後頭蓋窩硬膜動静脈奇形 の病態生理 と治療 貫井
英 明 ・長 屋
孝 雄 ・田 中
Pathophysiology Arteriovenous
壮 借 ・川 上
and Treatment
Malformation
雅 正 ・西 松
輝高
of Dural
of the Posterior
Fossa
HIDEAKINUKUI,TAKAONAGAYA,SOHKICHI TANAKA, MOTOMASA KAWAKAMI and TERUTAKA NISHIMATSU Department of Neurosurgerh, GunmaUniversity Summary Dural arteriovenous malformation (dural AVM) of the posterior fossa is relatively rare and offers various problems concerning its pathophysiology and treatment. In this paper, these problems were discussed on the basis of our experiences with 5 cases and a review of the literature. In our cases, all patients complainted of tinnitus and that all noticed bruit on admission. Angiographically the AVM was fed by multiple arteries in all the cases and the sigmoid sinus was occluded in one case. Cerebral hymodynamics was examined by Greitz's method as well as Xe-133 clearance method and were found normal in each case. Operation was carried out on 2 cases. The feeders from the occipital artery were ligated extracranially and the AVM of the scalp was removed. In follow-up study (ranging from 9 months to 8 years and 5 months), tinnitus and bruit disappeared or decreased postoperatively in 2 cases and remained the same as on admission in the other 3 cases. Further signs or symptoms were not noticed. In dural AVM, clinical symptoms may occur as a result of several pathological conditions. Tinnitus and head bruit are caused by arterio-venous shunt itself and more serious neurological deficits are produced by disturbance of cerebral hemodynamics due to massive arteriovenous shunt and accompaning secondary changes such as occlusion of the affected sinus, increase of venous pressure and retrograde flow of the cortical veins. But cerebral hypoxia or ischemia must not be produced by arteriovenous shunt which is usually rather minor in dural AVM. As for treatment, many kinds of operation have been carried out. The most effective method has been the removal of dural AVM. However, the removal of AVM often presents extreme technical difficulties and may expose the patients to great hazard. Therefore, for aged patinets with only tinnitus or bruit, extracranial ligation of feeders should be tried first. Key words:
dural AVM, posterior
fossa, cerebral
hemodynamics,
treatment
る報 告 が 散 見 され る.し か し現 在 で も報 告 され た 症例 数 Iは じ め に
は 比 較 的 少 な く,ま た そ の病 態 お よび治 療 法 に 関 して は
後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形 は内 外 頸 動 脈 お よび 椎 骨 動 脈 な どの硬 膜枝 を流 入 動脈 と し,横 静 脈 洞 あ る い はS状 静
必 ず し も意 見 の 一 致 を み て お らず,様 々 な興 味深 い 問題 が 存 在 す る.
年 本 症
そ こで 我 々 は 現在 ま で に経 験 した後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈
は,特 発性 内 頸 動 脈 海綿 静 脈 洞 痩 とと もに 硬 膜 動静 脈奇
奇形 症例 につ き,臨 床 症 候,脳 血 管 撮 影 所 見,脳 循 環 動
形 の一 型 とみ な され る よ うに な り,本 邦 で も本 症 に 関 す
態 検 査,手 術 所 見 に 長期 追 跡 調 査 結 果 を加 え,本 症 を病
脈 洞 を主 な導 出 静 脈 とす る血 管 奇 形 で あ る.近
群馬大学脳神経外科 〔 連 絡 先:〒371前 1977年4月25日
橋 市 昭 和 町3―39-15,群 受稿
馬 大学 脳 神 経 外 科,貫 井 英 明 〕
態 生 理 学 的 に検 討 す る と と もに,そ の結 果 に基 づ き本 症
摘 され,薬 物 療 法 を受 けて い た.
の 治 療 方 針 に 関 して も若 干 の検 討 を試 み た.
2.脳
H症
脳 血 管 撮影 は 全 例 で少 な く と も患側 総 頸 動 脈 連 続撮 影 例 お よび 結 果
を施 行 し,これ に加 えて 対 側 頸 動 脈 撮影 を2例 に,椎 骨 動
検 討 の対 象 と した症 例 は,我 々が 現 在 ま で に群 馬 大 学 脳 神 経 外 科 で経 験 した後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形5例
であ
る(Table1).
脈 撮 影 を4例 に行 い,ま た患 側 の 選択 的 内 頸 動脈 撮影 を 1例 で,選 択 的 外 頸 動 脈撮 影 を2例 で 施 行 した .結 局 両 側 頸 動 脈 撮影 お よび 椎 骨 動 脈 撮 影 を施 行 し えた 症 例 は2
5例 の年 令 分 布 は51∼67才 と高 令 で,性 別 は 男 性2
例 で,他 の3例 で は種 々 の組 合 せ で 脳 血 管撮 影 を 行 っ た.
例,女 性3例 で あ っ た. 1.臨
硬 膜 動 静 脈 奇 形 へ の 主 な流 入 動 脈 は5例
床症候
初 発 症 状 は5例
血管撮影所見
動 脈 の 分 枝,特 と も脈 搏 と同 期 した1側 の 耳 鳴 りで,
この 耳 鳴 りは 来 院 の1カ 月 か ら13年 前 に 出現 し,2例
で
は 来 院 まで の 間 に 耳 鳴 りが 増 強 した,し か し耳 鳴 り以 外
で あ り,2例
頭 部 に か け てbruitを 聴 取 し,こ のbruitは
で は 内 頸 動 脈 天 幕 枝 が,3例
複 数 で あ っ た(Fig.1). 導 出静 脈 は5例
頸動脈 ある
で は椎 骨動 脈
の 硬 膜 枝 が 流 入 して い るの が 認 め られ,全 例 流 入 動 脈 は
に は 自覚 的 に 加 わ っ た症 状 は な か った. 来 院 時 の他 覚 的所 見 と して は,全 例 で 耳 介 後部 か ら後
と も患 側 外 頸
に後 頭 動 脈 硬 膜 枝 お よび 中 硬 膜 動 脈 後 枝
と も横 静脈 洞 お よびS状 静 脈 洞 で,動
脈 相 早 期 よ り両静 脈 洞 が抽 出 され た が(Fig.2),1例
で
は患 側 内頸 静脈 が 造影 され ず,対 側横 静 脈 洞,S状
静脈
い は後 頭 動 脈 を圧 迫 す る こ とに よ り減 弱 な い し 消 失 し
洞 お よ び 内頸 静 脈 が早 期 よ り造 影 され,患
静 脈
た.ま た1例(case2)で
洞 の 閉塞 が存 在 す る もの と思 われ,ま
は耳 介 後 部 に くる み 大 の搏 動 性
腫 瘤 をふ れ た.
側S状
た他 の1例 で は患
側s状 静 脈 洞 の 一 部 に 陰 影 欠 損 像 が 認 め られ た(Fig.
神 経 学 的 に は1例(case4)で
下 肢 に強 い右 側 の片 麻 痺
3).し か し皮質 静 脈,深
部静 脈 へ の造 影 剤 の逆 流 は い ず
お よ び知 覚 障 害 を認 め た が,こ れ らの症 状 は 耳 鳴 りが 出
れ の例 で も認 め られ な か っ た ―
現 した4カ 月 後 に交 通 事 故 に遭 遇 した直 後 よ り出現 し,
3― 脳 循 環 動 態 検 査 所 見
来 院 時 ま で残 存 した もの で あ っ た.
ま ず患 側 大 脳 半 球 の循 環 動 態 をGreitzの 述 べ た連 続 脳
他 の4例 で は神 経 学 的 に ま っ た く異 常 を認 め な か っ た.
血管 撮 影 上 のcirculationtimcを
測 定 す る こ と に よ り判
定 した,す な わ ち脳 血 管 撮 影 上 でcarotidsiphonが
ま た これ ら5例 にお い て は,初 発 症 状 で あ る耳 鳴 り出 現 以 前 に頭 部 外 傷 の既 往 を もつ 例 は な いが,5例 にお い て は耳 鳴 りが 出現 す る1∼8年 Table
1
Clinical
中4例
前 よ り高 血 圧 を指 features
in 5 patients
と もよ く造 影 され てか らparietalveinが 影 され る ま で の時 間 をcirculationtimeと をcirculationtimeの with
dural
AVM
of the
もっ
も っ とも よ く造 し,6秒
以上
遅 延 と判 定 した.我 々 が 判 定 に 用 posterior
fossa
Fig. 1 Selective internal carotid (a) and external carotid (b) angiographies in case 4. Many arterial feeders can be seen い た 連 続 頸 動 脈 撮 影 側 面 像 は,造 を 開 始 し,0.5秒 毎 に2枚
毎 に13枚,そ
tiontimeは
撮 影 し て い る.上 全 例6秒
影 剤注 入 と同 時 に撮 影
の 後 は1秒
記 の 方 法 で 判 定 し たcircula-
以 内 の 範 囲 に あ り,circulationtimc
133を1.5ミ
患 側 大 脳 半 球 の6カ
よ り手 術 を行 わ ず経 過 を観 察す る こ とに した. 手 術 を施 行 した2例 の主 訴 は耳 鳴 りの み で,他 に神 経
を用 い て局 所
な わ ち 患 側 内 頸 動 脈 よ りXc-
リ キ ュ ー リ ー 急 速 に 注 入 し,1/2×1/2inch
NaIcrystalを6個
術所見
症候 を認 め な い こ とや 高 令 者 で あ る こ と,さ らに は 血 管
に お い て はXe-133clearance法
脳 血 流 量 を 測 定 し た.す
4.手
手 術 は5例 中2例 で施 行 し,他 の3例 は患 者 の 希 望 に
毎 に3枚,3秒
の 遅 延 は 認 め ら れ な か っ た. ま た1例
Fig. 2 Common carotid angiographies in case 2 (a) and case 3 (b). Early filling of transverse and sigmoid sinuses can be seen
を も つmultichannelanalyserに 所 で 同 時 にclearancecurveを
撮 影 上主 な流 入 動 脈 は一 側 の後 頭 動 脈 で あ る こ とな ど を 考 慮 し,頭 蓋 内直 達 手 術 は行 わず,患 側 後 頭 動 脈 お よび そ の 分枝 を頭 蓋 内 に流 入 す る部 位 近 くで切 断 す る こ とを
よ り 測 定
目的 と して手 術 を施 行 した. 皮 膚 切 開 は血 管 撮 影 所 見 を参 考 に して,触 診 に よ り搏
し,Lassenとlngvarのtwocompartmentalanalysisに
動 性 腫 瘤 を触 れ る部 あ るい は後 頭 動 脈 の搏 動 が も っ とも
よ り局 所 脳 血 流 量 を 算 出 した.そ
の 結 果 安 静 時 局所 脳 血
強 く触れ る部 を 中心 に行 い,皮 下 組 織 お よび 筋 肉 を剥 離
流 量 は 平 均43m1/100g/min.と
ほぼ 正 常 値 に 近 い値 を
して い く と,2例
示 し,ま と+13%の
た5%CO2負
荷 時 に は 平 均48m1/100g/min.
