コ ロナ ウ イ ル ス 岩 手 医 科大 学 医 学部 細 菌 学教 室
松
Key
words:
本
一
郎
川
名
林
(平成3年8月26日
受 付)
(平成3年10月7日
受 理)
respiratory
infection,
要
human
治
respiratory
coronavirus
旨
小 児 急 性 呼 吸 器 感 染 症 の 病 原 ウ イ ル ス 学 的 サ ー ベ イ ラ ン ス に お い て,5株 ス(HRCV)が,L132細
胞 で,分
離 さ れ た.こ
れ ら の5株
中3株
の ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル
は,1979年3月29日
れ た イ ン フ ル エ ンザ 様 疾 患 患 者 の 鼻 咽 頭 ぬ ぐい 液 か ら分 離 さ れ,HRCVが
に久 慈 市 で 採 取 さ
イ ン フル エ ソ ザ 様 疾 患 の 一 因
とな っ て い る可 能 性 を 示 した. 他 の2株
は 同年3月16日
と4月27日
に盛 岡市 で採取 した無熱 性上 気道 炎患 者 の鼻咽 頭 ぬ ぐい液 か ら分
離 され た. これ ら の5株
は,形
型 的 なHRCVの 関 連HRCVと
態,BUDR耐
性,chloroform感
性 状 を 示 した.ま 同 定 し た.こ
受 性,ま
た 抗HRCV(229E)血
たL132細
れ ら は,本 邦 初 の,HRCV分
離 例 と思 わ れ る.
各 株 に 対 す る抗 血 清 の 中 和 抗 体 価 を50%plaquereductiontestで (229E)血
清 の 中 和 抗 体 価 は,HRCV(229E)に
著 しい 抗 原 性 の 差 は 見 られ な か った.ま と異 な っ て お り,HRCV(229E)関
胞 で の 電 顕 的 増 殖 像 な ど,典
清 を 用 い た 蛍 光 抗 体 法 に よ り,こ れ ら を229E
比 較 した.分 離 株 に 対 す る抗HRCV
対 す る 値 よ り も40∼100倍 低 値 で あ っ た.分 たplaque形
連 ウ イ ル ス は,抗
成 能 に お い て も,5株
離株 間 に は
の 分 離 株 はHRCV(229E)
原 性 に お い て も,plaque形
成 能 に お い て も,多 様
な株 が 侵 襲 して い る こ と を 示 し た.
私 達 は,盛
岡市 に お け る小 児 急 性 呼 吸器 感 染 症
の 病 原 ウ イ ル ス 学 的 検 索 結 果 に つ い て,先
に報
告1)し た が,そ
の小
の 中 で1979年3,4月
に,2名
児 よ り ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス(HRCV)を
分
に,Tyrrellら
分 離iさ れ2),Almeidaお McIntoshら4)に
に よ り初 め て
よ びTyrrell3),ま
た
よ り ヒ トの 上 気 道 炎 を 起 こす 重
要 な 病 原 ウ イ ル ス で あ る こ と が 示 さ れ て い る.し か し,こ のHRCVの の 分 離 例 は,本
分 離 例 の 報 告 は 少 な く,私 達 邦 初 の 分 離 例 と 思 わ れ る の で,他
別 刷 請 求先:(〒020)盛
岡市 内 丸19-1
岩 手 医科 大 学 医学 部 細 菌学 教 室 松本 平 成4年3月20日
と と も に,そ
一郎
の ウ イ ル ス の 性 状 と病 原 疫 学
的 検 索 成 績 に つ い て 報 告 す る. 実 験 材 料 と方 法 1.ウ
イ ル ス 分 離:詳
の 概 略 を 示 す.検
離 し た こ と を 示 し た. HRCVは,1965年
の3例
体 と し て,滅
ぐ い 液 を0.5%bovine 0.5%gelatin添 取 し,ド
細 は 先 に 報 告1)し た が,そ
加veal
serum
菌 綿棒 で鼻咽頭ぬ albumin(BSA)と
infusion
broth,
3mlに
採
ライ ア イ ス ボ ック ス 中 で 凍 結 して運 搬 し
た. ウ イ ル ス 分 離1)は 主 と し て 組 織 培 養 を 用 い た が,イ
ン ス ル エ ン ザ流 行 期 に は発 育 鶏 卵 も併 用 し
た.組
織 培 養 は,1979年3∼4月
に は,ヒ
肺(HEL)細
胞,L132細
胞,ま
継 代 ヒ ト胎 児 腎(HEK)細
た2代
ト胎 児
胞,HeLa(Ohio株)細 胞 を用い
松本
320
た.
一郎 他 L132細
HRCVの
同 定1)は,BUDR,
chloroform,酸,
そ れ ぞ れ に 対 す る 感 受 性 試 験,さ
らに 蛍 光 抗 体 法
と電 顕 的 観 察 に よ り行 っ た. 2.抗HRCV血
清:抗HRCV(229E)血
清 は精
製 ウ イ ル ス 抗 原 を 用 い,ウ サ ギ を 免 疫 し 作 製 し た. ウ イ ル ス は,感 染L132細
胞 培 養 液 の2,500rpm,10
で,10,000×g,4℃,3時
同 様 に 行 っ た.抗
reductionを
らに そ の
示す血 清希釈倍数 を回帰直線
よ り算 出 し た.さ
らに 各 抗 血 清 の 各 ウイ ル ス に対 モ の 抗 体 価 を1000×
と し て,i換
算 し た. 光 抗 体 法:分
た.カ
離 株 の 同 定 の た め,前 述 の 抗
清 に よ る間 接 蛍 光 抗 体 法 を 行 っ
ノミー ス リ ッ プ に 培 養 し た 感 染 あ る い は 非 感
心 して
染L132細
胞 を 冷 ア セ ト ン で 固 定 し,抗HRCV
精 製 ウ イ ル ス 抗 原 と し た.ウ
イ ル ス 抗 原 を
(229E)血
清 と,36℃,1時
Freund's
等 量 混 合 し,そ
PBSで3回
洗 浄 後,さ
incomplete
gradient遠
の 後 の操 作 体 価 は,50%
す る 抗 体 価 は,ホ
HRCV(229E)血
間 遠 心 し,さ sucrose
plaque
つ 接 種 し た.そ
assayと
4.蛍
分 遠 心 上 清 を 原 液 と し た.Beckman,SW27rotor
沈 査 を20∼60%linear
胞 に,0.4m1ず
はplaque
adjuvantと
の 乳 剤 を ウ サ ギ に 皮 下 接 種 し た.6週 を 同 様 に 接 種 し,さ
ら に6週
後 に,抗
原
後 に 採 血 し た.
分 離 株 に 対 す る 抗 血 清 は,HRCV
(229E)抗
原
接 種 し,最
終 接 種 後7日
間隔
に 採 血 し,作
製
し た. 抗 血 清 は す べ て-20℃
に 保 存 し,使
3.Plaque
assayお
L132細
Essential
加Eagle's
Medium(MEM)に
Minimum
種 し,33℃,90分,5%CO2incuba・
細 胞 を 洗 い,希
吸 着 し た.PBSで3回
purified
agar
BUDR, (agar
overlay
洗 浄 後,5mlの1.0%
(Oxoid),
200μg/ml
2.0%BS,
DEAE-Dextran添
medium)を
overlay
plaqueを
3mlを
reduction
test;中
reductiontestに forming
温,2時
b)ネ
重 層 し,翌
性 日,
和 抗 体 価 は50%
胞 をPBSで
洗 浄 後,2% tetraoxideで2
ル コ ー ル 系 列 で 脱 水,Epon812に
ラ ス チ ッ ク ・シ ャ ー レ に 培 養 し た 単 層
包
顕 観 察 し た.
