YAKUGAKU ZASSHI 135(3) 483―492 (2015) 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
483
―Review―
出芽酵母のメンブレントラフィックにおける Rab GTPase ネットワーク 長野
a 十 島 純 子, a,b 十 島 二 朗 ,a,c 真,
Rab GTPases Networks in Membrane Tra‹c in Saccharomyces cerevisiae ,a ,c Makoto Nagano,a Junko Y. Toshima,a,b and Jiro Toshima aResearch
Center for RNA Science, RIST, Tokyo University of Science; 631 Niijyuku, Katsushika-ku, Tokyo 1258585, Japan: bFaculty of Science and Engineering, Waseda University; Wakamatsu-cho 22, Shinjuku-ku, Tokyo 1628480, Japan: and cDepartment of Biological Science and Technology, Tokyo University of Science; 631 Niijyuku, Katsushika-ku, Tokyo 1258585, Japan. (Received October 9, 2014; Accepted November 3, 2014)
Intracellular membrane tra‹cking between membranous compartments is essential for organelle biogenesis, structure, and identity. Rab/Ypt GTPases are well-characterized regulators of intracellular membrane tra‹cking, functioning as molecular switches that alternate between GTP- and GDP-bound forms. In Saccharomyces cerevisiae, 11 Rab/ Ypt GTPases have been identiˆed and their functions are known to be conserved in their mammalian counterparts. In yeast, the secretory pathway is regulated by sequential activation and inactivation (the so-called Rab cascade) of three types of yeast Rab protein Ypt1p, Ypt31p/32p and Sec4p via speciˆc guanine nucleotide exchange factors (GEFs) and GTPase-activating proteins (GAPs). In addition to these Rabs, we and others have recently demonstrated that Ypt6p is predominantly localized to the early Golgi compartment, and functions as another regulator of anterograde transport for intra-Golgi tra‹cking in the secretory pathway. On the other hand, the endocytic pathway is known to be regulated by three yeast Rab5s (Vps21p, Ypt52p and Ypt53p) and one Rab7 (Ypt7p). Rab5 and Rab7 are key determinants of endosome identity, and the Rab5-Rab7 cascade is important for the progression from early to late endosome. Our recent study demonstrates that the endocytic pathway branches into two vacuolar targeting pathways, the Rab5-dependent vacuole protein sorting (VPS) pathway and the Rab5-independent pathway. In this review, we focus on recent advances in our understanding of molecular mechanisms that regulate the localization and activity of yeast Rab GTPases in intracellular membrane tra‹cking. Key words―Rab/Ypt GTPase; membrane tra‹c; Rab5; budding yeast
1.
はじめに
り,これにより複雑な細胞の振る舞いが制御されて
真核細胞は,構造的・機能的に異なるオルガネラ
いる.このような,脂質二重膜で区画化された領域
を構築し,それぞれに特異的な働きを分担させるこ
間での物質の輸送を制御するメカニズムの 1 つとし
とで多様な営みを可能にしている.このようなオル
て,膜小胞を介した輸送機構であるメンブレントラ
ガネラの構造は,その最外層を形成する脂質二重膜
フィックが知られており,1) その基本的なメカニズ
によって維持されており,これによりオルガネラと
ムは,酵母からヒトに至るまでよく保存されてい
細胞質あるいは異なるオルガネラ同士が同質化する
る.最近の研究から,細胞内では膜区画間での小胞
ことのないように保たれている.一方でオルガネラ
輸送経路が連結・分岐して,複雑な膜輸送ネット
間あるいはオルガネラ細胞質間では,タンパク質
ワークが形成されていることが明らかとなってき
や脂質などの物質の輸送が絶え間なく起こってお
た.さらに,この輸送ネットワークを整然と制御す るメカニズムに関する理解も進んでいる.本総説で
a東京理科大学総合研究機構
RNA 科学研究センター (〒 125 8585 東京都葛飾区新宿 6 3 1 ),b 早稲田大学 理工学術院創造理工学部(〒1628480 東京都新宿区若 松 町 2 2 ),c 東 京 理 科 大 学 基 礎 工 学 部 生 物 工 学 科 (〒1258585 東京都葛飾区新宿 631) e-mail: jtosiscb@rs.noda.tus.ac.jp.