増 加 を 示 し た(Fig.4).
と も多数 の大 小 不 同 の血 管 が 流 入 あ る
い は流 出 して い る栂 指 頭 大 の血 管 腫 が認 め られ,さ
らに
そ の 附近 で後 頭 骨 内 に多 数 の細 い血 管 が流 入 して い る所
Fig. 3
Common carotid angiographies in case 4 (a, b) and case 5 (c, d). Stenosis and occlusion of sigmoid sinus
(a) and filling of contralateral internal jugular vein (b) can be seen. Partial filling defect of sigmoid sinus can be seen (c, d)
Fig. 4 Regional cerebral blood flow values (ml/ 100 g/min.) at rest (a) and during CO, inhalation (b) in case 4. Relative shunt rate, measured by 1-131 MAA, is 13%. PCO2 is 40 mmHg at rest and 46 mmHg during CO, inhalation
Fig.
6
scalp
Histological
findings
in case 2. Elastica
van
of
the
Gieson
AVM stain
of
the
Fig. 5 Angiographies in case 1. In common carotid angiography (a), early filling of transverse and sigmoid sinuses can be seen. In angiographies during the operation (b, c), dural AVM and retrograde filling of vertebral and occipital arteries can be seen
Fig. 7 Common carotid angiographies in case 2. Before the operation (a), early filling of transverse and sigmoid sinuses can be seen. But apperance of sinuses are delayed after the operation (b) 見 が え られ た.1例
で は術 中 に 同部 の血 管 よ り血 管 撮 影
を行 っ て,硬 膜 動 静 脈 奇 形 に流 入 して い る血 管 を確 認 し 切 断 した(Fig・5)・ 次 い で後 頭 骨 内 に進 入 して い る多 数 の細 血 管 を凝 固 切 断 し,ま た皮 下 に存 在 した 血 管 腫 を別 出 した.別 出 した血 管 腫 を組 織 学 的 に検 索 した とこ ろ,
る. ま た 手 術 を 行 わ な か っ た3例 持 続 し て い た が,来 5例
で は,耳
鳴 りは 相 変 ら ず
院 時 と ほ ぼ 同 程 度 で あ っ た.以
上 の
に お い て は 自 覚 的 に も他 覚 的 に も 新 た に 加 わ っ た 臨
床 症 候 は 認 め な か っ た.
大 小 の内 腔 を有 す る血 管 の 集 合 で小 動 脈,動 静 脈 の判 別 皿
困 難 な 血 管 か ら構 成 され て お り,そ の 間 質 は線 維 性 結 合 織 で あ る動 静 脈 奇 形 で あ っ た(Fig.6)・ 術 後2例
と も動 脈 相 早 期 よ
り横 静 脈 洞 お よびS状 静 脈 洞 が 相 変 らず 造 影 さ れ て い た.し か し静 脈 洞 の 出 現 時 間 は や や 遅 く,造 影 度 も低 く な って い た(Fig.7). 5.追
跡調査結果
5例 全 例 に お い て9カ 月 か ら8年5カ
察
後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形 に 関 す る 報 告 は,欧
と も 自覚 的 に耳 鳴 りは消 失 し,bruitも 聴 取 で
き な くな っ たが,脳 血 管 撮影 で は2例
考
1936年T6nnis35)の い て も1963年
報 告 以 来 約100例
寺 尾 ら34)の 報 告 以 来,我
々 が 文 献 上 知 りえ
た 範 囲 で は,我 々 の 症 例 を 含 め33例 の 報 告 が 認 め ら れ,近 年 そ の 報 告 は 増 加 し て い る3)4)5)6)7)10)11)15)16)24)25)26)27)28) 29)31)33)34) .し か しそ の 病 態 に は 不 明 な 点 が 多 く,治 療 法 に 関 し て も様 々 な 意 見 が 認 め ら れ る.そ
月 に わ た る追 跡
調 査 を施 行 した.手 術 を施 行 した2例 の うち8年5カ
月
を経 過 した1例 で は,術 後消 失 した 耳 鳴 りが1カ 月 半 後
米 で は
を 数 え,わ が 国 に お
こで 我 々 は従 来
よ り報 告 さ れ た 症 例 と 我 々 の 症 例 を 対 比 さ せ つ つ,特
に
そ の 病 態 お よ び 治 療 法 に つ い て 若 干 の 考 察 を 加 え た. 本 症 は 従 来 種 々 の 名 称 で 呼 ば れ て き た が,1966年
に術 前 とほ ぼ 同 程度 の強 さで再 び 出現 した.し か し3カ
Newtonら17)に
月 後 に は再 び 耳 鳴 りは消 失 し,現 在 も 耳 鳴 りの再 発 は な
oftheposteriorfbssa"と
い.他 の1例 は術 後5年 間 耳 鳴 りは ま っ た く消 失 して い
ぼ 統 一 され た と い っ て 良 い.そ
よ り``duralarteriovenousmalfbrmation 命 名 さ れ て 以 来,そ の 後1973年
の名 称 は ほ にAminoff1)
た が,そ の後 術 前 と同程 度 の 耳 鳴 りが 出現 した.し か し
は 本 症 と特 発 性 内 頸 動 脈 海 綿 静 脈 洞 痩 を"duralarteri-
再 出現 した 耳 鳴 りは そ の後 除 々 に小 さ くな り,術 後6年
ovenousmalfbrmation"と
を経 過 した現 在 で は静 か な時 わず か に 自覚 す る程 度 で あ
icalentityで
一 括 し,1つ
の 独 立 し たclin-
あ る こ と を 示 し て 臨 床 的 に 位 置 づ け た .さ
らにAminoff1)は``duralarteriovenousmalformation"
っ血 乳 頭 な どの頭 蓋 内圧 充進 を示 す 例 が20∼30%存
を 主 な導 出静 脈 洞 に よ り2型 に分 類 し,本 症 はそ の"su―
し,ま た クモ 膜 下 出 血 や脳 内 血腫 を生 じる例 が10%前 後
periorposteriorgroup"に
認 め られ る1)15)23).さ らに静 脈 洞 内圧 充進 や 静 脈 洞 閉塞
属 す る と したが,本 症 の 成 因
在
に 関 して は 先天 性 奇 形 説 を と りな が らも,幼 少 時 頭 部 外
に,皮 質 静 脈 や 他 静 脈 洞 へ のretrogradedrainageに
傷 に よ り生 じた動 静 脈 痩 が長 い 間 か か っ て症 状 を発 現 さ
脳 循 環 障 害 が 加 わ り,片 麻痺,視
せ て くる可 能 性 もあ る と述 べ て い る.本 邦 例 に おい て も
な ど多 彩 な神 経 症 候 や 痙 攣 発 作 を 呈 す る もの と考 え られ
寺 尾 ら34),志 賀 ら27),原 田 ら6)東 ら7)およ び松 本 ら16)の
る.
症 例 は腰 椎 穿刺 や 頭 部 外 傷 を契 機 と して発 症 してお り,
またObradorら23)や
よる
力視 野障 害,眼 球 突 出
高 久 ら31)は動静 脈 吻 合 に よ り脳 の
後 天 的 な原 因 に よ り生 じる 可能 性 も示 され て い る.し か
慢 性 乏 血 が 生 じ,こ の た め神 経 症候 を 生 じ る と して い る.
し本 症 を有 す る大部 分 の症 例 で明 らか な頭 部 外 傷 の 既 往
これ に対 しHouserら8)は
が な く,動 静 脈 吻 合 も外 傷 性 動 静 脈 痩 に比 較 し複 雑 で あ
影 を検 討 し,本 症 で は 著 しい 脳 乏 血 を きた す ほ ど短 絡 量
硬 膜 動 静 脈 奇形28例 の 血管 撮
り,少 数 で は あ る が乳 幼 児 に も本 症 の発 生 が認 め られ る
は大 き くな い として い る.ま た 我 々 も動静 脈 短 絡 の 割 合
こ と32)などか ら,先 天 性 奇 形 説 が 一 般 に は支 持 され てお
が よ り大 き く,し か も脳 実 質 を 灌 流 して い る血 管 か ら直
り,頭 蓋 外 組 織 か らの血 液 を硬 膜 静 脈 洞 へ 導 くbasal
接 飴edさ れ て い る た め よ り影 響 が 大 きい と思 わ れ る脳 動
emissaryveinと
外 頸 動 脈 分 枝 の間 の先 天 性 奇 形 で あ る と
す るTakekawaら7)お
よびNewtonら17)の
説 が有 力 で あ
る.
