日 内 分 泌 会 誌.(Foliaendcrinol.jap.).51,878∼886,1975
878
糖 尿 病 患 者 の免 疫 学 的 研 究 第 二 報 一抗 甲状 腺 抗 体 と イ ン ス リン抗 体 と の 関 連 一
京都大学医学部第二内科 長岡
研五
倉八
博之
桜美
武彦
深瀬
政市
鍋谷
登
大阪赤十字病院内科 久
The
野
昭太郎
clinical and immunological association of insulin antibodies and thyroid antibodies in diabetics Kengo
NAGAOKA,
Hiroyuki
Takehiko 2nd Department
KURAHACHI,
SAKURAMI,
of Internal
Medicine,
Faculty
Shotaro Osaka
We in
have
diabetes
already
reported
a high
Thirteen
of 507 diabetics
Two of 34 insulin antibodies
(2.5°0)
(6. 1%) were positive
and 2.5% respectively
and
clarify
the
Kyoto
University
of
Hospital
occurrence
of
insulin
Twelve
were
diabetics
in
antimicrosomal
antibodies
of
insulin
were
antithyroglobulin antibodies
with antimicrosomal
in 473 insulin diabetics
with
(5. 9%) were positive
were positive
507
antibodies
positive
with antimicrosomal
controls.
association
antibodies
a modified
independent antibodies
were
demonstrated
by
by
using
to 2. 3%
with antithyroglobulin antibodies
compared
to
diabetics.
and
tested
antibodies
compared
thyroid
tanned
antibodies red
a method
cell
in diabetics,
hemagglutination
descrived
by
Wright
form.
of 482 diabetics
thyroglobulin
antibodies
negative-insulin
evident
correlation
antibody
and thirty(6. 2%)were
Only one of 25 positive-insulin antibodies respectively. No
rate
dependent
and ten (29.4%)
antithyroid
in
of Medicine,
KUNO
Red Cross
in normal
2. 3% and 4.4% respectively
test
NABEYA
FUKASE
mellitus.
and thirty-one
To
Noboru
Masaichi
was
positive
antibody
observed
( 4 %)
between
antibodies. 第51巻
第11号
(2. 5%) were positive
with anti-
with antimicrosomal
antibodies.
was
antithyroid
antithyroid
positive
with
antibodies
and
insulin
日 本
内 分
泌
学 会
序
雑 誌
879
言
糖 尿病 に何 らか の 自己 免 疫 現 象 が 関与 して い るの で は な いか とい う疑 問 に対 して 従来,否 定 的 な 考 え方 が 圧 倒 的 で あ った ・ しか しな が ら最近,糖 尿 病 に関 す る免 疫 学 的 研 究 が進 み本 症 と 自己免 疫 疾 患 との か か わ り 合 い を示 唆 す る報 告1∼5,が相 次 い で い る.そ の 中 で も糖 尿 病 患 者 の血 中 に は抗 甲状 腺抗 体,抗 胃壁 細 胞 抗 体, 内 因子 抗 体,抗 副 腎 抗 体等 の臓 器 特 異 的 な 自己抗 体 の 出現 頻 度 が高 率 で あ る とい う事 が注 目 され て い る.そ の うち特 に抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 頻 度 に関 して は,欧 米 で多 数 の報 告 ・-5)がみ られ,そ れ は罹 病 期 間 に よ り異 な る とい う報 告1)や,罹
病 期 間 に関 係 な くイ ンス リン依 存 性 の患 者 に高 頻 度 に み られ る とい う報 告2∼5)があ
る・ しか しな が ら本 邦 で は我 々 の報 告6)を み るのみ で あ るが我 々 は そ の際,厳 密 に個 々 の症 例 を若 年 型 糖 尿 病 で しか も イ ンス リン注 射 を経 口糖 尿病 薬 に切 り換 え る事 の 出来 な い絶 対 的 な イ ンス リ ン依 存 性 と,そ れ が 可 能 か,も し くは イ ンス リ ンを 全 く必 要 と しな い イ ン ス リン非 依 存 性 と に区別 す る事 が 困 難 で あ った ので イ ンス リンを現 在 また は過 去 に使 用 した経 験 を有 す る者 とそ の経 験 の 全 く無 い患 者 と に分 け て み た.そ の 結果, 罹 病 期 間 に は無 関係 に イ ンス リン使 用 経験 の あ る糖 尿病 患 者 しか もそ の うち若 年 者 に抗 甲状 腺抗 体 の出 現 頻 度 が高 率 で あ る とい う結 果 を 得 た が こ の事 実 に注 目す れ ば 当然 次 に若 年型 糖 尿 病 で イ ンス リン注 射 を 絶対 的 に必 要 とす る イ ン ス リン依 存性 糖 尿 病 と,そ うで な い イ ンス リン非依 存 性 糖 尿 病 患 者 で イ ンス リン注 射 に よ って起 る異 種 抗 体 の産 生 と抗 甲状 腺抗 体 の 出現 とが 因 果 関係 に あ るの か否 か とい う事 が 問 題 に な る・ そ こで 今 回,我 々 は一 次 性 糖 尿 病 患 者507名 全 例 に イ ンス リン抗 体 の 検索 を行 い イ ンス リン依 存 性 糖 尿 病 と非 依 存 性 糖 尿 病 につ き イ ン ス リン抗 体 と抗 甲状 腺 抗 体 との 関係 につ い て 検 討 した の で報 告 す る.
対 象 お よ び 方法 対
象:外 来 通 院 して い る一 次 性 糖 尿 病 患 者,男 子218名,女
子289名,計507名
を対 象 と した.患 者 の年 令
は18才 か ら79才 ま で,平 均 年 令 は56才 で あ った.慢 性 甲状 腺炎 お よ び 甲状 腺 機 能 九進 症 な ど甲状 腺疾 患 を明 らか に合併 して い る者 は除 い た.ま 療 の み に よ る者254名(50%),現
た患 者507名 の 治療 と して は食 事 療 法 に よ る者143名(28%),内
服薬治
在 また は過 去 に イ ン ス リン使 用 の経 験 を有 す る者 は110名(22%)で
あっ
た.正 常対 照 と して は京 都 大 学 の 学 生 お よ び職 員 で 毎 年定 期健 康 診 断 を 受 け健 康 に就 学 な い し勤 務 して い る 18才 か ら69才 まで の男 子1257名,女 方
法:1.Thyroglobulinお
よ びMicrosomeに
お よ びMicrosometest(以
下MSと
EngineeringCo.)のVplateを 2.イ
子1093名,計2350名
略 す)(富
を対 象 と した. 対 す る 抗 体 価 はThyroidtest(以
士 臓 器K.K東
変 法 によ った
使 用 した1251一イ ンス リン(Dainabot社)はSephadexG--75Chromatographyに 酸 緩 衝 液pH7.4で
%牛 アル ブ ミン加0.1M燐
よ び50mUのporkinsulinO.1m1と
抗 体 結 合1251一イ ンス リン(B)と 遊i離1251一イ ンス リン(F)の 分離 に は セルm一
間 振 盤 後,2500r.p.m,15分
計 測 しParker8)の
上 のBcorrected/Fを 3.免
間 遠 沈 してBとFを
補 正式 に準 じBcorrected/Fを
求 め0∼0.0375を
ス 吸着 法 を 用 い た ・0.1M 濁 液1m1を
求 めた.尚,各
測 定 群 毎 に正常 人 対 照10人 以
正 常 範 囲 と し,こ れ以 上 の値 を 示 す もの を陽 性 と した.