は,メンブレントラフィックの中心的制御因子の 1 つである低分子量 GTPase Rab タンパク質( Rab GTPase)25) に焦点を当て,細胞内輸送研究の優れ
たモデル生物である出芽酵母を用いた研究成果を中 心に,膜輸送ネットワークに関する最近の知見を概
484
Fig. 1.
YAKUGAKU ZASSHI
Vol. 135 No. 3 (2015)
The Rab GTPase Cycle
The newly synthesized Rab binds to Rab escort protein (REP) that directs it to Rab geranylgeranyl transferase (GGT) to receive its prenyl anchor(s). The prenylated Rab is delivered to the donor membrane and converted from the inactive GDP-bound form to the active GTP-bound form by GEF. The GTP-bound Rab recruits its eŠector proteins that mediate membrane tra‹c in the pathway regulated by its associated Rab. After membrane fusion, GAP deactivates the Rab by accelerating the slow intrinsic rates of GTP hydrolysis, and guanine nucleotide dissociation inhibitor (GDI) removes it from the membrane. GDI dissociation factor (GDF) releases the Rab from GDI and thereby mediates the insertion of the Rab into the target membrane.
説したい. 2.
Rab GTPase
小胞輸送は,2 種類の膜区画間での膜小胞の移動 によって,輸送元(供与膜)から輸送先(受容膜)
は 60 種類以上が同定されている.近年の研究か ら,これら Rab GTPase は小胞の輸送や繋留・融 合の調節に加えて,小胞の出芽や成熟過程において も働いていることが明らかにされている.
へと生体高分子を送達するためのメカニズムの 1 つ
Rab GTPase の働きは,不可逆的な脂質修飾と可
である.この過程は大きく 4 つのステップで構成さ
逆的な立体構造変化によって調節されている(Fig.
れ,最初に,供与側オルガネラにおいて,積み荷分
.細胞質で合成された Rab タンパク質は Rab es1)
子の選別と小胞の形成が起こり,脂質二重膜で形成
cort protein (REP)に結合した後,Rab geranylger-
された小胞が出芽する(ステップ 1 :小胞出芽).
anyl transferase の働きで C 末端部位のシステイン
出芽した小胞は,微小管やアクチンフィラメントを
残基に C20 プレニル脂質であるゲラニルゲラニル基
レールとして受容側オルガネラへと運ばれる(ス
を共有結合され,9) このプレニル化部位を介して脂
テップ 2 :小胞輸送).輸送された小胞は,受容側
質 二 重 膜 に 結 合 す る . Rab の N 末 端 側 領 域 は
オルガネラの脂質膜につなぎ留められる(ステップ
GTPase ド メ イ ン を 有 し て お り , そ の 膜 局 在 は
.最終的に,受容側オルガネラ膜と輸 3:小胞繋留)
GTPase ドメインとグアニンヌクレオチドとの結合
送小胞膜間の融合の過程(ステップ 4:小胞融合)
4,5) すなわち, guanosine 状態による制御を受ける.
を経て,積み荷分子が受容側オルガネラ内へと受け
diphosphate ( GDP )結合型は, GDP
渡される.この機構は,輸送小胞の形成を制御する
inhibitor (GDI)との結合によって脂質修飾部分が
coat protein complex (COP) I,COP II,クラスリ
マスクされているため,オルガネラ膜に結合できな
ン複合体などの被覆複合体や小胞の出芽を制御する
いが,GDI displacement factor (GDF)によって
Sar1/Arf ファミリー GTPase,受容側オルガネラと
GDI がリリースされてオルガネラや小胞膜へと局
輸送小胞間の融合の特異性を保障する soluble NSF-
在すると, guanine
複合体など, attachment protein receptor (SNARE)
( GEF )によって, guanosine triphosphate ( GTP )
多様な制御分子群が段階的に関与することで成立す
結合型に変換される.10,11) 脂質膜に結合した GTP
68) また,低分子量 Ras GTPase スーパーファミ る.