ガ テ ィ ブ 染 色;HRCV(229E)あ
るいは分
胞 培 養 液 の2,500rpm,10分
上 清 を,10,000×g(SW27
遠 心
rotor),4℃,2時
遠 心 し た.沈
査 を3%燐
で 染 色 後,電
顕 観 察 し た.
間
タ ン グ ス テ ン 酸(pH7.2)
るい は 日
用 い た. 実験 成 績
1.HRCV様
ウ イ ル ス 分 離 の 背 景:1979年
か ら 春 に か け て,岩
手 県 で は,Fig.1の
に 示 し た よ う に,イ
ン フ ル エ ン ザA(HIN1)ウ
で は2月
の
洗浄
加 え,33℃,24時 胞 をPBSで
ル ス の 流 行 が 見 ら れ た.こ
ウ イ ル ス と等 量 の 間 放 置 後,2枚
胞
薄 切 片 を 酢 酸 鉛 と 酢 酸 ウ ラ ニ ウ ム で2
間,
よ り 測 定 し た.100
unit(pfu)の
希 釈 抗 血 清 を 混 合,室
重 固 定 し,ア
立H-600Aを
培 養 後,0.01%中 medium,
間 吸 着 後,細
電 子 顕 微 鏡 は,日 本 電 子JEM-100Bあ
加MEM
観 察 し た.
b)Plaque
60-mmプ
50μg/ml
重 層 し た.5日
33℃,5%CO2incubatorで 紅 加agar
釈 ウイ
殖 像:L132細
るいは分離株 を
し,2%BS加Eagle'sMEMを
離 株 感 染L132細
後,PBSで
plaque
子 顕 微 鏡 的 観 察:a)増
重 染 色 し て,電
添 加 し,36℃,5%CO2incubatorで
ル ス を0.2ml接
plaque
5.電
に,moi1に,HRCV(229E)あ
埋 し た.超
ラ ス チ ッ ク ・シ ャ ー レ
培 養 し た.2日
光 顕 微鏡 で観 察 し
glutaraldehydeと1%osmium
シ血 清
浮 遊 し(4×105cells/
の5m1を60-mmプ
(Nunk)に
reduction
胞 を10%ウ
バ ー ス リ ッ プ は,包 埋
リ ン パ スBHS-RFK蛍
間 回 転 培 養 し た.細
よ びplaque
assay;
(BS),30mM-MgCl2添
mD,そ
用 時 に,
非 働 化 し て 用 い た.
test: a)Plaque
ベ ル 抗 ウサ ギ 間incubateし,
洗 浄 し た.カ
接 種 し,33℃,1時
56℃,30分
torで
後,オ
た.冷
た.
乳 剤 を モ ル モ ッ ト皮 下 に,1週
で,3回
ら にFITCラ
清(Miles)と,36℃,1時
冷PBSで3回
と 同 様 に 作 製 し た 抗 原 とFreund'sincomplete adjuvantの
IgG血
間incubateし
の冬
下 段(b)
の 流 行 は,県
イ
央 と県 南
よ り始 ま り,3月
に は 県 北 に も 波 及 し た.
盛 岡 市 に お い て は,3月
初 旬 に ピ ー ク が 見 ら れ,
イ ン フル エ ン ザ 様 疾 患 患 者 よ り イ ン フ ル エ ソ ザ (HIN1)ウ
イ ル ス が 分 離 さ れ た.し 感 染 症 学雑 誌
か し,こ 第66巻
の2
第3号
ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス
Fig. 1 Virus isolation from children with respiratory tract illnesses, Morioka (a), and a number of reported cases of influenza-like disease in Iwate Prefecture (b), Japan (Feb. to June, 1979).
321
末 に,イ 月29日
ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 の 流 行 が 見 ら れ,3 に,イ
ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 の32名
り 鼻 咽 頭 ぬ ぐ い 液 を 採 取 し た.こ ち,5名
a)
の小児 よ
れ らの 小 児 の う
よ り ウ イ ル ス が 分 離 さ れ た が,イ
ン フル
エ ン ザA(HIN1)ウ
イ ル ス 分 離 陽 性 は1名
で,3
名 か ら はHRCV様
ウ イ ル ス が 分 離 さ れ た.残
1名 か ら は ア デ ノ ウ イ ル ス が 分 離 さ れ た.こ のHRCV様
ウ イ ル ス 陽 性 患 者 は4歳(79-56)と
10歳(79-65)の で,当
女 児,ま
た14歳(79-73)の
男児
初 イ ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 と さ れ た が,最
的 に は,そ b)
り れ ら
れ ぞ れ,上
気 道 炎,気
終
管 支 炎,扁
桃 炎
ウ イ ル ス の 分 離 と 性 状:検
体 は
と診 断 さ れ た(Table1). 2.HRCV様
HEL,HEK,HeLa(Ohio),L132,Vero,MDCK 細 胞 に 接 種 しCPEを ス のCPEは,ラ
観 察 し た.HRCV様
ウ イル
イ ノ ウ イ ル ス の そ れ に 類 似 し,接
種 後,4∼7日
よ り,い
ず れ も,L132細
胞 でのみ
検 出 さ れ た. Table2に BUDR耐
示 す 様 に,5株 性,chloroform感
で あ っ た.ま 月 か ら5月
ま で に盛 岡 市 立 病 院 で サ ー ベ イ ラ ン ス
の 対 象 に な っ た 患 者 か ら,最
も高 頻 度 に検 出 され
た ウ イ ル ス は ラ イ ノ ウ イ ル ス で,128名 (10.2%)に
分 離 さ れ た(Fig.1b).こ
中13名
の 間,イ
受 性,酸
た こ れ ら は,4℃
にやや感受性
で も,37℃
Fig.2に,HRCV(229E)と
分 離(790070)株
株 は,229E株
と 同 様 に,細 胞 質 内 膜 よ り,budding
ウィ
に よ り形 成 さ れ る こ と を 示 し た.非
ル ス が,3,月16日
の患
細 胞 に は こ れ ら の 像 は 見 ら れ な か っ た.
者 よ り 分 離 さ れ た.前 (790070)で,後
に 採 取 し た2名
者 は 生 後2ヵ
者 は6歳
月 の 女 児
の 男 児(790116)で,と
も に 無 熱 性 上 気 道 炎 の 患 児 で あ っ た(Table1). 一方
,県
北 沿 岸 の 久 慈 市 に お い て は,同
Table
*
**
平 成4年3月20日
M;
months,
URTI;
upper
Fig.3に
1
Source
は,分
離 株,790070株
の ネ ガ テ ィ ブ染
子 周 辺 に,コ
ロナ ウ イル ス特 有
respiratory
tract
径100∼130nmの
of coronavirus-like
Y ; years illness
感 染(L132)
色 像 を 示 し た.粒
の 西 洋 梨 状peplomerを
年3月
で も,
胞 に お け る 電 顕 的 増 殖 像 を 示 し た.分 離
フ ル エ ソ ザ ウ イ ル ス は 分 離 さ れ ず,HRCV様 と4月27日
べ て が,
鶏 雛 血 球 を 凝 集 し な か っ た.
のL132細
ン
の 分 離 株,す
agents
有 し,多
少 多 形 態 性 の直
粒 子 が 観 察 さ れ た.他
の4分
離
松本
322
Table
2
Properties
of isolates
一郎 他 Fig. 3
Isolate
(790070),
phosphotangstic
negatively
stained
with
acid.
Fig. 2 Electron micrograph of L132 cell infected with (a) HRCV (229E) and (b) isolate (790070). Arrows show budding structures.