キ ス ト社)を 用 い てIgG,IgA,IgMを
第51巻
測 定 した.
第11号
加 えTher-
分 離 し 別 々にwelltypescintillation
疫 グ ロブ リンの 測 定
Tri-partigen(ヘ
純化 し
じこれ を4℃ で一 昼 夜 イ ンキ ュベ ー 一 トした.
燐 酸 緩衝 液 で10倍 に 希釈 したcellulose(MN300,Machery,Nagel&Co)懸
counterで
よ り1・0×20cmの
溶 出 し純 化 した ものを 用 い た.糖 尿 病 患 者 血 清各0.1m1,0・5
酸 緩衝 液(pH7.4)0.5ml,お
た1251-一イ ン ス リンを0.1ml混
momixerで10分
略 す)
用 い て 測定 した.
ン ス リン抗 体 の 測 定 はWright7)の
カ ラム を用 い0.1M燐
下TGと
京)に よ りMicrotiterKit(Cooke
880
糖尿病患者の免疫学的研究(長 岡,他4名)
成
績
前 回 の報 告6)で 我 々は イ ンス リン依 存 性,非 依 存性 と各 症 例 を 区別 す る事 が 困 難 で あ った事 お よ び抗 甲 状 腺 抗 体 の 出 現 が イ ンス リン注 射 に よ る異 種 抗 体 と どの よ うな 関係 にあ るの か を検 索 す る為,便 宜 上 イ ン ス リ ン使 用 経 験 者 お よ び未 使 用 者 とに 分 け る方 法 を 用 い た が,今 回 の報 告 に は イ ンス リン依 存 性 糖 尿 病 患 者 を イ ン ス リンを 絶対 的 に必 要 と し病 状 が不 安 定 か つ 急 速 に進 展 し時 々ケ トー ジ ス傾 向 を 示 す若 年 型 糖 尿 病 と定 義 し各 症 例 を イ ンス リン依 存 性,非 依 存 性 と に分 け 検 討 した. Table
1.
Incidence normal
Table
2.
Incidence treated
Tabe11に 4.4%と
of thyroid
antibodies
in diabetics
and
subjects
of
insulin
antibodies
of
sera
from
insulin
patients
示 した よ う に イ ンス リ ン非 依 存 性糖 尿 病 患 者473名 で はTG,MS陽
性 率 は,そ れ ぞ れ2.3%,
正 常人9}と 著 しい 差 は見 られな か った が イ ンス リン依 存性 の患 者34名 で は5.9%,29.4%と 第51巻
第11号
正 常人 に
日 本
内 分 泌
比 べ 両 テ ス ト共 高 い陽 性 率 を 示 し特 にMSは
学
会 雑
正 常 人 が2.5%,イ
881
誌
ンス リン非 依存 性 の患 者 が4・4%で あ るの
に比 ベ イ ンス リ ン依 存 性 の患 者 は29.4%と 著 し く高 い陽 性 率 を示 した. 次 に 糖尿 病 患 者507名 中,現 在 ま た は過 去 に イ ンス リ ン治 療 を受 け た者 は110名(21%)で イ ンス リン抗 体 陽 性 を 示 した者 は男 子51名 中8名(16%),女 り イ ンス リ ン治 療 を 受 け て い な い 者 の中 か らは1名 Table2に
名 で あ り,こ の うち イ ンス リン抗 体 陽 性者 は 男子5名(20.8%),女 あ り,こ の う ち イ ン ス リン依 存 性 の患 者 は 男子3名,女
3.
normal
Table3は
of thyroid
子17名(51.5%),計22名(38・5%)で
子26名,計53名
子 は0名,計3名(5.5%)で Incidence
子33名 ・ 計57
子8名 で あ った.過 去 に イ ンス リン治 療 を受 け 現在
は それ を1カ 月以 上 に わ た り中止 して い る者 は 男子27名,女
Table
あ
も イ ンス リン抗 体 の 陽性 者 は見 い 出せ な か った ・ ま た
示 した如 く現 在1カ 月以 上 にわ た り イ ンス リン治療 を受 けて い る者 は 男子24名,女
体 陽 性 者 は男 子3名(11.1%)で,女
あ るが そ の 中で
子59名 中17名(29%),計25名(23%)で
antibodies
で あ り,こ の うち イ ン ス リン抗
あ った. in diabetics
and
subjects
今 回対 象 と した 糖 尿病 患 者507名
全 例 に つ き イ ン ス リン抗 体 を 測 定 しイ ンス リン抗体 陰 性 お よ
び 陽 性 の2群 に 分 け そ の各 々 にお け る抗 甲状 腺 抗 体 の 陽性 率 を示 す が,正 常 人2350名 にお け るTG・MSの 陽 性率 が そ れ ぞれ2.3%,2.5%を
示 した9)の に比 ベ イ ンス リン抗 体陰 性 患 者 で は2・5%・6・2%・
抗 体 陽性 患 者 で は それ ぞ れ1名 ず つ で4%と,イ
イ ンス リ ン
ンス リン抗 体 陽性 者 で の抗 甲状 腺抗 体 陽 性 率 が 特 に高 い と
い う結 果 は得 られ な か った.ま た一 方 糖 尿 病 患者507名
中,抗 甲状 腺 抗 体 が 陽 性 を 示 した者 は31名 い た が ・
この うち現 在1カ 月 以 上 にわ た りイ ン ス リン治 療 を受 け て い る者 は9名 で あ り・ この うち の1名(11%)が イ ンス リン抗 体 陽 性 者 で あ った.既 に述 べ た よ うに現 在 イ ン ス リン治 療 を 受 け て い る者 の イ ン ス リン抗 体 陽 性 率 は38.5%で
あ った の で抗 甲状 腺 抗 体 陽 性 者 で イ ンス リン抗 体 陽性 率 が 特 に高 い とい う結 果 は 得 られ なか
った.以 上 の よ う に今 回 の我 々 の成 績 で は抗 甲状 腺 抗 体 の出現 とイ ンス リン抗体 の 出現 と の間 には何 ら因 果 関係 を見 い 出す 事 が 出 来 な か った.Table4に
イ ンス リン抗体 が陽 性 を 示 した25人 の患 者 の性 ・年 令 ・使 用
イ ンス リンの種 類 と量,使 用 期 間,合 併 症,Thyroidtest,Microsometestの
抗 体 価 お よび 血清 免 疫 グn
ブ リンの定 量 の結 果 を 示 した.イ
が 男性 で あ り平 均年 令 は48
ンス リン抗 体 陽 性 者25人 中,17人
が女 性,8人
才 で あ った.使 用 イ ンス リ ンは9割 が レ ンテ イ ン ス リンで あ りそ の使 用 量 は12単 位 か ら36単位 ま で で あ った ・ 使 用 期 間 に つ いて は10年 以 上 もイ ンス リン注 射 を施 行 して い な い に も拘 らず イ ンス リン抗 体 が 陽 性 を示 した 者 が3名 あ りイ ンス リン抗 体 の 出現 と イ ン ス リンの使 用量 お よび 使 用期 間 との 間 には相 関 関係 は認 め られ な か った.合 併 症 で は肝 硬変2例,肺
結 核2例,胸
膜炎1例 が み られ た.こ れ ら25人 中,抗 甲状 腺 抗体 陽 性 者
第51巻
第11号
882
糖尿病患者 の免疫学的研究(長 岡,他4名)
Table
4.