静 脈 奇 形 にお い て も脳 動 静 脈 短 絡 に よ って 脳 乏 血 が 生 じ た とい う所 見 は え られ ず,た
とえ存 在 して も奇 形 の ご く
近 傍 に限 局 して い る とい う所 見 か ら21)22)硬 膜動静脈奇形
我 々 の症 例 も全 例 明 らか な頭 部 外 傷 の既 往 は な く,し か も2例 に お い て は頭 皮 の動 静 脈 奇 形 を伴 っ て お り,ま た全 例 が 中年 以 後 に 発症 して い る こ とか ら,胎 生 期 よ り
にお い て動 静 脈 短 絡 の結 果 脳 に慢 性 乏 血 が 生 じ る可 能 性 は少 ない と考 えて い る. 我 々 の症 例 で は前述 の ご と く全 経過 を 通 じ,全 例 耳 鳴
遺 残 して い た動 静 脈 吻合 が動 脈 圧 に よ り除 々 に拡 張,増
りお よびbruit以
大 して く る と と もに,動 脈 硬 化 や 高 血 圧 等 の後 天 性 因子
よ うな症 例 は本 症 の1/3を 占 め るの み で,残 りの 症 例 で は
の 関 与 に よ り動静 脈 吻合 動態 が変 化 し,症 状 が 出現 して
種 々 の臨 床 症 候 を呈 し,神 経 症 候 が40%に,ク
きた もの と考 え られ る.
出血 が20%に,水
本 症 は 多 彩 な 臨床 症候 を 呈す る が,臨 床 症 候 発 現 に関
外 の臨 床 症 候 を認 めな か っ たが,こ の
モ膜 下
頭 症 が 数%に 認 め られ る と さ れ て い
る23).
与 す る因 子 を詳 し く検 討 した 報 告 は 少 な く8)13)23)31),特
こ の よ うな臨 床 症 候 の違 い は,動 静 脈 短 絡 に よ っ て前
に本 症 の 循 環動 態 を 客観 的 に検 討 した報 告 は ほ とん どな
述 の ご とき二 次 的 変 化 が生 じるか 否 か に よ る も ので あ る
い.そ
と考 え られ る.我 々 の症 例 で は大 脳 半 球 の 皮 質 静 脈 や 他
こで これ まで の報 告 お よび我 々 の検 討 結 果 を考 え
あ わ せ る と,臨 床 症 候発 現 に は 動静 脈 吻合 そ の もの と, 動 静― 脈 吻合 に よ り二 次 的 に 生 じる脳 循 環 の 変化,す
なわ
ち 脳 循 環 障 害 と頭蓋 内圧 充 進 を生 じ る こ とが 大 き な役 割 を果 す と考 え られ る.
静 脈 洞 へ の逆 流 は な く,静 脈 洞 閉塞 は1例 に存 在 したの み で,脳 血 管 撮 影 上 お よ び脳 循 環 動 態 検 査 上 循 環 障 害 は 認 め られ な か っ た. さ らに本 症 に お け る 臨床 症 候 は しば しば変 動 し,高 久
まず 動 静 脈 吻 合 そ の もの に よ る症 状 は,自 覚 的 に は 耳
ら31)の例 の ご と く臨床 症 候 が進 行 性 に悪 化 す る例 や,我
覚 的 に は 主 と して 耳
々 の 例 の ご と く逆 に軽 快 す る例 が あ る こ とが報 告 され て
介 後 部 で 聴 取 され,患 側 の 総 頸 動 脈 や 後頭 動 脈 の圧 迫 に
お り,本 症 の経 過,予 後 に は動 静 脈 短 絡 に よ り二 次 的 に
よ り消 失 あ る い は減 弱 す るbruitで
生 じた 変化,な
鳴 りお よびintracranialbruitで,他
状 の40∼60%を
あ り,前 者 は初 発症
占 め,後 者 は 全 症 例 の60∼70%に
認めら
れ る1)15)23).我 々 の症 例 で も全 例 耳 鳴 りが初 発 症 状 で, 他 覚 的 に は 耳介 後 部 のbruitを
聴 取 した.
か で も松 本 ら16)の指 摘 してい る ご と く静
脈 洞 閉 塞 の 部位,拡
が りが 重要 な役 割 を生 じる と推 測 さ
れ る. 本 症 は前 述 の ご とき複 雑 な循 環 動 態 を有 す る た め,本
動 静 脈 吻合 に よ り生 じる二 次 的 変 化 と して は,動 脈 血
症 の 病 態 を 知 り治 療 を 行 うた め に は,動 静 脈 奇 形 に 関与
が静 脈 洞 内 に大 量 に流 入 す る こ とに よ り生 じ る静 脈 洞 内
す る導 入 ・導 出 血 管 は もち ろ ん の こ と,血 流 短 絡 や 静 脈
圧 充進 と,静 脈 洞 内 の異 常 循 環 動 態 に よ り生 じた血 栓 や
洞 閉 塞 に よ り生 じた 脳 循 環 動態 の 変化 を十 分 把 握 す る必
動 静 脈 奇 形 そ の もの に基 因す る静 脈 洞 閉塞 で あ り,こ れ
要 が あ る,こ の た め にはfourvcsselsangiographicstud-
らの 変化 の た め に頭 蓋 内圧 充 進 を き た し,ま た時 に は皮
iesは もち ろ ん,選 択 的 内頸 お よび 外 頸 動 脈 撮 影 を施 行
質 静脈 の破 綻 を 生 じ る と考 え られ る.こ の た め頭 痛,う
し18),subtraction法 を用 い て解 剖 学 的 お よび 循 環 生 理 学
的 に検 討 す る必 要 が あ るの は 当 然 で あ る.
導 入 動 脈 で あ る後 頭 動 脈 の 分 枝 を頭 蓋 内 に流 入 す る部 位
導 入 動 脈 に関 して は,後 頭 蓋 窩 に お け るあ らゆ る硬 膜
近 くで 切 断 し,ま た頭 皮 下 に 存 在 した動 静 脈 奇 形 を 摘 出
枝,天 膜 枝 が す べ て流 入 血 管 とな りうる わ け で あ る が, 一 般 に は 外 頸 動脈 の 後頭 動 脈 硬 膜 枝 が70∼90% ,中 硬 膜
あ るい は 減 弱 して お り,他 の3例 は ほ ぼ 同程 度 の 耳 鳴 り
動 脈 が50∼60%,内
が 残 存 して い た が,他
頸 動 脈 の天 幕 枝 が40∼60%関
与 して
お り,さ ら に椎 骨 動 脈 の 硬 膜 枝,甲 状 頸 動 脈 幹 のascend-
した.追 跡 調 査 で は手 術 を 施 行 した2例 で 耳 鳴 りは消 失
に加 わ った 症 状 は な か った.
本 症 の 臨 床 症 候 発 現 や 経 過,予 後 に 関 与 す る 因子 は,
ingcervicalarteryな どか ら も血 流 を受 け る場 合 が 多 く 15)23) ,我 々 の症 例 にお い て も多 数 の 導 入 血 管 が 認 め られ
動静 脈 吻 合 とそ れ に よ って 生 ず る二 次 的 変 化,主
た,
と頭 蓋 内 圧 充 進 を ひ きお こ し,多 彩 な 臨床 症候 を 呈 す る
さ ら に導 出 静 脈 は横 静 脈 洞 ―S状 静 脈 洞 が70∼90%と 大 部 分 を 占 め るが,静 脈 洞 交 会,上 矢 状 洞 お よび 直 静脈 洞 へ の 流 入 も時 に認 め られ15)23),ま た遠 位 静 脈 洞 や 皮 質 静 脈 へ の造 影剤 の 逆 流 や静 脈 洞 閉塞 の所 見 も 認 め ら れ る.
と して
静脈 洞 内圧 充進 と静 脈 洞 閉 塞 で あ り,こ の た め 循環 障害
もの と考 え られ,ま た これ ら二 次 的 変化 の 生 ず る程 度, 範 囲 に よ り予 後 が 異 な る もの と思 わ れ る. さ らに本 症 の治 療 に 関 して は そ の循 環 動 態 か ら考 え, 奇 形全 摘術 が最 善 の 方 法 で あ る こ とは 当 然 で あ るが,本 法 は 手 術 手枝 が複 雑 で全 摘 術 は 必 ず し も容 易 で な く侵 襲
本 症 の治 療 に 関 して は,脳 動 静 脈 奇 形 と同様 多彩 な動 脈 が 関 与 して い る こ とや静 脈 洞 内 に奇 形 が侵 入 して い る
も大 き い こ とか ら,症 例 に よ って は頭 蓋 外 で導 入血 管 の 切 断 を ま ず試 み るべ き で あ る と考 え られ る.