型 Rab は,様々なエフェクター分子をリクルート
リーの 1 つである Rab GTPase は,このような一
12,13) 小胞の輸送,繋留及び融合を制御 することで,
連の小胞輸送の特異性を決めるのに重要な働きをし
する.そして,膜融合により小胞輸送が完了する
ており,これまでに出芽酵母では 11 種類,ヒトで
と,受容側オルガネラ膜において,GTPase activat-
nucleotide
dissociation
exchange
factor
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Fig. 2.
YAKUGAKU ZASSHI
485
Subcellular Localization of the Rab GTPase Family in Budding Yeast
Ypt1p is localized to the ER and early Golgi compartment and regulates multiple cellular processes such as ER-Golgi tra‹cking, autophagy, and unfolded protein responses (UPRs). Ypt6p is localized predominantly to the cis/medial-Golgi, and partially to the COPI-coated vesicles and trans-Golgi. Ypt31p and its paralog Ypt32p are localized to the trans-Golgi and regulate the transport of secretory vesicles. Sec4p is localized to secretory vesicles and the plasma membrane around the bud tip and plays an essential role in exocytic secretion. Three yeast Rab5s Vps21p, Ypt52p, and Ypt53pare required for early-to-late endosome transport in the endocytic pathway. DiŠerences of localization between these three Rabs have not been clariˆed. Ypt7p is localized to the vacuolar membrane and required for the formation and maintenance of vacuoles. The intracellular localization of Ypt10p and Ypt11p remains obscure, but they appear to be associated with the vacuolar and ER membrane, respectively.
ing protein (GAP)によって GDP 型に不活性化さ
17,18) 一方,初期 経路と呼ばれている. 後期エンド
れ, GDI と結合することによりオルガネラ膜から
ソームから,ゴルジ体若しくは細胞膜に積み荷を輸
11,14) このように Rab は,その活性化状態 解離する.
送する逆行性輸送経路も存在し,エンドサイトーシ
が GTP 若しくは GDP の結合によって可逆的に切
ス経路においては,積み荷の液胞/リソソームへの
り替わることから,小胞輸送の on / oŠ を制御する
輸送と分解,若しくは細胞膜への輸送と再利用と
分子スイッチとして機能していると考えられている.
いった選別が行われている.出芽酵母で発現する
Rab GTPase が 制 御 す る メ ン ブ レ ン ト ラ
11 種類の Rab GTPase は,それぞれが特異的なオ
3.
フィックネットワーク 細胞内には,主要な小胞輸送経路として,小胞体 ( endoplasmic reticulum; ER )からゴルジ体を経由
ルガネラ膜に局在することで,特定の膜区画間での 小胞輸送を制御している(Fig. 2) . 3-1.
分泌経路を制御する Rab GTPase
分泌
して細胞膜あるいは細胞外へとタンパク質や脂質を
経路は主に,新規に合成されたタンパク質や脂質
輸送する分泌経路と,15) 細胞外物質や細胞膜成分を
が,小胞体(ER),ゴルジ体内で立体構造の形成や
細胞膜から液胞へと輸送するエンドサイトーシス経
修飾を受けた後に,細胞膜あるいは細胞外へと輸送
16) 路が存在し,
これらの輸送経路とその基本的な制
されるための経路である.ER とゴルジ体間では,
御メカニズムは,酵母からヒトに至る真核生物内で
ER からゴルジ体方向の順行性輸送とその逆方向の
よく保存されている( Fig. 2 ).さらにゴルジ体か
逆行性輸送が行われる.出芽酵母では,ERゴルジ
らは,初期 後期エンドソーム及び液胞/リソソーム
体間の小胞輸送を両方向ともに Ypt1p が制御する
への順行性輸送経路が存在し,エンドソームへの輸
のに 対し て ,哺 乳 動物 細胞 で は, 順行 性 輸送 を
送経路は vacuolar protein sorting (VPS)経路,液
1922) また, Rab1,逆行性輸送を Rab2 が担当する.
