1240
日 内 分 泌 会 誌,(Folia
総
Endocrinol.)68.
1240∼1248.
1992
説 血圧調節 ホルモ ンの分泌 と細胞性作用機序 東 北 大 学 医 学 部 病 態 液 性 調 節 学1),同 第2内 科 教 授2)
阿
Mechanism
部
of Renin
高
Release
Takaaki 1)Department 2)the Second
system
revealed
that
prostaglandins
of an isolated
renin
release
(2) Angiotensin
(ang)
afferent
receptor
(ATI
Through
the cellular
smooth
R) cDNA has indicated action,
Key words : renin release,
Regulation and
University School of Medicine
important
progress
by
role
in
in our study
cytosolic muscle
NaC1 exposure
modulate
cardiovascular
of renin
release
as
the presumed
angiotensin
macula densa
(MD)
to MD . Furosemide
,
its function.
free calcium
cells.
ang II has been reported
macula densa,
II
ABE 2)
artery with or without
is regulated
II increases
in vascular
an
of Angiotensin
II.
(PGE2 and PGI2) and adenosine
inositolphosphates
Keishi
plays
志2)
Action
Tohoku
the recent
action of angiotensin
圭
ogy and Hormonal
of Internal Medicine,
(RA)
(1) Microdissection has
ABE 1) and
Here , we have described
well as the cellular
部
and Cellular
of Clinical Biol
Department
Renin - angiotensin homeostasis.
明1),阿
Deduced
and induces protein
the formation
structure
link of AT' - R with phospholipase to regulate
gene expression
of
of ang II C.
.
II receptor , smooth muscle cells
は じめ に レニ ン― ア ン ギ オ テ ン シ ン(RA)系
は 生 理 活 性 の あ る ア ン ギ オ テ ン シ ンIIを 産 生 し,心 血 管 系
ホ メ オ ス タ シ ス や ナ トリ ウ ム バ ラ ン ス の 調 節 に重 要 な役 割 を 果 た して い る 。 レニ ンの 研 究 は1898年TigerstedtとBergnann を 認 め,そ
1)が腎 組 織 の 生 理 食 塩 水 抽 出 物 に 著 明 な 昇 圧 反 応
の有 効 成 分 を レ ニ ン と 命 名 した こ と に は じま る 。 そ の 後 の 研 究 で 血 圧 の 上 昇 を 引 き起 こ
す 物 質 は レ ニ ン 自身 で は な く レ ニ ン に よ っ て 産 生 され る ア ン ギ オ テ ン シ ンで あ る こ と が 明 か と な っ た 。 す な わ ち 腎 臓 で 生 合 成 ・分 泌 され る レニ ン は 循 環 血 流 内 に 入 り,肝 臓 で 産 生 さ れ 血 中 に遊 出 さ れ る ア ン ギ オ テ ン シ ノ ゲ ン に作 用 し デ カ ペ プ チ ドで あ る ア ン ギ オ テ ン シ ンIを 生 成 す る 。 ア ン ギ オ テ ン シ ンIは,肺