場 合 が あ る こ とな どを考 え る と,頭 蓋 内外 の短 絡 路 を一 次 的 に で き る だ け切 断す る か9)12)13),あ る い は静 脈 洞 を 含 め動 静 脈 奇 形 を完 全 に摘 出す る23)のが理 論 的 に い え ば 最 良 の方 法 で あ り,手 術 成 績 も当然 良い と思 われ る.し か しな が ら本 症 の全 摘 出 あ るい は短 絡 路 の一 次 的 遮 断 は
な お 本 論 文 の 要 旨 の 一 部 は 第16回 日本 神経 学 会 総 会 (於 大 阪,1975)に
お い て 発 表 した.
お わ りに御 指 導,御 校 閲 い た だ い た群 馬 大 学 脳 神経 外 科川 淵 純 一 教 授 に 感 謝 い た し ます.
必 ず しも容 易 で な く,そ の手 術 侵 襲 も少 な くな い15)31). 文
さ らに本 症 の ご とき硬 膜 動 静 脈 奇 形 にお い て は,時 に循
献
環 動 態 の変 化 に よ り痩 の 自然 閉 塞 を き たす 場 合 もあ る こ とか ら13)19),閉頭 術 を行 わ ず,ま ず 頭 蓋 外 で,し か も導 入 血 管 が頭 蓋 内 に流 入 す る部 位 の 近 くで 血 管 を離 断 し, 経 過 を み る方 法 を と っ て も 良い と考 えて い る.こ の手 術 は 簡 単 で あ り,手術 侵 襲 も少 な く,さ らに本 例 で認 め られ た ご と く治 療 効果 もあ り,高 久 ら31)も述 べ て い る よ うに 臨 床 症候 が進 行性 で は な く,単 に 耳 鳴 りお よびbruitの み で他 の神 経 症 候 を認 め な い例,一 般 状 態 の悪 い例 お よ び高 令 者 例 で は試 み るべ き方 法 で あ る とい え る.さ 児 玉 ら1D,Obradorら23)が embolizationも1つ
らに
述 べ て い る外 頸 動 脈 か ら の
の 方 法 で あ る と思 わ れ る.
1)
AMINOFF,M. J.: Vascular anomalies in the intracranial dura mater. Brain 96: 601-612, 1973 2) EPSTEIN,B. S. & PLATT, N.: Visualization of an intracranial arteriovenous fistula during angiocardiography in an infant with congestive heart failure. Radiology 79: 625-627, 1962 3) FUKIYAMA, K., NAKASHIMA, Y., NISHIMARU, K., TAKEKAWA,Y. & KATSUKI,S.: Idiopathic arte riovenous fistula involving the occipital artery and the transvers venous sinus; A case report. 脳 神 経23:1307-1310,1971 4)藤 田勝 三,中 井 清 彦,玉 木 紀 彦,松 本 発 性 硬 膜 動 静脈 痩 の2例.第4回
IV結
論
研 究 会 講 演 集,pp101 5)藤 津 和彦,小 田正 治,桑 原 武夫:ク
後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形 の5自 験 例 につ き報 告 し,あ わ せ て 欧 米 お よび 本 邦 にお け る報 告 例 を参 照 しつ つ,主 と して 本 症 の 病 態 お よび 治 療 に関 し考 察 を 加 えた.
悟:特
脳卒中の 外 科 モ膜下出血
で発 症 した脳 硬 膜 動 静 脈 奇 形 の1例.脳 外2: 75-79,1974 6)原 田 範 夫,平 山章 彦,鈴 木 二 郎:外 頸 動 脈― 頭
我 々 の 症 例 にお い て は,全 例 が 自覚 的 に は 耳 鳴 りを訴
蓋 内静 脈 洞 痩.脳 神 経20:797-800,1968 7)東 健 一 郎,波 多 野 光 紀,岡 村 知 美:小 脳 天 幕 周
え,他 覚 的 に はbruitを 聴 取 す る の み で あ っ た,ま た血
辺 部 に お け る頭 蓋 外 動 脈 ― 頭 蓋 内静 脈 洞 痩.脳 神
管 撮影 で は 全 例 で複 数 の 導 入血 管 が 認 め られ,1例 状静 脈 洞 の 閉塞 が存 在 した.ま
経25:1767-1772,1973
でS
た血 管 撮 影 お よびXe―
133clearance法 で 検 討 した脳 循 環 動 態 は正 常 で あ った . 手 術 は2例 で施 行 した が,臨 床 症 候,年 令 を考 え,主 な
8)
HOUSER,O. W., BAKER,M. L., RHOTON,A. L. & OKAZAKI,H.: Intracranial dural arteriovenous malformation. Radiology 105: 55-64, 1972 9) HUGOSSON,R. & BERGSTROM,K.: Surgical
treatment in
the
of dural region
Neurosurg
10)小
arteriovenous
of
Psychiat
the 37:
sigmoid 97-101,
malformation sinus.
J
transvers-sigmoid
Neurol
24)岡
1974
林 督 志,尾 原 義 悦,石 井 昌三:頭 蓋 内 外 を結
ぶ 動 静 脈 奇 形.臨 床 神 経10:520,1970 11 )児
Psychiatry
玉 安 紀,石
川
進,日
比 野 弘 道,桑
原 倖 利,
梶川 博:硬 膜 動 静 脈 痩(dural arteriovenous stula),自 験 例 と62症 例 の 検 討 ・脳 外2;259-264, fi 1974
KOSMIK,E. J., HUNT,W. E. & MILLAR,C. A.: Dural arteriovenous malformations. J Neurosurg 40: 322-329, 1974 13) KUHNER, A., KRASTEL, A. & STOLL, W.: Arteriovenous malformation of the transvers dural sinus. J Neurosurg45: 12-19, 1976 14) KUNK,Z. & GRET,J.: Congenital arteriosinusal fistulae. Acta Neurochir 20: 85-103, 1969 城 航 一,岩 佐 英 明,吉 水 信 裕,増
沢紀 男,石
島 武一,佐 藤 文 明:天 幕 内硬 膜 動 静脈 奇 形;1治
NEWTON,T. H. & GREITZ, T.: Arteriovenous communication between the occipital artery and transvers sinus. Radiology 87: 824-828, 1966 18) NEWTON,T. H., WEIDER, W. & GREITZ, T.: Dural arteriovenous malformation in the posterior fossa. Radiology 90: 27-35, 1968 19) NEWTON,T. H. & CRONQUIST, S.: Involvement of dural arteries in intracranial arteriovenous malformations. Radiology 93: 1017-1078, 1969 村 富 士 夫,田
eriovenous
島 賢 一,三
malformationの
輪 哲 郎:Dural 一 例.臨
art
床 神 経14:
井 英 明,相
羽
正:脳
動静脈奇形 における
脳 循 環 動 態.臨 床 生理3;63-75,1973 22)貫 井 英 明,川 上 雅 正,川 淵 純 一:脳 動 静 脈 奇 形 の病 態 生 理 と手術 適 応.外 科38:362-371,1976
23)
野 宏 明,馬 杉 則 彦,佐 藤
OBRADOR,S. SOTO,M. & SILVERA,J.: Clinical syndroms of arteriovenous malformations of the
Neurosurg
修:横 静 脈 洞 閉 塞 床
脳 内,硬 膜 両 者 に動 静脈 奇 形 を伴 な う場 合 の 手 術 に つ い て.第4回
脳卒 中 の外 科 研 究 会 講 演 集,
pp101 27)志 賀 逸 夫,蒲 生 鐵 男,松 岡 健 三,団 野 迫 昭:外 頸 動 脈― 横 静 脈 洞 痩 の1例.脳 1966 28)清
水 弘 之,神 谷
神 経18:851-853,
博,佐 藤
修,益 沢 秀 明:硬
膜 動 静 脈 奇 形 を合 併 した橋 内動 静 脈 奇 形 の一 例. 臨 床 神 経16:164,1976 29)清 水 幸 夫,今 井 昭 和,頼 正 夫,肥 田侯 一 郎: 非 外 傷 性 外 頸 動 脈 ― 横 静 脈 洞 痩 の2症 例.脳 神 経 24:1033-1039,1972
30)
STORRS,D. G. & KING,R. B.: Management of extracranial congenital arteriovenous malforma tions of the head and neck. J Neurosurg98: 584 590, 1973 -
31)高
久
Dural
晃,佐
藤 智 彦,坂
arteriovenous
rior fossa,特
本 哲 也,鈴
malformation
of
木 二 郎: the
poste
に そ の 本 態 お よ び 治 療 に つ い て.脳
外4:489-501,1976
32)
TAKEKAWA,S. D. & HOLMAN,C. B.: Roent genologic diagnosis of anomalous communica tions between the external carotid artery and intracranial veins. Am J Roentgenol95: 822-825, 1965
33)寺
816,1974
21)貫
Neurol
湯 川英 機:後 頭動 脈― 横 静脈 洞痩 の1例.脳 神 経 24:1041-1043,1972 26)佐 藤 進,古 沢善 文,関 口 賢太 郎,村 上 直 人:
17)
20)新
J 1975
神 経10:419,1970 25)小 野 勢 津 男,山 口一 彦,松 浦 武彦,渡 辺 幹 夫,
験 例 と文 献 学 的 考 察.脳 外4:1185-1191,1976 16)松 本 清,福 田 栄,山 田 史:硬 膜 動 静脈 奇 形 の 血 流 動 態 ― 静脈 洞 閉塞 との 関 連 に つ い て.臨 床 神 経15:1009,1975
436-451,
を伴 な っ た後 頭 動 脈 頭 蓋 内静 脈 痩 の1例.臨
12)
15)宮
sinus.