胞/リソソームへの経路は adaptor protein ( AP ) -3
ER 上で形成された前オートファゴソーム構造体
486
YAKUGAKU ZASSHI
Vol. 135 No. 3 (2015)
( pre-autophagosomal structure; PAS ) が オ ー ト
端側に GFP を標識する新しい手法( Fig. 3 )を開
ファゴソームへと成熟する過程に,出芽酵母では
発し,内在性の Ypt6p の細胞内局在を明らかにし
Ypt1p ,哺乳動物細胞では Rab24 や Rab33 が関与
31,32) こ の 結 果 , 内 在 性 の Ypt6p は 主 に cis / た.
する.5,23,24) このように哺乳動物細胞と出芽酵母で
medial 槽に局在しており,trans 槽ではその局在率
は,基本的な小胞輸送経路と制御メカニズムが保存
31) こ が大きく減少することが明らかとなっている.
されているが,前者では Rab の役割が細分化され
れまでの私達の研究結果ではさらに,Ypt6p の特異
ている一方で,後者では 1 つの Rab が複数の輸送
的 GEF である Ric1p / Rgp1p 複合体は cis 槽に,特
経路を担当することで,少ない分子種で小胞輸送を
異的な GAP である Gyp6p は trans 槽に局在するこ
効率的に制御している.Ypt1p は,これをコードす
31) とが見い出されており[ Figs. 4 ( A ) and ( B )],
る遺伝子の欠損により致死となることから,これが
Ypt6p は,cis 槽で活性化され,trans 槽で不活性化
制御する輸送経路は細胞の生存に必須であることが
されていることが示唆されている.また,内在性の
理解される.
Ypt6p の局在は RIC1,及び RGP1 遺伝子欠損変異
多くの真核細胞のゴルジ体は, cis / medial / trans
体では細胞質に変化し,GYP6 遺伝子欠損変異体で
の三槽が近接したリボン状の構造を形成し,核の周
は cis/medial 槽から trans 槽に移行することも明ら
辺に局在している.モデル生物として繁用される分
かとなっている[Figs. 4(C) and (D)].31) これらの
裂 酵 母 Schizosaccharomyces pombe や , メ タ ノ ー
ことから,ゴルジ体内における Ypt6p の役割は,
ル資化性酵母 Pichia pastoris などの一部の出芽酵母
逆行性輸送よりむしろ, cis から trans 方向への槽
のゴルジ体でも同様に,三槽が近接したスタック構
成熟に関与すると考えられる[Fig. 4(E)].
造が観察される.25)
一方,細胞内輸送研究のモデル
出芽酵母のゴルジ体から細胞膜への輸送経路では,
と し て 用 い ら れ る 出 芽 酵 母 Saccharomyces
Ypt31p とそのパラログ分子 Ypt32p が後期ゴルジ
cerevisiae のゴルジ体は,三槽がそれぞれ独立した
33) 分泌小胞 体からの小胞輸送の初期段階を制御し,
膜区画として細胞内全体に散在しているが,ゴルジ
上あるいは細胞膜近傍において Ypt31p / Ypt32p か
体の基本的な性質や機能は種々の真核細胞間でよく
ら Sec4p に置換され,34) Sec4p が分泌小胞の細胞膜
保存されている.ゴルジ体内での物質輸送機構は,
への融合を制御する.この経路を制御するこれらの
ER からの輸送小胞が cis 槽に融合後,槽内におい
Rab GTPase をコードする遺伝子は,YPT1 と同様
て糖鎖修飾などが進み,この過程で膜区画そのもの
にノックアウトにより致死となる必須遺伝子である
が cis 槽から medial 槽,medial 槽から trans 槽へと
ことが明らかにされている.