DEAE-dextral1(200μg/ml)添 2.0mm以
加 で は,plaqueは
上 に な っ た が,plaqueの
に な っ た(Fig.4c).さ
辺縁 は不 明瞭
ら にBUDR(50μg/ml)
とDEAE-dextran(200μg/m1)を
同 時 に添 加 し た
場 合,plaquesizeは2.0∼3.0mmと
大 き く,辺 縁
も 明 瞭 で あ っ た(Fig.4d)の assayに
a
で,以
は,overlaymediumと
後 のplaque
し て,2%BS,
50μg/mlBUDR,200μg/mlDEAE-dextran加 agaroverlaymediumを
用 い た.
Fig.5に,HRCv(229E)と 79-65)のplaque像 sizeは
分 離 株(790070と を 示 し た.分
直 径0.5∼1.0mmで,229E株
小 さ か っ た.分
離 株 のplaque の も の よ りも
離 株 のplaqueの
性 状 は 同 様 で
あ っ た. 2.血 229Eウ
清 学 的 性 状:各
分 離 株 感 染L132細
サ ギ 血 清 と抗 ウ サ ギlgGを
光 抗 体 法 に よ り染 色 し た.Fig.6に
b
離 株 の790070株
は 抗229E血
Fig.4に,229E株
清 に よ り,細 胞 質 が 特
小 さ く,直
(Fig.4a).BUDR(50μg/ml)添 1.0∼2.0mmで,辺
成 に 及 ぼ す
影 響 を 示 し た.こ
ら を 添 加 し な いagaroverlay 場 合,plaqueは
様 に 染 色 さ れ た が,非 感 染L132細
のplaque形
BUDRとDEAE-dextranの
れ
mediumを
用 いた
径 約0.5mmで
あ った
加 で のplaqueは
縁 は 明 瞭 で あ っ た(Fig.4b).
か っ た.ま た 抗229E血 和 し,こ れ は229E関
接 蛍
示 す 様 に,分
異 的 に 染 色 さ れ た.他 の 分 離 株 感 染L132細 株 も 同 様 の 形 態 を 示 し た.
胞 を抗
用 い,間
胞 も同
胞 は染 色 され な
清 は いず れ の 分 離 株 を も中 連 ウ イ ル ス で あ る こ とを 示 し
た. さ ら に50%plaque
reduction
testに
抗 原 性 を 比 較 し た.Table3に,そ
よ り各 株 の
れぞれの抗血 清
の 各 抗 原 に 対 す る 中 和 抗 体 価 を 示 し た.抗229E血 感 染 症学 雑 誌
第66巻
第3号
ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス
323
Fig. 4 The effects of additives in the overlay medium for plaque formation of HRCV (229E). a. Eagle's MEM containing 1% purified agar (Oxoid) and 2%bovine serum (overlay medium) b. Overlay medium contained BUDR (50ug/ml) c. Overlay medium contained DEAE-Dextran (200ug/ml) d. Overlay medium contained BUDR (50/ug/ml) and DEAE-Dextran (200ug/ml)
Fig.
5
79-65 Plaque
a
b
c
d
Plaques
produced
(c)•l size;
in
L132
HRCV
モ のtiterよ
低 値 で あ っ た.ま 清 の229E株
り3∼7倍
平 成4年3月20日
HRCV
(229E)
60-mm
dishes. Isolates
b
清 の 分 離 株 に 対 す る 抗 体 価 は,ホ
790070,抗790116血
in
(229E)=2•`3mm,
a
も40∼100倍
by cells
モ のtiterよ た 抗79-73,抗
に 対 す る 値 は,ホ
の 差 で あ っ た が,抗79-56
(b)
and
isolates •k790070
(a)
and
8)9).
染 症 は,229E株
に よ るものは主 に無
熱 性 の 鼻 炎 が 特 徴 と さ れ8)10),OC43株 は,ラ
織
に よる もの
イ ノ ウ イ ル ス 感 染 症 に 類 似 し,咽 頭 炎,咳,
鼻 充 血 等 に よ り特 徴 付 け ら れ て い る10)11).し か し, Table
3
Reciprocal
antisera
against
neutralization designated
titers*
Kayeら12)は,229E株
of
感 染 は,OC43株
頻 度 は 少 な い が, Kapikianら8)
viruses
感 染11)よ り
やHendleyら10)が
報 告 した 成 績 よ り発 熱 頻 度 は 高 い こ と を 示 し て い 方,McIntoshら13)は,RSウ
イル ス や パ ラ
イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス3型
る.一
に 比 べ る と頻 度 は 低
い が,HRCVは
肺炎や細 気管支 炎の重要 な病原 ウ
イ ル ス で あ る と報 告 し て い る. 血 清 疫 学 的 研 究 報 告 を 加 え て,HRCV感 発 時 期 を 見 る と,多 *
50% palaque reduction titers
く は 冬 か ら春 で,丁
考
エ ン ザA(HIN1)ウ
察
岡 市 に お け る小 児 急 性 呼 吸器 感 染
の 分 離 陽 性 例 は,イ
4月 に 検 出 さ れ た.特
に,そ
の うち3例
ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 と 診 断 さ れ,検
年3月
て い る.こ
と4.月 に,各1名
た 同 時 期 に,岩
よ り ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ
分 離 し た こ と を 報 告 し た1).ま 手 県,県
北 沿 岸 の 久 慈 市 で,イ
し た の で,本 て,そ
論 文 で は,こ
ン
に はHRCV感
分離
て い る.こ
れ ら のHRCVを
含 め
み な らず,イ
の 性 状 と病 原 疫 学 的 検 索 結 果 を 報 告 し た.
こ れ ら の ウ イ ル ス は,BUDR耐 感 受 性,細
性,chloroform
胞 内 膜 か ら のbuddingに
ウ イ ル ス で,形
少 多 形 態 性 の 粒 子 で,コ
ロ ナ ウ イ ル ス の 性 状 を 示 し た .さ (229E)血
よ り成 熟 す る
態 的 に は 西 洋 梨 状 のpeplomerを
有 す る100∼130nmの,多
ら に 抗HRCV
清 を 用 い た 蛍 光 抗 体 法 に よ り,特 異 的 に
染 色 さ れ,る こ と か ら,こ 連 ウ イ ル ス と 同 定 し た.