38:
dural
本 成 美,伊
藤 新 一 郎,岩
arteriovenous
神 経15:366,1975 34)寺 尾 栄 史,早
川
山
馨;後
malformationの 勲:外
頭蓋骨の 一 例.臨
頸 動 脈 ―S状
痩.臨 床 神 経3:122-126,1963 35) TONNIS,W.:Cited in 26 and
27
床
静脈洞
英 明 ・長 屋
孝 雄 ・田 中
Pathophysiology Arteriovenous
壮 借 ・川 上
and Treatment
Malformation
雅 正 ・西 松
輝高
of Dural
of the Posterior
Fossa
HIDEAKINUKUI,TAKAONAGAYA,SOHKICHI TANAKA, MOTOMASA KAWAKAMI and TERUTAKA NISHIMATSU Department of Neurosurgerh, GunmaUniversity Summary Dural arteriovenous malformation (dural AVM) of the posterior fossa is relatively rare and offers various problems concerning its pathophysiology and treatment. In this paper, these problems were discussed on the basis of our experiences with 5 cases and a review of the literature. In our cases, all patients complainted of tinnitus and that all noticed bruit on admission. Angiographically the AVM was fed by multiple arteries in all the cases and the sigmoid sinus was occluded in one case. Cerebral hymodynamics was examined by Greitz's method as well as Xe-133 clearance method and were found normal in each case. Operation was carried out on 2 cases. The feeders from the occipital artery were ligated extracranially and the AVM of the scalp was removed. In follow-up study (ranging from 9 months to 8 years and 5 months), tinnitus and bruit disappeared or decreased postoperatively in 2 cases and remained the same as on admission in the other 3 cases. Further signs or symptoms were not noticed. In dural AVM, clinical symptoms may occur as a result of several pathological conditions. Tinnitus and head bruit are caused by arterio-venous shunt itself and more serious neurological deficits are produced by disturbance of cerebral hemodynamics due to massive arteriovenous shunt and accompaning secondary changes such as occlusion of the affected sinus, increase of venous pressure and retrograde flow of the cortical veins. But cerebral hypoxia or ischemia must not be produced by arteriovenous shunt which is usually rather minor in dural AVM. As for treatment, many kinds of operation have been carried out. The most effective method has been the removal of dural AVM. However, the removal of AVM often presents extreme technical difficulties and may expose the patients to great hazard. Therefore, for aged patinets with only tinnitus or bruit, extracranial ligation of feeders should be tried first. Key words:
dural AVM, posterior
fossa, cerebral
hemodynamics,
treatment
る報 告 が 散 見 され る.し か し現 在 で も報 告 され た 症例 数 Iは じ め に
は 比 較 的 少 な く,ま た そ の病 態 お よび治 療 法 に 関 して は
後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形 は内 外 頸 動 脈 お よび 椎 骨 動 脈 な どの硬 膜枝 を流 入 動脈 と し,横 静 脈 洞 あ る い はS状 静
必 ず し も意 見 の 一 致 を み て お らず,様 々 な興 味深 い 問題 が 存 在 す る.
年 本 症
そ こで 我 々 は 現在 ま で に経 験 した後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈
は,特 発性 内 頸 動 脈 海綿 静 脈 洞 痩 とと もに 硬 膜 動静 脈奇
奇形 症例 につ き,臨 床 症 候,脳 血 管 撮 影 所 見,脳 循 環 動
形 の一 型 とみ な され る よ うに な り,本 邦 で も本 症 に 関 す
態 検 査,手 術 所 見 に 長期 追 跡 調 査 結 果 を加 え,本 症 を病
脈 洞 を主 な導 出 静 脈 とす る血 管 奇 形 で あ る.近
群馬大学脳神経外科 〔 連 絡 先:〒371前 1977年4月25日
橋 市 昭 和 町3―39-15,群 受稿
馬 大学 脳 神 経 外 科,貫 井 英 明 〕
態 生 理 学 的 に検 討 す る と と もに,そ の結 果 に基 づ き本 症
摘 され,薬 物 療 法 を受 けて い た.
の 治 療 方 針 に 関 して も若 干 の検 討 を試 み た.
2.脳
H症
脳 血 管 撮影 は 全 例 で少 な く と も患側 総 頸 動 脈 連 続撮 影 例 お よび 結 果
を施 行 し,これ に加 えて 対 側 頸 動 脈 撮影 を2例 に,椎 骨 動
検 討 の対 象 と した症 例 は,我 々が 現 在 ま で に群 馬 大 学 脳 神 経 外 科 で経 験 した後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形5例
であ
る(Table1).
脈 撮 影 を4例 に行 い,ま た患 側 の 選択 的 内 頸 動脈 撮影 を 1例 で,選 択 的 外 頸 動 脈撮 影 を2例 で 施 行 した .結 局 両 側 頸 動 脈 撮影 お よび 椎 骨 動 脈 撮 影 を施 行 し えた 症 例 は2
5例 の年 令 分 布 は51∼67才 と高 令 で,性 別 は 男 性2
例 で,他 の3例 で は種 々 の組 合 せ で 脳 血 管撮 影 を 行 っ た.
例,女 性3例 で あ っ た. 1.臨
硬 膜 動 静 脈 奇 形 へ の 主 な流 入 動 脈 は5例
床症候
初 発 症 状 は5例
血管撮影所見
動 脈 の 分 枝,特 と も脈 搏 と同 期 した1側 の 耳 鳴 りで,
この 耳 鳴 りは 来 院 の1カ 月 か ら13年 前 に 出現 し,2例
で
は 来 院 まで の 間 に 耳 鳴 りが 増 強 した,し か し耳 鳴 り以 外
で あ り,2例
頭 部 に か け てbruitを 聴 取 し,こ のbruitは
で は 内 頸 動 脈 天 幕 枝 が,3例
複 数 で あ っ た(Fig.1). 導 出静 脈 は5例
頸動脈 ある
で は椎 骨動 脈
の 硬 膜 枝 が 流 入 して い るの が 認 め られ,全 例 流 入 動 脈 は
に は 自覚 的 に 加 わ っ た症 状 は な か った. 来 院 時 の他 覚 的所 見 と して は,全 例 で 耳 介 後部 か ら後
と も患 側 外 頸
に後 頭 動 脈 硬 膜 枝 お よび 中 硬 膜 動 脈 後 枝
と も横 静脈 洞 お よびS状 静 脈 洞 で,動
脈 相 早 期 よ り両静 脈 洞 が抽 出 され た が(Fig.2),1例
で
は患 側 内頸 静脈 が 造影 され ず,対 側横 静 脈 洞,S状
静脈
い は後 頭 動 脈 を圧 迫 す る こ とに よ り減 弱 な い し 消 失 し
洞 お よ び 内頸 静 脈 が早 期 よ り造 影 され,患
静 脈
た.ま た1例(case2)で
洞 の 閉塞 が存 在 す る もの と思 われ,ま
は耳 介 後 部 に くる み 大 の搏 動 性
腫 瘤 をふ れ た.
側S状
た他 の1例 で は患
側s状 静 脈 洞 の 一 部 に 陰 影 欠 損 像 が 認 め られ た(Fig.
神 経 学 的 に は1例(case4)で
下 肢 に強 い右 側 の片 麻 痺
3).し か し皮質 静 脈,深
部静 脈 へ の造 影 剤 の逆 流 は い ず
お よ び知 覚 障 害 を認 め た が,こ れ らの症 状 は 耳 鳴 りが 出
れ の例 で も認 め られ な か っ た ―
現 した4カ 月 後 に交 通 事 故 に遭 遇 した直 後 よ り出現 し,
3― 脳 循 環 動 態 検 査 所 見
来 院 時 ま で残 存 した もの で あ っ た.
ま ず患 側 大 脳 半 球 の循 環 動 態 をGreitzの 述 べ た連 続 脳
他 の4例 で は神 経 学 的 に ま っ た く異 常 を認 め な か っ た.