性質変化し,最終的に trans-Golgi network ( TGN )
出芽酵母と高等生物の細胞に共通して,後期ゴル
から細胞膜への輸送小胞が出芽する槽成熟モデルが
ジ体からエンドソームへと小胞を輸送する VPS 経
支持されている.26) これまでの研究結果から,ゴル
路が同定されており,出芽酵母では特に液胞局在性
ジ体内では, trans 槽に Ypt6p が局在して cis 槽方
プロテアーゼである carboxypeptidase Y (CPY)の
向への逆行性輸送を制御すると考えられていた.こ
輸送経路であることから, CPY 経路とも呼ばれ
れに加えて Ypt6p は,変異株の表現形から,cis ゴ
る.17) ヒトなどの高等真核細胞では,VPS 経路を通
ルジ槽から ER やエンドソームから trans ゴルジ槽
してマンノース 6 リン酸受容体によるリソソーム酵
への小胞輸送にも関与することが示唆されていた
素の輸送が行われている. VPS 経路は従来,後期
が,2729) 一方で,その内在性分子の細胞内局在は明
ゴルジ体から直接後期エンドソームに至ると考えら
らかにされていなかった.出芽酵母では,内在性分
れていた(Fig. 5, Classical VPS pathway) .しかし
子の局在解析のために,green ‰uorescent protein
私達の最近の研究では,液胞型プロトン輸送体 V-
( GFP )などを相同組換えによって COOH 末端に
ATPase のサブユニットである Vph1p を含む輸送
付加する手法が一般的に使われるが,30)
前述のよう
小胞が, TGN から出芽した後, Rab5 非依存的に
に Rab GTPase は, COOH 末端側で機能的に必須
初期エンドソームに融合され,その後 Rab5 依存性
な脂質修飾を受ける.このため,私達の研究グルー
のエンドサイトーシス経路により液胞へと運ばれる
プでは,内在的に発現する Rab GTPase の NH2 末
こ と が 見 い 出 さ れ て い る ( Fig. 5,
Novel
VPS
Vol. 135 No. 3 (2015)
Fig. 3.
YAKUGAKU ZASSHI
487
Schematic Representation of the Method for GFP-tagging of the Chromosomal YPT6 Gene
The integration plasmid was constructed as described previously.31) The plasmid was digested with XcmI, transformed and integrated at the N terminus of the ORF of the chromosomal YPT6 gene through homologous recombination. The extra region generated by the insertion of the integration plasmid was removed by PCR-based homologous recombination.31)
32) また,このような VPS 経路とは独立 pathway ).
3-2.
エンドサイトーシス経路を制御する Rab
して, TGN から液胞へ直接小胞を輸送する AP-3
GTPase
調 節 性 経 路 も 同 定 さ れ て い る ( Fig. 5, AP-3
の分子を脂質膜に包む形で細胞内へと取り込む過程
18) pathway).
これらの研究成果から,ゴルジ体から
であり,これにより形成された膜小胞を液胞/リソ
液胞への積み荷の輸送では, TGN あるいはその近
ソームへと輸送する経路である.16) エンドサイトー
傍で経路が分岐し,経路を選別する機構が働いてい
シス経路は,細胞外からの栄養成分の取り込みや細
ることが示唆される.
胞膜の恒常性維持に必須であるほか,細胞膜受容体
エンドサイトーシスは,細胞外や膜上
の取り込みによる細胞外シグナルの制御や神経伝達
488
Fig. 4.
