Exp. Anim. 41(4), 481-489,

Effect

of Sex Hormones on the Onset of Diabetic Syndrome in WBN/Kob Rats

Tadashi

SAEGUSA,

Hiroshi KON *, Minoru and Isao NARAMA * **

TSUCHITANI

**,

Toxicology Research Laboratories, Fujisawa Pharmaceutical Co., Ltd., 2-1 Kashima, Yodogawa-ku, Osaka-shi, Osaka 532, *Naruto Research Laboratories, Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc., 115 Tateiwa, Muya, Naruto-shi, Tokushima 772, **Mitubishikasei Institute of Toxicological and Environmental Sciences, 14 Sunayama, Hasakimachi, Ibaraki 314-02,and ***Research Institute of Drug Safety, Setsunan University, 45-1 Nagaotoge-cho, Hirakata-shi, Osaka 573-01,Japan (Received

The

effects

strain

of

rats,

effects

i.

of

sex

sex

no

in

of

the

the

this

the

of

that the

the

Body of

the

diabetic

weights

and

treated

females.

female

animals.

of

the

aciner

of

the

non-treated

the

males,

and

females.

hormone

suppressed

the

hormone

accelerates

the

WORDS

: diabetes,

estrogen,

of

were

in

castrated

the

age

in

the

the

than

These

testosterone,

with

glycosuria

WBN/Kob

雅 ・昆

稔**・ 奈 良 間

藤沢薬品工業株式会社安全性研究所 *株式会社大塚製薬工場鳴門研究所 **株式会社三菱化成安全科学研究所 ***摂南 大学薬物安全科学研究所

non-

spayed atrophy to

those

and

rat

功***

and in

that

ッ トの 糖 尿 発 症 に 及 ぼ す

弘 志*・ 土 谷

the

rats. •\KEY

WBN/Kob

of

the

observed

性 ホ ル モン の 影 響 三 枝

of

females

suggest

the

than

similar

findings

along in

not

these

Those

in

spayed

were

the

lower

that

cells

the

in Before

revealed

islet

In

in

gain

males,

changes

hyperglycemia

group.

males.

pancreas the

weeks

weeks

were

body-weight

castrated

these

55

impaired

heavier

of

the

of

estrogen-treated much

30

group.

spayed

was

were

estrogen-

about

males

of

hyperglycemia

gonadectomy,

WBN/Kobラ

the

males.

of

weeks

disappearance rats

estrogen-treated

onset

72

from

of

the

tolerance

in

However,

onset

in

accelerated

and male

weeks

and

age

and

There

females the

The

tolerance

animals.

estrogen-treated

examination

atrophy

or

of

and

treatment

WBN/Kob

females

age

especially

Histopathological

52

glucose

castrated

these

from

WBN/Kob rats.

glucose

non-treated

appear

females

Testosterone

tissue

of

to the

testosterone-treated

testosterone-treated non-treated

from

the

in

non-treated

change,

observed

age

symptoms, of

non-treated

spayed

the

be

began

and

investigated

among in

to

1992)

and

compared

from

symptom

were

body-weight

began

group

onset

animals.

conditions

parameters

and

19 June

hormone-treated,

were

these

group

testosterone-treated

diabetic

glycosuria,

glycosuria

animals,

1992/Accepted

spayed,

pancreas in

The

non-treated

female

or on

changes

males.

on

castrated

hormone

abnormal

treated

hormone

e.,

histopathology

21 April

the

female male

1992

482

三枝

WBN/Kobラ

雅 ・昆

ッ トに お け る尿 糖 排 泄 を 伴 う糖 尿 病 お

よび そ れ に 伴 う種 々の 合併 症(白 Armanni-Ebstein病

変,糸

内 障,腎

弘志 ・土谷

稔

他

し,各 群 に それ ぞれ18,37お

よび19匹 を 配 した 。 な お,

臓 にお け る

卵 巣 摘 出 は3週 齢 の 時 点 に お い て ケ タ ラ ール 麻酔 下 で 背

球体病変 な らびに 末梢 神

部 を 剃 毛 後 に 背 部 正 中 線 の 皮 膚 お よび 左 右 背 筋 を 切 開 し

経 に お け る神 経 症 等)は 雄 だけ に認 め られ,そ

の発 症 に

対 す る明 らか な性 差 が存 在 す る[3,11,15,16]。

て卵 巣 を割 去 した 。 ま た,Testosterone

しか し,著 者 らは本 系 統 雌 ラ ッ トに お い て も,そ の卵 巣 を摘 出す る こ とに よ り全 例 に 雄 ラ ッ トと 同質 の膵 臓 の