Clinical
and serological
findings
は1名 のみ で,そ の 抗体 価 は それ ぞ れ10×28で 我 々の 成 績10,ではバ セ ドー 病 の4%・
in diabetics
with
positine
antibodies
.
あ り,甲 状 腺疾 患 に おけ る抗 甲状 腺 抗 体 の出 現 頻 度 を み た
慢 性 甲状 腺 炎 の12%で10×212以
上 の強 陽 性 の抗 体 価 を 得 て お り これ
と比 較 す る と低 い 抗 体価 を示 した・ 血 清 免疫 グ ロ ブ リンの 各 平 均 値 はTableに IgM共
insulin
・ 正 常範 囲 で あ った が 肝 硬変,結 核 を 合併 した2例 でIgGの
示 した如 くIgG,IgA
,
増 加 が み られ た .
次 に抗 甲状 腺 抗 体 が 陽 性 を示 した31名 の性,年 令,罹 病 期 間,治 療 内容,合 併 症,抗 甲状 腺 抗 体 価 ,免 疫 第51巻
第11号
日 本 Table
5.
Clinical
and serological
内
分 泌
findings
第51巻
学 会
in diabetics
第11号
雑 with
誌 positive
883
thyroid
antibodies.
糖尿病患者の免疫 学的研究(長 岡,他4名)
884
グ ロ ブ リンの 結果 をTable5に
示 したが これ ら31名 中18名 が 女性,13名
が 男 性 で あ り す で に報 告 した よ う
に抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 は罹 病 期 間 とは 相 関 関係 が み られ ず,ま た 陽 性者31名 中10名(31.2%)が
イ ン ス リン
依 存 性 の糖 尿 病患 者 で あ った.合 併 症 で は,こ れ ら31名 中13名 に肺 炎,胸 膜 炎,結 核 等 の 感染 症 に罹 患 し た 者 が み られ た が 先 に述 べ た イ ンス リン抗 体 陽性 者25名 で は僅 か3名 だ け に しか 感 染 症 の 罹患 は み られ な か っ た. 抗 甲状 腺 抗 体 が 陽 性 を示 した これ ら31名 の 抗体 価 を み る と10×28が 上 の強 陽 性 の 抗体 価 を示 した者 は1例 も無 か った.血
清 免疫 グnブ
最 も 高 い 抗体 価 で あ り,10×212以
リン につ い て はIgG,IgA,IgM共,
平 均 値 は正 常 範 囲 にあ り,イ ンス リン抗 体 陽 性者 お よ び抗 甲状 腺 抗 体 陽性 者 の免 疫 グ ロ ブ リン には著 しい差 は認 め られ ず 抗 甲 状 腺抗 体 価 と免 疫 グ ロ ブ リン には 特 に相 関 関係 は 認 め られ な か った. 考
按
我 々 は今 回 イ ン ス リン依 存 性 の糖 尿 病 患 者 で は抗 甲状 腺抗 体 の 出現 頻 度 が 高 い と い う結 果 を 得 た が,欧 米 で は既 に1・V;・e4)らが糖 尿 病 患 者 で の抗 甲状 腺 抗 体 は罹 病 期 間 に は関 係 な くイ ンス リ ン依 存 性 の患 者 で高 頻 度 に み られ る こ とを報 告 し,ま outputdiabeticsと
た 《 へ。u{ias11)らは イ ンス リン依 存 性 とい う 表 現 の 代 わ りに10winsulin
い う表 現 を 用 い正 常 人 の 陽 性 率4.8%に
比 べlowinsulinoutputdiabeticsで
%と 明 らか に高 い 陽 性率 を示 した と して い る.insulindependentdiabetics(イ か10winsulinoutputdiabeticsと 陽性 率 が それ ぞ れ2.3%,2.5%で
は17.5
ン ス リン依存 性 糖 尿 病)と
か表 現 の違 い は あ るが,今 回 の我 々 の成 績 で も正 常健 康者 のTG,MS あ った の に比 べ,イ
ンス リン依 存性 糖 尿 病 患 者 のそ れ は5.9%,29.4%と
両 テ ス ト共 ・極 めて 高 い 陽 性率 が得 られ た・ イ ン ス リン依 存 性 の患 者 は 当然 絶 対 的 に イ ン ス リン注 射 を必 要 とす る糖 尿 病 患 者 で あ るが ・ この事 よ り抗 甲 状 腺抗 体 の 出現 と イ ンス リンの注 射 に よ る異 種 抗体 の産 生 と が どの よ うな 因 果 閣係 にあ るの か が注 目 され る・ 欧 米 で もイ ンス リン抗体 と抗 甲状 腺 抗 体 との 関係 に つ き言 及 した報 告 は殆 ん ど見 られ な い の で今 回 ・ 我 々 は 両者 の因 果 関係 を 明 らか に す る為 に イ ン ス リン抗 体 を測 定 し た ・ イ ンス リ ン抗 体 の検 出 法 と して は抗 体 結 合1251一イ ンス リン と遊 離1251一イ ンス リンの 分離 法 に よ り炉 紙 ク ロマ ト法,吸 着 法(レ
ジ ン法,Charcoal法,タ
ル ク法,セ
ル ロ ー ス法),二 抗 体 法,Sephadex法,ゲ
游 過 法 ・ 塩 析 法 等 々 が あ るが 今 回 ・ 我 々 は検 体 が 多 い 為 セ ル ロー ス吸 着 法 に よ るWrl9卜tの
ル
変 法12)を用 い イ
ンス リン抗 体 が 陽 性 で あ るか陰 性 で あ るか の ス ク リー ニ ン グに 重 点 を 置 いて 測 定 した .そ の 結果,対 象 と し た 糖尿 病 患 者507名
中25名 に イ ンス リン抗 体 が証 明 され たが これ ら陽 性例 は全 部 イ ンス リン使 用経 験 者 で あ
った ・ イ ンス リン抗 体 価 に つ い て は検 索 を 行 な って い な いが イ ン ス リン抗 体 価 と イ ン ス リン使 用量 お よび 使 用 期 間 に つ いて は・ 既 に倉 八 らの成 績13)を始 め と して相 関 関係 が み られ な い とす る報 告14)が多 くイ ンス リン 使 用 者 で の イ ンス リン抗 体 産生 能 は個 体 によ って著 し く異 な って い る もの と思 わ れ る. これ らイ ン ス リン抗体 陽性 者25名 の内 ・ 抗 甲状 腺抗 体 が陽 性 を 示 した の は1名 のみ で あ り,抗 甲状 腺 抗 体 の 出 現 とイ ンス リ ン抗 体 の 出 現 とに は何 ら因 果 関係 が無 い と い う事 が 明 らか にな った.こ の事 実 に よ り抗 甲 状 腺抗 体 が イ ン ス リン依 存性 の患 者 に高 率 にみ られ た事 は イ ン ス リン注 射 に よ り異 種 抗 体 の 産 生 が 引 き お こ され る と同 時 に橋 本 病 等 の 甲状 腺疾 患 患 者 や 正 常 健 康人 の血 中 に も常 に微 量 に存 在 す るサ イ ログ ロブ リ ン等 の 甲状 腺 自己 抗 原 に対 して も・ それ に対 す る 自己抗 体 を容 易 に産 生 す るに至 った結 果 で あ る とは考 え られ に く くイ ンス リ ン注 射 を 受 け る以 前 か らす で に,抗 甲状 腺 抗 体 は これ ら患 者 の流 血 中 に存 在 して い た と考 え る 方 が 妥 当 で あ ろ う し・ 逆 に む しろ この よ うな抗 体 の存 在 して い る患 者 が イ ンス リンを 必要 とす るに至 る可 能 性 が 強 い と考 え るべ きで あ ろ う.し か しな が ら,い わ ゆ る正 常 健 康人 の検 索 結 果 で は,加 令 と共 に抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 率 は増 加 す るの で成 人 発 症 の糖 尿病 患 者 の方 が 若 年 型 の糖 尿 病 患 者 よ り抗 甲状 腺抗 体 の陽 性 率 は 高 い事 が 予想 され るが 実 際 は イ ンス リンを 絶対 的 に必 要 とす る若年 型 糖 尿 病 で は イ ンス リン非 必 需 型 が 多 い 成 人 型 糖 尿病 に比 べ 極 めて 高 い 陽 性率 を示 した.こ の事 実 は1rvineら4)が 主 張 す るよ うに抗 甲状 腺 抗 体 の よ うな 自己抗 体 の 出現 が,濃 厚 な遣 伝 的 背 景 を有 す る イ ンス リン依 存 性 の糖 尿 病 患 者 に高 率 に み られ たた め で あ るが,こ の こ と よ り何 らか の遺 伝 的 機 序 が 考 え られ る. 第51巻
