昭 和54年6月20日
283
Bioclean
Roomに
お け る オ ゾ ン の=滅菌 効 果 に つ い て 大阪府立公衆衛生研究所
山
Key
I.緒
Bioclean Room(BCR)を
吉
孝 雄 土 井 大阪市立大学医学部
巽
典
words:
Bioclean
之
奥
田
room, Sterilization,
言
均 清
Ozone,
Formaldehyde
つ い て も 検 討 した の で そ の 結 果 を 報 告 す る 。
用 い る治療 の 目的 は,
微 生 物 に対 す る感 染 を で き る限 り低 く抑 え る こ と
皿・ 実 験 材 料 お よ び 実 験 方 法 実 験 に 使 用 したBCRはSCI-MEDMODAIR
に あ る.そ のた め に,ま ず 空 気 中 の微生 物 濃 度 を
製 の 水 平 層 流 方 式 の シ ス テ ム で3.4×3.4×2.1m3
減 少 させ る こ とが 問 題 と な る.微 生物 濃 度 を減 少
の 気 積 が あ る.実
さす 技 術 は,無 菌 層 流 を 送 る こ と ので き るHEPA
の 患 者 の 治 療 に 用 い ら れ た も の で あ る.
フ ィル タ ー の 開発 と研 究1)で相 当高 度 の もの とな
あ ら か じ め,予
つ て き て い る.し か し患 者 が 生 活 す る空 間 の 清 浄
間,温
度 を高 く保 つ た め に は,さ らに 滅 菌 とい う手法 を
握 し た.
導 入 し,よ り完 全 に行 う必 要 が あ る.患 者 が 日常
1)実
験条件
生 活 を送 る空 間 の微 生 物 を 可 能 な 限 り低 くす るに
Ozone
I:室
は,BCR内
の天 井.床.側
面 さ らに 内 部 の設 備 品
の完 全 な滅 菌 が要 求 され る.今 日迄 半 世 紀 以 上, 病 院 で は,ホ
ル ム アル デ ヒ ドガ スに よ る滅 菌2)が
広 く用 い られ て きた.し ガ ス は,ガ
か し ホ ル ム アル デ ヒ ド
ス発 生 操 作 の際 に,ガ
ス の 強 い 刺激
を うけ る こ と と,ま た ホル ム アル デ ヒ ドガ スは.
験 の 直 前 ま で20日 間 急 性 白 血 病
湿 度,指
備 実 験 を 行 い,オ
ゾ ン濃 度,時
標 菌 とす る 細 菌 の 濃 度 に つ い て 把
温24∼26OC,相
対 湿 度49∼50%
で72時 間 オ ゾ ン滅 菌 を 行 つ た. OzoneII:室
温37∼40℃
度64∼72%に
の 高 温 に 保 ち,相
対湿
加 湿 し72時 間 オ ゾ ン滅 菌 を 行 つ た.
Formaldehyde:室
温24∼30℃,相
対湿度 ホル
ム ア ル デ ヒ ドガ ス 発 生 時84%,24時
間 後50%で
滅
菌 を 行 つ た.
乾 燥 した表 面 で凝 縮,重 合 して パ ラ ホル ム アル デ ヒ ドに な る3)ため,排 気 に長 時 間 を 要 す るな ど実
(医 器 研 製)を
用 上 問 題 が あつ た.他 方 オ ゾ ンは,ヨ ー ロ ッパ で
を 用 い101/minの
は水 道 水 の滅 菌 とい う分 野 で用 い られ て お り,真
英 管 口で,413ppmの
菌 に対 す る滅 菌 効 果 の 良 さか ら果 物 の カ ビ予 防 の
計 さ れ て い る.オ
目的 に4),そ
ozonemonitor(電
気 化 学 計 器 製)を 用 い て72時 間
測 定 した.BCR内
の オ ゾ ン濃 度 は120mglm3で
の他 細 菌 に対 して も条 件 に よつ て は
滅 菌 に 有 効 で あ る と され て い る5,6),し か しBCR の 滅菌 に用 い た報 告 は い ま だ され て い な い.そ こ で 今 回 筆者 らは オ ゾ ンをBioclean環 応 用 した.そ
してBCRの
境 の滅 菌 に
設 備 等 が,い か に 滅 菌
オ ゾ ン発 生 と 濃 度:Ozone
器 は3本
空 気 を 送 る 時,直
のuvラ
ソプ
径28mmの
石
濃 度 が 得 ら れ る よ うに 設 ゾ ン濃 度 はchemiluminescent
あ
つ た. ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス 発 生 お よ び 濃 度:35%ホ ル マ リ ン1lに,50%過
され て い るか を,従 来 の ホル ム アル デ ヒ ドガ ス滅
注 入 し,ガ
菌 法 りと比 較検 討 し,ま たBCR運
ス 濃 度 は,検
営 の実 用 面 に
用 い た.本
generator,Suv-110型
マ ン ガ ン酸 カ リ ウ ム11を
ス を 発 生 さ せ た.ホ 知 管 法(光
ル ム ア ル デ ヒ ドガ
明 理 科)で
検 出 した.本
284
感染症学雑誌
法 で はBCR内
の 濃 度 が,発
示 し以 後 急 速 に 減 少 し,24時 間 後20mg/m3で 気 温,相 製)を
間 後40mg/m3,72時
取 り,リ
田計器
用 い て 測 定 した.