の こ と は,HRCVが
疾 患 を 起 こ し,逆
よ り,HRCVを
フ ル エ ン ザ 様 疾 患 々 児,3名
れ ら をHRCV
(229E)関
し て,そ
ンフル
イ ル ス の 流 行 期 に あ っ た3
症 の ウ イ ル ス 学 的 サ ー ベ イ ラ ン ス に お い て,1979
イ ル ス(HRCV)を
度 イン フ
ル エ ン ザ の 流 行 期 に 一 致 す る10)∼18) . こ こ に 報 告 し た5例
私 た ち は,盛
染 の好
,
は当初 イ
体 が採 取 さ れ
イ ン フ ル エ ンザ 様
に イ ン フ ル エ ンザ 様 疾 患 患 者 中
染 者 が 含 ま れ て い る 可 能 性 を示 し の 様 にHRCV感
染 は,下
気 道 感 染13)の
ン フル エ ンザ 様 疾 患 の 一 病 原 因 子 と
の 役 割 を 今後 検 討 す る必 要 が あ るの で は
な い か と 思 わ れ る. こ こ に 報 告 し た5株
の 分 離 株 は,plaque形
と 抗 原 性 に お い て,HRCV
(229E)と
成能
か な り異 な っ
て い た. Plaque形 大 き く,明 μg/ml), overlay
成 能 は,HRCV
(229E)のplaqueが
瞭 な 辺 縁 を 示 す こ と か ら,BUDR(50 DEAE-Dextran
mediumを
(200μg/ml)添
用 い て,HRCV 感 染症 学 雑 誌
加agar
(229E)と 第66巻
第3号
分
ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス
離 株 を 比 較 し た.HRCV 径2.0∼3.0mmの
(229 E)はL132細
辺 縁 明 瞭 なplaqueを
の に 対 し,分
とは異 な って い
にMacLead
分 離 し たKI株
にLarsonら9)が
&
のplaque
Reed(未
sizeは,1975年
分 離 し たPR株
り小 さ く,HRCV
plaque形
と も,直
小 さ く,229E株
た.Reed19)は,1974年
229Eよ
形 成 した
離 株 のplaquesizeは,5株
径0.5∼1.0mmと
発 表)が
胞 に直
やTO株,ま
た
(229 E)関 連 ウ イ ル ス は,
成 能 に お い て,異
な る 性 状 の 株 が侵 襲 し
て い る こ と を 示 し て い る. 抗 原 的 に も,こ (229E)と
こ で 報 告 し た 分 離 株 は,HRCV
か な り異 な っ て い た.抗HRCV
(229E)
血 清 の 各 分 離 株 に 対 す る50%Plaque titerは,ホ た.逆
モ の 値 に 比 し,40∼100倍
に,HRCV
(229 E)に
清 の50%plaque り,3∼42倍 株 とLP株 HRCV
reduction
reduction
低値 を示 し
対 す る各 抗 分 離 株 血 titerは,ホ
低 値 を 示 し た.こ
モの値 よ
の 様 な 差 は,229E
の 間 に も 認 め ら れ て い る20). (229E)関
連 ウ イ ル ス は,plaque形
成能
5) Hamre, D. & Procknow, J.: A new virus isolated from the human respiratory tract. P. S. E. B. M., 121: 190-198, 1966. 6) McIntosh, K., Kapikian, A.Z., Hardison, K.A., Hartley, J. W. & Chanock, R. M.: Antigenic relationships among the coronaviruses of man and between human and animal coronaviruses. J. Immunol., 102: 1109-1118, 1969. 7) Macnaughton, M. R., Madge, M. H. & Reed, S. E.: Two antigenic groups of human coronavirus detected by using enzyme-linked immunosorbent assay. Inf. Immun., 33: 734-737, 1981. 8) Kapikian, A. Z., James, H. D. Jr., Kelly, S. J., Does, J. H., Turner, H.C., McIntosh, K., Kim, H. W., Parrott, R. H., Vincent, M. M. & Chanock, R. M.: Isolation from man of "avian infectious bronchitis virus-like" viruses (coronaviruses) similar to 229E virus, with some epidemiological observation. J. Inf. Dis., 119: 283-290, 1969. 9) Larson, H.E.; Reed, S. E. & Tyrrell, D.A. J.: Isolation of rhinoviruses and coronaviruses from 38 colds in adults. J. Med. Virol., 5: 221 -229
に お い て も,ま
た 抗 原 性 に お い て も,多
原 性 の 違 い は,HRCVの
様 で,抗
再 感 染 の 原 因 を 含 め,流
行 に 大 き な 役 割 を は た し て い る と 思 わ れ る. 謝辞
本研 究 は,1973年 以 来 の急 性 小 児 呼 吸器 感 染症 の
病 原 ウ イル ス学 的 サ ー ベ イ ラ ンス の一 時 点 で得 られ た成 績 で,御 支援 下 さ った 各位 に深 謝 申 し上 げ ます.と
くに,電
顕 的 観 察,抗 血 清 の 作製 等 に 御助 力 下 さった 川 名修 徳(現, 宮 崎 県 立延 岡病 院,皮 膚 科)お よ び牧 野正 人(現,盛
岡友
愛 病 院,内 科),両 先 生 に感 謝致 し ます. 文 1)
松 本 一 郎,
吉 田 新 二,
献 高 橋 清 実,
川 名 林 治 二小 児
急 性 呼 吸 器 感 染 症 の ウ イ ル ス 学 的 サ ーベ イ ラ ン ス.
I.
盛 岡 市 に お け る10年 間 の 呼 吸 器 ウ イ ル ス
の 病 原 疫 学.
感 染 症 誌,
65:
423-432,
1991.
2) Tyrrell, D.A.J. & Bynoe, M. L.: Cultivation of a novel type of common-cold virus in organ cultures. Brit. Med. J., 1: 1467-1470, 1965. 3) Almeida, L.D. & Tyrrell, D.A. J.: The morphology of three previously uncharacterised human respiratory viruses that grow in organ culture. J. Gen. Virol., 1: 175-178, 1967. 4) McIntosh, K., Dees, J. H., Becker, W. B., Kapikian, A. Z. & Chanock, R. M.: Recovery in tracheal organ culture of novel viruses from patients with respiratory disease. Proc. N atl. Acad. Sci. U.S. A., 57: 933-940, 1967. 平成4年3月20日
325
, 1980.
10) Hendley, J. O., Fishburne, H.B. & Gwaltney, J. M. Jr.: Coronavirus infections in working adults. Eight-year study with 229E and OC43. Amer. Rev. Resp. Dis., 105: 621-624, 1972. 11) Kaye, H. S., Marsh, H. B. & Dowdle, W. R.: Seroepidemiologic survey of coronavirus (OC43) related infections in a children's population. Amer. J. Epid., 94: 43-49, 1971. 12) Kaye, H. S. & Dowdle, W. R.: Seroepidemiologic survey of coronavirus (strain 229E) infections in a population of children. Amer. J. Epid., 101: 238-244, 1975. 13) McIntosh, K., Chao, R. K., Krause, H.E., Wasil, R., Mocega, H.E. & Mufson, M.A.: Coronavirus infection in acute lower respiratory tract disease of infants. J. Inf. Dis., 130: 502-507, 1974. 14) Cavallaro, J.J. & Monto, A. S.: Communitywide outbreak of infection with a 229E-like coronavirus in Tecumseh, Michigan. J. Inf. Dis., 122: 272-279, 1970. 15) McIntosh, K., Kapikian, A. Z., Turner, H. C., Hartley, J. W., Parrott, R.M. & Chanock, R.M.: Seroepidemiologic studies of coronavirus infection in adults and children. Amer. J. Epid., 91: 585-592, 1970. 16)
川 名 林 治,松
本 一 郎,
稲 田 捷 也,
菊 池 裕 子,
玉沢
松太
326
佳 巳:
コ ロ ナ ウ イ ル ス229E株
流 行.
日医 新 報,
17) Hamre, acute
2492:
D. & Been, respiratory
29-31,
studies
of
disease
in young
adults.
V.
229E infections Amer.
18) Monto, study and
A. S.
of respiratory
onavirus
infection.
during
J. Epid.,
& Lim,
relationship
1972.
Virologic
surveillance.
illness.
six years of
96: 94-106,
S. K.:
The outbreaks
J. Inf.
Dis., 129:
-192
1972.
of
, 1984.
20) Bradburne, A.F.: Antigenic relationships and amongst coronaviruses. Arch. Ges. Virusforsch., 31: 352-364, 1970.