YAKUGAKU ZASSHI
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Localization of Ypt6-GEF, Rgp1p, and -GAP, Gyp6p, and Their Role in Localizing Ypt6p to the Golgi
(A) Colocalization of GFP-tagged Rgp1p with mCherry-tagged Golgi marker in budding yeast. Arrows indicate examples of colocalization. (B) Colocalization of GFP-tagged Gyp6p with mCherry-tagged Golgi marker in budding yeast. Arrows indicate examples of colocalization. (C) The endogenous localization of Ypt6p tagged with GFP in wild type (WT), RGP1- or RIC1-deleted (rgp1D or ric1D) cells. Arrows indicate examples of punctate localization of GFP-Ypt6p. (D) Colocalization of GFP-Ypt6p with Sec7-mCherry in WT or GYP6-deleted (gyp6D) cells. Arrows indicate examples of colocalization. (E) Model for localization of Ypt6p regulated by Rgp1p/Ric1p and Gyp6p in the Golgi apparatus. Ypt6p changes its localization from the cytosol to the cis-Golgi by switching its state from the GDP-bound to the GTP-bound form by Ric1p-Rgp1p, and then Gyp6p promotes the dissociation of Ypt6p from the Golgi when arriving at the trans-Golgi compartment.
物質の放出サイクルの制御などにも重要であり,細
期エンドソームを形成する.初期エンドソームは後
胞機能の調節機構として果たす役割は多岐にわた
期エンドソームへと成熟する過程において,積み荷
る.さらに,ウイルスや病原菌が産生する毒素の侵
をリソソームへ輸送するエンドサイトーシス経路,
入経路としても利用されることから,生理的・病理
細胞膜へ送り返すリサイクリング経路,ゴルジ体に
的の両面において,その役割がよく研究されてい
送る逆行性輸送経路へ選別する.
る.細胞膜受容体の取り込みは,主としてクラスリ
エンドサイトーシス経路の主要な制御因子である
ン仲 介 型エ ンド サ イト ーシ ス によ り行 わ れて い
Rab5 の酵母ホモログとして,Vps21p, Ypt52p 及び
35,36) る.
クラスリン仲介型エンドサイトーシスによ
37) Rab5 は主 Ypt53p が同定されている( Fig. 2 ).
り取り込まれた小胞(クラスリン被覆小胞)は被覆
に,エンドサイトーシス小胞間での同型融合による
を解離した後,これら小胞間の同型融合により,初
初期エンドソームの形成と後期エンドソームへの成
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Fig. 5.
YAKUGAKU ZASSHI
489
Model of Rab5-dependent and -independent Endocytic Pathways
Protein transport from the TGN to the vacuole is mediated by two major tra‹cking pathways, the VPS and AP-3 pathways. Proteins tra‹cked via the VPS pathway transit through late endosomes/MVBs en route to the vacuole, whereas the AP-3 pathway mediates transport to the vacuole independently of the late endosomes/MVBs. The VPS pathway was thought to converge with the endocytic pathway in late endosomes/MVBs (classical VPS pathway), but our recent study has demonstrated that convergence of these two pathways occurs before Rab5/Vps21 functions in these pathways (novel VPS pathway). The AP-3 pathway-mediated endocytic pathway is independent of Rab5 and works as an alternative route to the vacuole/lysosome.
熟を制御する.出芽酵母では,Vps21p の欠損が著
期エンドソームと融合すると考えられていた.しか
しいエンドサイトーシス輸送の障害をきたすことか
し,前述のように私達は,エンドサイトーシス経路
ら, Vps21p がこれら 3 種類の Rab5 ホモログの中
と VPS 経 路 の 交 差 は Rab5 を 介 し た エ ン ド サ イ
で主要な役割を果たしていると考えられてい
トーシス小胞の同型融合以前に既に起こっているこ
38,39) Ypt52p は, Vps21p との重複欠損時にのみ る.
とを見い出した(Fig. 5, Rab-5 dependent endocytic
エンドサイトーシス輸送の障害を示すことから,
32) さらに,私達はこれまで不明であった pathway).
Vps21p の機能を補完する役割を担うと考えられ
内在性の Vps21p の細胞内局在についても,前述の
40) 最近の私達の研究において, VPS21 / YPT52 る.
