高令者脳動 脈瘤 に対す る手術適応 貫井

英 明 ・長 屋

孝 雄 ・田 中

壮 借 ・川 上

雅正

西松

輝 高 ・野 尻

健 ・宮 城

修 ・川 淵

純一

The in Patients

Indication over

for Surgical

60 Years

Treatment

of Age with

Intracranial

the Ruptured

Aneurysm

HIDEAKINUKUI,TAKAONAGAYA,SOHKICHI TANAKA, MOTOMASA KAWAKAMI, TERUTAKA NISHIMATSU, KEN NOJIRI, OSAMUMIYAGIand JUN-ICHIKAWAFUCHI Department of Neurosurgery, GunmaUniversity Summary

Fourty-eight cases over 60 years of age with the ruptured intracranial aneurysm were surgically treated. Satisfactory occlusion of the aneurysm with clipping of ligation was attained in 44 cases and plastic coating was performed in 4 cases. In 3 cases with a large intracerebral

hematoma, the early operation was carried out and 2 cases died of the

gastrointestinal bleeding and progressive cerebral vasospasm after the operation. In 45 cases, the operation was carried out more than 2 weeks after the subarachnoid hemorrhage. In 4 cases (9%), additional neurological symptoms developed after the operation and the occlusion of the main cerebral artery occured in 2 cases out of these cases related to the operative procedure. Three cases (7%) died of rebleeding due to the incomplete clipping, acute emphysema and agranulocytosis respectively. Thirty-five cases were followed up for 3 months to 10 years. At the time of this follow-up study, 25 (71%) were either free from symptoms or only with minor neurological deficits. Seven cases (20%) had moderate to severe symptoms; 4 cases had complications noticed more than 1.5 months after the operation and considered to be unrelated to the surgical maneuvar, 2 cases had various neurological deficits exsisted before the operation and only one case had the deficit related to the operative procedure. Three cases (9%) had died of pulmonary carcinoma and pneumonia 3 months to 10 years after the operation. Eighteen cases, including 10 cases over 65 years of age, were operated with microsurgical techniques more than 2 weeks after the bleeding. In this group, only one case died of agranulocytosis and no case became disabled. These results indicate that the direct intracranial operation using microsurgical techniques should be the first choice of the treatment in aged patients who are able to make a daily living without any complaints and do not have severe complications before the bleeding. Furthermore, even when prolonged initial unconsciousness and arteriosclerosis of intracranial vessels are present, the operation can be performed safely by delicate procedures using microsurgical techniques. Key words : aged patients, ruptured intracranial aneurysm, surgical treatment

群 馬 大学 脳 神 経 外 科 〔連 絡 先:〒371前 1977年4月28日

橋 市 昭 和 町3-39-15,群 受稿

馬 大 学 脳 神 経 外 科,貫 井 英 明 〕

11例,多 発 性 動 脈 瘤14例 で あ る(Fig・1). 1は

じ め に

1.非

近 年 手 術 手 技,術 前 術 後 管 理 の進 歩,発 展 に伴 い,脳

手 術 例 の検 討

64例 の うち16例 で は手 術 を施 行 し なか っ たが,う ち6

動 脈 瘤 に対 して積 極的 に頭 蓋 内直 達 手 術 が 行 われ る よ う

例 は 患 者 お よび 家 族 の 同 意 が え られ な か った 例 で あ る.

に な り,そ の手 術 成 績 も著 し く向 上 してい る.

残 り10例 の うち2例 は床 状 突 起 下 内 頸 動 脈 瘤 の症 例 で,

しか し脳 動 脈 瘤 破 裂 以 前 か ら加 令 に よ る全 身 機 能 の 低

血 管 撮 影 上 対 側 か らのcrosscirculationが

不 良 で,患 側

下,予 備 能 力,回 復 力 の 減 少 お よび さ ま ざ ま な合併 症 の

総 頸 動 脈 圧 迫 に よ り脳 波 上 著 明 な 徐 波 化 が 生 じ る ため,

存 在 す る高 令 者 脳 動 脈 瘤 症 例 に対 す る治 療 方 針 を 検 討 し

また 他 の2例

た 報 告 は少 な く,現 在 な お 一 定 の 治 療 方 針 が 確 立 され て

の 臨 床 発 作 が あ り,心 電 図 上 心 筋 損 傷 を示 す 明 らか な 所

い ない.そ の た め 平 均 寿 命 の 延 長 に よ る老 年 層 の 増 加 と

見 か 認 め られ た た め手 術 を施 行 しなか った 症 例 で あ る.

