29:908
老 年 者 に お け る ビ タ ミ ンC日
常 摂 取 量 と血 清 脂 質 濃 度 と の 関 係 岡本
本
和士
研究 は, 名 古屋 市近 郊 の2地 区 に居 住す る65歳 以上 の老 年者 の うち, 自覚症 状 ・日常 生
活 習慣 の聞 き取 りを 含 む 医学 的 な集 団 検 診 と栄 養 摂取 量 調 査 を 同時 に受 診 した 男 女270名 に つ い て, AsA摂
取 量 と各血 清脂 質濃 度 との関 係を 調べ た.
AsA摂
取量 の増 加 と ともにHDLC,
各濃 度 お よびLDLC/HDLCは 取 量 はHDLC濃
糖 質 ・蛋 白質 ・脂質 の各 摂取 量 は増 加傾 向 を, TC・TG・LDLC
減 少傾 向 を認 めた. 重 回帰 分析 の結 果, 他 の要 因 を補正 した後 も,AsA摂
度 に対 し有 意 な正 の関 連 を, LDLC濃
度, LDLC/HDLCに
対 しては有 意 な負 の関連 を
認 め た. 以上 の結 果 よ り, AsAは Key words:
ビタ ミンC摂 取量, 血 清 脂質 濃度, 動 脈硬 化, 老 年者
緒 ビタ ミンC
動 脈硬 化 性疾 患 の発生 ・予防 に重 要 な影響 を持つ 可能 性 が示 唆 された.
Table 1
言
(Ascorbic acid: 以下AsAと
Distribution of subjects by sex and age
略 す) は
抗 壊血 病 因子 として毛 細血 管 の機能 保 持 に不可 欠 であ る こ とは 衆知 の通 りで あ るが, 大動 脈 な どの機 能保 持 に も重 要 であ る と考 え られ, 膠 原繊 維 や エ ラス チ ンな どの血 管 壁 基 質 の代 謝1)との 関連 が注 目 され て い る. 近 年, 動 物実 験 に てAsAの
欠 乏 は毛細 血 管 の み な ら
ず 大動 脈 の内皮 細胞 を 傷害 し, 動脈 硬化 症 や高 脂血 症 を招来 す る こ と2)が明 らか に され て きた. ヒ トに おい ては 高脂血 症 者 に対す る治療 を 目的 とし た 大量 投与 な ど 日常 摂取 す る栄 養構 成 か ら著 し く離 れ た 条件 下 で しか も短期 間 の影 響 を調 べ た報 告3)は多 い
y.o.:
years
old
た だ ち に血 清 分 離 し 当 日 測 定 した. 総 コ レス テ ロ ー ル (以 下TCと
が, 日常摂 取範 囲 内で しか も長 期間 の影 響 を調 べた 研
下TGと
究 は少 ない. そ こで, 本研 究 では地 域 に居住 す る老 年
下HDLCと
者 を 対象 として, 日常 摂 取 してい るAsA摂
ス テ ロ ー ル (以 下LDLCと
取量の血
清 脂質 代謝 に及 ぼす 影 響 を検討 した. 方
法
略 す) と 中 性 脂 肪 (以
略 す) は 酵 素 法 で, HDL-コ
レ ス テ ロー ル (以
略 す) 濃 度 は 沈 殿 法 で 測 定 し た. LDL-コ 略 す)
レ
濃 度 は (TC-
HDLC)-TG×0.2に
て 求 め た. 動 脈 硬 化 の 指 標 と し
て, LDLC/HDLCを
用 い た.