2)実
subtilis PCI
coli
IFo
19,Penicillium
sp,
で あ る.
heart infusion
cilliun sp.は 20℃,4日
E.coliは37℃,24時
間,Brain
を 含 む 肉 汁 液 体 培 地3)(肉
infusion 間Mn静
入 す る.シ
エ キ ス1.0%,ペ
プ トン
酸 マ ン ガ ン0.05%,水 振 と う培 養,栄
道
養 細 胞 の な い芽
洗 源 し,106/mlに
し て 試 料 と し た.Penicillium 日 間,ポ
し た も の を103/mlに BCRの
希釈
sp.は,20℃,4
テ トデ キ ス トロ ー ス 培 地 に,か 希 釈 し試 料 と し た.
の 素 材 か ら 次 の4種
ャ ワ ー,手
菌効果 をみた
sIze 0.45μ,直 引 付 着 さ せ,1時
の方法で実
上 記 の 菌 液1mlを
間 室 温 で 乾 燥 した.乾
吸
燥 した表
面 等 の 滅 菌 効 果 を み た.
(ii)Mat。pad深
部 の ブ イ ル タ ー 付 着 微 生 物:
使 用 して い るMat-padの
4cm)の
表 面 よ り2cmの
部 位 に,微
洗 等 水 分 のた ま る部 位 の滅
培 地 お よ び 培 養 条 件:iii)の
(v)Swabbing
取 り
場 合 と同様 と し
up Method(SW法)8,に
cm2)を
繊 維 素 材(厚
面 積10ケ 所(合
Sausage
Methodg)を
の 判 定 に つ い て:10cm2の 培 地)を
用 い て,滅
計4000
用 いた 滅 菌 効 果
円 柱 状 培 地(普 通 寒 天
菌 前 後 に ス タ ソ プ を 行 い,
間 培 養,コ
Table1は て,24時
よる滅 菌
滅 菌 前 後 で 簡 便 法 を 用 い て 検 討 し た.
ロ ニ ー 数 を 計 測 し た.
III.結
面 を 持 つ 天 井,床,側
BCRで
注
一 定 時 間 滅 菌 後 そ の1mlを
リ ポ ア フ ィル タ ー(Pore
径47mm)に
滅 菌 瓶 に100 菌 液1mlを
混 釈 培 養 し た.
30。C,48時
ィ ル タ ー 法:ミ
径6cmの
リ ン 酸 緩 衝 食 塩 水 を 入 れ,各
(vi)Agar
験 を 行 つ た. (i)フ
ポ テ トデ キ ス ト ロ ー一ス 寒 天 培 地,
効 果 の 判 定:20×20cm2の
く線 培 養
生 活 備 品 が どの 程 度 滅 菌 され て い るか
を 知 る た め に,そ
間,Peni-
た.
胞 の み の 培 養 液 を 得 る.E.co1I,B.subtilisは, リ ン酸 緩 衝 食 塩 水 で3回
agar.37℃,48時
中 の 微 生 物:直
mlの
heart
培 養B.subtilisは,37℃,7日
水 でpH7.0)で
取 り混釈
間 と した.