と もに,臨 床 上 遭 遇 す る機 会 が 多 くな った 高令 者症 例 の

さ ら に高 度 の 被 害 妄 想 と夜 間 せ ん妄 を認 めた 例,1カ

治 療 にあ た って 苦 慮 す る場 合 が 多 い.

以 上 意 識 障 害 が 持 続 してい る例 お よび 突 然 生 じ た片 麻 痺

そ こで我 々 は 現在 ま で に経 験 した高 令 者 脳動 脈 瘤 症 例

で は入 院8日 前 お よ び数 カ月 前 に心 筋 梗 塞

月

の 原 因 を検 索 中,血 管 撮 影 にて 非 破 裂 性 と思 わ れ る径3

に お い て,特 に頭 蓋 内 直達 手 術 施 行 例 を 中心 に,こ れ ら

∼4mmの

症 例 の 治療 に 際 し生 ず る さま ざま な 問題 点 に つ い て検 討

は,い ず れ も貧 血,低 蛋 白血 症 を 認 め るな ど全 身 状態 が

小 さ な両 側 内 頸 動 脈 瘤 を認 め た 例 の 計3例

を 加 え,そ れ に 基づ い て本 症 に対 す る治 療 方針 に関 し若

不 良 で,ま た神 経 症 候 か らみ て術 後 のusefUlli飴 が 必 ず

干 の考 察 を試 み た.

し も期 待 で き ない と判 断 した た め 手 術 を 行 わ な か った. 残 りの3例 n症

例

血 直 後 よ り呼 吸 停 止 を きた して 死 亡 した 症 例 で あ る.

こ こで は 他 の 多 くの 報 告2)4)5)6)7)9)12)に 準 じ,60才 以 上 の 症 例 を高 令 者 症 例 と し,1976年12月

はい ず れ も手 術待 機 中 に 再 出 血 を 生 じ,出

ま で に群 馬 大 学 脳

2・ 手 術 例 の 検 討 動 脈 瘤 に対 し頭蓋 内 直達 手術 を施 行 した症 例 は48例

神 経 外 科 に入 院 した 高 令 者 脳 動 脈 瘤 症 例64例 を検 討 の対

で,年 令 は60∼64才37例,65才

象 と した.

最 年長 者 は70才 で,男 性20例,女

64例 の年 令 分布 は60∼64才50例,65才 63・0才,男 性25例,女 頸動 脈 瘤24例,中

以 上14例,平

均

性39例 で あ り,動 脈 瘤 の 部 位 は 内

大 脳 動 脈 瘤15例,前

大脳前交通動脈瘤

以 上11例,平

性28例 で あ る.

動 脈 瘤 の 部位 は 内 頸 動脈 瘤16例,中 前 交 通 動脈 瘤9例,末

均63.0才,

大 脳 動脈 瘤12例,

梢性 前 大 脳動 脈瘤2例

で,残

例 は 多 発性 で あ り,う ち3例 は 内 頸 動脈 瘤,2例 脳 動脈 瘤4例

り9

は中大

は 前 交 通 動脈 瘤 がresponsibleで

あった・

これ ら48例 中27例 で は 出 血発 作 時 に意 識 障 害 が認 め ら れ,大

き な脳 内 血腫 を合 併 して い た た め意 識 障 害 の ま ま

出 血 後 急 性 期 に手 術 を施 行 した3例 を除 く と,24例

中15

例 で1週 間 以 上 意 識 障 害 が持 続 した.さ ら に30例 で は一 過 性 にせ よ さま ざ ま な神 経 症 候 が認 め られ た. (i)手 術 直 前 の状 態 全 身 状 態 と して は全 例 で頭 蓋 内動 脈 を含 め た全 身 の 動 脈 硬 化 が 認 め られ,ほ