調 査 被 験 者 の 日常 の 糖 質 ・蛋 白質 ・脂 質 お よ びAsA
対象 は, 名 古屋市 近 郊 の2地 区 に居住 す る65歳以 上
の 摂 取 量 は24時 間 思 い 出 し法 に よ る3日
間連続 の栄 養
の老年 者 の うち, 自覚 症状, 日常生 活 習慣 の聞 き取 り
調 査 か ら 求 め, 一 日 あ た りの 糖 質 ・蛋 白質 ・脂 質 ・AsA
を含 む医 学 的 な集 団検 診 と栄養 摂 取量 調 査4)を同時 に
の 各 平 均 摂 取 量 は 四 訂 日本 食 品 成 分 表5)に 基 づ い て 算
受 診 した 男 女270名 で あ る. そ の 性, 年 齢 別 構 成 を
出 した. 対 象 者 をAsA摂
Table
ル 値, 66パ ー セ ン タ イ ル 値 を 求 め,
1に 示 した.
採血 は原 則 として早 朝空 腹時 に肘 静脈 よ り採取 し,
取 量 に よ り33パ ー セ ン タ イ
位1/3, 中 位1/3, 高 位1/3の3群
こ の 値 に 基 づ き低
に お お よそ 三 等 分 し た.
この 三 群 間 で 血 清 脂 質 濃 度 を 各 々比 較 す る と共 に K.
Okamoto:
受 付 日: 1992.
AsA摂
愛知 医科 大 学 公 衆衛 生 学 教 室 7.
3,
採 用 日: 1992.
9.
16
取 量 と 血 清 脂 質 濃 度 との 間 の Pearson
class correlation
coefhcient
inter-
を 算 出 した. さ らに, 性 ・
老 年 者 にお け る ビタ ミンC日 常 摂取 量 と血 清 脂 質濃 度 との 関 係
29:909
年 齢 ・糖 質 ・蛋 白 質 ・脂 質 各 摂 取 量 の 影 響 を 補 正 し,
HDLC・LDLCの
各 血 清 脂 質 濃 度 に 対 す るAsA摂
白 質 ・脂 質 の 各 摂 取 量 と の 相 関 係 数 はTC,
取量 独 自の影 響 を調
べ る た め に 重 回 帰 分 析 を 行 っ た. 成 AsA摂
AsA摂 TC,
TG,
績
を, LDLC, 女で
HDLC,
LDLC各
中 位1/3群,
濃 度, LDLC/HDLC及
ずれ
対 して は 有 意 (p
老 年 者 に お け る ビ タ ミ ンC日
常 摂 取 量 と血 清 脂 質 濃 度 と の 関 係 岡本
本
和士
研究 は, 名 古屋 市近 郊 の2地 区 に居 住す る65歳 以上 の老 年者 の うち, 自覚症 状 ・日常 生
活 習慣 の聞 き取 りを 含 む 医学 的 な集 団 検 診 と栄 養 摂取 量 調 査 を 同時 に受 診 した 男 女270名 に つ い て, AsA摂
取 量 と各血 清脂 質濃 度 との関 係を 調べ た.
AsA摂
取量 の増 加 と ともにHDLC,
各濃 度 お よびLDLC/HDLCは 取 量 はHDLC濃
糖 質 ・蛋 白質 ・脂質 の各 摂取 量 は増 加傾 向 を, TC・TG・LDLC
減 少傾 向 を認 めた. 重 回帰 分析 の結 果, 他 の要 因 を補正 した後 も,AsA摂
度 に対 し有 意 な正 の関 連 を, LDLC濃
度, LDLC/HDLCに
対 しては有 意 な負 の関連 を
認 め た. 以上 の結 果 よ り, AsAは Key words:
ビタ ミンC摂 取量, 血 清 脂質 濃度, 動 脈硬 化, 老 年者
緒 ビタ ミンC
動 脈硬 化 性疾 患 の発生 ・予防 に重 要 な影響 を持つ 可能 性 が示 唆 された.