第11号
日 本 ま た一 方SLEや
内
分 泌
学
会 雑
885
誌
橋 本 病 等 の 自己 免 疫 疾 患 と遺伝 との 関係 に つ い て は深 瀬 らの報 吉16)にみ られ る如 く極 め
て 強 いpolygene系
の 遺 伝 が 考 え られ,こ
れ らの疾 患 で も 抗 甲 状 腺抗 体 を は じめ 種 々 の 自己 抗 体 の 出 現 率
が 高 い. そ れ ゆ え抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 が イ ンス リン依 存 性 の患 者 に 多 く見 られ る事 は三 村 ら15)の主張 す るpolygene系
の遺 伝 機 序 が 関与 して い る事 を示 唆 す る有 力 な 根 拠 の1つ にな り得 るのか も しれ な い ・ 尚 ・ 抗 甲状 腺
抗体 が 陽性 を示 した31名 中13名 に 感染 症 の合 併 が み られ た が ・ こ の事 は これ らの患 者 で は血 中抗 体 産生 系 の み な らず細 胞 性 免 疫 の異 常 を 伴 って い る事 が 予 想 され 感 染 免疫 に対 す る抵 抗 力 の低 下 が 推定 され る・一 方 ・ 抗 甲状 腺抗 体 が陽 性 を示 した 症 例 は イ ンス リス依 存 性 の患 者 が 多い こ とか ら抗 甲状 腺 抗体 の 出現 と感染 症 が 多 い とい う事 実 を 直 接 関 係 づ け るよ り もむ し ろ イ ンス リン依 存 性 の糖尿 病 息 者 が感 染 症 に罹 患 し易 い と考 え た 方 が 妥 当 で あ る. 糖 尿 病 で は橋 本 病 を始 め とす る 自己 免i疫疾 患 との合 併 頻 度 が 高 い 事 が従 来 報 告 され17)Ne・・pら18)は 特発 性 ア ジ ソ ン病 で は14%に 糖 尿 病 の 合 併 が み られ た と して い る・ また 若年 型 の イ ン刈 な 自己抗 体 が高 嫉 疫囎
に樋
ン依存 性糖 尿 病 儲
醗
を 中心 に糖 尿 総
現 す る とい う こ と,ま
す る19・とか,Tお
よびBリ
者 に は抗 甲 状 腺抗 体 を始 め とす る臓 器 特 異 的
た 細胞 性 般
ンパ 球 穂
の面 か らもHL-A8・W15が
対 数 で 正 常 で あ るが 簾
る反 応 性 が低 下 して お り・ ・),甲状 腺 や 魅抽 出物 を 抗 原 と したLMITでUtu球 己般
囎
に共 乱
娩
疫現象 棚
候群 で は22)23)インス リン未 使 用 で あ る1こも拘 らず 瀦 リン血 症,醗
磁
め られて い る・ 一 方 ・平 田 らが・97・ 靴
多 い の も自己 免
の面 か らみ る とPHAに
対す
走 を 阻止 す る11)21)など 自
発 表 した イ ンス リン 自己 般
血 中 に イ ンス リン融
抗 体 力額
症
され 同時 に過 イ ンス
性 低 血 糖 発 作 が 認 め られ る とい う・ す な わ ち人 の 内 因 性 自己 イ ンス リンに対 して抗 体 が 灘
され るイ ンス リ ン自己 般
症 候 群 で は ブ ド糖
鯖
試 験 に お い て糖 尿 病 型 の備
反 応 を 示 す事 が 多し'とされ
な が らも糖 尿 病 の発 生 に は直 接 つ な が らな い が本 症 の病 因 に対 しイ ンス リ ン自己 免 疫 機 序 を示 唆 す る上 の一 つ の 参 考 に な る もの と して 注 目 され る.い ず れ1こして も今 回 峨 イ ン ス リン使 用鰍
々 の囎
で は イ ンス リ ン抗 体 陽 性 都
全例
者 で あ り,ま た イ ンス リン依 存 性 の 患 者 で は抗 甲状 腺 抗 体 の 高 い 陽性 率 が 得 られ た が こ
れ ら抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 とイ ンス リン抗 体 の 出 現 とに は何 ら因 果 関係 が認 め られ な か った ・ 款
イ ンス リと
依存性糖尿病儲
疾患にみ り
れ る甑
と勧
では愈 噸
の細 胞 性 免 疫 の 異 常 が指 摘 され て お り・ これ らの懸
似 して お り,イ ンス リン依 存 性 糖 尿 病 と 自己 版
囎
現 象 は 自己嫉
と の関 係 を示 唆 す る根 拠 とな 粥
る ものか も しれ な い. 結 雄
糖 尿 病 儲5・7名
果,次
の結 論 を 得 た ・
、 ー
ン ス リン抗 齢
に つ き抗 甲状 腺 抗 齢
陽性 を示 し諸1ま2S名
者 は,そ れぞ れ1名(4%)の 2)抗
語 よ び イ ンス リン抗体 の検 勲
で あ り・ こ の 内Thyr・idtestお
行 い 両 者 の 因果 関係 を み 酷
よ びMicr・s・metest陽
性
み で あ った・
甲状 腺 抗 体 陽 儲3・ 名 の 内,現 在 も ・カ月以 上 にわ た りイ ンス リ ン治 療 を して し'る都9名
で あ り・
この 内 の 、名 が イ ンス リン抗体 陽性 で あ りイ ンス リン抗 体 と抗 甲 状 腺抗 体 との 間 に は・ 何 ら因果 関係 槻
ら
れ な か った 3ー
ンス リン依 存 性 糖尿 病 瀦
のTG,MS陽
性 率 は そ れ ぞれ5・9%・29・4%と
正常鯨
者 の2・3%・2・5
%に 比 べ極 め て高 い陽 性 率 を 示 した. 本研究費の一部は厚生省特定疾患橋本病調査研究 班よ り援 助を受けた. 文 1) Nerup,
J. and Binder,
C : Acta
endocrinol,
献 72 : 279,
第51巻
第11号
(1973).
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886
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泌 学 会 雑 誌,51: (1966) 9)長
573・
・8)
(1975)
Parker・
岡 研 五,桜
・7)
M・L・,
美 武 彦,小
M., Bernard, mellitus
S., Crosier,
瀬 政 市:日
Talmage,
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瀬 政 市,久
Malaisse:
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Clin.