ぼ全 例 でKeith―WagenerIla以

の 眼 底 所 見 が存 在 し,8例 高 血 圧 が,6例 られ た.ま

で は150∼90mmHg以

上 上の

で心 筋 梗 塞 を示 す 心 電 図 上 の変 化 が 認 め

た意 識 障 害 が7例 で認 め られ た が,う ち3例

は 大 きな 脳 内血 腫 を合 併 し てい た 症 例 で,意 識 水 準 はm 3方 式14)の200∼300,他

の1例

は無 動 性 無 言,残

り3例

は10∼30で あ っ た. さ らに20例 で何 ら かの 神 経 症 候 を認 め,8例 経 麻 痺 の み で あ った が,12例 Fig.

1

Age

age with

distribution the intracranial

in 64 cases berry

over

aneurysm

60 years

of

で は 片麻 痺,言

は 第3神 語 障害 お

よ び精 神 症 候 な どの重 篤 な神 経 症 候 が存 在 した(Table 1).

Table 1 Clinical conditions just before the operation in 48 cases with the intracranial aneurysm

Table

2

48 cases

Surgical with

treatments the intracranial

for

57

aneurysms

in

aneurysm

2日 間 意 識 障 害 が 認 め られ た が,そ の 後 回 復 し右 片 麻 痺 と言 語 障 害 が 残 存 して い た.出 血 後9日

目に突 然 嘔 吐,

意 識 水 準 の 低 下 を きた した た め緊 急 手 術 を 施行 し,左 中 大 脳 動 脈 のclippingと

側 頭 葉 内 の 脳 内 血 腫 を 除 去 した.

手 術 翌 目よ り意 識 清 明 とな っ たが,4日 を き た し,血 圧80∼40mmHg,赤 素6・3g/d1で,タ

目 よ り意 識 低 下

血 球 数196万,血

色

ー ル 便 が 認 め られ たた め 胃腸 管 出 血 と

診 断 し,輸 血 を施 行 した。 しか し全 身 状 態 は改 善 せ ず 約 1カ 月 後 に死 亡 した.他 の1例 ( ) : Number

of the responsible

動 脈 瘤 のclippingお

aneurysm

は61才,男

性 で,中 大 脳

よび脳 内血 腫 除 去 を行 い,術 後4日

目 に は簡 単 な命 令 に従 うよ うに な っ たが,6日

目よ り除

(の 手 術 時 期 お よび 手 術 法

々 に意 識 障 害 が増 強 し,15日 後 に死 亡 した,残

りの1例

手 術 時 期 は,脳 内 血 腫 を合 併 してい た3例

は61才,男

で は出 血 当

性 で,中 大脳 動 脈 のclippingと 脳 内血 腫 除 去

日手 術 を施 行 し,残 り45例 で は最 終 出血 発 作 か ら2∼3

を行 っ た とこ ろ,術 後3週

週 以 上 経 た慢 性 期 に手 術 を施 行 し た.

存 在 した高 度 の両 側 硝 子 体 出 血 お よ び軽 度 の 片 麻 痺 を残

ま た48例 中20例 で は手 術 用顕 微 鏡 を用 い て 手術 を施 行 し,多 発性 脳 動 脈 瘤 で は天 幕 上 下 にわ た る1例

で,re-

した の み で退 院 した(Fig.2). 出血 後 慢 性 期 に手 術 を施 行 した45例 で は,3例(7%)

sponsibleで あ る と思 わ れ る内 頸 動 脈 瘤 の み を手 術 し た

が 死 亡 し,4例(9%)が

が,他 の8例 で はsingleoperationに

が,38例(84%)は

瘤 を処 理 した ・Responsibleaneurysmに 期 の4例 でcoatingを

よ りす べ て の動 脈 対 す る処 置 は,初

施 行 した 以 外,44例

で はclipping

で意 識 清 明 とな り,術 後 よ り

臨 床 症 候 の悪 化 を き た し た 術 前 同様 か 多少 の 改 善 を 示 し た

(Table3). 死 亡 した3例 の う ち1例 はincompleteclipPingの

ため

あ るい はligationを 行 い,脳 内 血 腫 を合 併 した3例 で は

術1カ

血 腫 除 去 お よび 外減 圧術 を も施 行 した(Table2).