Table 1
言
(Ascorbic acid: 以下AsAと
Distribution of subjects by sex and age
略 す) は
抗 壊血 病 因子 として毛 細血 管 の機能 保 持 に不可 欠 であ る こ とは 衆知 の通 りで あ るが, 大動 脈 な どの機 能保 持 に も重 要 であ る と考 え られ, 膠 原繊 維 や エ ラス チ ンな どの血 管 壁 基 質 の代 謝1)との 関連 が注 目 され て い る. 近 年, 動 物実 験 に てAsAの
欠 乏 は毛細 血 管 の み な ら
ず 大動 脈 の内皮 細胞 を 傷害 し, 動脈 硬化 症 や高 脂血 症 を招来 す る こ と2)が明 らか に され て きた. ヒ トに おい ては 高脂血 症 者 に対す る治療 を 目的 とし た 大量 投与 な ど 日常 摂取 す る栄 養構 成 か ら著 し く離 れ た 条件 下 で しか も短期 間 の影 響 を調 べ た報 告3)は多 い
y.o.:
years
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た だ ち に血 清 分 離 し 当 日 測 定 した. 総 コ レス テ ロ ー ル (以 下TCと
が, 日常摂 取範 囲 内で しか も長 期間 の影 響 を調 べた 研
下TGと
究 は少 ない. そ こで, 本研 究 では地 域 に居住 す る老 年
下HDLCと
者 を 対象 として, 日常 摂 取 してい るAsA摂
ス テ ロ ー ル (以 下LDLCと
取量の血
清 脂質 代謝 に及 ぼす 影 響 を検討 した. 方
法
略 す) と 中 性 脂 肪 (以
略 す) は 酵 素 法 で, HDL-コ
レ ス テ ロー ル (以
略 す) 濃 度 は 沈 殿 法 で 測 定 し た. LDL-コ 略 す)
レ
濃 度 は (TC-
HDLC)-TG×0.2に
て 求 め た. 動 脈 硬 化 の 指 標 と し
て, LDLC/HDLCを
用 い た.
調 査 被 験 者 の 日常 の 糖 質 ・蛋 白質 ・脂 質 お よ びAsA
対象 は, 名 古屋市 近 郊 の2地 区 に居住 す る65歳以 上
の 摂 取 量 は24時 間 思 い 出 し法 に よ る3日
間連続 の栄 養
の老年 者 の うち, 自覚 症状, 日常生 活 習慣 の聞 き取 り
調 査 か ら 求 め, 一 日 あ た りの 糖 質 ・蛋 白質 ・脂 質 ・AsA
を含 む医 学 的 な集 団検 診 と栄養 摂 取量 調 査4)を同時 に
の 各 平 均 摂 取 量 は 四 訂 日本 食 品 成 分 表5)に 基 づ い て 算
受 診 した 男 女270名 で あ る. そ の 性, 年 齢 別 構 成 を
出 した. 対 象 者 をAsA摂
Table
ル 値, 66パ ー セ ン タ イ ル 値 を 求 め,
1に 示 した.
採血 は原 則 として早 朝空 腹時 に肘 静脈 よ り採取 し,
取 量 に よ り33パ ー セ ン タ イ
位1/3, 中 位1/3, 高 位1/3の3群
こ の 値 に 基 づ き低
に お お よそ 三 等 分 し た.
この 三 群 間 で 血 清 脂 質 濃 度 を 各 々比 較 す る と共 に K.
Okamoto:
受 付 日: 1992.
AsA摂
愛知 医科 大 学 公 衆衛 生 学 教 室 7.
3,
採 用 日: 1992.
9.
16
取 量 と 血 清 脂 質 濃 度 との 間 の Pearson
class correlation
coefhcient
inter-
を 算 出 した. さ らに, 性 ・
老 年 者 にお け る ビタ ミンC日 常 摂取 量 と血 清 脂 質濃 度 との 関 係
29:909
年 齢 ・糖 質 ・蛋 白 質 ・脂 質 各 摂 取 量 の 影 響 を 補 正 し,
HDLC・LDLCの
各 血 清 脂 質 濃 度 に 対 す るAsA摂
白 質 ・脂 質 の 各 摂 取 量 と の 相 関 係 数 はTC,
取量 独 自の影 響 を調
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AsA摂 TC,
TG,
績
を, LDLC, 女で
HDLC,
LDLC各
中 位1/3群,
濃 度, LDLC/HDLC及
ずれ
対 して は 有 意 (p