Tecumseh
VI. Frequency
between
Virological Surveillance
1974. 19) Reed, S. E.: The behavior of recent isolates of human respiratory coronavirus in vitro and in volunteers: Evidence of heterogeneity among 229E-related strains. J. Med. Virol., 13: 179
に よる普 通 感 冒 の
M.:
Coronavirus
一郎 他
of cor-
271-276,
of Acute Respiratory III. Human
Tract Illnesses
Respiratory
of Children in Morioka, Japan
Coronavirus
Ichiro MATSUMOTO & Rinji KAWANA Departmentof Bacteriolgy,Schoolof Medicine,Iwate MedicalUniversity,Morioka,Japan In the virological surveillance of children with acute respiratory tract illnesses, five human respiratory coronaviruses (HRCV) were recovered. Three of these strains were isolated from nasopharyngeal swabs of patients with influenza-like illness collected in Kuji City on March 29, 1979. This may suggest the association of HRCVs and influenza-like illness. The other 2 strains were yielded from nasopharyngeal swabs of patients with afebrile acute upper respiratory tract illness collected in Morioka City on March 16 and April 27, 1979. These 5 isolates exhibited typical properties of HRCV; distinctive morphology, resistant to BUDR, chloroform sensitivity, and electron microscopic features of growth in L132 cells. These isolates were identified as 229E-like HRCV by indirect immunofluorescence test, but these were considerably different to HRCV (strain 229E) in antigenicity. Reciprocal neutralization titers of antisera against HRCV (strain 229E) and each isolate were determined by 50% plaque reduction tests in monolayers of L132 cells. The neutralizing activities of anti-HRCV (strain 229E) serum against each isolate were 40- to 100-foldlower than that of homologous reaction. The remakable differences of antigenicity among the isolates did not be observed.
感 染症 学 雑 誌
第66巻
第3号
小 児 呼 吸 器 感 染 症 の ウ イ ル ス学 的 サ ー ベ イ ラ ン ス III.ヒ
ト呼 吸 器 コ ロナ ウ イ ル ス 岩 手 医 科大 学 医 学部 細 菌 学教 室
松
Key
words:
本
一
郎
川
名
林
(平成3年8月26日
受 付)
(平成3年10月7日
受 理)
respiratory
infection,
要
human
治
respiratory
coronavirus
旨
小 児 急 性 呼 吸 器 感 染 症 の 病 原 ウ イ ル ス 学 的 サ ー ベ イ ラ ン ス に お い て,5株 ス(HRCV)が,L132細
胞 で,分
離 さ れ た.こ
れ ら の5株
中3株
の ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル
は,1979年3月29日
れ た イ ン フ ル エ ンザ 様 疾 患 患 者 の 鼻 咽 頭 ぬ ぐい 液 か ら分 離 さ れ,HRCVが
に久 慈 市 で 採 取 さ
イ ン フル エ ソ ザ 様 疾 患 の 一 因
とな っ て い る可 能 性 を 示 した. 他 の2株
は 同年3月16日
と4月27日
に盛 岡市 で採取 した無熱 性上 気道 炎患 者 の鼻咽 頭 ぬ ぐい液 か ら分
離 され た. これ ら の5株
は,形
型 的 なHRCVの 関 連HRCVと
態,BUDR耐
性,chloroform感
性 状 を 示 した.ま 同 定 し た.こ
受 性,ま
た 抗HRCV(229E)血
たL132細
れ ら は,本 邦 初 の,HRCV分
離 例 と思 わ れ る.
各 株 に 対 す る抗 血 清 の 中 和 抗 体 価 を50%plaquereductiontestで (229E)血
清 の 中 和 抗 体 価 は,HRCV(229E)に
著 しい 抗 原 性 の 差 は 見 られ な か った.ま と異 な っ て お り,HRCV(229E)関
胞 で の 電 顕 的 増 殖 像 な ど,典
清 を 用 い た 蛍 光 抗 体 法 に よ り,こ れ ら を229E
比 較 した.分 離 株 に 対 す る抗HRCV
対 す る 値 よ り も40∼100倍 低 値 で あ っ た.分 たplaque形
連 ウ イ ル ス は,抗
成 能 に お い て も,5株
離株 間 に は
の 分 離 株 はHRCV(229E)
原 性 に お い て も,plaque形
成 能 に お い て も,多 様
な株 が 侵 襲 して い る こ と を 示 し た.
私 達 は,盛
岡市 に お け る小 児 急 性 呼 吸器 感 染 症
の 病 原 ウ イ ル ス 学 的 検 索 結 果 に つ い て,先
に報
告1)し た が,そ
の小
の 中 で1979年3,4月
に,2名
児 よ り ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス(HRCV)を
分
に,Tyrrellら
分 離iさ れ2),Almeidaお McIntoshら4)に
に よ り初 め て
よ びTyrrell3),ま
た
よ り ヒ トの 上 気 道 炎 を 起 こす 重
要 な 病 原 ウ イ ル ス で あ る こ と が 示 さ れ て い る.し か し,こ のHRCVの の 分 離 例 は,本
分 離 例 の 報 告 は 少 な く,私 達 邦 初 の 分 離 例 と 思 わ れ る の で,他
別 刷 請 求先:(〒020)盛
岡市 内 丸19-1
岩 手 医科 大 学 医学 部 細 菌学 教 室 松本 平 成4年3月20日
と と も に,そ
一郎
の ウ イ ル ス の 性 状 と病 原 疫 学
的 検 索 成 績 に つ い て 報 告 す る. 実 験 材 料 と方 法 1.ウ
イ ル ス 分 離:詳
の 概 略 を 示 す.検
離 し た こ と を 示 し た. HRCVは,1965年
の3例
体 と し て,滅
ぐ い 液 を0.5%bovine 0.5%gelatin添 取 し,ド
細 は 先 に 報 告1)し た が,そ
加veal
serum
菌 綿棒 で鼻咽頭ぬ albumin(BSA)と
infusion
broth,
3mlに
採
ライ ア イ ス ボ ック ス 中 で 凍 結 して運 搬 し
た. ウ イ ル ス 分 離1)は 主 と し て 組 織 培 養 を 用 い た が,イ
ン ス ル エ ン ザ流 行 期 に は発 育 鶏 卵 も併 用 し
た.組
織 培 養 は,1979年3∼4月
に は,ヒ
肺(HEL)細
胞,L132細
胞,ま
継 代 ヒ ト胎 児 腎(HEK)細
た2代
ト胎 児
胞,HeLa(Ohio株)細 胞 を用い
松本
320
た.
一郎 他 L132細
HRCVの
同 定1)は,BUDR,
chloroform,酸,
そ れ ぞ れ に 対 す る 感 受 性 試 験,さ
らに 蛍 光 抗 体 法
と電 顕 的 観 察 に よ り行 っ た. 2.抗HRCV血
清:抗HRCV(229E)血
清 は精
製 ウ イ ル ス 抗 原 を 用 い,ウ サ ギ を 免 疫 し 作 製 し た. ウ イ ル ス は,感 染L132細
胞 培 養 液 の2,500rpm,10
で,10,000×g,4℃,3時
同 様 に 行 っ た.抗
reductionを
らに そ の
示す血 清希釈倍数 を回帰直線
よ り算 出 し た.さ
らに 各 抗 血 清 の 各 ウイ ル ス に対 モ の 抗 体 価 を1000×
と し て,i換
算 し た. 光 抗 体 法:分
た.カ
離 株 の 同 定 の た め,前 述 の 抗
清 に よ る間 接 蛍 光 抗 体 法 を 行 っ
ノミー ス リ ッ プ に 培 養 し た 感 染 あ る い は 非 感
心 して
染L132細
胞 を 冷 ア セ ト ン で 固 定 し,抗HRCV
精 製 ウ イ ル ス 抗 原 と し た.ウ
イ ル ス 抗 原 を
(229E)血
清 と,36℃,1時
Freund's
等 量 混 合 し,そ
PBSで3回
洗 浄 後,さ
incomplete
gradient遠
の 後 の操 作 体 価 は,50%
す る 抗 体 価 は,ホ
HRCV(229E)血
間 遠 心 し,さ sucrose
plaque
つ 接 種 し た.そ
assayと
4.蛍
分 遠 心 上 清 を 原 液 と し た.Beckman,SW27rotor
沈 査 を20∼60%linear
胞 に,0.4m1ず
はplaque
adjuvantと
の 乳 剤 を ウ サ ギ に 皮 下 接 種 し た.6週 を 同 様 に 接 種 し,さ
ら に6週
後 に,抗
原
後 に 採 血 し た.