の1例 は術 後 意 識清 明 で あ った が1カ 月 後 急 性 肺 気 腫 を

また 水 頭 症 の 著 明 で あ った3例 で は,動 脈 瘤 に 対 す る 直達 手 術 よ り1∼3カ

月 後 に脳 室 腹 腔 吻 合術 を施 行 して

い る.

生 じて 死 亡 し,残

りの1例

め な か った が,術 後7日

も術 後 ま っ た く神 経 症 候 を認

目頃 よ り抗 生物 質 あ る い は抗 け

い れ ん剤 に よ る と思 われ るagranulocytosisを 生 じ,20日 後 に 死 亡 した もの で あ る.

(田)手 術 結 果 急 性 期 に手 術 を施 行 した3例 で は,2例

が 死 亡 し,1

また 症 状悪 化 を きた した4例 中2例 は,術 後 意 識 障 害 出現 あ るい は運 動 障 害 の増 強 を認 め た症 例 で,血 管 撮 影

例 が軽 快 退 院 し た. 死 亡 した2例 の う ち1例 は70才,女

月 半 後 に 再 出 血 を 生 じて死 亡 した もの で あ り,他

性 で,初 回 出 血 後

に て1側 後 大 脳 動 脈 あ る い は前 大 脳 動 脈 の消 失 が 認 め ら

Fig. 2 61 years old, female. Right carotid angiograms before and after the operation. Middle cerebral aneurysm and upward displacement of middle cerebral artery are seen before the operation (A). Disappearance of the aneurysm and the displacement of middle cerebral artery are seen after the operation (B)

Table

3

Early

operative

results

in

48

cases

with

the

intracranial

aneurysm

in relation

to the

location

of

the

aneurysm

( ) : Number of cases over 65 years of age れ た(Fig.3),他

の2例 は術 後 の 血管 撮影 で は 明 らか な

変 化 を認 めな か っ たが,意 識 障 害 が 出 現 した.

も6カ 月

後 無動 性 無 言 を脱 し た。

例 を除 く35例 で,3カ

明8例

の計13

月 か ら10年 の追 跡 調査 を 行 った.

こ の結 果35例 中25例(71%)が

ほ ぼ年 令 相応 の 生活 を し

てお り,こ の うち6例 は術 前 意 識 障 害,高 度 の片 麻 痺 お

ま た 手術 用顕 微 鏡 を 用 い た20例 で は,血 腫 合 併 例2例 お よびagranulocytosis合

長期追跡調査結果

手 術 を施 行 した48例 の うち 死亡5例,不

術 前 意 識 障 害 が 存 在 した4例 は 術 後 全 例 が 改 善 し,3 例 が 意 識 清 明 とな り,無 動性 無 言 で あ った1例

㈹

併 症1例

の計3例

が死亡 し た

が,意 識 障 害 が 認 め られ た4例 を含 め 悪 化 例 は な か っ た. さ らに65才 以 上 の11例 で は,3例

よび 精 神 症 状 な どの 重 篤 な神 経 症候 の認 め られ た 例 で あ っ た.ま た残 り10例(29%)は

追 跡 調 査 時disableで

あ

る か既 に死 亡 して い た(Table4)・ 死 亡 して い た3例 中2例 は術 後 元 気 で 日常 生 活 を営 な

が 死 亡,1例

が術後

意 識 障 害 を きた した が,手 術 用 顕 微 鏡 を 用 い て 手術 を施

ん でい た が,1例

は10年 後73才 で肺 癌 に よ り死 亡 し,他

の1例 は2年 後 転 倒 して大 腿 骨 折 を生 じ,そ の治 療 中急

行 した9例 で は 血 腫 合併 例1例 お よびagranulocytosis合

性 肺 炎 に よ り死 亡 した 例 で あ り,残 りの1例

併 例1例 の 計2例 が 死 亡 した の み で,術 後悪 化 例 はな か

rehabilitation中 に 肺 炎 を 合 併 して 死 亡 した もの であ る.