内 皮 に存 在 す る ア ン ギ オ テ ン シ ン変 換 酵 素(ACE)で
ア ン ギ オ テ ン シ ンIIに 更
に変 換 さ れ る。 こ の ア ン ギ オ テ ン シ ンIIが 各 標 的 器 官 の 膜 上 に存 在 す る ア ン ギ オ テ ン シ ンIIレ セ プ タ ー と結 合 し細 胞 内 に情 報 を伝 達 す る こ と に よ り心 血 管 系 ,腎 臓,副
腎,脳
な ど に お い て 様 々 な働
き を す る 。 ア ン ギ オ テ ン シ ンIIは 強 い 末 梢 血 管 収 縮 作 用 を 有 し昇 圧 を も た ら し,ま た 副 腎 に作 用 し 第68巻
第12号
日
本
内
分
泌
学
会
雑
誌
1241
て ア ル ドス テ ロ ン の 分 泌 を 刺 激 す る。 この レ ニ ン の 腎 内 で の 産 生 部 位 を 同 定 す るた めHartroft 作 成 した レニ ン抗 体 を用 い,蛍
光 抗 体 法 で 糸 球 体 細 胞 内 に レニ ン を 同 定 し,レ ニ ン が輸 入 細 動 脈 壁
の 傍 糸 球 体(juxtaglomerular:JG)細 ら の レニ ン分 泌 がRA系 れ,更
2)らが イ ヌ の レニ ン を ウ サ ギ に 注 射 して
胞 で 産 生 され る こ と が 明 らか に な っ た 。 こ の よ う に 腎 臓 か
全 体 の 律 速 段 階 と な る た め,そ
に レ ニ ン活 性 や レニ ン濃 度 の 測 定 法 が 開 発 さ れ,そ
の 分 泌 調 節 に 関 す る研 究 が 古 くか らな さ れ を 用 い て レニ ン分 泌 機 序 が 詳 細 に 研 究
され る よ う に な っ た 。 ま た ア ン ジ オ テ ン シ ンIIの 作 用 機 序 に つ い て は 細 胞 レベ ル で の 解 明 が進 ん で い る。 本 稿 で は レ ニ ン 分 泌 の 細 胞 性 機 序 とRA系
の 主 要 ホ ル モ ン の ア ソ ギ オ テ ン シ ンIIの 細 胞 性 作 用
機 序 に つ い て 最 近 の ア ン ギ オ テ ン シ ンIIレ セ プ タ ー の 分 子 生 物 学 的 知 見 を 含 め述 べ る。 I.レ
ニ ン分 泌 に つ い て
従 来 よ り腎 のJG細
胞 か ら の レニ ン 分 泌 を 調 節 す る 因 子 と して 大 き く分 け て 次 の4機 構 が 考 え ら
れ て い る。 (1)糸 球 体 輸 入 細 動 脈 の 灌 流 圧 ま た は 細 動 脈 壁 張 力 の 変 化 をJG細 節 す る 圧 受 容 体 機 序,(2)Henle係 (密 集 班:マ
ク ラ デ ン サ)が
デ ンサ 機 序,(3)交
胞 が 感 知 して レ ニ ン分 泌 を 調
蹄 上 行 脚 終 末 部 と 遠 位 尿 細 管 と の 境 界 部 に あ る特 殊 な 細 胞 群
そ の 管 腔 内 液 のNaCl負
荷 量 を 感 知 して レニ ン 分 泌 を 調 節 す るマ ク ラ
感 神 経 の 末 端 が 傍 糸 球 体 装 置 に 分 布 して お り,β 受 容 体 刺 激 が レニ ン分 泌 を 調
節 す る交 感 神 経 機 序,(4)ア
ン ギ オ テ ン シ ンII,ア
デ ノ シ ンな ど の ホ ル モ ン(情 報 伝 達 系)な
どが
直 接 関 与 す る機 序 な ど の 調 節 機 序 の 関 与 が 広 く報 告 され て い る。 しか し一 つ の 機 序 を 他 の もの か ら 完 全 に 単 離 して 研 究 を行 う こ と は 困 難 で あ り,腎 切 片 や 単 離 灌 流 糸 球 体,腎
皮質細 胞 浮遊液 などを
用 い た 実 験 モ デ ル が 用 い ら れ て い る。 筆 者 ら は 単 離 し た輸 入 細 動 脈 を使 用 して レニ ン分 泌 の 研 究 を 行 っ て お り我 々 の 研 究 室 の 業 績 を も と に述 べ る 。 1)マ