(iv)水
1.0%,Nac10.5%,硫
入 れ た 試験管 中 の1mlを
培 地 お よ び 培 地 条 件:E.coli,B.subtilisは,
実 験 に 用 い た 指 標 細 菌:Escherichia
brothで
く し ぼ り 出 し,そ
り
培 養 を 行 つ た.
Brain
験 方 法 お よび 使 用 菌 数
3806,Bacillus
ン酸 緩 衝 食 塩 水10m1を
に 投 入,よ
記 温 湿 度 記 録 計(太
第6号
一 定 時 間 滅 菌 後 ス ポ ン ジ 内 部1×1×1cm3切
生 直 後180mg/m3を
あ つ た.
対 湿 度:自
第53巻
果
ブ イ ル タ ー法 で3種
の微生物につい
間 単 位 で 示 した 結 果 で あ る.24時 Table 1 Sterilization Microorganisms with
間値 は
Effect of Test filter Method
さ
生 物 を付 着 さ
せ た フ ィル タ ー を 挿 入 し 周 囲 断 面 を シ ー ル し, Mat-pad表
面 か らの 浸 透 に よる 滅 菌 効 果 を み
た. i)ii)の
フ ィ ル タ ー は,一
定 時 間 滅 菌 後,パ
ドを 敷 い た 小 型 シ ャ ー レ に 移 し,Brain fusion
broth 3mlを
Penicillium
sp.を
注 入,37℃,48時
heart
ッ in-
間 培 養 し た.
付 着 さ せ た フ ィ ル タ ー は,ポ
テ トデ キ ス ト ロ ー ス 寒 天 培 地 の 平 板 表 面 に は りつ け,20。C,4日 (iii)ス
間 培 養 を 行 つ た.
ポ ン ジ 内 部 に 付 着 さ せ た 微 生 物:ス
ポ
ン ジ を 使 用 し た 寝 具 等 の 内 部 の 滅 菌 効 果 を み た.
十∼ 卅
indicate
十:
order, œO:
10
counts
colony 102
counts on the filter order,
103
order
colony
285
昭 和54年6月20日 BCR使
用 上 の 運 営 単 位 と し て 考 え た .E.coliに
つ い て は,48時
Table
間 値 か ら陰 性 を 示 した 。B.subtilis
は72時 間 値 で 陰 性 を 示 した.Penicilliun
sp.は,
す で に24時 間 値 で 陰 性 を 示 して お り,オ
ゾン の真
4
Sterilization
Microorganisms
Effect
of Test
in Water
菌 に 対 す る顕 著 な 滅 菌 効 果 を 示 した. Table2は
繊 維 素 材 のMat-pad深
部 の結 果 に
つ い て 示 した.E.coli,B.subtilis,Penicillium sp.の
い ず れ も72時 間 値 で 陽 性 を 示 した.
Table3は
ス ポ ン ジ内 部 に付 着 させ た微 生 物 の
結 果 に つ い て 示 した.Penicillium Table
2
Sterilization
Microorganisms
sp.は24時
Efiect
間
of Test
in Mat-pad
十∼ 卅
indicate colony counts/ml
十:10
order,
卅:
102
order,
卅:
103
order
ColynyCOUntS
値 で 陰 性 を 示 し充 分 の 滅 菌 効 果 を 示 した.E.coli は48時 間 値 で 陰 性 を 示 し た. B.subtilisは72時
間 値 か ら陰 性 で あ つ た.こ
の
結 果 は フ ィ ル タ ー法 の 場 合 と 同 様 の 傾 向 を 示 し て い る. Table4は
水 中 の 微 生 物 に 対 す る滅 菌 効 果 を 示
し た も の で あ る.E.coli,B.subtilis,Penicillium sp.と 十∼卅 十:
10
indicate order,
colony
colony counts 卅:
102
order,
on the filter 卅:
103
order
も,72時
間 値 に お い て も陽 性 を 示 し 滅 菌 効
果 は 認 め ら れ な か つ た. Table5は
counts
オ ゾ ン と従 来 よ り病 院 で 用 い られ て
い る ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス 滅 菌 の 結 果 を72時 間 値 Table 3 Sterilization Effect Microorganisms in spong
of test
で 比 較 した も の で あ る.フ は,オ
ゾ ン,ホ
ィル タ ー 法 に つ い て
ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス 滅 菌 と も に,
E.coli,B.subtilis.Penicillium 性 を 示 した.ま
sp.の
た 多 孔 質 の ス ポ ン ジ内 の 微生 物 に
つ い て も 同 様 の 結 果 で あ つ た.し 深 部 の 微 生 物 に 対 す る 効 果 は,オ
か しMat-pad ゾ ン の 場 合 が,
E.coli.B.subtilis.Penicilliumsp.の 陽 性 を 示 した の に 対 し,ホ 場 合 は,三
の に 対 し,ホ Penicillium 十∼卅
indicate colony counts/ml
十:10
order,
colony
卅:
counts
102
order,
卅:
103
order
るB.subtilisは た.