った.

Disableで

は3カ 月 後

あ った7例 中手 術 に よ り症状 が増 強 した例

は,術 後 片 麻 痺 が 出 現 した1例 の み で,他 の6例 は術 前

Fig. 3 60 years old, female. Left carotid angiogram before and after the operation. Internal carotid aneurysm is seen before the operation (A). Disappearance of the aneurysm and posterior cerebral artery is seen after the operation (B)

Table

4

Long-term

follow-up

results

in 35 cases

with

the

intracranial

aneurysm

in relation

to the location

of the

aneurysm

N.D.: Neurological dificits ( ) : Number of cases disabled or died of the incidental disease か ら存 在 した症 状 あ るい は そ の 後 に 発生 した合 併 症 に よ

退 院 した例 で,術2・5カ

る もの で あ った.す な わ ち1例 は 急性 期 手術 例 で高 度 の

識 障 害 を生 じて再 入 院 した 例 で あ る.

両 側 硝 子体 出 血 が 残 存 して い る例,1例

は 術 後 無動 性 無

言 を 脱 した が 片 麻痺 が 残存 して い る症 例 で あ る.残 例 は合併 症 に よ りdisableと

り4

な った 例 で,う ち3例 は退

院 時 には 臨 床 症 候 を認 め な か った 例 で あ り,1例 年 半 後 突 然 片 麻 痺 を生 じた 例,1例

月 後肺 炎,肺 気 腫 を合 併 し,意

は術2カ

は術1

月半後中大

皿

考

察

一般 に60才 以 上 の 高令 者 に お い て は

,加 令 に よ り生 じ

た全 身 臓器 の機 能 低 下,予 備能 力 の減 退 お よ び種 々 の合 併 症 が存 在 す る た め2)5)7'8)12)19)20)21',脳 動 脈 瘤 の破 裂 に

脳 動 脈 閉 塞 を生 じて 意 識 障 害 と片 麻痺:が出 現 した 例,1

際 し生 じる脳 の損 傷 は重 篤 とな りや す く,脳 機 能 の 回復

例 は術1カ 月 後 に頭 部 を打 撲 して,そ の 後 慢性 硬 膜 下血

が遅 延 す る と と もに心,肺,腎

腫 を生 じ片 麻 痺 を き た した 例 で あ る(Fig.4).残

ず る傾 向 が あ る.こ の た め高 令 者 脳 動 脈 瘤 症 例 にお い て

り1例

は術 前 認 め られ た意 識 障 害 は改 善 し,精 神 症 状 を 残 して

な どに重 大 な合 併 症 を生

は初 回 出 血 発作 に よ る脳 の一 次 的 損 傷 や,ひ

きつ づ い て

Fig. 4 A-C: 62 years old, male. Right carotid angiographies before and after the operation . Middle cerebral aneurysm is seen before the operation (A). The aneurysms were clipped and middle cerebral artery was intact after the operation (B), but occlusion of middle cerebral artery is seen at 2. 5 months after the opration (Q. D: 64 years old, male. Right carotid angiogram. Avascular area in the frontoparietal area (arrows) is seen

た た とえ初 回

study13)は,手 術 可能 と判 定 され た症 例 に お け る保 存 的 療

出 血 後 生 存 し え て も再 出 血 に よ り死 亡 す る率 が 著 し く 高

法 の 死 亡 率 は 加 令 とと もに 高 くな り,60才 以 上 で は77例

い と され て い る11)15)16).こ

中42例(52%)が

生 じ た 合 併 症 に よ り死 亡 す る 例 が 多 く,ま

は 保 存 的 療 法 で1カ,月 で は24例(67%)が 7年

か らll年 の 追 跡 調 査 を 行 っ た36例

死 亡 し た と 述 べ,金

の 追 跡 調 査 で44例

例(32%)は

の 点 に 関 しMcKissockら11)

中24例(55%)が

ら9)は3年 死 亡 し,う

か ち14

再 出 血 に よ る も の で あ っ た と し て お り,ま

たKellerlo)は65才

以 上 の 症 例 で は5年

っ た と報 告 し て い る.こ

生 存 率 が19%で

れ ら の 報 告 に お い て,手

あ

術 に よ

っ て も救 命 す る こ と が 難 し い と思 わ れ る 脳 の 一 次 的 損 傷

死亡 した と述 べ て い る.