ク ラ デ ン サ に よ る レニ ン 分 泌 の 調 節
腎 臓 の 傍 糸 球 体 装 置(juxtaglomerular
apParatus,JGA)は
特 殊 な 尿 細 管 上 皮 細 胞 の 一 群 で あ る マ ク ラ デ ン サ,糸
ヘ ン レの ル ー プ 上 行 脚 末 端 部 に あ る
球 体 輸 入 細 動 脈,輸
出細 動 脈 お よ び 糸 球 体 外
メサ ン ギ ウ ム細 胞 が 緊 密 に接 して つ く られ る特 異 な構 造 を と り,こ の 装 置 は レニ ンを 産 生,分 て 生 体 の 血 圧 を 調 節 す る と と もに 尿 細 管 内 に 濾 過 さ れ たNaC1を
泌 し
感 知 して 輸 入 細 動 脈 を 収 縮,あ
る
い は 弛 緩 させ る こ と で 糸 球 体 濾 過 量 を調 節 して い る と 考 え られ て い る腎 内 分 泌 器 官 で あ る。 中 で も マ ク ラデ ンサ は 古 くか ら尿 細 管 内 液 の 組 成 を感 知 す る と考 え ら れ,マ
ク ラ デ ン サ に お け るNa負
荷
量 の 増 減 が レ ニ ン分 泌 を調 節 す る と言 う考 え が 提 唱 さ れ る と と も に,一 方 で 糸 球 体 機 能 を も調 節 す る と考 え られ て お り こ の機 構 は 尿 細 管 ― 糸 球 体 フ ィ ー ドバ ッ ク機 構(tubuloglomerular TGF)と
feedback,
呼 ば れ て い る。 こ の よ うに マ ク ラデ ン サ は レニ ン分 泌 に 密 接 に関 連 して い る と考 え られ
て き た が,い
ず れ もそ の 技 術 的 な 問 題 点 か ら間 接 的 な証 明 に 留 ま っ て い た 。 最 近,JGAを
剖 法 で 単 離 し,輸 入 細 動 脈,マ
ク ラデ ンサ,ま
微小 解
た そ の両 方 を 同 時 に 微 小 灌 流 して レニ ン分 泌 並 び に
糸 球 体 血 行 動 態 を 直 接 検 討 す る こ と が で き る よ うに な っ た 。 i)基 礎 レニ ン分 泌 に 対 す る 効 果 伊 藤 らは 顕 微 解 剖 法 に よ りマ ク ラ デ ン サ の 基 礎 レニ ン遊 出 に 対 す る影 響 を 調 べ る た め,ウ
サギ輸
入 細 動 脈 単 独 と マ ク ラ デ ンサ 付 随 輸 入 細 動 脈 を 分 離 す る こ と に 成 功 し,そ れ ら の レニ ン分 泌 量 を 比 較 検 討 した 。 そ の 結 果,摂
取 食 塩 量 に 関 わ らず マ ク ラ デ ン サ が 付 随 して い る輸 入 細 動 脈 の 方 が 付 随 第68巻
第12号
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血圧 調 節 ホル モ ンの 分泌 と細 胞性 作 用 機序(阿 部,他1名)
して い な い 輸 入 細 動 脈 に 比 較 して レ ニ ン遊 出 量 が 低 か っ た3)(図1)。 す る レニ ン遊 出 の 割 合 も,マ
同 様 に,組
織 レ ニ ン含 量 に対
ク ラ デ ン サ が 存 在 す る輸 入 細 動 脈 の方 が 低 か っ た 。 こ の こ と は マ ク ラ
デ ン サ が イ ソ キ ュ ベ ー シ ョン溶 液 中 の 高NaC1濃
度 を感 知 し レニ ン遊 出 の 調 節 に抑 制 的 に働 い た と
考 え られ る。 Briggsら
は さ ら にin vitroの 微 小 灌 流 法 を 用 い て レニ ン遊 出 の 大 部 分 の 変 化 は 尿 細 管 腔 内 液 の
生 理 的 範 囲 内NaC1濃
度(20-80mEq/L)で
因 子 は マ ク ラ デ ン サ 内 のNaC1濃 NaC1量
起 こ る こ と を 報 告 し4),レ ニ ン遊 出 を 決 定 す る 主 要 な