いずれ も
ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス の
種 と も 陰 性 を 示 し た.水
つ い て は,オ
い ず れ も陰
中 の微 生 物 に
ゾ ン の 場 合 い ず れ も陽 性 を 示 し た ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス の場 合E.coli. sp.は 陰 性 で あ つ た が,芽
胞 を 有 す
陽 性 を 示 し滅 菌 は 充 分 で な か つ
286
感 染 症学 雑 誌 Table
+∼
卅indicate
counts/ml(in +:10
5
colony spong
and
order,廾:102
Comparison
counts in
on
between
the
Ozone
fiIter(mter
6
paper
and
filter
第6号
Sterilization
paper
under
mat-pad)and
colony
water)
order,卅:103ordercolony
Table
and Formaldehyde
第53巻
Swabbing
counts
up Bacteria
counts after
Ozone
Sterilization
colony cound/1002cm Table6.7にSW法
に よ る 結 果 を 示 した.オ
ゾン 滅 菌 に よ つ て 細 菌 数 は10/100m2以 で 減 少 す る が,床 た.局
は0.0∼0.5の
下 に ま
の 一 部 で は100/100cm2を
示 し
部 的 で は あ るが 滅 菌 後 高 い値 を示 す 部分 が
あ る こ と は 注 目す べ き こ と で あ る.真 れ ず,い
菌は検出 さ
ず れ も滅 菌 効 果 の 良 さ を 示 した.Fig
1.2にAgar
Sausage法
に よ るBCR平
のB-I・IIで
は ほ ぼ 正 規 分 布 を 示 した.ピ
各 々1.0∼1.1,0.9∼1.0の した.滅
菌前 ー クは
位 置 に あ り約25%を
菌 後 そ の分 布 は 非 対 称 を 示 し た.ピ
81%,ま
位 置,即
ち 細 菌 数0の
も に50%で
位置に 移 り
あ つ た.Ozone-IIIで
あ つ た.
Fig3.4にAgar
示 ー ク
グ ラ ム で 示 した.側
Sausage法
に よ るBCR測
面 ス ト
面 で は 滅 菌 前 の 細 菌 数 の分
布 は 平 面 と異 り非 対 称 を 示 した.ピ 0.5の
は
た ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス 滅 菌 で は 高 い 値
を 示 し86%で
の 細 菌 数 を 上 記 の 方 法 と同 様 に 処 理 し,ヒ
面 上 の細
菌 数 を 対 数 変 換 し ヒ ス トグ ラ ム で 示 した.滅
Ozone。I,IIと
ー ク は0.0∼
位 置 に あ りB.I-IIで50%,80%を
平 面 の 滅 菌 後 と 同 レベ ル の 値 を 示 そ の 値 は さ ら に 高
示 し, した.滅
く な りOzone-Iで79%,
菌後
昭 和54年6月20日
287
Fig. 1
Histogram
of before
Sterilization
on Horizontal
B-ll
B-l
Fig. 2
Ozone-l
ス の 場 合 は96%で Table8にAgar
Sterilization
on Horizontal
Formaldehyde
ル ム ァ ル デ ヒ ドガ ス 滅 菌 の 間 に も有 意 差 は 認 め ら れ な か つ た.し
Sausage法
に よる滅 菌 前 後 の
均 値 と標 準 偏 差 を 示 し
つ い て は,5%有
有 意 差 は 認 め ら れ な か つ た,滅 IIに つ い て も 有 意 差 は な く,ま
Plane
Ozone-lll
あ つ た.