以 上 述 べ て き た高 令 者 脳 動 脈 瘤 症 例 に お け る保 存 的 療 法 の 結 果 をみ る と,動 脈 瘤 に対 す る頭 蓋 内直 達 手 術 に よ っ て再 出血 を防 止 す る こ とに よ り救 命 し うる症 例 が,保 存 的 療 法 で死 亡 した症 例 の40∼60%を

占 め る と思 われ,

高 令 者 とい え ど も外 科 的 療 法 を積 極 的 に行 う必 要 が あ る と考 え られ る. しか し60才 以 上 の高 令 者 に お い て は,前 述 の ご と く加

に よ る 死 亡 例 が ど の 程 度 混 じ て い る か に 関 し て は,金

令 に よ る さま ざ ま な問 題 が存 在 し,こ の た め従 来 の報 告

ら9)が 死 亡 例24例

で は外 科 的 療 法 に よ る死 亡 率 も高 い16)17)。た とえ ば主 と

外,明

中6例

確 な 報 告 は な い.し

が そ う で あ っ た と述 べ て い る 以 か し ア メ リ カ のcooperative

して内 頸 動 脈 結 紮術 を施 行 したMcKissockら1Pの

報告

で は41例 中18例(44%),cooperativestudy18)で 39例(51%)が

は76例 中

止 す るた め に は術 前 肺 機 能 を十 分検 討 し,合 併 症 が見 出

術 後 死 亡 して お り,早 期 例,重 症 例 が半

され れ ば術 前 に 治癒 せ しめ る こ とを原 則 と し,手 術 に際

数 以 上 を 占 め る金 ら9)の 例 で は,33例 死 亡 し,4例(12%)が

中11例(33%)が

して は 麻 酔 時 間 を短 縮 す る と と もに,術 後 管 理 に お い て

予後 不 良 で あ っ た .

は 肺 合併 症 が疑 われ る場 合 に は早 期 に治 療 を 開始 す る こ

これ らの事 実 か ら,高 令 者 脳 動 脈 瘤 症 例 にお い て は, 若 年 者 症 例 に お け る よ りも,よ り慎 重 に手 術 適 応 を決 定

とが 必要 で あ る. さ らに手 術 予 後 に 関与 す る 因子 と して,脳 内血 管 の動

す る と と もに,手 術 に際 して は細 心 の注 意 を払 う必 要 が

脈 硬 化 が あ げ られ,高

あ る と思 わ れ る.

pingに 際 し近 傍 の 血 管 が 屈 曲 しや す く,閉 塞 を起 こ しや

手 術 適 応 の 問 題 に 関 して は,半 田 ら2)は 老 年 者 の 生理

度 の 動脈 硬 化 が 存 在 す る とclip-

す い とい わ れ て い る2)3)4)9.我 々 の例 で も2例 で術 後 頭

学 的 特長 とそ れ に基 づ く術 前 術 後管 理 の注 意 点 を述 べつ

蓋 内 主 幹 動 脈 がclippingに

つ 出 血 発作 後傾 眠 また は混 濁 状態 で あ っ て も一 応 応 答可

術 操 作 時 の 脳 の 圧 迫 や 動 脈 瘤 周 囲 のdissectionな

能 な 例 を含 め,こ れ よ り意識 状態 の 良 い 例 で は積 極 的 に

る脳 損 瘍 や 静脈 の損 傷 に よ りdisableと

手 術 を 行 うべ きで あ る と して お り,金 ら9)も ほ ぼ 同様 に

存 在 した.し か し これ ら手 術 操 作 に よ りひ き起 こ され た

結論 し・ 実 際 にBotterellの1∼3度 (19%),予

後 不 良3例(11%)と

の27例 で は 死 亡5例 い う成 績 を得,畑 中3)