度 で あ りマ ク ラ デ ンサ 部 の 血 流 速 度 や マ ク ラ デ ン サ に 到 達 す る
で は な い こ と を 示 した 。
図1.輸
入 細 動脈 単 独(○)と
輸 入細 動 脈 ー マ ク ラデ ンサ複 合体(●)に
る レニ ン基 礎 遊 出率 と組 織 レニ ン含 有量 との 関係 Af:輸 入 細 動 脈 MD:マ
図2.JGA灌
ク ラデ ンサ
流実験
Af-Art:輸
入 細 動 脈GL:糸
Ef-Art:輸
出 細 動 脈MD:マ
ク ラデ ン サ
DCT:遠
位 曲 尿 細 管TAHL:ヘ
ン レル ー プ の 太 い 上 行 脚
第68巻
球体
第12号
おけ
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ま た 伊 藤 ら は 糸 球 体 血 行 動 態 と レニ ン遊 出 と の 関 係 を調 べ る た め 単 離JGAの て(図2)マ
ク ラ デ ンサ が 尿 細 管 腔 内NaCl濃
灌 流実験 系 を用 い
度 を 感 知 して 輸 入 細 動 脈 血 管 動 態 の 制 御 に 関 係 して
い る こ と を 示 し,レ ニ ン分 泌 機 構 に お け るTGFの
関 与 を 示 唆 した5)(図3)。
分 泌 調 節 の た め マ ク ラ デ ンサ で 感 知 さ れ る シ グ ナ ル はNa+で
な くC1で
し か し最 近,レ
ニン
あ るとの報 告 が なされ注 目
さ れ る6)。
図3.高NaClMD灌
流 液 に よ るAf-Artの
収 縮 お よび フ ロセ ミ
ドに よ る収 縮 阻 止 L:低NaClマ
ク ラ デ ン サ 灌 流 液 時F:フ
H:高NaClマ
クラ デ ンサ灌 流 液 時
ii)プ ロ ス タ グ ラ ン デ ィ ン(PG)と
ロセ ミ ド
の関係
JG細 胞 か らの レ ニ ン遊 出 は ア ラ キ ド ン酸 代 謝 物 で 影 響 を受 け る こ と が 報 告 さ れ て い る7)∼10)。 腎 に お け るPG産 Henle係
生 局 在 は 血 管 系,糸
球 体 メ サ ン ギ ウ ム 細 胞,集
合 管 尿 細 管,髄
質 問 質 細 胞,
蹄 上 行 脚 で あ る と報 告 され て お り,な か で も血 管 系 で はPGI、 が 主 に 産 生 され,こ
れ に対
して 尿 細 管 や 髄 質 問 質 細 胞 で 産 生 さ れ る の は殆 ど がPGE、 で あ る と さ れ て い る。 マ ク ラ デ ン サ の な い 単 離 輸 入 細 動 脈(JG細
胞 を 含 む)を
用 い た 実 験 系8)10)では,ア
ラキ ドン酸 の
投 与 に よ り輸 入 細 動 脈 か らの レニ ン遊 出 は 亢 進 した 。 これ は輸 入 細 動 脈 の 段 階 で ア ラキ ドン酸 代 謝 が 起 こ り レ ニ ン遊 出 を 亢 進 さ せ た た め と 考 え られ る。 こ の レニ ン遊 出 の 亢 進 は,PGI、 特 異 的 阻 害 剤 で あ る9,11-azoprosta-5,13-dienoicacid(azo ア ラ キ ドン酸 か らはPGI2とPGE2が
生 成 さ れ る が,こ
analog
の生 合成 を
1)の 前 処 理 で 消 失 し た 。
の こ と か ら ア ラ キ ド ン酸 に よ る レ ニ ン遊 出 亢
進 を 担 うの はPGI、 で あ ろ うと 考 え られ る。 最 近,PGI,の
代 謝 産 物 で あ る6-keto-PGE1がPGI2と
同 様 の 血 管 拡 張 作 用 を 持 ち,PGI、
で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る。 我 々 の 実 験 成 績 で は6-keto-PGE、 を 亢 進 させ た10)。同 様 の 報 告 が ウ サ ギ 腎 皮 質 切 片,ラ 認 され て い る 。 この よ う に,6-keto-PGE、
よ り安 定
は 輸 入 細 動 脈 か らの レ ニ ン遊 出