分 離 株 に 対 す る 抗 血 清 は,HRCV
(229E)抗
原
接 種 し,最
終 接 種 後7日
間隔
に 採 血 し,作
製
し た. 抗 血 清 は す べ て-20℃
に 保 存 し,使
3.Plaque
assayお
L132細
Essential
加Eagle's
Medium(MEM)に
Minimum
種 し,33℃,90分,5%CO2incuba・
細 胞 を 洗 い,希
吸 着 し た.PBSで3回
purified
agar
BUDR, (agar
overlay
洗 浄 後,5mlの1.0%
(Oxoid),
200μg/ml
2.0%BS,
DEAE-Dextran添
medium)を
overlay
plaqueを
3mlを
reduction
test;中
reductiontestに forming
温,2時
b)ネ
重 層 し,翌
性 日,
和 抗 体 価 は50%
胞 をPBSで
洗 浄 後,2% tetraoxideで2
ル コ ー ル 系 列 で 脱 水,Epon812に
ラ ス チ ッ ク ・シ ャ ー レ に 培 養 し た 単 層
包
顕 観 察 し た.
ガ テ ィ ブ 染 色;HRCV(229E)あ
るいは分
胞 培 養 液 の2,500rpm,10分
上 清 を,10,000×g(SW27
遠 心
rotor),4℃,2時
遠 心 し た.沈
査 を3%燐
で 染 色 後,電
顕 観 察 し た.
間
タ ン グ ス テ ン 酸(pH7.2)
るい は 日
用 い た. 実験 成 績
1.HRCV様
ウ イ ル ス 分 離 の 背 景:1979年
か ら 春 に か け て,岩
手 県 で は,Fig.1の
に 示 し た よ う に,イ
ン フ ル エ ン ザA(HIN1)ウ
で は2月
の
洗浄
加 え,33℃,24時 胞 をPBSで
ル ス の 流 行 が 見 ら れ た.こ
ウ イ ル ス と等 量 の 間 放 置 後,2枚
胞
薄 切 片 を 酢 酸 鉛 と 酢 酸 ウ ラ ニ ウ ム で2
間,
よ り 測 定 し た.100
unit(pfu)の
希 釈 抗 血 清 を 混 合,室
重 固 定 し,ア
立H-600Aを
培 養 後,0.01%中 medium,
間 吸 着 後,細
電 子 顕 微 鏡 は,日 本 電 子JEM-100Bあ
加MEM
観 察 し た.
b)Plaque
60-mmプ
50μg/ml
重 層 し た.5日
33℃,5%CO2incubatorで 紅 加agar
釈 ウイ
殖 像:L132細
るいは分離株 を
し,2%BS加Eagle'sMEMを
離 株 感 染L132細
後,PBSで
plaque
子 顕 微 鏡 的 観 察:a)増
重 染 色 し て,電
添 加 し,36℃,5%CO2incubatorで
ル ス を0.2ml接
plaque
5.電
に,moi1に,HRCV(229E)あ
埋 し た.超
ラ ス チ ッ ク ・シ ャ ー レ
培 養 し た.2日
光 顕 微鏡 で観 察 し
glutaraldehydeと1%osmium
シ血 清
浮 遊 し(4×105cells/
の5m1を60-mmプ
(Nunk)に
reduction
胞 を10%ウ
バ ー ス リ ッ プ は,包 埋
リ ン パ スBHS-RFK蛍
間 回 転 培 養 し た.細
よ びplaque
assay;
(BS),30mM-MgCl2添
mD,そ
用 時 に,
非 働 化 し て 用 い た.
test: a)Plaque
ベ ル 抗 ウサ ギ 間incubateし,
洗 浄 し た.カ
接 種 し,33℃,1時
56℃,30分
torで
後,オ
た.冷
た.
乳 剤 を モ ル モ ッ ト皮 下 に,1週
で,3回
ら にFITCラ
清(Miles)と,36℃,1時
冷PBSで3回
と 同 様 に 作 製 し た 抗 原 とFreund'sincomplete adjuvantの
IgG血
間incubateし
の冬
下 段(b)
の 流 行 は,県
イ
央 と県 南
よ り始 ま り,3月
に は 県 北 に も 波 及 し た.
盛 岡 市 に お い て は,3月
初 旬 に ピ ー ク が 見 ら れ,
イ ン フル エ ン ザ 様 疾 患 患 者 よ り イ ン フ ル エ ソ ザ (HIN1)ウ
イ ル ス が 分 離 さ れ た.し 感 染 症 学雑 誌
か し,こ 第66巻
の2
第3号
ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス
Fig. 1 Virus isolation from children with respiratory tract illnesses, Morioka (a), and a number of reported cases of influenza-like disease in Iwate Prefecture (b), Japan (Feb. to June, 1979).
321
末 に,イ 月29日
ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 の 流 行 が 見 ら れ,3 に,イ
ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 の32名
り 鼻 咽 頭 ぬ ぐ い 液 を 採 取 し た.こ ち,5名
a)
の小児 よ
れ らの 小 児 の う
よ り ウ イ ル ス が 分 離 さ れ た が,イ
ン フル
エ ン ザA(HIN1)ウ
イ ル ス 分 離 陽 性 は1名
で,3
名 か ら はHRCV様
ウ イ ル ス が 分 離 さ れ た.残
1名 か ら は ア デ ノ ウ イ ル ス が 分 離 さ れ た.こ のHRCV様
ウ イ ル ス 陽 性 患 者 は4歳(79-56)と
10歳(79-65)の で,当
女 児,ま
た14歳(79-73)の
男児
初 イ ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 と さ れ た が,最
的 に は,そ b)
り れ ら
れ ぞ れ,上
気 道 炎,気
終
管 支 炎,扁
桃 炎
ウ イ ル ス の 分 離 と 性 状:検
体 は
と診 断 さ れ た(Table1). 2.HRCV様
HEL,HEK,HeLa(Ohio),L132,Vero,MDCK 細 胞 に 接 種 しCPEを ス のCPEは,ラ
観 察 し た.HRCV様
ウ イル
イ ノ ウ イ ル ス の そ れ に 類 似 し,接
種 後,4∼7日
よ り,い
ず れ も,L132細
胞 でのみ
検 出 さ れ た. Table2に BUDR耐
示 す 様 に,5株 性,chloroform感
で あ っ た.ま 月 か ら5月
ま で に盛 岡 市 立 病 院 で サ ー ベ イ ラ ン ス
の 対 象 に な っ た 患 者 か ら,最
も高 頻 度 に検 出 され
た ウ イ ル ス は ラ イ ノ ウ イ ル ス で,128名 (10.2%)に
分 離 さ れ た(Fig.1b).こ
中13名
の 間,イ
受 性,酸
た こ れ ら は,4℃
にやや感受性
で も,37℃
Fig.2に,HRCV(229E)と
分 離(790070)株
株 は,229E株
と 同 様 に,細 胞 質 内 膜 よ り,budding
ウィ
に よ り形 成 さ れ る こ と を 示 し た.非
ル ス が,3,月16日
の患
細 胞 に は こ れ ら の 像 は 見 ら れ な か っ た.