れ ら の 値 を 順 位 和 検 定 し た 結 果,ま
の 滅 菌 前 のB-I,IIに
of after
III,ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ
値 を 平 面 と側 面 に 分 け,平 た.こ
Histogram
Ozone-ll
OzoneII190%,Ozone
Plane
か し オ ゾ ン2回
1回 滅 菌 のOzone-I,IIの が 認 め ら れ た,オ
ゾ ン2回
滅 菌 のOzone-IIIと
間 に は 明 らか に 有 意 差 滅 菌 の滅 菌 効 果 の 良 さ
ず平面
を 示 し た.側
面 に お い て,滅 菌 後 のOzone-IとII
意水準 で
の 間 に は,平
面 と 同 様 に 有 意 差 は 認 め られ な か つ
菌 後 のOzone-I, たOzone-III,ホ
た.Ozone-IIIと
ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス 滅 菌 に つ い
て も 有 意、 差 は 認 め ら れ な か つ た.ま
たOzone-IIと
感 染症学雑 誌 第53巻
288 Fig. 3
Histogram
B-
Fig. 4
Ozone-
of before
Histogram
on Vertical
of after
Sterilization
on Vertical
Formaldehyde
後 で も7mg/m3も
との間 に は10%有
を示 した.
意 水 準 で 有 意 差 が 認 め ち れ た.
オ ゾ ン とホル ム アル デ ヒ ドガス の 排
気 の経 時 変 化 を示 した.層 流 を 流 す とdegradation を お こ しオ ゾ ン濃 度 は1/3迄
減 少 す る.オ
ゾン
発 生 装置 を 止 め て か ら50分 で オ ゾンは検 出 され な くな る.一
方 ホ ル ム アル デ ヒ ドガ ス は 排 気 時20
mg/m3で あ つ た.排
Side
Ozone- II
の 間 に も 有 意 差 は認 め られ なか つ た がOzone-I Table9に
Side
B- II
I
Ozone- II
I
Sterilization
第6号
気60分 後 で も10mg/m3,50分
また オ ゾンは,ゴ
残 留 して お り排 気 状 態 の 悪 さ ム,ア ル ミュ ー ム部分 等 を 劣
化 さす 傾 向 が 認 め られ た. IV.考 BCRに
察
お い て,滅 菌 は,治 療面 の み な らず 運
営 上 の実 用 面 に お い て も重 要 な位 置 を しめ る,現 在 滅 菌 法 と して,ホ ル ム アル デ ヒ ドガ ス,0.5%
289
昭 和54年6月20日 Table
7
Swabbing
up Fungi
counts after
Ozone
Sterilization
colony count/1002cm Table
8
Bacterial
ク ロ ー ル ヘ キ シ ジ ン グ ル コ ネ ー ト噴 霧,清
境 に 応 用 し,滅
拭,そ
Sterilization
面 の 滅菌 度 合 と同程 度 の滅 菌 効 果 が認 め られ た. しか し結 果 か ら考 え る と,密 な繊 維 素 材 の深 部 に
菌効果 につい
対 す るオ ゾ ンの滅 菌 効 果 は期 待 出来 な い と考 え ら れ る.
て 検 討 した. i)微
and after
者 ら は,オ
の 他 過 酢 酸 焼 煙 等 が 一 般 的 で あ る,筆 ゾ ン をBioclean環
counts before
生 物 を 使 っ た テ ス ト滅 菌 に つ い て
フ ィル タ ー法 で み る と,Penicillium
す る オ ゾ ン の 滅 菌 効 果 は 顕 著 で あ る.次 coli.B.subtilisの
順 で あ る.フ
また 水 中 の微 生 物 に つ い て も,こ の方 法 で は期
sp.に 対 にE.