ッ ト単 離 灌 流 腎 お よ びin vivoに
お い て も確
は 外 因 性 に投 与 す る と 強 い レニ ン遊 出 刺 激 作 用 を 発 揮
す る こ とが 明 ら か と な っ た 。 第68巻
第12号
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一方
血圧 調 節 ホル モ ンの 分泌 と細 胞性 作 用 機序(阿 部,他1名)
,主
と して 尿 細 管 や 髄 質 問 質 細 胞 で 産 生 さ れ るPGE,を
単 離 輸 入 細 動 脈 と 単 離 輸 入 細 動 脈+
マ ク ラ デ ンサ に 作 用 させ た と こ ろ,単 離 輸 入 細 動 脈 に お い てPGE,は マ ク ラ デ ン サ を 含 む 輸 入 細 動 脈(JG細 加 した9)。 こ の よ う にPGE2は
胞 を 含 む)をPGE,で
レニ ン遊 出 を 全 く増 強 させ ず ,
刺 激 す る と ,レ ニ ン遊 出 率 は 有 意 に増
マ ク ラ デ ン サ を持 た な い 単 離 糸 球 体 や 輸 入 細 動 脈 で は レ ニ ン遊 出 に
影 響 し な い が,細 動 脈 一 マ ク ラデ ンサ 両 者 の 場 合 に の み レニ ン遊 出 を 亢 進 さ せ る 。こ の こ と はPGE, が マ ク ラ デ ン サ の レ ニ ン遊 出 作 用 に 関 与 して い る こ とを 示 唆 す る。 腎 で は 糸 球 体 を 含 む 血 管 系,髄 質 問 質 細 胞,集 者 は 主 にPGE2を
合 管 細 胞 でPGの
生 合 成 が 見 られ,こ
の う ち血 管 系 は 主 にPGI,を
生 合 成 して い る こ と が 示 さ れ て お り,各 組 織 で の 特 異 的PGの
合 成 し,後
の二
産 生 が レ ニ ン遊 出
調 節 お よ び 腎 ・尿 細 管 機 能 の 調 節 に 重 要 な役 割 を 果 た して い る も の と考 え られ る。 更 に ル ー プ利 尿 剤 は,Henle係
蹄 上 行 脚 でNaC1の
能 動 輸 送 を 阻 害 し利 尿 を起 こ す こ と が知 ら れ
て お り,同 時 に レニ ン遊 出 を 刺 激 す る こ と が 認 め ら れ て い る。 こ の ル ー プ 利 尿 剤 に よ る レニ ン遊 出 の 亢 進 に は 種 々 の 機 序 が 関 与 して い る と され て お り,マ あ る と 考 え ら れ て い る 。Vanderら ンサ に お け るNaC1の
ク ラ デ ン サ 機 序 もそ の 重 要 な も の の1つ で
は 麻 酔 下 の イ ヌ を 用 い た 実 験 に 基 づ き,フ
ロ セ ミ ドは マ ク ラ デ
能 動 輸 送 を 直 接 抑 制 す る こ と に よ り レ ニ ン遊 出 を亢 進 させ る と の 仮 説 を 立 て
た11)。筆 者 ら の顕 微 微 小 解 剖 法 の 実 験 モ デ ル に お い て フ ロ セ ミ ドの 作 用 を 検 討 した と こ ろ ,輸 入 細 動 脈 単 独 に投 与 して も レニ ン遊 出 に は 全 く影 響 を及 ぼ さな か っ た 。 一 方 マ ク ラ デ ン サ が 存 在 す る場 合 は 著 明 に レニ ン遊 出 を 亢 進 さ せ る こ と が 示 さ れ た9) 。 この 観 察 結 果 は,フ
ロ セ ミ ドの レニ ン遊 出 刺 激 作 用 に マ ク ラ デ ンサ の果 た す 役 割 が 不 可 欠 で あ る こ と を 示 す
最 初 の 直 接 的 な証 拠 と 考 え られ る。 2)ア デ ノ シ ン ア デ ノ シ ンは 腎 臓 内 の 組 織 で 生 成 され,腎 な影 響 を 及 ぼ す 。NaC1が
増 加 し てNa輸
血 流 量 と そ の 分 布 ,糸 球 体 濾 過 率,レ
送 が 増 加 す る と ,ATPの
ニ ン遊 出 に 大 き
分 解 が 亢 進 し,AMPの
増加 と