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瀬 政 市:糖
岡
八 博 之,葛
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美 武 彦,深
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mellitus
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Mariz,
川 隆 三,深
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橋
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第51巻
第11号
功,坂
22) TIIME 野 弘 幸,田
井 英 雄,佐
中 正 人,河
野 万 佐 寿,吉
,
:,* a,
野 広 道,兼
見 輝 也,深
瀬 政 市,
崎
878
糖 尿 病 患 者 の免 疫 学 的 研 究 第 二 報 一抗 甲状 腺 抗 体 と イ ン ス リン抗 体 と の 関 連 一
京都大学医学部第二内科 長岡
研五
倉八
博之
桜美
武彦
深瀬
政市
鍋谷
登
大阪赤十字病院内科 久
The
野
昭太郎
clinical and immunological association of insulin antibodies and thyroid antibodies in diabetics Kengo
NAGAOKA,
Hiroyuki
Takehiko 2nd Department
KURAHACHI,
SAKURAMI,
of Internal
Medicine,
Faculty
Shotaro Osaka
We in
have
diabetes
already
reported
a high
Thirteen
of 507 diabetics
Two of 34 insulin antibodies
(2.5°0)
(6. 1%) were positive
and 2.5% respectively
and
clarify
the
Kyoto
University
of
Hospital
occurrence
of
insulin
Twelve
were
diabetics
in
antimicrosomal
antibodies
of
insulin
were
antithyroglobulin antibodies
with antimicrosomal
in 473 insulin diabetics
with
(5. 9%) were positive
were positive
507
antibodies
positive
with antimicrosomal
controls.
association
antibodies
a modified
independent antibodies
were
demonstrated
by
by
using
to 2. 3%
with antithyroglobulin antibodies
compared
to
diabetics.
and
tested
antibodies
compared
thyroid
tanned
antibodies red
a method
cell
in diabetics,
hemagglutination
descrived
by
Wright
form.
of 482 diabetics
thyroglobulin
antibodies
negative-insulin
evident
correlation
antibody
and thirty(6. 2%)were
Only one of 25 positive-insulin antibodies respectively. No
rate
dependent
and ten (29.4%)
antithyroid
in
of Medicine,
KUNO
Red Cross
in normal
2. 3% and 4.4% respectively
test
NABEYA
FUKASE
mellitus.
and thirty-one
To
Noboru
Masaichi
was
positive
antibody
observed
( 4 %)
between
antibodies. 第51巻
第11号
(2. 5%) were positive
with anti-
with antimicrosomal
antibodies.
was
antithyroid
antithyroid
positive
with
antibodies
and
insulin
日 本
内 分
泌
学 会
序
雑 誌
879
言
糖 尿病 に何 らか の 自己 免 疫 現 象 が 関与 して い るの で は な いか とい う疑 問 に対 して 従来,否 定 的 な 考 え方 が 圧 倒 的 で あ った ・ しか しな が ら最近,糖 尿 病 に関 す る免 疫 学 的 研 究 が進 み本 症 と 自己免 疫 疾 患 との か か わ り 合 い を示 唆 す る報 告1∼5,が相 次 い で い る.そ の 中 で も糖 尿 病 患 者 の血 中 に は抗 甲状 腺抗 体,抗 胃壁 細 胞 抗 体, 内 因子 抗 体,抗 副 腎 抗 体等 の臓 器 特 異 的 な 自己抗 体 の 出現 頻 度 が高 率 で あ る とい う事 が注 目 され て い る.そ の うち特 に抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 頻 度 に関 して は,欧 米 で多 数 の報 告 ・-5)がみ られ,そ れ は罹 病 期 間 に よ り異 な る とい う報 告1)や,罹
病 期 間 に関 係 な くイ ンス リン依 存 性 の患 者 に高 頻 度 に み られ る とい う報 告2∼5)があ
る・ しか しな が ら本 邦 で は我 々 の報 告6)を み るのみ で あ るが我 々 は そ の際,厳 密 に個 々 の症 例 を若 年 型 糖 尿 病 で しか も イ ンス リン注 射 を経 口糖 尿病 薬 に切 り換 え る事 の 出来 な い絶 対 的 な イ ンス リ ン依 存 性 と,そ れ が 可 能 か,も し くは イ ンス リ ンを 全 く必 要 と しな い イ ン ス リン非 依 存 性 と に区別 す る事 が 困 難 で あ った ので イ ンス リンを現 在 また は過 去 に使 用 した経 験 を有 す る者 とそ の経 験 の 全 く無 い患 者 と に分 け て み た.そ の 結果, 罹 病 期 間 に は無 関係 に イ ンス リン使 用 経験 の あ る糖 尿病 患 者 しか もそ の うち若 年 者 に抗 甲状 腺抗 体 の出 現 頻 度 が高 率 で あ る とい う結 果 を 得 た が こ の事 実 に注 目す れ ば 当然 次 に若 年型 糖 尿 病 で イ ンス リン注 射 を 絶対 的 に必 要 とす る イ ン ス リン依 存性 糖 尿 病 と,そ うで な い イ ンス リン非依 存 性 糖 尿 病 患 者 で イ ンス リン注 射 に よ って起 る異 種 抗 体 の産 生 と抗 甲状 腺抗 体 の 出現 とが 因 果 関係 に あ るの か否 か とい う事 が 問 題 に な る・ そ こで 今 回,我 々 は一 次 性 糖 尿 病 患 者507名 全 例 に イ ンス リン抗 体 の 検索 を行 い イ ンス リン依 存 性 糖 尿 病 と非 依 存 性 糖 尿 病 につ き イ ン ス リン抗 体 と抗 甲状 腺 抗 体 との 関係 につ い て 検 討 した の で報 告 す る.
対 象 お よ び 方法 対
象:外 来 通 院 して い る一 次 性 糖 尿 病 患 者,男 子218名,女
子289名,計507名
を対 象 と した.患 者 の年 令
は18才 か ら79才 ま で,平 均 年 令 は56才 で あ った.慢 性 甲状 腺炎 お よ び 甲状 腺 機 能 九進 症 な ど甲状 腺疾 患 を明 らか に合併 して い る者 は除 い た.ま 療 の み に よ る者254名(50%),現
た患 者507名 の 治療 と して は食 事 療 法 に よ る者143名(28%),内
服薬治
在 また は過 去 に イ ン ス リン使 用 の経 験 を有 す る者 は110名(22%)で
あっ
た.正 常対 照 と して は京 都 大 学 の 学 生 お よ び職 員 で 毎 年定 期健 康 診 断 を 受 け健 康 に就 学 な い し勤 務 して い る 18才 か ら69才 まで の男 子1257名,女 方
法:1.Thyroglobulinお
よ びMicrosomeに
お よ びMicrosometest(以
下MSと
EngineeringCo.)のVplateを 2.イ
子1093名,計2350名
略 す)(富
を対 象 と した. 対 す る 抗 体 価 はThyroidtest(以
士 臓 器K.K東
変 法 によ った
使 用 した1251一イ ンス リン(Dainabot社)はSephadexG--75Chromatographyに 酸 緩 衝 液pH7.4で
%牛 アル ブ ミン加0.1M燐
よ び50mUのporkinsulinO.1m1と
抗 体 結 合1251一イ ンス リン(B)と 遊i離1251一イ ンス リン(F)の 分離 に は セルm一
間 振 盤 後,2500r.p.m,15分
計 測 しParker8)の
上 のBcorrected/Fを 3.免
間 遠 沈 してBとFを
補 正式 に準 じBcorrected/Fを
求 め0∼0.0375を
ス 吸着 法 を 用 い た ・0.1M 濁 液1m1を
求 めた.尚,各
測 定 群 毎 に正常 人 対 照10人 以
正 常 範 囲 と し,こ れ以 上 の値 を 示 す もの を陽 性 と した.