者 よ り 分 離 さ れ た.前 (790070)で,後
に 採 取 し た2名
者 は 生 後2ヵ
者 は6歳
月 の 女 児
の 男 児(790116)で,と
も に 無 熱 性 上 気 道 炎 の 患 児 で あ っ た(Table1). 一方
,県
北 沿 岸 の 久 慈 市 に お い て は,同
Table
*
**
平 成4年3月20日
M;
months,
URTI;
upper
Fig.3に
1
Source
は,分
離 株,790070株
の ネ ガ テ ィ ブ染
子 周 辺 に,コ
ロナ ウ イル ス特 有
respiratory
tract
径100∼130nmの
of coronavirus-like
Y ; years illness
感 染(L132)
色 像 を 示 し た.粒
の 西 洋 梨 状peplomerを
年3月
で も,
胞 に お け る 電 顕 的 増 殖 像 を 示 し た.分 離
フ ル エ ソ ザ ウ イ ル ス は 分 離 さ れ ず,HRCV様 と4月27日
べ て が,
鶏 雛 血 球 を 凝 集 し な か っ た.
のL132細
ン
の 分 離 株,す
agents
有 し,多
少 多 形 態 性 の直
粒 子 が 観 察 さ れ た.他
の4分
離
松本
322
Table
2
Properties
of isolates
一郎 他 Fig. 3
Isolate
(790070),
phosphotangstic
negatively
stained
with
acid.
Fig. 2 Electron micrograph of L132 cell infected with (a) HRCV (229E) and (b) isolate (790070). Arrows show budding structures.
DEAE-dextral1(200μg/ml)添 2.0mm以
加 で は,plaqueは
上 に な っ た が,plaqueの
に な っ た(Fig.4c).さ
辺縁 は不 明瞭
ら にBUDR(50μg/ml)
とDEAE-dextran(200μg/m1)を
同 時 に添 加 し た
場 合,plaquesizeは2.0∼3.0mmと
大 き く,辺 縁
も 明 瞭 で あ っ た(Fig.4d)の assayに
a
で,以
は,overlaymediumと
後 のplaque
し て,2%BS,
50μg/mlBUDR,200μg/mlDEAE-dextran加 agaroverlaymediumを
用 い た.
Fig.5に,HRCv(229E)と 79-65)のplaque像 sizeは
分 離 株(790070と を 示 し た.分
直 径0.5∼1.0mmで,229E株
小 さ か っ た.分
離 株 のplaque の も の よ りも
離 株 のplaqueの
性 状 は 同 様 で
あ っ た. 2.血 229Eウ
清 学 的 性 状:各
分 離 株 感 染L132細
サ ギ 血 清 と抗 ウ サ ギlgGを
光 抗 体 法 に よ り染 色 し た.Fig.6に
b
離 株 の790070株
は 抗229E血
Fig.4に,229E株
清 に よ り,細 胞 質 が 特
小 さ く,直
(Fig.4a).BUDR(50μg/ml)添 1.0∼2.0mmで,辺
成 に 及 ぼ す
影 響 を 示 し た.こ
ら を 添 加 し な いagaroverlay 場 合,plaqueは
様 に 染 色 さ れ た が,非 感 染L132細
のplaque形
BUDRとDEAE-dextranの
れ
mediumを
用 いた
径 約0.5mmで
あ った
加 で のplaqueは
縁 は 明 瞭 で あ っ た(Fig.4b).
か っ た.ま た 抗229E血 和 し,こ れ は229E関
接 蛍
示 す 様 に,分
異 的 に 染 色 さ れ た.他 の 分 離 株 感 染L132細 株 も 同 様 の 形 態 を 示 し た.
胞 を抗
用 い,間
胞 も同
胞 は染 色 され な
清 は いず れ の 分 離 株 を も中 連 ウ イ ル ス で あ る こ とを 示 し
た. さ ら に50%plaque
reduction
testに
抗 原 性 を 比 較 し た.Table3に,そ
よ り各 株 の
れぞれの抗血 清
の 各 抗 原 に 対 す る 中 和 抗 体 価 を 示 し た.抗229E血 感 染 症学 雑 誌
第66巻
第3号
ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス
323
Fig. 4 The effects of additives in the overlay medium for plaque formation of HRCV (229E). a. Eagle's MEM containing 1% purified agar (Oxoid) and 2%bovine serum (overlay medium) b. Overlay medium contained BUDR (50ug/ml) c. Overlay medium contained DEAE-Dextran (200ug/ml) d. Overlay medium contained BUDR (50/ug/ml) and DEAE-Dextran (200ug/ml)
Fig.
5
79-65 Plaque
a
b
c
d
Plaques
produced
(c)•l size;
in
L132
HRCV
モ のtiterよ
低 値 で あ っ た.ま 清 の229E株
り3∼7倍
平 成4年3月20日
HRCV
(229E)
60-mm
dishes. Isolates
b
清 の 分 離 株 に 対 す る 抗 体 価 は,ホ
790070,抗790116血
in
(229E)=2•`3mm,
a
も40∼100倍
by cells
モ のtiterよ た 抗79-73,抗
に 対 す る 値 は,ホ
の 差 で あ っ た が,抗79-56
(b)
and
isolates •k790070
(a)
and
8)9).
染 症 は,229E株
に よ るものは主 に無
熱 性 の 鼻 炎 が 特 徴 と さ れ8)10),OC43株 は,ラ
織
に よる もの
イ ノ ウ イ ル ス 感 染 症 に 類 似 し,咽 頭 炎,咳,
鼻 充 血 等 に よ り特 徴 付 け ら れ て い る10)11).し か し, Table
3
Reciprocal
antisera
against
neutralization designated
titers*
Kayeら12)は,229E株
of
感 染 は,OC43株
頻 度 は 少 な い が, Kapikianら8)
viruses
感 染11)よ り
やHendleyら10)が
報 告 した 成 績 よ り発 熱 頻 度 は 高 い こ と を 示 し て い 方,McIntoshら13)は,RSウ
イル ス や パ ラ
イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス3型
る.一
に 比 べ る と頻 度 は 低
い が,HRCVは
肺炎や細 気管支 炎の重要 な病原 ウ
イ ル ス で あ る と報 告 し て い る. 血 清 疫 学 的 研 究 報 告 を 加 え て,HRCV感 発 時 期 を 見 る と,多 *
50% palaque reduction titers
く は 冬 か ら春 で,丁
考
エ ン ザA(HIN1)ウ
察
岡 市 に お け る小 児 急 性 呼 吸器 感 染
の 分 離 陽 性 例 は,イ
4月 に 検 出 さ れ た.特
に,そ
の うち3例
ン フ ル エ ン ザ 様 疾 患 と 診 断 さ れ,検
年3月
て い る.こ
と4.月 に,各1名
た 同 時 期 に,岩
よ り ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ
分 離 し た こ と を 報 告 し た1).ま 手 県,県
北 沿 岸 の 久 慈 市 で,イ
し た の で,本 て,そ
論 文 で は,こ
ン
に はHRCV感
分離
て い る.こ
れ ら のHRCVを
含 め
み な らず,イ
の 性 状 と病 原 疫 学 的 検 索 結 果 を 報 告 し た.