血管 撮 影 上 のcirculationtimcを
測 定 す る こ と に よ り判
定 した,す な わ ち脳 血 管 撮 影 上 でcarotidsiphonが
ま た これ ら5例 にお い て は,初 発 症 状 で あ る耳 鳴 り出 現 以 前 に頭 部 外 傷 の既 往 を もつ 例 は な いが,5例 にお い て は耳 鳴 りが 出現 す る1∼8年 Table
1
Clinical
中4例
前 よ り高 血 圧 を指 features
in 5 patients
と もよ く造 影 され てか らparietalveinが 影 され る ま で の時 間 をcirculationtimeと をcirculationtimeの with
dural
AVM
of the
もっ
も っ とも よ く造 し,6秒
以上
遅 延 と判 定 した.我 々 が 判 定 に 用 posterior
fossa
Fig. 1 Selective internal carotid (a) and external carotid (b) angiographies in case 4. Many arterial feeders can be seen い た 連 続 頸 動 脈 撮 影 側 面 像 は,造 を 開 始 し,0.5秒 毎 に2枚
毎 に13枚,そ
tiontimeは
撮 影 し て い る.上 全 例6秒
影 剤注 入 と同 時 に撮 影
の 後 は1秒
記 の 方 法 で 判 定 し たcircula-
以 内 の 範 囲 に あ り,circulationtimc
133を1.5ミ
患 側 大 脳 半 球 の6カ
よ り手 術 を行 わ ず経 過 を観 察す る こ とに した. 手 術 を施 行 した2例 の主 訴 は耳 鳴 りの み で,他 に神 経
を用 い て局 所
な わ ち 患 側 内 頸 動 脈 よ りXc-
リ キ ュ ー リ ー 急 速 に 注 入 し,1/2×1/2inch
NaIcrystalを6個
術所見
症候 を認 め な い こ とや 高 令 者 で あ る こ と,さ らに は 血 管
に お い て はXe-133clearance法
脳 血 流 量 を 測 定 し た.す
4.手
手 術 は5例 中2例 で施 行 し,他 の3例 は患 者 の 希 望 に
毎 に3枚,3秒
の 遅 延 は 認 め ら れ な か っ た. ま た1例
Fig. 2 Common carotid angiographies in case 2 (a) and case 3 (b). Early filling of transverse and sigmoid sinuses can be seen
を も つmultichannelanalyserに 所 で 同 時 にclearancecurveを
撮 影 上主 な流 入 動 脈 は一 側 の後 頭 動 脈 で あ る こ とな ど を 考 慮 し,頭 蓋 内直 達 手 術 は行 わず,患 側 後 頭 動 脈 お よび そ の 分枝 を頭 蓋 内 に流 入 す る部 位 近 くで切 断 す る こ とを
よ り 測 定
目的 と して手 術 を施 行 した. 皮 膚 切 開 は血 管 撮 影 所 見 を参 考 に して,触 診 に よ り搏
し,Lassenとlngvarのtwocompartmentalanalysisに
動 性 腫 瘤 を触 れ る部 あ るい は後 頭 動 脈 の搏 動 が も っ とも
よ り局 所 脳 血 流 量 を 算 出 した.そ
の 結 果 安 静 時 局所 脳 血
強 く触れ る部 を 中心 に行 い,皮 下 組 織 お よび 筋 肉 を剥 離
流 量 は 平 均43m1/100g/min.と
ほぼ 正 常 値 に 近 い値 を
して い く と,2例
示 し,ま と+13%の
た5%CO2負
荷 時 に は 平 均48m1/100g/min.
増 加 を 示 し た(Fig.4).
と も多数 の大 小 不 同 の血 管 が 流 入 あ る
い は流 出 して い る栂 指 頭 大 の血 管 腫 が認 め られ,さ
らに
そ の 附近 で後 頭 骨 内 に多 数 の細 い血 管 が流 入 して い る所
Fig. 3
Common carotid angiographies in case 4 (a, b) and case 5 (c, d). Stenosis and occlusion of sigmoid sinus
(a) and filling of contralateral internal jugular vein (b) can be seen. Partial filling defect of sigmoid sinus can be seen (c, d)
Fig. 4 Regional cerebral blood flow values (ml/ 100 g/min.) at rest (a) and during CO, inhalation (b) in case 4. Relative shunt rate, measured by 1-131 MAA, is 13%. PCO2 is 40 mmHg at rest and 46 mmHg during CO, inhalation
Fig.
6
scalp
Histological
findings
in case 2. Elastica
van
of
the
Gieson
AVM stain
of
the
Fig. 5 Angiographies in case 1. In common carotid angiography (a), early filling of transverse and sigmoid sinuses can be seen. In angiographies during the operation (b, c), dural AVM and retrograde filling of vertebral and occipital arteries can be seen
Fig. 7 Common carotid angiographies in case 2. Before the operation (a), early filling of transverse and sigmoid sinuses can be seen. But apperance of sinuses are delayed after the operation (b) 見 が え られ た.1例
で は術 中 に 同部 の血 管 よ り血 管 撮 影
を行 っ て,硬 膜 動 静 脈 奇 形 に流 入 して い る血 管 を確 認 し 切 断 した(Fig・5)・ 次 い で後 頭 骨 内 に進 入 して い る多 数 の細 血 管 を凝 固 切 断 し,ま た皮 下 に存 在 した 血 管 腫 を別 出 した.別 出 した血 管 腫 を組 織 学 的 に検 索 した とこ ろ,
る. ま た 手 術 を 行 わ な か っ た3例 持 続 し て い た が,来 5例
で は,耳
鳴 りは 相 変 ら ず
院 時 と ほ ぼ 同 程 度 で あ っ た.以
上 の
に お い て は 自 覚 的 に も他 覚 的 に も 新 た に 加 わ っ た 臨
床 症 候 は 認 め な か っ た.
大 小 の内 腔 を有 す る血 管 の 集 合 で小 動 脈,動 静 脈 の判 別 皿
困 難 な 血 管 か ら構 成 され て お り,そ の 間 質 は線 維 性 結 合 織 で あ る動 静 脈 奇 形 で あ っ た(Fig.6)・ 術 後2例
と も動 脈 相 早 期 よ
り横 静 脈 洞 お よびS状 静 脈 洞 が 相 変 らず 造 影 さ れ て い た.し か し静 脈 洞 の 出 現 時 間 は や や 遅 く,造 影 度 も低 く な って い た(Fig.7). 5.追
跡調査結果
5例 全 例 に お い て9カ 月 か ら8年5カ
察
後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形 に 関 す る 報 告 は,欧
と も 自覚 的 に耳 鳴 りは消 失 し,bruitも 聴 取 で
き な くな っ たが,脳 血 管 撮影 で は2例
考
1936年T6nnis35)の い て も1963年
報 告 以 来 約100例
寺 尾 ら34)の 報 告 以 来,我
々 が 文 献 上 知 りえ
た 範 囲 で は,我 々 の 症 例 を 含 め33例 の 報 告 が 認 め ら れ,近 年 そ の 報 告 は 増 加 し て い る3)4)5)6)7)10)11)15)16)24)25)26)27)28) 29)31)33)34) .し か しそ の 病 態 に は 不 明 な 点 が 多 く,治 療 法 に 関 し て も様 々 な 意 見 が 認 め ら れ る.そ
月 に わ た る追 跡
調 査 を施 行 した.手 術 を施 行 した2例 の うち8年5カ
月
を経 過 した1例 で は,術 後消 失 した 耳 鳴 りが1カ 月 半 後
米 で は
を 数 え,わ が 国 に お
こで 我 々 は従 来
よ り報 告 さ れ た 症 例 と 我 々 の 症 例 を 対 比 さ せ つ つ,特
に
そ の 病 態 お よ び 治 療 法 に つ い て 若 干 の 考 察 を 加 え た. 本 症 は 従 来 種 々 の 名 称 で 呼 ば れ て き た が,1966年
に術 前 とほ ぼ 同 程度 の強 さで再 び 出現 した.し か し3カ
Newtonら17)に
月 後 に は再 び 耳 鳴 りは消 失 し,現 在 も 耳 鳴 りの再 発 は な
oftheposteriorfbssa"と
い.他 の1例 は術 後5年 間 耳 鳴 りは ま っ た く消 失 して い
ぼ 統 一 され た と い っ て 良 い.そ
よ り``duralarteriovenousmalfbrmation 命 名 さ れ て 以 来,そ の 後1973年
の名 称 は ほ にAminoff1)
た が,そ の後 術 前 と同程 度 の 耳 鳴 りが 出現 した.し か し
は 本 症 と特 発 性 内 頸 動 脈 海 綿 静 脈 洞 痩 を"duralarteri-
再 出現 した 耳 鳴 りは そ の後 除 々 に小 さ くな り,術 後6年
ovenousmalfbrmation"と
を経 過 した現 在 で は静 か な時 わず か に 自覚 す る程 度 で あ
icalentityで
一 括 し,1つ
の 独 立 し たclin-
あ る こ と を 示 し て 臨 床 的 に 位 置 づ け た .さ
らにAminoff1)は``duralarteriovenousmalformation"
っ血 乳 頭 な どの頭 蓋 内圧 充進 を示 す 例 が20∼30%存
を 主 な導 出静 脈 洞 に よ り2型 に分 類 し,本 症 はそ の"su―
し,ま た クモ 膜 下 出 血 や脳 内 血腫 を生 じる例 が10%前 後
periorposteriorgroup"に
認 め られ る1)15)23).さ らに静 脈 洞 内圧 充進 や 静 脈 洞 閉塞
属 す る と したが,本 症 の 成 因
在
に 関 して は 先天 性 奇 形 説 を と りな が らも,幼 少 時 頭 部 外
に,皮 質 静 脈 や 他 静 脈 洞 へ のretrogradedrainageに
傷 に よ り生 じた動 静 脈 痩 が長 い 間 か か っ て症 状 を発 現 さ
脳 循 環 障 害 が 加 わ り,片 麻痺,視
せ て くる可 能 性 もあ る と述 べ て い る.本 邦 例 に おい て も
な ど多 彩 な神 経 症 候 や 痙 攣 発 作 を 呈 す る もの と考 え られ
寺 尾 ら34),志 賀 ら27),原 田 ら6)東 ら7)およ び松 本 ら16)の
る.
症 例 は腰 椎 穿刺 や 頭 部 外 傷 を契 機 と して発 症 してお り,
またObradorら23)や
よる
力視 野障 害,眼 球 突 出
高 久 ら31)は動静 脈 吻 合 に よ り脳 の
後 天 的 な原 因 に よ り生 じる 可能 性 も示 され て い る.し か
慢 性 乏 血 が 生 じ,こ の た め神 経 症候 を 生 じ る と して い る.