propionate(SIGMA

Company製Lot

Chemical

No.114F-04301)はcorn

し,3.0mg/head/weekを4週

oilに 溶 解

齢 か ら60週 齢 に か け て1

外 分 泌 腺 組 織 の萎 縮 お よび膵 島 の萎 縮 ・消 失 が 認 め られ

週 間 に 一 度 テ ス トステ ロ ン投 与 群 の 背 部 皮 下 に 投 与 し

る こ と,加 えて,そ

た 。 これ ら各 群 の全 例 を 無処 置対 照 群 お よび卵 巣 摘 出群

の一 部 例 に 多 飲 ・多 尿,白

内障,尿

糖 排 泄 お よび高 血 糖 状 態 な どが 発 現 す る こ とを 指 摘 し,

で は88週

これ ら の こ とか らWBN/Kobラ

した 。

ッ トの 糖 尿 病 の 発 症 に

は 雌 性 ホ ル モ ンが 抑 制 的 に 関 与 して い る こ とを 推察 した [7]。 本 報 告 で は,WBN/Kob雌

雄 ラ ッ トの 性腺 摘 出 に

4.検

1)体

齢,テ

ス ト ス テ ロ ン 投 与 群 で は75週 齢 ま で 飼 育

査 項 目

重 お よび尿 糖 の測 定:実 験期 間 中,全 例 の体 重

加 え て雄 に 雌 性 ホ ル モ ン,雌 に雄 性 ホ ル モ ンを 投 与 し,

を週1回 測 定 し,定 期 的 に全 例 の新 鮮 尿 を 採 取 して尿 糖

糖 尿 病 態 発 症 に 対 す る性 ホル モ ンの 影 響 を 検討 した 。

検 査 紙(Eli-Lilly社

製Tes-Tape(R))に

よ り尿 糖 の 発

現 の有 無 を調 べ た。

材料 および方法

2)耐

糖 能 検 査:雌 雄 各 群 の5例 に つ い て30お よび60

週 齢 の時 点 で ブ ドウ糖 負 荷 に よ る 耐 糖 能 検 査 を 実 施 し 1.供

試 動物:実 験 に はWBN/Kobラ

ッ トの 雌 雄 計

127匹 を使 用 した。 2.飼

食 を施 し,無 麻 酔 下 で 眼 窩 静 脈 叢 よ り負 荷 前 の 採 血 を 行

育 条 件:実

験 期 間 を 通 じて 動 物 を 温 度24±2

℃,湿 度50±10%,換

気 回数 約16回/時,8時

ま で の12時 間 照 明下 のBarrier施

っ たの ち40%glucose水

か ら20時

設 内で 網 底 ・尿 皿 付

き の ス テ ン レス性 ケ ー ジ(幅37cm× 19cm)に1な

奥 行47cm×

高 さ

い し5匹 ず つ 飼 育 し,放 射 線 照 射 滅 菌 さ

れ た固 形 飼 料(株 式 会 社船 橋 農 場 製FR-2)お

よび 塩 素

滅 菌 され た井 水 を 自 由に 摂 取 させ た 。 験群の構成

1)雄

ラ ッ ト実 験 群:無 処 置 対 照 群,精 巣 摘 出 群 お よ benzoateを

ス トロ ジ ェ ン投 与群)の3群

に そ れ ぞ れ15,9お

製)を 用 い て 測 定 した 。 な お,用 い た機 器 の 特 性に よ り,血 糖 の 定 量 は400mg /dlが 上 限 で あ った の で,そ れ 以上 の値 はす べ て400mg

投 与 した 群

を 設 定 し,各

群

よび29匹 の 動 物 を 配 した 。 な お,去

清 生 化 学 的 検 査:雌

計 画 屠 殺 時 の 前 日 よ り約16時

雄 各 群 の全 例 を それ ぞれ の 間 絶 食 させ た の ち,エ

ル 麻 酔 下 で 腹 部 大 動 脈 よ り採 血 し,遠 れ た 血 清 に つ い て,グ

ル コ ー ス(Glu:酵

リ性 ホ ス フ ァ タ ー ゼ(A:LP:Kind-King変

毛 後 に 陰 茎前 方 の腹 部 正 中腺 を 切 開 して精 巣 と精 巣 上 体

グ リセ ラ イ ド(TG:酵

を 摘 出 す る こ とに よ って 実 施 した 。

hol:酵

SIGMA

benzoate(β-estradiol3-benzoate

はcorn

Chemical oilに

Company製Lot

ら60週 齢 に か け て1週

(Creat:Jaffe変

No.63F-0541)