こ れ ら の ウ イ ル ス は,BUDR耐 感 受 性,細
性,chloroform
胞 内 膜 か ら のbuddingに
ウ イ ル ス で,形
少 多 形 態 性 の 粒 子 で,コ
ロ ナ ウ イ ル ス の 性 状 を 示 し た .さ (229E)血
よ り成 熟 す る
態 的 に は 西 洋 梨 状 のpeplomerを
有 す る100∼130nmの,多
ら に 抗HRCV
清 を 用 い た 蛍 光 抗 体 法 に よ り,特 異 的 に
染 色 さ れ,る こ と か ら,こ 連 ウ イ ル ス と 同 定 し た.
の こ と は,HRCVが
疾 患 を 起 こ し,逆
よ り,HRCVを
フ ル エ ン ザ 様 疾 患 々 児,3名
れ ら をHRCV
(229E)関
し て,そ
ンフル
イ ル ス の 流 行 期 に あ っ た3
症 の ウ イ ル ス 学 的 サ ー ベ イ ラ ン ス に お い て,1979
イ ル ス(HRCV)を
度 イン フ
ル エ ン ザ の 流 行 期 に 一 致 す る10)∼18) . こ こ に 報 告 し た5例
私 た ち は,盛
染 の好
,
は当初 イ
体 が採 取 さ れ
イ ン フ ル エ ンザ 様
に イ ン フ ル エ ンザ 様 疾 患 患 者 中
染 者 が 含 ま れ て い る 可 能 性 を示 し の 様 にHRCV感
染 は,下
気 道 感 染13)の
ン フル エ ンザ 様 疾 患 の 一 病 原 因 子 と
の 役 割 を 今後 検 討 す る必 要 が あ るの で は
な い か と 思 わ れ る. こ こ に 報 告 し た5株
の 分 離 株 は,plaque形
と 抗 原 性 に お い て,HRCV
(229E)と
成能
か な り異 な っ
て い た. Plaque形 大 き く,明 μg/ml), overlay
成 能 は,HRCV
(229E)のplaqueが
瞭 な 辺 縁 を 示 す こ と か ら,BUDR(50 DEAE-Dextran
mediumを
(200μg/ml)添
用 い て,HRCV 感 染症 学 雑 誌
加agar
(229E)と 第66巻
第3号
分
ヒ ト呼 吸 器 コ ロ ナ ウ イ ル ス
離 株 を 比 較 し た.HRCV 径2.0∼3.0mmの
(229 E)はL132細
辺 縁 明 瞭 なplaqueを
の に 対 し,分
とは異 な って い
にMacLead
分 離 し たKI株
にLarsonら9)が
&
のplaque
Reed(未
sizeは,1975年
分 離 し たPR株
り小 さ く,HRCV
plaque形
と も,直
小 さ く,229E株
た.Reed19)は,1974年
229Eよ
形 成 した
離 株 のplaquesizeは,5株
径0.5∼1.0mmと
発 表)が
胞 に直
やTO株,ま
た
(229 E)関 連 ウ イ ル ス は,
成 能 に お い て,異
な る 性 状 の 株 が侵 襲 し
て い る こ と を 示 し て い る. 抗 原 的 に も,こ (229E)と
こ で 報 告 し た 分 離 株 は,HRCV
か な り異 な っ て い た.抗HRCV
(229E)
血 清 の 各 分 離 株 に 対 す る50%Plaque titerは,ホ た.逆
モ の 値 に 比 し,40∼100倍
に,HRCV
(229 E)に
清 の50%plaque り,3∼42倍 株 とLP株 HRCV
reduction
reduction
低値 を示 し
対 す る各 抗 分 離 株 血 titerは,ホ
低 値 を 示 し た.こ
モの値 よ
の 様 な 差 は,229E
の 間 に も 認 め ら れ て い る20). (229E)関
連 ウ イ ル ス は,plaque形
成能
5) Hamre, D. & Procknow, J.: A new virus isolated from the human respiratory tract. P. S. E. B. M., 121: 190-198, 1966. 6) McIntosh, K., Kapikian, A.Z., Hardison, K.A., Hartley, J. W. & Chanock, R. M.: Antigenic relationships among the coronaviruses of man and between human and animal coronaviruses. J. Immunol., 102: 1109-1118, 1969. 7) Macnaughton, M. R., Madge, M. H. & Reed, S. E.: Two antigenic groups of human coronavirus detected by using enzyme-linked immunosorbent assay. Inf. Immun., 33: 734-737, 1981. 8) Kapikian, A. Z., James, H. D. Jr., Kelly, S. J., Does, J. H., Turner, H.C., McIntosh, K., Kim, H. W., Parrott, R. H., Vincent, M. M. & Chanock, R. M.: Isolation from man of "avian infectious bronchitis virus-like" viruses (coronaviruses) similar to 229E virus, with some epidemiological observation. J. Inf. Dis., 119: 283-290, 1969. 9) Larson, H.E.; Reed, S. E. & Tyrrell, D.A. J.: Isolation of rhinoviruses and coronaviruses from 38 colds in adults. J. Med. Virol., 5: 221 -229
に お い て も,ま
た 抗 原 性 に お い て も,多
原 性 の 違 い は,HRCVの
様 で,抗
再 感 染 の 原 因 を 含 め,流
行 に 大 き な 役 割 を は た し て い る と 思 わ れ る. 謝辞
本研 究 は,1973年 以 来 の急 性 小 児 呼 吸器 感 染症 の
病 原 ウ イル ス学 的 サ ー ベ イ ラ ンス の一 時 点 で得 られ た成 績 で,御 支援 下 さ った 各位 に深 謝 申 し上 げ ます.と
くに,電
顕 的 観 察,抗 血 清 の 作製 等 に 御助 力 下 さった 川 名修 徳(現, 宮 崎 県 立延 岡病 院,皮 膚 科)お よ び牧 野正 人(現,盛
岡友
愛 病 院,内 科),両 先 生 に感 謝致 し ます. 文 1)
松 本 一 郎,
吉 田 新 二,
献 高 橋 清 実,
川 名 林 治 二小 児
急 性 呼 吸 器 感 染 症 の ウ イ ル ス 学 的 サ ーベ イ ラ ン ス.
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川 名 林 治,松
本 一 郎,
稲 田 捷 也,
菊 池 裕 子,
玉沢
松太
326
佳 巳:
コ ロ ナ ウ イ ル ス229E株
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に よる普 通 感 冒 の
M.:
Coronavirus
一郎 他
of cor-
271-276,
of Acute Respiratory III. Human
Tract Illnesses
Respiratory
of Children in Morioka, Japan
Coronavirus
Ichiro MATSUMOTO & Rinji KAWANA Departmentof Bacteriolgy,Schoolof Medicine,Iwate MedicalUniversity,Morioka,Japan In the virological surveillance of children with acute respiratory tract illnesses, five human respiratory coronaviruses (HRCV) were recovered. Three of these strains were isolated from nasopharyngeal swabs of patients with influenza-like illness collected in Kuji City on March 29, 1979. This may suggest the association of HRCVs and influenza-like illness. The other 2 strains were yielded from nasopharyngeal swabs of patients with afebrile acute upper respiratory tract illness collected in Morioka City on March 16 and April 27, 1979. These 5 isolates exhibited typical properties of HRCV; distinctive morphology, resistant to BUDR, chloroform sensitivity, and electron microscopic features of growth in L132 cells. These isolates were identified as 229E-like HRCV by indirect immunofluorescence test, but these were considerably different to HRCV (strain 229E) in antigenicity. Reciprocal neutralization titers of antisera against HRCV (strain 229E) and each isolate were determined by 50% plaque reduction tests in monolayers of L132 cells. The neutralizing activities of anti-HRCV (strain 229E) serum against each isolate were 40- to 100-foldlower than that of homologous reaction. The remakable differences of antigenicity among the isolates did not be observed.
感 染症 学 雑 誌
第66巻
第3号