Ypt6p の局在解析と同様の手法( Fig. 3)を用いて
の二重欠損細胞では,エンドソーム間の同型融合が
解析し, Vps21p が初期エンドソームのみではな
阻害され,この結果,細胞膜から取り込まれた積み
く,初期エンドソームから後期エンドソームにかけ
荷の液胞への輸送能が大きく低下していることが明
て広く局在することを明らかにした.32) 以上のこと
32) 一方, Ypt53p の欠損はエン らかとなっている.
から,Vps21p は初期エンドソーム形成から後期エ
ドサイトーシス輸送に影響しないことから,その働
ンドソームへの成熟を広範に制御すると考えられる.
きは明らかではなかったが,最近,栄養飢餓時など
このように Rab5 はエンドサイトーシス輸送にお
のストレスに応答して発現が亢進し,小胞輸送や細
いて重要な役割を担っているが,Rab5 をすべて欠
胞増殖を促進することが報告されている.41)
損させた場合でも,細胞膜から液胞への積み荷の輸
初期エンドソームから後期エンドソームの形成
送は完全には阻害されない.このことから私達の研
は,ゴルジ体で起こる cis 槽から trans 槽への移行
究グループでは,Rab5 非依存的なエンドサイトー
と同様に小胞輸送ではなく,オルガネラ成熟機構に
シス機構を仮定して研究を進め,AP-3 調節性経路
よると考えられている.従来は,初期エンドソーム
を介したエンドサイトーシス輸送が存在することを
と後期エンドソームは異なるオルガネラであり,
明らかにした(Fig. 5,AP-3 pathway-mediated en-
VPS 経路によりゴルジ体から輸送された小胞は後
.32) AP-3 経路上でも,ゴルジ体か docytic pathway)
490
YAKUGAKU ZASSHI
Vol. 135 No. 3 (2015)
ら出芽した小胞とエンドサイトーシス小胞の間で融
GEF や GAP は,一過的に膜区画に濃縮されるこ
合が生じると考えられるが,この経路を制御する
とで Rab の活性化と不活性化を制御している可能
Rab GTPase はいまだ明らかではないことから,今
性が示唆されている.
後詳細な解析が必要と考えられる.
特定のオルガネラ膜に特異的な GEF や GAP が
後期/多胞体エンドソームの液胞への融合は,
リ ク ル ー ト さ れ る メ カ ニ ズ ム と し て , Rab カ ス
Rab5 により後期エンドソームにリクルートされた
ケードが提唱されている.5,50) Rab カスケードは,
42) Ypt7p は後期/多胞体エンド Ypt7p が制御する.
小胞輸送の過程で,供与膜に存在する上流の Rab
ソーム及び液胞膜上に局在し,後期エンドソームや,
が受容膜において下流の Rab を活性化し,同時に
AP-3 経路によって液胞へと輸送された小胞の液胞
上流 Rab は不活性化されて膜区画から細胞質へと
への融合を制御している.Ypt7p は液胞の形成や構
解離するといったモデルである.これは, Rab が
造維持に必須であり, Ypt7p やその特異的な GEF
従来から知られていたオルガネラ間の特異的融合の
複合体である Mon1p/Ccz1p の欠損は,液胞の著し
制御に加えて,その下流の輸送過程への移行も制御
い断片化を引き起こすことが報告されている.43)
することにより,小胞輸送を効率的かつ間断なく遂
4.
Rab GTPase の局在制御機構
行す る こと を 示し てい る .こ のモ デ ルは ,上 流
細胞内に発現する多様な Rab タンパク質が各々
Rab が下流 Rab の GEF をリクルートすることでそ
に特異的な膜区画に局在化する分子機構は,十分に
の活性化を誘導する Rab-GEF カスケードと,下流
は明らかにされてはいないが,特異的な GEF と
Rab が上流 Rab の GAP をリクルートすることで
GAP の局在場所によって調節されると考えられて
その不活性化を誘導する Rab-GAP カスケードから
いる.最近の私達の研究結果もこの制御機構を支持
なる.出芽酵母のゴルジ体では,Ypt1p の GAP で
するものであり,前述のように, Ypt6p は cis 槽に
あ る Gyp1p を Ypt31p / Ypt32p が 局 在 誘 導 す る
多く局在し, trans 槽での局在は大きく減少してい
51) さらに Rab-GAP カスケードが報告されている.