ア デ ノ シ ン の 生 成 が 起 こ る 。 腎 内 で 生 成 され た ア デ ノ シ ン は レ ニ ン遊 出 調 節 に重 要 な 役 割 を 果 た し て い る と の報 告 が な され て い る12)。筆 者 ら は ア デ ノ シ ン と ア デ ノ シ ン受 容 体 拮 抗 薬 の テ オ フ ィ リ ン が レ ニ ン遊 出 に及 ぼ す 影 響 を 調 べ た 。 輸 入 細 動 脈 単 独 に ア デ ノ シ ン を に 加 え た 場 合 有 意 に減 少 した 。 しか し,マ
,レ
ニ ン遊 出 は
ク ラ デ ンサ の 付 随 した輸 入 細 動 脈 に投 与 して も え て も レニ ン遊 出 に 変
化 は 認 め ら れ な か っ た 。 これ は イ ン キ ュベ ー シ ョン液 の 高NaCl濃 多 量 の ア デ ノ シ ンが 生 成 さ れ,こ
度 に反 応 して,マ
クラデ ンサで
の 内 因 性 に生 成 さ れ た ア デ ノ シ ンが レニ ン遊 出 を 抑 制 し,マ
クラ
デ ンサ が 付 随 して い な い 時 よ り も付 随 して い る 時 の 方 が低 い基 礎 レニ ン遊 出 を 惹 き起 こ して い る と 考 え ら れ た 。 次 に マ ク ラ デ ン サ存 在 下 で の 低 レニ ン遊 出 が ア デ ノ シ ン の 高 レベ ル に よ る も の で あ る か ど うか を 検 討 す る た め,ア
デ ノ シ ン受 容 体 は 遮 断 す る が ホ ス ホ ジ エ ス テ ラー ゼ は 阻 害 しな い 濃 度
の テ オ フ ィ リ ン を 加 え た と こ ろ,テ
オ フ ィ リ ンは マ ク ラ デ ン サ が 付 随 して い る時 の み レ ニ ン遊 出 を
亢 進 さ せ マ ク ラ デ ン サ の レニ ン抑 制 作 用 は 消 失 した 。 こ れ ら は,マ さ れ,こ
の ア デ ノ シ ン がJG細
胞 へ 伝 え られ,レ
ク ラデ ンサ で ア デ ノ シ ンが 生 成
ニ ン遊 出 を 抑 制 す る可 能 性 の あ る こ と を 示 唆 して
い る も の で あ る。 II.ア
ン ギ オ テ ン シ ンII
1)細 胞 性 作 用 機 序 ア ン ギ オ テ ン シ ンIIの 標 的 器 官 と して は 主 と して 血 管 平 滑 筋 ,副 腎,腎
臓,肝
臓,脳
な どが挙 げ
ら れ る。 血 管 平 滑 筋 や 副 腎 に お い て は ア ン ギ オ テ ン シ ンIIは 細 胞 膜 表 面 の レセ プ ター に 結 合 し前 者 第68巻
第12号
日 で は 血 管 平 滑 筋 の 収 縮,後
本
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分
泌
学
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雑
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者 で は ア ル ドス テ ロ ンの 生 合 成 を 刺 激 す る。 副 腎 皮 質 に お い て は ア ン ギ
オ テ ン シ ンIIが 細 胞 膜 の イ ノ シ トー ル 燐 酸 代 謝 を 刺 激 し細 胞 内 カ ル シ ウ ム を 動 員 し ま たCキ
ナー
ゼ を 活 性 化 す る こ とが 知 られ て お り,こ れ らの シ グ ナ ル が 副 腎 皮 質 に お い て 効 果 を発 揮 して い る13) 。 著 者 ら は 培 養 血 管 平 滑 筋 細 胞 を用 い て 主 と して ア ン ギ オ テ ン シ ンIIの 細 胞 内 イ ノ シ トー ル 燐 酸 と カ ル シ ウ ム の 関 連 を 調 べ た14)。ま ず レー ザ ー 蛍 光 顕 微 鏡 を用 い 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 貯 蔵 部 位 の 局 在 部 位 をfura-2を