と思 わ れ る 合併 症 は,た

際 し閉 塞 を 生 じた ・さ ら に手 どに よ

な っ た例 が2例

とえ65才 以 上 の症 例 で も手 術 用

顕 微 鏡 を用 い 手 術 を施 行 した 例 で は1例

もみ られ な か っ

も70才 以 上 の 症 例13例 の 経験 か ら同様 の 結論 を示 して い

た.こ の こ とか ら高 令者 症 例 に お い て は,手 術 用 顕 微 鏡

る.さ らにHugosson4)は60∼68才,Botterell1)の1∼3

を 用 い て 脳 へ の 圧 迫 を 少 な くす る と と もに,脳 実質 や血

度 の43例 の 手 術 例 で,死 亡4例(9%),予

管 の 損 傷 を 最 少 限 に とどめ,ま たclippingに 際 して は 周

%),追 跡 調 査 で は38例 中25例(66%)が あ った との 成績 を得,そ

神 経 症 候 な しで

の結 果 を 分 析 して,1∼3度

例 で はpoorgeneralconditionそ indicationと

後 不 良4例(9

の

の もの は 手術 のcontra-

囲 血 管 のkinkingの

有無 を十 分 確認 す る こ とが重 要 で あ

り,こ うす る こ とに よ り脳 内 血 管 の動 脈 硬 化 の有 無 は手 術 予 後 に大 き な影 響 を及 ぼ さな い と考 えて い る.

は な らず,出 血 発 作 時 遷 延 性 意 識 障 害 をみ

以 上 述 べ て きた ご と く,高 令 者 脳 動 脈 瘤 症 例 に お い て

た 例,脳 動 脈 硬 化 の臨 床 症 候 が 出 血 前 よ り認 め られ た 例

は,術 後 合 併 症 に よ る予 後 不 良 例 が 若 年者 に 比 べ若 干 多

お よび血 管撮 影 上 著 明 な動 脈 硬 化 が あ る例 は手 術 を 行 わ

い 傾 向 が あ る.し か し脳 内 血 腫 を 合併 し半 昏 睡 で あ った

な い 方 が よい と結 論 して い る.

例 や 無 動 性 無 言 で あ っ た例,あ

我 々 もBotterellの1∼3度 %),悪 化4例(9%),追 %)が

の45例 で は,死 亡3例(7

跡 調 査 結果 で も35例 中25例(71

ほぼ 年 令 相 応 の 生 活 を して い る との 結 果 を え た

るい は術 直前 に意 識 障害

や 高 度 の 神 経 症 候 が 存 在 した 例 で も,術 後 あ る い は追 跡 調 査 時 に は著 明 な 改 善 を示 して い る こ とが 多 い.そ れ ゆ え高 令 者 に お い て存 在 す る種 々 の 問題 を十 分理 解 し,そ

が,こ の 手 術 成 績 は若 年 者 症 例 の 成 績 に 比 べ 若 干 劣 る

れ を 念 頭 に お い て 術 前 術 後 管 理 を行 い,手 術 用 顕 微 鏡 を

が,高 令 者 特 有 の 生 理 状 態 を十 分 考 慮 しつ つ 治 療 に あ た

用 い て 脳 実 質 の 損 傷 を予 防 す る こ とに よ り,若 年 者 症例

る こ とに よ り,よ り良 い 成 績 が え られ る もの と考 え られ

に お け る と同 様 の 手 術 成 績 をあ げ る こ とが で き る と考 え

る.

られ る.