キ ス ト社)を 用 い てIgG,IgA,IgMを
第51巻
測 定 した.
第11号
加 えTher-
分 離 し 別 々にwelltypescintillation
疫 グ ロブ リンの 測 定
Tri-partigen(ヘ
純化 し
じこれ を4℃ で一 昼 夜 イ ンキ ュベ ー 一 トした.
燐 酸 緩衝 液 で10倍 に 希釈 したcellulose(MN300,Machery,Nagel&Co)懸
counterで
よ り1・0×20cmの
溶 出 し純 化 した ものを 用 い た.糖 尿 病 患 者 血 清各0.1m1,0・5
酸 緩衝 液(pH7.4)0.5ml,お
た1251-一イ ン ス リンを0.1ml混
momixerで10分
略 す)
用 い て 測定 した.
ン ス リン抗 体 の 測 定 はWright7)の
カ ラム を用 い0.1M燐
下TGと
京)に よ りMicrotiterKit(Cooke
880
糖尿病患者の免疫学的研究(長 岡,他4名)
成
績
前 回 の報 告6)で 我 々は イ ンス リン依 存 性,非 依 存性 と各 症 例 を 区別 す る事 が 困 難 で あ った事 お よ び抗 甲 状 腺 抗 体 の 出 現 が イ ンス リン注 射 に よ る異 種 抗 体 と どの よ うな 関係 にあ るの か を検 索 す る為,便 宜 上 イ ン ス リ ン使 用 経 験 者 お よ び未 使 用 者 とに 分 け る方 法 を 用 い た が,今 回 の報 告 に は イ ンス リン依 存 性 糖 尿 病 患 者 を イ ン ス リンを 絶対 的 に必 要 と し病 状 が不 安 定 か つ 急 速 に進 展 し時 々ケ トー ジ ス傾 向 を 示 す若 年 型 糖 尿 病 と定 義 し各 症 例 を イ ンス リン依 存 性,非 依 存 性 と に分 け 検 討 した. Table
1.
Incidence normal
Table
2.
Incidence treated
Tabe11に 4.4%と
of thyroid
antibodies
in diabetics
and
subjects
of
insulin
antibodies
of
sera
from
insulin
patients
示 した よ う に イ ンス リ ン非 依 存 性糖 尿 病 患 者473名 で はTG,MS陽
性 率 は,そ れ ぞ れ2.3%,
正 常人9}と 著 しい 差 は見 られな か った が イ ンス リン依 存性 の患 者34名 で は5.9%,29.4%と 第51巻
第11号
正 常人 に
日 本
内 分 泌
比 べ 両 テ ス ト共 高 い陽 性 率 を 示 し特 にMSは
学
会 雑
正 常 人 が2.5%,イ
881
誌
ンス リン非 依存 性 の患 者 が4・4%で あ るの
に比 ベ イ ンス リ ン依 存 性 の患 者 は29.4%と 著 し く高 い陽 性 率 を示 した. 次 に 糖尿 病 患 者507名 中,現 在 ま た は過 去 に イ ンス リ ン治 療 を受 け た者 は110名(21%)で イ ンス リン抗 体 陽 性 を 示 した者 は男 子51名 中8名(16%),女 り イ ンス リ ン治 療 を 受 け て い な い 者 の中 か らは1名 Table2に
名 で あ り,こ の うち イ ンス リン抗 体 陽 性者 は 男子5名(20.8%),女 あ り,こ の う ち イ ン ス リン依 存 性 の患 者 は 男子3名,女
3.
normal
Table3は
of thyroid
子17名(51.5%),計22名(38・5%)で
子26名,計53名
子 は0名,計3名(5.5%)で Incidence
子33名 ・ 計57
子8名 で あ った.過 去 に イ ンス リン治 療 を受 け 現在
は それ を1カ 月以 上 に わ た り中止 して い る者 は 男子27名,女
Table
あ
も イ ンス リン抗 体 の 陽性 者 は見 い 出せ な か った ・ ま た
示 した如 く現 在1カ 月以 上 にわ た り イ ンス リン治療 を受 けて い る者 は 男子24名,女
体 陽 性 者 は男 子3名(11.1%)で,女
あ るが そ の 中で
子59名 中17名(29%),計25名(23%)で
antibodies
で あ り,こ の うち イ ン ス リン抗
あ った. in diabetics
and
subjects
今 回対 象 と した 糖 尿病 患 者507名
全 例 に つ き イ ン ス リン抗 体 を 測 定 しイ ンス リン抗体 陰 性 お よ
び 陽 性 の2群 に 分 け そ の各 々 にお け る抗 甲状 腺 抗 体 の 陽性 率 を示 す が,正 常 人2350名 にお け るTG・MSの 陽 性率 が そ れ ぞれ2.3%,2.5%を
示 した9)の に比 ベ イ ンス リン抗 体陰 性 患 者 で は2・5%・6・2%・
抗 体 陽性 患 者 で は それ ぞ れ1名 ず つ で4%と,イ
イ ンス リ ン
ンス リン抗 体 陽性 者 で の抗 甲状 腺抗 体 陽 性 率 が 特 に高 い と
い う結 果 は得 られ な か った.ま た一 方 糖 尿 病 患者507名
中,抗 甲状 腺 抗 体 が 陽 性 を 示 した者 は31名 い た が ・
この うち現 在1カ 月 以 上 にわ た りイ ン ス リン治 療 を受 け て い る者 は9名 で あ り・ この うち の1名(11%)が イ ンス リン抗 体 陽 性 者 で あ った.既 に述 べ た よ うに現 在 イ ン ス リン治 療 を 受 け て い る者 の イ ン ス リン抗 体 陽 性 率 は38.5%で
あ った の で抗 甲状 腺 抗 体 陽 性 者 で イ ンス リン抗 体 陽性 率 が 特 に高 い とい う結 果 は 得 られ なか
った.以 上 の よ う に今 回 の我 々 の成 績 で は抗 甲状 腺 抗 体 の出現 とイ ンス リン抗体 の 出現 と の間 には何 ら因 果 関係 を見 い 出す 事 が 出 来 な か った.Table4に
イ ンス リン抗体 が陽 性 を 示 した25人 の患 者 の性 ・年 令 ・使 用
イ ンス リンの種 類 と量,使 用 期 間,合 併 症,Thyroidtest,Microsometestの
抗 体 価 お よび 血清 免 疫 グn
ブ リンの定 量 の結 果 を 示 した.イ
が 男性 で あ り平 均年 令 は48
ンス リン抗 体 陽 性 者25人 中,17人
が女 性,8人
才 で あ った.使 用 イ ンス リ ンは9割 が レ ンテ イ ン ス リンで あ りそ の使 用 量 は12単 位 か ら36単位 ま で で あ った ・ 使 用 期 間 に つ いて は10年 以 上 もイ ンス リン注 射 を施 行 して い な い に も拘 らず イ ンス リン抗 体 が 陽 性 を示 した 者 が3名 あ りイ ンス リン抗 体 の 出現 と イ ン ス リンの使 用量 お よび 使 用期 間 との 間 には相 関 関係 は認 め られ な か った.合 併 症 で は肝 硬変2例,肺
結 核2例,胸
膜炎1例 が み られ た.こ れ ら25人 中,抗 甲状 腺 抗体 陽 性 者
第51巻
第11号
882
糖尿病患者 の免疫学的研究(長 岡,他4名)
Table
4.