用 い て 観 察 した 。 更 に 細 胞 外 カ ル シ ウ ム を 除 去 した 条 件 下 で 血 管 収 縮 ホ ル モ ン で 刺 激
す る と一 過 性 の 細 胞 内 カ ル シ ウ ム の 増 加 が認 め られ る こ とか ら こ の カ ル シ ウ ム の 動 員 は 細 胞 内 カ ル シ ウ ム 貯 蔵 部 位 か らの カ ル シ ウ ム放 出 に よ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 他 の 組 織 に お い て は こ の ホ ル モ ン に よ る カ ル シ ウ ム の動 員 は イ ノ シ トー ル 三 燐 酸 に よ る も の で あ る と示 され て お り,我 々 も血 管 平 滑 筋 で 同様 の こ と を 確 認 した(図4,5)。
更 に 高 速 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィー に よ る解 析 に よ り イ ノ シ
トー ル 三 燐 酸 の 代 謝 も細 胞 内 カ ル シ ウ ム 動 員 に 関 与 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ア ンギ オ テ ン シ ン の 投 与 に よ り細 胞 内 カ ル シ ウ ム は 著 明 に 増 加 した 。 ま た ア ン ギ オ テ ン シ ンIIに よ る カ ル シ ウ ム 動 員 は カ ル シ ウ ム 拮 抗 剤 で は 受 け な か っ た こ と か ら,ア
ン ギ オ テ ン シ ンIIは 電 位 依 存 性 カ ル シ ウ ム チ ャ ン ネ
ル とは 関 連 して い な い と考 え られ た 。 こ の こ とか ら も,ア
ンギ オ テ ン シ ン の 細 胞 内 カ ル シ ウ ム増 加
に は 細 胞 内 部 に お げ る カ ル シ ウ ム 動 員 が 関 与 して い る と 考 え られ る。 更 に ア ン ギ オ テ ン シ ンIIに よ る イ ノ シ トー ル 燐 酸 代 謝 はCキ
ナ ー ゼ を 活 性 化 す る機 構 と も 共 役 し,Cキ
の 細 胞 性 機 構 を 示 す も の と 考 え られ る。 そ の
ナ ー ゼ 活 性 に よ り種 々
一 つ と して 転 写 因 子 の 一 つ で あ るAP1を
調 節 に 関 与 す る 可 能 性15)16)や 細 胞 内 カ ル シ ウ ム と 同 調 してPGの
生 合 成 を 刺 激 す る こ と17)が示 さ れ
てい る。
図4.血
管 平 滑 筋 に お け るア ンギ オテ ンシ ンIIの 細 胞 内 カ ル シ ウム増 加 作用
図5.血
管 平 滑 筋 に お け る ア ン ギ オ テ ン シ ンIIの イ ノ シ トー ル燐 酸 生 合成
第68巻
第12号
介 して 転 写
1246
血 圧 調節 ホル モ ンの分 泌 と細 胞 性作 用 機 序(阿 部,他1名)
2)ア
ンギ オ テ ン シ ンIIレ セ プ タ ー
近 年 の 分 子 生 物 学 の 著 しい 進 歩 と共 にRA系 る レ ニ ン,ア
も ま た そ の 対 象 と され,そ
ン ギ オ テ ン シ ノ ゲ ン,ACEのcDNA構
れ ぞ れの構 成 要 素で あ
造 が 明 ら か に され て き た 。
ア ン ギ オ テ ン シ ンIIレ セ プ タ ー は 薬 理 学 的 に は2つ に 大 別 され る。1つ はAT1レ れ る もの で 特 異 的 非 ペ プ チ ド拮 抗 剤 で あ るDu753(MK954)に も う 一 つ はAT2レ PD123177に
高 度 に親 和 性 を 持 つ タ イ プ で あ り,
セ プ タ ー と 呼 ば れ ペ プ チ ド性 拮 抗 剤CGP421122Aや
親 和 性 を 示 す 。AT1レ
セ プ ター と 呼 ば
非 ペ プ チ ド拮 抗 剤 の
セ プ タ ー は 腎 メ サ ン ギ ウ ム 細 胞 で は ホ ス ホ リパ ー ゼCに