ィ ル タ ー 面 が 床,
側 面 等 の 表 面 と類 似 し て い る こ と か ら,床,側
面
待 で きな い と思 わ れ る. ii)オ ゾ ン とホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス 滅 菌 と の 比 較 につ いて 72時 間 値 に お いて,フ
ィル タ ー面 上 お よび ス ポ
等 のBCR内
面 の 滅 菌 に つ い て は,芽
胞 を有 す る
ンジ 中 の微 生 物 につ いて は,い ず れ も滅 菌 効果 は
B.subtilisを
完 全 に 死 滅 さ せ る72時 間 値 が 必 要 で
充 分 で あ り,両 者 の間 に 差 異 は 認 め られ な か つ
あ ろ う と 考 え られ る.多 も,相
孔質 の ス ポ ンジ に つ い て
当 深 部 に ま で オ ゾ ンが 浸 透 し,フ
ィル タ ー
た.Mat-pad中
に お いて は,オ
ゾ ンの滅 菌 効 果 は
認 め られ な かつ た,ホ ル ム ァ ル デ ヒ ドガ ス は繊 維
290
感染症学雑誌
Table
9
Exclusion
Ozone
and Formaldehyde
第53巻
第6号
果 が示 す よ うに 有 意 差 が 認 め られ な か つ た こ とか ら,オ ゾ ン2回 滅 菌 とホル ム アル デ ヒ ドガ ス の滅 菌 効果 は,同 等 で あ る と考 え られ る. BCR側 面 のST率 は 滅 菌 前 か ら高 率 を 示 し, 滅 菌後 の 平 面 のST率
と近 い値 で あ る.ま た10%
有 意 水 準 で 一 部 有意 差 が認 め られ た もの の,他 の 滅 菌 効 果 の間 に 有 意 差 は な く,ほ ぼ 同 じ傾 向 を示 して い る.こ の こ とか らBCRの
側 面 に は,付 着
して い る細 菌 も少 な く,し た が つ て 滅 菌 効 果 の判 定 に あ たつ て は,平 面 のST率
を 重 視 す べ きで あ
る と思 わ れ る. SW法
で は平 面 の一 部 に高 い値 が 認 め られ た.
これ は 細菌 が材 質 の傷 の深 部 に付 着 して い て,滅 菌 効 果 が お よば な かつ た もの と考 え られ る.こ れ らの部 位 の滅 菌 効 果 を み る方 法 と して,SW法
を
用 い て検 討 して い くのが 有 効 で あ る と思 わ れ る. BCR内 治 療 を 効 果 的 に行 うに は,滅 菌 と い う方 ND:
indicate
no detect
法 が重 要 で あ り,そ の た め に は,こ れ らの方 法 を 素 材 深 部 に迄 浸 透 し滅 菌 効 果 が 認 め られ た.こ れ
用 い て 滅菌 効 果 に つ い て検 討 を加 え,総 合 的 に清
らは ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス の繊 維 素 材 に対 す る浸
浄 度 の保 持 を考 え て い くこ とが 有効 な方 法 で あ る
透 性 と水 中 へ の溶 解 性 のた め で あ ろ う と考 え られ
と考 え られ る.BCRの
る.繊 維 素 材 は患 者 の 治療 に長 期 間 使 用 す る と,
面 が よ り重 要 視 され る.オ
微 生 物 に とつ て 恰 好 の培 養 パ ッ ドとな る と指 摘 さ
易 で,吸 着 が な く,排 気 が 短 時 間 で す む た め ベ ッ
れ て い る こ とか ら10),高 圧 滅 菌 等 の滅 菌 法 を用 い
ドの利 用 度 は高 くな る.ま た 患 者 の不 快 感 が な く
て,使 用,滅 菌 の短 期 のサ イ クル を く り返 す べ き
な る等BCR運
で あ る と思 わ れ る.
に 比 して利 点 が 多 い.し た がっ て オ ゾ ン2回 滅 菌
iii)SW法
お よびAgar
Sausage法
を用 い た滅
菌 効 果 の比 較 につ い て Agar Sausage法 の結 果 を 表 わ した ヒズ トグ ラ ム の細 菌 数0の 位 置 の 値 は,BCRの 示 す 滅 菌 率(以 下ST率)を る.オ
滅菌効果を
表 わ して い る と言 え
ゾ ン滅 菌 の場 合,常 温 と高温 の二 条 件 下 に
お いて,ST率
は 高 い値 を 示 した.ま
た順 位 和 検
滅 菌 に あ たつ て は,実 用 ゾンは ガス の 発 生 が 容
営 面 で も,ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス
法 を 行 え ば ホ ル ム アル デ ヒ ドガ ス滅 菌 に比 し,同 等 の抗 細 菌 性 また 同 等 以 上 の 抗 真菌 性 が え られ 実 用 面 で効 果 的 で あ る と考 え られ る. V.結 語 BCR環
境 に オ ゾ ン滅 菌 を 応 用 し,今 日迄 一 般
に使 用 され て い る ホ ル ム アル デ ヒ ドガ ス滅 菌 と比 較-検討 した.E.coli.B.subtilis.Penicillium
sp,
定 の結 果 か ら有 意 差 は認 め られ な か つ た こ とか ら
を使 った テ ス ト滅 菌 で は オ ゾ ンの場 合B.subtilis
二 条 件 下 の滅 菌 効 果 の差 異 は な い と考 え られ る.