Clinical
and serological
findings
は1名 のみ で,そ の 抗体 価 は それ ぞ れ10×28で 我 々の 成 績10,ではバ セ ドー 病 の4%・
in diabetics
with
positine
antibodies
.
あ り,甲 状 腺疾 患 に おけ る抗 甲状 腺 抗 体 の出 現 頻 度 を み た
慢 性 甲状 腺 炎 の12%で10×212以
上 の強 陽 性 の抗 体 価 を 得 て お り これ
と比 較 す る と低 い 抗 体価 を示 した・ 血 清 免疫 グ ロ ブ リンの 各 平 均 値 はTableに IgM共
insulin
・ 正 常範 囲 で あ った が 肝 硬変,結 核 を 合併 した2例 でIgGの
示 した如 くIgG,IgA
,
増 加 が み られ た .
次 に抗 甲状 腺 抗 体 が 陽 性 を示 した31名 の性,年 令,罹 病 期 間,治 療 内容,合 併 症,抗 甲状 腺 抗 体 価 ,免 疫 第51巻
第11号
日 本 Table
5.
Clinical
and serological
内
分 泌
findings
第51巻
学 会
in diabetics
第11号
雑 with
誌 positive
883
thyroid
antibodies.
糖尿病患者の免疫 学的研究(長 岡,他4名)
884
グ ロ ブ リンの 結果 をTable5に
示 したが これ ら31名 中18名 が 女性,13名
が 男 性 で あ り す で に報 告 した よ う
に抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 は罹 病 期 間 とは 相 関 関係 が み られ ず,ま た 陽 性者31名 中10名(31.2%)が
イ ン ス リン
依 存 性 の糖 尿 病患 者 で あ った.合 併 症 で は,こ れ ら31名 中13名 に肺 炎,胸 膜 炎,結 核 等 の 感染 症 に罹 患 し た 者 が み られ た が 先 に述 べ た イ ンス リン抗 体 陽性 者25名 で は僅 か3名 だ け に しか 感 染 症 の 罹患 は み られ な か っ た. 抗 甲状 腺 抗 体 が 陽 性 を示 した これ ら31名 の 抗体 価 を み る と10×28が 上 の強 陽 性 の 抗体 価 を示 した者 は1例 も無 か った.血
清 免疫 グnブ
最 も 高 い 抗体 価 で あ り,10×212以
リン につ い て はIgG,IgA,IgM共,
平 均 値 は正 常 範 囲 にあ り,イ ンス リン抗 体 陽 性者 お よ び抗 甲状 腺 抗 体 陽性 者 の免 疫 グ ロ ブ リン には著 しい差 は認 め られ ず 抗 甲 状 腺抗 体 価 と免 疫 グ ロ ブ リン には 特 に相 関 関係 は 認 め られ な か った. 考
按
我 々 は今 回 イ ン ス リン依 存 性 の糖 尿 病 患 者 で は抗 甲状 腺抗 体 の 出現 頻 度 が 高 い と い う結 果 を 得 た が,欧 米 で は既 に1・V;・e4)らが糖 尿 病 患 者 で の抗 甲状 腺 抗 体 は罹 病 期 間 に は関 係 な くイ ンス リ ン依 存 性 の患 者 で高 頻 度 に み られ る こ とを報 告 し,ま outputdiabeticsと
た 《 へ。u{ias11)らは イ ンス リン依 存 性 とい う 表 現 の 代 わ りに10winsulin
い う表 現 を 用 い正 常 人 の 陽 性 率4.8%に
比 べlowinsulinoutputdiabeticsで
%と 明 らか に高 い 陽 性率 を示 した と して い る.insulindependentdiabetics(イ か10winsulinoutputdiabeticsと 陽性 率 が それ ぞ れ2.3%,2.5%で
は17.5
ン ス リン依存 性 糖 尿 病)と
か表 現 の違 い は あ るが,今 回 の我 々 の成 績 で も正 常健 康者 のTG,MS あ った の に比 べ,イ
ンス リン依 存性 糖 尿 病 患 者 のそ れ は5.9%,29.4%と
両 テ ス ト共 ・極 めて 高 い 陽 性率 が得 られ た・ イ ン ス リン依 存 性 の患 者 は 当然 絶 対 的 に イ ン ス リン注 射 を必 要 とす る糖 尿 病 患 者 で あ るが ・ この事 よ り抗 甲 状 腺抗 体 の 出現 と イ ンス リンの注 射 に よ る異 種 抗体 の産 生 と が どの よ うな 因 果 閣係 にあ るの か が注 目 され る・ 欧 米 で もイ ンス リン抗体 と抗 甲状 腺 抗 体 との 関係 に つ き言 及 した報 告 は殆 ん ど見 られ な い の で今 回 ・ 我 々 は 両者 の因 果 関係 を 明 らか に す る為 に イ ン ス リン抗 体 を測 定 し た ・ イ ンス リ ン抗 体 の検 出 法 と して は抗 体 結 合1251一イ ンス リン と遊 離1251一イ ンス リンの 分離 法 に よ り炉 紙 ク ロマ ト法,吸 着 法(レ
ジ ン法,Charcoal法,タ
ル ク法,セ
ル ロ ー ス法),二 抗 体 法,Sephadex法,ゲ
游 過 法 ・ 塩 析 法 等 々 が あ るが 今 回 ・ 我 々 は検 体 が 多 い 為 セ ル ロー ス吸 着 法 に よ るWrl9卜tの
ル
変 法12)を用 い イ
ンス リン抗 体 が 陽 性 で あ るか陰 性 で あ るか の ス ク リー ニ ン グに 重 点 を 置 いて 測 定 した .そ の 結果,対 象 と し た 糖尿 病 患 者507名
中25名 に イ ンス リン抗 体 が証 明 され たが これ ら陽 性例 は全 部 イ ンス リン使 用経 験 者 で あ
った ・ イ ンス リン抗 体 価 に つ い て は検 索 を 行 な って い な いが イ ン ス リン抗 体 価 と イ ン ス リン使 用量 お よび 使 用 期 間 に つ いて は・ 既 に倉 八 らの成 績13)を始 め と して相 関 関係 が み られ な い とす る報 告14)が多 くイ ンス リン 使 用 者 で の イ ンス リン抗 体 産生 能 は個 体 によ って著 し く異 な って い る もの と思 わ れ る. これ らイ ン ス リン抗体 陽性 者25名 の内 ・ 抗 甲状 腺抗 体 が陽 性 を 示 した の は1名 のみ で あ り,抗 甲状 腺 抗 体 の 出 現 とイ ンス リ ン抗 体 の 出 現 とに は何 ら因 果 関係 が無 い と い う事 が 明 らか にな った.こ の事 実 に よ り抗 甲 状 腺抗 体 が イ ン ス リン依 存性 の患 者 に高 率 にみ られ た事 は イ ン ス リン注 射 に よ り異 種 抗 体 の 産 生 が 引 き お こ され る と同 時 に橋 本 病 等 の 甲状 腺疾 患 患 者 や 正 常 健 康人 の血 中 に も常 に微 量 に存 在 す るサ イ ログ ロブ リ ン等 の 甲状 腺 自己 抗 原 に対 して も・ それ に対 す る 自己抗 体 を容 易 に産 生 す るに至 った結 果 で あ る とは考 え られ に く くイ ンス リ ン注 射 を 受 け る以 前 か らす で に,抗 甲状 腺 抗 体 は これ ら患 者 の流 血 中 に存 在 して い た と考 え る 方 が 妥 当 で あ ろ う し・ 逆 に む しろ この よ うな抗 体 の存 在 して い る患 者 が イ ンス リンを 必要 とす るに至 る可 能 性 が 強 い と考 え るべ きで あ ろ う.