し本 症 を有 す る大部 分 の症 例 で明 らか な頭 部 外 傷 の 既 往
これ に対 しHouserら8)は
が な く,動 静 脈 吻 合 も外 傷 性 動 静 脈 痩 に比 較 し複 雑 で あ
影 を検 討 し,本 症 で は 著 しい 脳 乏 血 を きた す ほ ど短 絡 量
硬 膜 動 静 脈 奇形28例 の 血管 撮
り,少 数 で は あ る が乳 幼 児 に も本 症 の発 生 が認 め られ る
は大 き くな い として い る.ま た 我 々 も動静 脈 短 絡 の 割 合
こ と32)などか ら,先 天 性 奇 形 説 が 一 般 に は支 持 され てお
が よ り大 き く,し か も脳 実 質 を 灌 流 して い る血 管 か ら直
り,頭 蓋 外 組 織 か らの血 液 を硬 膜 静 脈 洞 へ 導 くbasal
接 飴edさ れ て い る た め よ り影 響 が 大 きい と思 わ れ る脳 動
emissaryveinと
外 頸 動 脈 分 枝 の間 の先 天 性 奇 形 で あ る と
す るTakekawaら7)お
よびNewtonら17)の
説 が有 力 で あ
る.
静 脈 奇 形 にお い て も脳 動 静 脈 短 絡 に よ って 脳 乏 血 が 生 じ た とい う所 見 は え られ ず,た
とえ存 在 して も奇 形 の ご く
近 傍 に限 局 して い る とい う所 見 か ら21)22)硬 膜動静脈奇形
我 々 の症 例 も全 例 明 らか な頭 部 外 傷 の既 往 は な く,し か も2例 に お い て は頭 皮 の動 静 脈 奇 形 を伴 っ て お り,ま た全 例 が 中年 以 後 に 発症 して い る こ とか ら,胎 生 期 よ り
にお い て動 静 脈 短 絡 の結 果 脳 に慢 性 乏 血 が 生 じ る可 能 性 は少 ない と考 えて い る. 我 々 の症 例 で は前述 の ご と く全 経過 を 通 じ,全 例 耳 鳴
遺 残 して い た動 静 脈 吻合 が動 脈 圧 に よ り除 々 に拡 張,増
りお よびbruit以
大 して く る と と もに,動 脈 硬 化 や 高 血 圧 等 の後 天 性 因子
よ うな症 例 は本 症 の1/3を 占 め るの み で,残 りの 症 例 で は
の 関 与 に よ り動静 脈 吻合 動態 が変 化 し,症 状 が 出現 して
種 々 の臨 床 症 候 を呈 し,神 経 症 候 が40%に,ク
きた もの と考 え られ る.
出血 が20%に,水
本 症 は 多 彩 な 臨床 症候 を 呈す る が,臨 床 症 候 発 現 に関
外 の臨 床 症 候 を認 めな か っ たが,こ の
モ膜 下
頭 症 が 数%に 認 め られ る と さ れ て い
る23).
与 す る因 子 を詳 し く検 討 した 報 告 は 少 な く8)13)23)31),特
こ の よ うな臨 床 症 候 の違 い は,動 静 脈 短 絡 に よ っ て前
に本 症 の 循 環動 態 を 客観 的 に検 討 した報 告 は ほ とん どな
述 の ご とき二 次 的 変 化 が生 じるか 否 か に よ る も ので あ る
い.そ
と考 え られ る.我 々 の症 例 で は大 脳 半 球 の 皮 質 静 脈 や 他
こで これ まで の報 告 お よび我 々 の検 討 結 果 を考 え
あ わ せ る と,臨 床 症 候発 現 に は 動静 脈 吻合 そ の もの と, 動 静― 脈 吻合 に よ り二 次 的 に 生 じる脳 循 環 の 変化,す
なわ
ち 脳 循 環 障 害 と頭蓋 内圧 充 進 を生 じ る こ とが 大 き な役 割 を果 す と考 え られ る.
静 脈 洞 へ の逆 流 は な く,静 脈 洞 閉塞 は1例 に存 在 したの み で,脳 血 管 撮 影 上 お よ び脳 循 環 動 態 検 査 上 循 環 障 害 は 認 め られ な か っ た. さ らに本 症 に お け る 臨床 症 候 は しば しば変 動 し,高 久
まず 動 静 脈 吻 合 そ の もの に よ る症 状 は,自 覚 的 に は 耳
ら31)の例 の ご と く臨床 症 候 が進 行 性 に悪 化 す る例 や,我
覚 的 に は 主 と して 耳
々 の 例 の ご と く逆 に軽 快 す る例 が あ る こ とが報 告 され て
介 後 部 で 聴 取 され,患 側 の 総 頸 動 脈 や 後頭 動 脈 の圧 迫 に
お り,本 症 の経 過,予 後 に は動 静 脈 短 絡 に よ り二 次 的 に
よ り消 失 あ る い は減 弱 す るbruitで
生 じた 変化,な
鳴 りお よびintracranialbruitで,他
状 の40∼60%を
あ り,前 者 は初 発症
占 め,後 者 は 全 症 例 の60∼70%に
認めら
れ る1)15)23).我 々 の症 例 で も全 例 耳 鳴 りが初 発 症 状 で, 他 覚 的 に は 耳介 後 部 のbruitを
聴 取 した.
か で も松 本 ら16)の指 摘 してい る ご と く静
脈 洞 閉 塞 の 部位,拡
が りが 重要 な役 割 を生 じる と推 測 さ
れ る. 本 症 は前 述 の ご とき複 雑 な循 環 動 態 を有 す る た め,本
動 静 脈 吻合 に よ り生 じる二 次 的 変 化 と して は,動 脈 血
症 の 病 態 を 知 り治 療 を 行 うた め に は,動 静 脈 奇 形 に 関与
が静 脈 洞 内 に大 量 に流 入 す る こ とに よ り生 じ る静 脈 洞 内
す る導 入 ・導 出 血 管 は もち ろ ん の こ と,血 流 短 絡 や 静 脈
圧 充進 と,静 脈 洞 内 の異 常 循 環 動 態 に よ り生 じた血 栓 や
洞 閉 塞 に よ り生 じた 脳 循 環 動態 の 変化 を十 分 把 握 す る必
動 静 脈 奇 形 そ の もの に基 因す る静 脈 洞 閉塞 で あ り,こ れ
要 が あ る,こ の た め にはfourvcsselsangiographicstud-
らの 変化 の た め に頭 蓋 内圧 充 進 を き た し,ま た時 に は皮
iesは もち ろ ん,選 択 的 内頸 お よび 外 頸 動 脈 撮 影 を施 行
質 静脈 の破 綻 を 生 じ る と考 え られ る.こ の た め頭 痛,う
し18),subtraction法 を用 い て解 剖 学 的 お よび 循 環 生 理 学
的 に検 討 す る必 要 が あ るの は 当 然 で あ る.
導 入 動 脈 で あ る後 頭 動 脈 の 分 枝 を頭 蓋 内 に流 入 す る部 位
導 入 動 脈 に関 して は,後 頭 蓋 窩 に お け るあ らゆ る硬 膜
近 くで 切 断 し,ま た頭 皮 下 に 存 在 した動 静 脈 奇 形 を 摘 出
枝,天 膜 枝 が す べ て流 入 血 管 とな りうる わ け で あ る が, 一 般 に は 外 頸 動脈 の 後頭 動 脈 硬 膜 枝 が70∼90% ,中 硬 膜
あ るい は 減 弱 して お り,他 の3例 は ほ ぼ 同程 度 の 耳 鳴 り
動 脈 が50∼60%,内
が 残 存 して い た が,他
頸 動 脈 の天 幕 枝 が40∼60%関
与 して
お り,さ ら に椎 骨 動 脈 の 硬 膜 枝,甲 状 頸 動 脈 幹 のascend-
した.追 跡 調 査 で は手 術 を 施 行 した2例 で 耳 鳴 りは消 失
に加 わ った 症 状 は な か った.
本 症 の 臨 床 症 候 発 現 や 経 過,予 後 に 関 与 す る 因子 は,
ingcervicalarteryな どか ら も血 流 を受 け る場 合 が 多 く 15)23) ,我 々 の症 例 にお い て も多 数 の 導 入 血 管 が 認 め られ
動静 脈 吻 合 とそ れ に よ って 生 ず る二 次 的 変 化,主
た,
と頭 蓋 内 圧 充 進 を ひ きお こ し,多 彩 な 臨床 症候 を 呈 す る
さ ら に導 出 静 脈 は横 静 脈 洞 ―S状 静 脈 洞 が70∼90%と 大 部 分 を 占 め るが,静 脈 洞 交 会,上 矢 状 洞 お よび 直 静脈 洞 へ の 流 入 も時 に認 め られ15)23),ま た遠 位 静 脈 洞 や 皮 質 静 脈 へ の造 影剤 の 逆 流 や静 脈 洞 閉塞 の所 見 も 認 め ら れ る.
と して
静脈 洞 内圧 充進 と静 脈 洞 閉 塞 で あ り,こ の た め 循環 障害
もの と考 え られ,ま た これ ら二 次 的 変化 の 生 ず る程 度, 範 囲 に よ り予 後 が 異 な る もの と思 わ れ る. さ らに本 症 の治 療 に 関 して は そ の循 環 動 態 か ら考 え, 奇 形全 摘術 が最 善 の 方 法 で あ る こ とは 当 然 で あ るが,本 法 は 手 術 手枝 が複 雑 で全 摘 術 は 必 ず し も容 易 で な く侵 襲
本 症 の治 療 に 関 して は,脳 動 静 脈 奇 形 と同様 多彩 な動 脈 が 関 与 して い る こ とや静 脈 洞 内 に奇 形 が侵 入 して い る
も大 き い こ とか ら,症 例 に よ って は頭 蓋 外 で導 入血 管 の 切 断 を ま ず試 み るべ き で あ る と考 え られ る.