高 令 者 症 例 にお け る手 術 予 後 に 関 与 す る 因 子 と し て は,術 後 の 合併 症 と手 術 操 作 に 際 して の 脳 内 血 管 の 動脈

この た め 我 々 は60才 以 上 の 高 令者 脳 動 脈瘤 症 例 で も出 血 発 作 前 は 十 分 日常 生 活 が 可 能 で あ った 例 で は,術 前3

硬 化 で あ る とい わ れ てい るが2)3)4),我 々 の 症 例 で も同様

カ月 以 内 の 新 鮮 な心 筋 梗 塞 や うっ血 性 心 不 全 の あ る 例,

の 傾 向 が 認 め られ た.す

肺 炎 や 最 大 吸 気 量 が1回 換気 量 の3倍 以 下 の 例,急 性 肝

な わ ち 術 後 死 亡 例 の3例

中1

例,追 跡 調 査 時 死 亡 例 お よび 予 後 不 良 例 の10例 中3例 の

炎 や 黄 胆 が30日 以 上 続 い て い る例,さ らに はPSPの15分

計4例

値 が10%以 下 の 例 を除 き,Bottere11の1∼3度

は肺 炎,肺 気 腫 な どの 肺 合 併 症 に よ り全 身 状 態悪

の 例 は,

化 を きた した もの で あ り,こ れ は老 年 者 で は術 前 よ りす

手 術 用 顕 微 鏡 を 用 い て 積 極 的 に 手術 を 施 行 す べ きで あ る

で に肺 気 腫 が 合 併 して い る こ とが 多 く,さ らに気 道 粘膜

と考 えて い る.こ の 際 頭蓋 内 血 管 の 動脈 硬 化 の有 無 や 出

の乾 燥 化,分 泌 物 の粘 稠 化,横 隔 膜 運 動 制 限 な どに よ り

血 発 作 後 に 遷 延 性 意 識 障 害 が存 在 した か否 か は手 術 予後

肺 合 併 症 を起 こ しや す くな って い るた め で あ り2)6)19)20), 一 旦合 併 症 を生 ず る と老 人 性 変 化 に よ る予 備 力 の 低 下 が

にあ ま り影 響 を 及 ぼ さな い と考 え て い る.

存 在 す る た め回 復 が遅 れ,さ

ら に心 臓 へ の 負 担 が 加 わ り

予 後 不 良 とな る もの で あ る と考 え られ る5)12).こ れ を防

IV結

論

60才 以上 の高 令 者 脳動 脈 瘤 症 例64例 中48例 に頭 蓋 内直

8)亀

達 手 術 を行 い,以 下 の結 果 を え た. 1・ 脳 内 血 腫 を伴 った3例 行 し,2例

が死 亡,1例

は出 血 後 急性 期 に手 術 を 施

は軽 快 した.

あ る い は改 善38例(84%)で 3.長

化4例(9%),不

変

あ った,

期 追 跡 調 査 で は35例 中25例(71%)が

ほぼ年令

相 応 の 生 活 を し て お り,7例(20%)がdisable,3例 (9%)が

す で に死 亡 して い た.

4― 手 術 予 後 に影 響 を 及 ぼ す 因 子 と して は,全 体 と し て み る と肺 合 併 症 を は じ め とす る種 々 の 合 併 症 お よび 頭

とに よ り,脳 内 血 管 の 動 脈 硬 化 は 手 術 予 後 に ほ とん ど影 響 を 及 ぼ さな い. 上 の 結 果 か ら60才 以 上 の 高 令 者 脳 動 脈 瘤 症 例 に

お い て も,出 血 発 作前 は 十 分 日常 生活 が 可 能 で あ った 例 の症 例 は手 術 用 顕 微 鏡 を 用 い

て脳 実質 や 脳 血 管 の損 傷 を 予 防 しつ つ,積 極 的 に手 術 を 行 うべ き で あ る と考 えて い る.こ の 際 加令 に よ る全 身 臓 器 の変 化 を十 分理 解 し,術 前術 後管 理 を注 意 深 く行 う こ とが 重 要 で あ る.

尚 本 論 文 の 要 旨の 一 部 は第35回 日本 脳 神 経 外 科 学 会 総 会(於 前 橋,1976,10)で

発 表 した.

文

献

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体 疾 患 と 中 枢 神 経 系 の 老 化.神

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山 正 邦:身

経 進 歩17:636-645,1973 9)金 弘,水 上 公 宏,荒

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原 晃 一:術

後 合 併 症.

経 系 の 加 令.臨

世 界 か ら.神 経 進 歩17:630-635,1973

床の