を 指 標 菌 と して72時 間値 に よる評 価 が妥 当 で あ る
しか しオ ゾ ン2回 滅 菌 は,ST率
と考 え られ た.推 計 学的 手 法 に よる結 果 で は,常
も高 く,常
温あ
るい は 高温 の二 条 件 下 の滅 菌 よ り,良 好 な 滅 菌 効
温,高 温 の二条 件 下 の 滅菌 効 果 に有 意 差 は な か っ
果 が あ る もの と考 え られ る.オ ゾ ン滅 菌 を2回
く
た.し か しオ ゾ ン2回 滅 菌法 との 間 に は有 意 差 が
は ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ
認 め られ た.滅 菌 率 も高 く,こ の 方 法 の滅 菌 効果
ス滅 菌 のそ れ と近 い 高 い値 とな る.ま た検 定 の結
の 良好 さを示 した.ま た オ ゾ ン2回 滅 菌 法 は ホ ル
り返 す こ とに よ り,ST率
昭 和54年6月20日
291
ム アル デ ヒ ドガ ス滅 菌 との間 に有 意 差 が認 め られ
3)
な かつ た こ とか ら,両 法 の滅 菌 効 果 は 同 等 で あ る と考 え られた,オ
な い,排 気 が 短 時 間 です む 等,実 用 面 で従 来 の ホ ル ム ア ル デ ヒ ドガ ス滅 菌 よ り効果 的 で あ る と考 え られ る. 稿 を終 るにあた り,御校閲をいただいた大 阪市立 少年 保養所長 中島邦夫博士 に,御 助言,御 協力をいただいた 大阪府立成人病セ ンター化学療法部長正岡徹博士,国 立 大阪病院臨床検査部長神木照雄博 士に 深謝 いたします. and an
Takao
7)
巽
8)
山 吉 孝 雄 他:
典 之 他:
菌学的研究 93∼100,
gebrauchtem and ungebrauchtem, hydrophobem and hydrophilom Filtermaterial bei relativen Feuchten bis zu 98%, in der Klimakammer, Zbl. Bakt. Hyg. I. Abt. Orig. Bl., 60: 509-524, 1975. 2) Robert, K., et al.: Effect of relative humidity on the penetrability and sporicidal activity of formaldehyde. Appl. Microbiol., 20: 616619, 1970.
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YAMAYOSHI+,
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ゾ ンは ガ ス発 生 が 容 易,吸 着 が
文 献 1) H. Rii.den, et al.: Mikrobiologische Physikalisch-chemische Untersuchungen
日本 医 科 器 械 学 会 監 修: 集,
in Bioclean Rooms
Hitoshi DOI+, Noriyuki
TATSUMI++
and
Kiyoshi OKUDA++ +Osaka Rrefectural Institute of Public Health , 1-3-69 Naka-Michi, Higashinari-Ku, Osaka ++Dpt. of Clinical Pathology, Osaka City Uuiversity Medical School, 1-5-7, Asahi-Machi, Abeno-Ku, Osaka Ozone sterilization aldehyde
sterilization,
was applied
to a bioclean
which has been commonly
When the sterilization
room and its effect was compared used.
effect of ozone was examined
B. subtilis had the most resistance
to ozone and remained
sp. immediately
It was, therefore,
repuired
lost its activity.
as an index value for the evaluation
When
the
dependence
statistical
evaluation
formation
and exhausting
and so on, ozone sterilization
formaldehyde
sterilization.
alive for 72 hr, on the other hand, Penicillium
was much comparable
the 72-hr value of B. subtilis was
sterilization,
more effective
than
temperature the once one.
to that of formaldehyde.
ex. gas generation
while formaldehyde method
that
as to the effect of ozone
was statistically
time is short,
sp.,
of the effect of ozone sterilization.
was done
From those results and some merits of ozone; occures
by using E. coli, B. subtilis and Penicillium
considered
was not seen, but the twice sterilization
Also, the effect of ozone sterilization
with that of form-
is easy, no adhesion
has some demerits
seems to be practically
superior
to materials
like paraformaldehyde to the usual method
of