場 合 が あ る こ とな どを考 え る と,頭 蓋 内外 の短 絡 路 を一 次 的 に で き る だ け切 断す る か9)12)13),あ る い は静 脈 洞 を 含 め動 静 脈 奇 形 を完 全 に摘 出す る23)のが理 論 的 に い え ば 最 良 の方 法 で あ り,手 術 成 績 も当然 良い と思 われ る.し か しな が ら本 症 の全 摘 出 あ るい は短 絡 路 の一 次 的 遮 断 は
な お 本 論 文 の 要 旨 の 一 部 は 第16回 日本 神経 学 会 総 会 (於 大 阪,1975)に
お い て 発 表 した.
お わ りに御 指 導,御 校 閲 い た だ い た群 馬 大 学 脳 神経 外 科川 淵 純 一 教 授 に 感 謝 い た し ます.
必 ず しも容 易 で な く,そ の手 術 侵 襲 も少 な くな い15)31). 文
さ らに本 症 の ご とき硬 膜 動 静 脈 奇 形 にお い て は,時 に循
献
環 動 態 の変 化 に よ り痩 の 自然 閉 塞 を き たす 場 合 もあ る こ とか ら13)19),閉頭 術 を行 わ ず,ま ず 頭 蓋 外 で,し か も導 入 血 管 が頭 蓋 内 に流 入 す る部 位 の 近 くで 血 管 を離 断 し, 経 過 を み る方 法 を と っ て も 良い と考 えて い る.こ の手 術 は 簡 単 で あ り,手術 侵 襲 も少 な く,さ らに本 例 で認 め られ た ご と く治 療 効果 もあ り,高 久 ら31)も述 べ て い る よ うに 臨 床 症候 が進 行性 で は な く,単 に 耳 鳴 りお よびbruitの み で他 の神 経 症 候 を認 め な い例,一 般 状 態 の悪 い例 お よ び高 令 者 例 で は試 み るべ き方 法 で あ る とい え る.さ 児 玉 ら1D,Obradorら23)が embolizationも1つ
らに
述 べ て い る外 頸 動 脈 か ら の
の 方 法 で あ る と思 わ れ る.
1)
AMINOFF,M. J.: Vascular anomalies in the intracranial dura mater. Brain 96: 601-612, 1973 2) EPSTEIN,B. S. & PLATT, N.: Visualization of an intracranial arteriovenous fistula during angiocardiography in an infant with congestive heart failure. Radiology 79: 625-627, 1962 3) FUKIYAMA, K., NAKASHIMA, Y., NISHIMARU, K., TAKEKAWA,Y. & KATSUKI,S.: Idiopathic arte riovenous fistula involving the occipital artery and the transvers venous sinus; A case report. 脳 神 経23:1307-1310,1971 4)藤 田勝 三,中 井 清 彦,玉 木 紀 彦,松 本 発 性 硬 膜 動 静脈 痩 の2例.第4回
IV結
論
研 究 会 講 演 集,pp101 5)藤 津 和彦,小 田正 治,桑 原 武夫:ク
後 頭 蓋 窩 硬 膜 動 静 脈 奇 形 の5自 験 例 につ き報 告 し,あ わ せ て 欧 米 お よび 本 邦 にお け る報 告 例 を参 照 しつ つ,主 と して 本 症 の 病 態 お よび 治 療 に関 し考 察 を 加 えた.
悟:特
脳卒中の 外 科 モ膜下出血
で発 症 した脳 硬 膜 動 静 脈 奇 形 の1例.脳 外2: 75-79,1974 6)原 田 範 夫,平 山章 彦,鈴 木 二 郎:外 頸 動 脈― 頭
我 々 の 症 例 にお い て は,全 例 が 自覚 的 に は 耳 鳴 りを訴
蓋 内静 脈 洞 痩.脳 神 経20:797-800,1968 7)東 健 一 郎,波 多 野 光 紀,岡 村 知 美:小 脳 天 幕 周
え,他 覚 的 に はbruitを 聴 取 す る の み で あ っ た,ま た血
辺 部 に お け る頭 蓋 外 動 脈 ― 頭 蓋 内静 脈 洞 痩.脳 神
管 撮影 で は 全 例 で複 数 の 導 入血 管 が 認 め られ,1例 状静 脈 洞 の 閉塞 が存 在 した.ま
経25:1767-1772,1973
でS
た血 管 撮 影 お よびXe―
133clearance法 で 検 討 した脳 循 環 動 態 は正 常 で あ った . 手 術 は2例 で施 行 した が,臨 床 症 候,年 令 を考 え,主 な
8)
HOUSER,O. W., BAKER,M. L., RHOTON,A. L. & OKAZAKI,H.: Intracranial dural arteriovenous malformation. Radiology 105: 55-64, 1972 9) HUGOSSON,R. & BERGSTROM,K.: Surgical
treatment in
the
of dural region
Neurosurg
10)小
arteriovenous
of
Psychiat
the 37:
sigmoid 97-101,
malformation sinus.
J
transvers-sigmoid
Neurol
24)岡
1974
林 督 志,尾 原 義 悦,石 井 昌三:頭 蓋 内 外 を結
ぶ 動 静 脈 奇 形.臨 床 神 経10:520,1970 11 )児
Psychiatry
玉 安 紀,石
川
進,日
比 野 弘 道,桑
原 倖 利,
梶川 博:硬 膜 動 静 脈 痩(dural arteriovenous stula),自 験 例 と62症 例 の 検 討 ・脳 外2;259-264, fi 1974
KOSMIK,E. J., HUNT,W. E. & MILLAR,C. A.: Dural arteriovenous malformations. J Neurosurg 40: 322-329, 1974 13) KUHNER, A., KRASTEL, A. & STOLL, W.: Arteriovenous malformation of the transvers dural sinus. J Neurosurg45: 12-19, 1976 14) KUNK,Z. & GRET,J.: Congenital arteriosinusal fistulae. Acta Neurochir 20: 85-103, 1969 城 航 一,岩 佐 英 明,吉 水 信 裕,増
沢紀 男,石
島 武一,佐 藤 文 明:天 幕 内硬 膜 動 静脈 奇 形;1治
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eriovenous
島 賢 一,三
malformationの
輪 哲 郎:Dural 一 例.臨
art
床 神 経14:
井 英 明,相
羽
正:脳
動静脈奇形 における
脳 循 環 動 態.臨 床 生理3;63-75,1973 22)貫 井 英 明,川 上 雅 正,川 淵 純 一:脳 動 静 脈 奇 形 の病 態 生 理 と手術 適 応.外 科38:362-371,1976
23)
野 宏 明,馬 杉 則 彦,佐 藤
OBRADOR,S. SOTO,M. & SILVERA,J.: Clinical syndroms of arteriovenous malformations of the
Neurosurg
修:横 静 脈 洞 閉 塞 床
脳 内,硬 膜 両 者 に動 静脈 奇 形 を伴 な う場 合 の 手 術 に つ い て.第4回
脳卒 中 の外 科 研 究 会 講 演 集,
pp101 27)志 賀 逸 夫,蒲 生 鐵 男,松 岡 健 三,団 野 迫 昭:外 頸 動 脈― 横 静 脈 洞 痩 の1例.脳 1966 28)清
水 弘 之,神 谷
神 経18:851-853,
博,佐 藤
修,益 沢 秀 明:硬
膜 動 静 脈 奇 形 を合 併 した橋 内動 静 脈 奇 形 の一 例. 臨 床 神 経16:164,1976 29)清 水 幸 夫,今 井 昭 和,頼 正 夫,肥 田侯 一 郎: 非 外 傷 性 外 頸 動 脈 ― 横 静 脈 洞 痩 の2症 例.脳 神 経 24:1033-1039,1972
30)
STORRS,D. G. & KING,R. B.: Management of extracranial congenital arteriovenous malforma tions of the head and neck. J Neurosurg98: 584 590, 1973 -
31)高
久
Dural
晃,佐
藤 智 彦,坂
arteriovenous
rior fossa,特
本 哲 也,鈴
malformation
of
木 二 郎: the
poste
に そ の 本 態 お よ び 治 療 に つ い て.脳
外4:489-501,1976
32)
TAKEKAWA,S. D. & HOLMAN,C. B.: Roent genologic diagnosis of anomalous communica tions between the external carotid artery and intracranial veins. Am J Roentgenol95: 822-825, 1965
33)寺
816,1974
21)貫
Neurol
湯 川英 機:後 頭動 脈― 横 静脈 洞痩 の1例.脳 神 経 24:1041-1043,1972 26)佐 藤 進,古 沢善 文,関 口 賢太 郎,村 上 直 人:
17)
20)新
J 1975
神 経10:419,1970 25)小 野 勢 津 男,山 口一 彦,松 浦 武彦,渡 辺 幹 夫,
験 例 と文 献 学 的 考 察.脳 外4:1185-1191,1976 16)松 本 清,福 田 栄,山 田 史:硬 膜 動 静脈 奇 形 の 血 流 動 態 ― 静脈 洞 閉塞 との 関 連 に つ い て.臨 床 神 経15:1009,1975
436-451,
を伴 な っ た後 頭 動 脈 頭 蓋 内静 脈 痩 の1例.臨
12)
15)宮
sinus.
38:
dural
本 成 美,伊
藤 新 一 郎,岩
arteriovenous
神 経15:366,1975 34)寺 尾 栄 史,早
川
山
馨;後
malformationの 勲:外
頭蓋骨の 一 例.臨
頸 動 脈 ―S状
痩.臨 床 神 経3:122-126,1963 35) TONNIS,W.:Cited in 26 and
27
床
静脈洞