カ ップ
ル す る の に 対 して 尿 細 管 上 皮 で は ア デ ニ レー トシ ク ラ ー ゼ を 抑 制 す る 働 き が あ る。 一 方AT2レ プ ター はAT1レ
セ プ タ ー と異 な りG蛋
造 も異 な る と 考 え ら れ る 。 ま たAT、 クGMPレ DTTに
セ
白 と は カ ッ プ ル しな い と考 え られ て お り,お そ ら くそ の 構 レセ プ タ ー は 新 生 児 ラ ツ トの ニ ュ ー ロ ン に お い て サ イ ク リ ッ
ベ ル を 下 げ る働 きが あ る と の報 告 も あ るが 未 だ 明 ら か で は な い 。 更 にAT、 レ セ プ タ ー は よ り失 活 す るがAT、
レセ プ ター は 失 活 しな い 。 お の お の の レ セ プ タ ー の 分 布 は 組 織 並 び に
種 族 間 で 著 し く異 な る。AT1レ
セ プ タ ー は 血 管 平 滑 筋 並 び に 副 腎 球 状 層 細 胞 に 主 に 分 布 し,AT、
セ プ タ ー は ラ ッ ト副 腎 髄 質,子
宮 あ る い はPC12細
幼 若 期 に お い て 副 腎 皮 質 や 大 脳,更
レ
胞 に 多 く分 布 して い る 。 更 に ラ ツ トに お い て は,
に げ っ し類 の 胎 児 皮 膚 並 び に 骨 格 筋 に も― 一過 性 の 発 現 が認 め ら
れ る こ と か ら ア ン ギ オ テ ン シ ソIIの 持 つ 発 達 に お け る 作 用 と の 関 連 が 示 唆 さ れ る。 最 近2つ の グル ー プ か ら ほ ぼ 同 時 にexpression のcDNA構
cloningの
方 法 を用 い て そ の うちAT1レ
セプ ター
造 が 明 ら か に な っ た18)19)。Inagamiら の グ ル ー プ は 牛 副 腎 培 養 細 胞 か ら,Murphyら
ラ ッ ト大 動 脈 血 管 平 滑 筋 由 来 のcDNAを ら な りhydropathy
analysisか
らG蛋
白 に カ ッ プ ル す る レセ プ タ ー に 共 通 の 構 造 で あ る7回 膜 貫 通
領 域 を 持 つ こ と が 明 らか と な っ た 。bindingassayに トで あ るPD123177に
は
単 離 し た 。 これ らの レセ プ タ ー は ど ち ら も359ア ミ ノ酸 か
対 して は 結 合 せ ず,ど
よ っ て,AT,レ
セ プ ター に選択 的 な ア ゴニ ス
ち らの ク ロ ー ソ も薬 理 学 的 に はAT、 レ セ プ タ ー の プ ロ
フ ァ イ ル の み を 示 した 。AT、レセ プ タ ー に つ い て は 現 在 そ の ク ロー ニ ン グ が進 行 中 で あ る。ま たAT、 レセ プ タ ー の サ ブ タ イ プ が い くつ か 報 告 さ れ て い る20)21)。 最 近AT、
レセ プ タ ー の ゲ ノ ム 遺 伝 子 も ク
ロー ニ ン グ さ れ そ の 構 造 が 明 ら か と な っ た22)23)。 更 に5'上 流 領 域 の 構 造 も 明 らか と な り転 写 調 節 の 研 究 が 進 み つ つ あ る22)。 おわ りに 血 圧 調 節 ホ ル モ ン と して の レニ ン ー ア ン ギ オ テ ン シ ン系 に つ い て,腎 序 を 当 研 究 室 の デ ー タ を 中 心 に述 べ,更
臓 か らの レ ニ ン遊 出 作 用 機
に 最 近 そ の 一 次 構 造 が 明 らか に な っ た ア ン ギ オ テ ン シ ンII
受 容 体 に つ い て 概 説 した 。 近 年 の 分 子 生 物 学 的 研 究 と腎 生 理 学 と の 連 携 が これ か ら一 つ の重 要 な 問 題 と考 え ら れ る。 文
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