る.31) これと一致して, Ypt6p の特異的な GEF で
最近,須田らによって, Gyp6p を介した Ypt6p と
あ る Ric1p-Rgp1p 複 合 体 は cis 槽 に , 特 異 的 な
Ypt32p 間での Rab-GAP カスケードが trans ゴルジ
27,31,44) こ GAP である Gyp6p は trans 槽に局在する.
52) 前述 槽において行われていることが報告された.
のように,Ypt6p の膜区画への局在化は,特異的な
の私達の研究結果は,内在性の Ypt6p が trans ゴル
GEF によって誘導され,特異的な GAP によって
ジ槽で不活性化されることを示しており,この報告
制限されていると考えられる[ Fig. 4 ( E )].同様
と一致する.ゴルジ体では, Ypt1p から Ypt31p /
に,酵母 Rab1 ホモログ Ypt1p は,特異的 GEF の
Ypt32p へ の カ ス ケ ー ド と , Ypt6p か ら Ypt31p /
TRAPPI 複合体によって ER 膜に局在化され,特
Ypt32p へのカスケードがともに生じることから,
異的 GAP である Gyp1p によって medial あるいは
この 2 つのカスケードがどのように使い分けられて
trans 槽で膜区画から細胞質へと解離すると考えら
いるのか,今後の詳細な研究が待たれる.このほ
れている.45,46)
か,分泌小胞上では, Ypt31p / Ypt32p と Sec4p の
一方で,酵母 Rab5 ホモログである Vps21p は初
間で Sec4p 特異的な GEF 分子である Sec2p を介し
期後期エンドソームに局在し,エンドソーム小胞
た Rab-GEF カスケードが存在し,これが細胞膜へ
の融合とそれに続く液胞(リソソーム)の成熟を制
の分泌小胞の輸送と融合を制御している.53)
御 す る が , そ の 特 異 的 GEF で あ る Vps9p や
5.
Muk1p は明瞭な膜局在性は示さず,細胞質全体に
小胞輸送機構は,単に物質を目的地に送達するた
おわりに
ま た , Vps21p-GAP で あ る
めだけではなく,機能的・構造的に異なるオルガネ
Gyp3p は,主に bud neck や bud tip といった細胞
ラのアイデンティティー維持機構としても重要であ
40,49) 膜部位に集積しており,
後期エンドソームへの
る.高度に分化したオルガネラが特異的な機能を発
分布は低い.したがって, Rab の活性化・不活性
現するためには,各膜区画で特異的に機能する分子
化場所と,GEF・GAP の主要な局在場所がかなら
群を正しい場所に局在させることが必要であるが,
ずしも一致する訳ではないようである.このような
タンパク質や脂質などの送達や交換が間断なく起
拡散している
.47,48)
Vol. 135 No. 3 (2015)
YAKUGAKU ZASSHI
こっている膜区画間では,互いが構造的・機能的に
13)
同質化する危険性をはらんでいる.小胞輸送による 物質輸送メカニズムは,適切な膜区画に機能分子を 局在化させることで,各オルガネラに特異的な機能 を発現させる役割も果たしている.Rab GTPase は
14) 15)
このような小胞輸送を制御する中心分子として,そ の生理的役割や疾患との関連などが研究されてきた
16)
が,昨今のイメージング技術の発達により,オート ファジーやオルガネラインヘリタンス,ストレス応
17)
答などにおける役割も明らかになってきている.本 総説では詳しく触れなかったが,Ypt1p による unfolded protein response (UPR)の調節や Ypt11p に
よるミトコンドリアの機能制御なども報告されてお 54,55) 小胞輸送の制御因子の枠を超えて,今後さ り,
18) 19) 20)
らに Rab GTPase の果たす役割の理解が広がるこ とが期待される. 21)
利益相反
開示すべき利益相反はない.
22)
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