し か しな が ら,い わ ゆ る正 常 健 康人 の検 索 結 果 で は,加 令 と共 に抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 率 は増 加 す るの で成 人 発 症 の糖 尿病 患 者 の方 が 若 年 型 の糖 尿 病 患 者 よ り抗 甲状 腺抗 体 の陽 性 率 は 高 い事 が 予想 され るが 実 際 は イ ンス リンを 絶対 的 に必 要 とす る若年 型 糖 尿 病 で は イ ンス リン非 必 需 型 が 多 い 成 人 型 糖 尿病 に比 べ 極 めて 高 い 陽 性率 を示 した.こ の事 実 は1rvineら4)が 主 張 す るよ うに抗 甲状 腺 抗 体 の よ うな 自己抗 体 の 出現 が,濃 厚 な遣 伝 的 背 景 を有 す る イ ンス リン依 存 性 の糖 尿 病 患 者 に高 率 に み られ たた め で あ るが,こ の こ と よ り何 らか の遺 伝 的 機 序 が 考 え られ る. 第51巻
第11号
日 本 ま た一 方SLEや
内
分 泌
学
会 雑
885
誌
橋 本 病 等 の 自己 免 疫 疾 患 と遺伝 との 関係 に つ い て は深 瀬 らの報 吉16)にみ られ る如 く極 め
て 強 いpolygene系
の 遺 伝 が 考 え られ,こ
れ らの疾 患 で も 抗 甲 状 腺抗 体 を は じめ 種 々 の 自己 抗 体 の 出 現 率
が 高 い. そ れ ゆ え抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 が イ ンス リン依 存 性 の患 者 に 多 く見 られ る事 は三 村 ら15)の主張 す るpolygene系
の遺 伝 機 序 が 関与 して い る事 を示 唆 す る有 力 な 根 拠 の1つ にな り得 るのか も しれ な い ・ 尚 ・ 抗 甲状 腺
抗体 が 陽性 を示 した31名 中13名 に 感染 症 の合 併 が み られ た が ・ こ の事 は これ らの患 者 で は血 中抗 体 産生 系 の み な らず細 胞 性 免 疫 の異 常 を 伴 って い る事 が 予 想 され 感 染 免疫 に対 す る抵 抗 力 の低 下 が 推定 され る・一 方 ・ 抗 甲状 腺抗 体 が陽 性 を示 した 症 例 は イ ンス リス依 存 性 の患 者 が 多い こ とか ら抗 甲状 腺 抗体 の 出現 と感染 症 が 多 い とい う事 実 を 直 接 関 係 づ け るよ り もむ し ろ イ ンス リン依 存 性 の糖尿 病 息 者 が感 染 症 に罹 患 し易 い と考 え た 方 が 妥 当 で あ る. 糖 尿 病 で は橋 本 病 を始 め とす る 自己 免i疫疾 患 との合 併 頻 度 が 高 い 事 が従 来 報 告 され17)Ne・・pら18)は 特発 性 ア ジ ソ ン病 で は14%に 糖 尿 病 の 合 併 が み られ た と して い る・ また 若年 型 の イ ン刈 な 自己抗 体 が高 嫉 疫囎
に樋
ン依存 性糖 尿 病 儲
醗
を 中心 に糖 尿 総
現 す る とい う こ と,ま
す る19・とか,Tお
よびBリ
者 に は抗 甲 状 腺抗 体 を始 め とす る臓 器 特 異 的
た 細胞 性 般
ンパ 球 穂
の面 か らもHL-A8・W15が
対 数 で 正 常 で あ るが 簾
る反 応 性 が低 下 して お り・ ・),甲状 腺 や 魅抽 出物 を 抗 原 と したLMITでUtu球 己般
囎
に共 乱
娩
疫現象 棚
候群 で は22)23)インス リン未 使 用 で あ る1こも拘 らず 瀦 リン血 症,醗
磁
め られて い る・ 一 方 ・平 田 らが・97・ 靴
多 い の も自己 免
の面 か らみ る とPHAに
対す
走 を 阻止 す る11)21)など 自
発 表 した イ ンス リン 自己 般
血 中 に イ ンス リン融
抗 体 力額
症
され 同時 に過 イ ンス
性 低 血 糖 発 作 が 認 め られ る とい う・ す な わ ち人 の 内 因 性 自己 イ ンス リンに対 して抗 体 が 灘
され るイ ンス リ ン自己 般
症 候 群 で は ブ ド糖
鯖
試 験 に お い て糖 尿 病 型 の備
反 応 を 示 す事 が 多し'とされ
な が らも糖 尿 病 の発 生 に は直 接 つ な が らな い が本 症 の病 因 に対 しイ ンス リ ン自己 免 疫 機 序 を示 唆 す る上 の一 つ の 参 考 に な る もの と して 注 目 され る.い ず れ1こして も今 回 峨 イ ン ス リン使 用鰍
々 の囎
で は イ ンス リ ン抗 体 陽 性 都
全例
者 で あ り,ま た イ ンス リン依 存 性 の 患 者 で は抗 甲状 腺 抗 体 の 高 い 陽性 率 が 得 られ た が こ
れ ら抗 甲状 腺 抗 体 の 出現 とイ ンス リン抗 体 の 出 現 とに は何 ら因 果 関係 が認 め られ な か った ・ 款
イ ンス リと
依存性糖尿病儲
疾患にみ り
れ る甑
と勧
では愈 噸
の細 胞 性 免 疫 の 異 常 が指 摘 され て お り・ これ らの懸
似 して お り,イ ンス リン依 存 性 糖 尿 病 と 自己 版
囎
現 象 は 自己嫉
と の関 係 を示 唆 す る根 拠 とな 粥
る ものか も しれ な い. 結 雄
糖 尿 病 儲5・7名
果,次
の結 論 を 得 た ・
、 ー
ン ス リン抗 齢
に つ き抗 甲状 腺 抗 齢
陽性 を示 し諸1ま2S名
者 は,そ れぞ れ1名(4%)の 2)抗
語 よ び イ ンス リン抗体 の検 勲
で あ り・ こ の 内Thyr・idtestお
行 い 両 者 の 因果 関係 を み 酷
よ びMicr・s・metest陽
性
み で あ った・
甲状 腺 抗 体 陽 儲3・ 名 の 内,現 在 も ・カ月以 上 にわ た りイ ンス リ ン治 療 を して し'る都9名
で あ り・
この 内 の 、名 が イ ンス リン抗体 陽性 で あ りイ ンス リン抗 体 と抗 甲 状 腺抗 体 との 間 に は・ 何 ら因果 関係 槻
ら
れ な か った 3ー
ンス リン依 存 性 糖尿 病 瀦
のTG,MS陽
性 率 は そ れ ぞれ5・9%・29・4%と
正常鯨
者 の2・3%・2・5
%に 比 べ極 め て高 い陽 性 率 を 示 した. 本研究費の一部は厚生省特定疾患橋本病調査研究 班よ り援 助を受けた. 文 1) Nerup,
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