溶 解 し,50.0μg/head/weekを4週

齢か

間 に 一度 の割 合 で エ ス トロ ジ ェ ン

齢,精

巣 摘 出 群 で は52週

齢 お よび エ ス

ト ロ ジ ェ ン投 与 群 で は75週 齢 ま で 飼 育 し た 。 2)雌

処 置 対 照 群,卵

巣 摘 出群 お よ 投 与

下,テ

ス トス テ ロ ン 投 与 群)の3群

ラン

法),ア

ル カ

法),ト

素 法),総

蛋 白(TP:Biuret法)ク 法),ア

レア チ ニ ン

ル ブ ミ ソお よび ア ル ブ ミ ン ・ ビ リル ビ ン

(TBil:Michaelsson-Heirwegh変 シ ウ ム(S-Ca:o-CPC法)を Automatic

4)病

リ

コ レ ス テ ロ ー ル(TC

法)お

よび カル

自 動 分 析 装 置(Hitachi

Analyzer706D)に

よ り測 定 し た 。

理 組 織 学 的 検 査:血 清 生 化 学 的 検 査 で 採 血 され

た す べ て の個 体 を エ ー テル 麻酔 下 で 放 血 殺 した 後,膵 臓

び 卵 巣 摘 出 に 加 え てTestosteronepropionateを し た 群(以

ラ ッ ト実 験 群:無

素 法),ト

グ ロ ブ リ ン比(Alb&A/G:BCG法),総

投 与 群 の 背 部 皮 下 に 投 与 し た 。 こ れ ら各 群 の 全 例 を 無 処 置 対 照 群 で は69週

素 法),総

ーテ

心 分 離 に よ り得 ら

ス ア ミラ ー ゼ(GOT&GPT.:karmen変

勢 は3週 齢 の 時 点 に お い て ケ タ ラ ール麻 酔 下 で 腹 部 を剃

また,Estradiol

割合で腹腔

お よび120分 の 血

糖 値 を デ キ ス トロ ・メ ー タ ー(マ イル ス ・三 共 株 式会 社

3)血

び 精 巣 摘 出 に 加 え てEstradiol

溶 液 を2ml/kgの

内投 与 し,負 荷 前,負 荷 後30分,60分

/dlと して処 理 した。

3.実

(以 下,エ

た。 耐 糖 能 検 査 に際 して は,検 査 前 日 よ り約16時 間 の 絶

を設 定

を10ｰ6ホ ル マ リ ン液 で 固 定 し,常 法 に 従 って パ ラ フ ィ ソ 包 埋,薄 切 後,Hematoxylin-Eosin染 した 。

色 を 施 して 鏡 検

WBN/Kobラ

Fig.

1. Effect of castration weight changes in male

483

ッ トの糖 尿 発 症 の性 差

and estradiol WBN/Kob rats

benzoate

on

body

め られ な か った。 しか しな が ら,無 処 置 対 照 群 で は30週 齢 頃 か ら尿糖 陽 性(〓 ∼ 卅)例 が 出 現 し,最 終 屠 殺 時 に あ た る69週 齢 まで の累 積 尿糖 陽 性 率 は100%で

あ った。

当 該 群 の 尿 糖陽 性 例 は 尿糖 出現 に 一 致 して 多飲 ・多尿 に な り,そ の 後 削 痩,軟 便 の排 泄 お よび 白内障 な どを呈 し た 。 しか し,精 巣 摘 出 群 お よび エ ス トロ ジ ェン投 与群 で は そ れ ぞ れ52週 齢 お よび75週 齢 に 至 る まで尿 糖 排 泄 は1 例 に も認 め られ な か った 。 体 重 の推 移:各 群 の 体 重 の 推 移 をFig.1に

示 した。

エ ス トロジ ェ ン投 与 群 の 体 重 は10週 齢 以 降顕 著 な 増 加 抑 制 を 示 し,10週 齢 か ら60週 齢 に か け て 無 処 置 対 照群 と 比 べ て有 意 な低 値(約20%な

い し35%の 低 値)で 推 移 し

た。 一 方,精 巣 摘 出 群 の 体 重 は10週 齢 か ら40週 齢 まで の 他 の2群 の ほぼ 中 間 の値 で 推 移 した 。 ブ ドウ糖 負 荷 に よ る耐 糖 能 検 査:30お

よび60週 齢 に お

け る各 群 の糖 負 荷 後 の血 糖 曲 線 をFig.2に

示 した 。

30週 齢 で は無 処 置 対 照 群 の血 糖 曲 線 は す で に 糖 尿 病 型 を示 した の に対 し,他 の2群 の 血 糖 曲 線 は い ず れ も正 常 Fig.

2. Effect of castration and zoate on GTT levels in male

estradiol WBN/Kob

benrats

型 で あ った。60週 齢 に お い ては 無 処 置 対 照 群 に 加 え て精 巣 摘 出群 の血 糖 曲線 も糖 尿 病 型 を示 したが,エ

ス トロジ

ェ ン投 与 群 の血 糖 曲線 は依 然 と して正 常 型 で あ った 。 血 清生 化 学 的 検 査:各 群 の血 糖 を は じめ とす る血 清 生 化 学 的 検査 をTable1に

成

績

示 した。

屠殺 時の血 穂値 は 無 処 置 対照 群 で は395.4±93.31(211 ∼516mg/dl)で 明 らか に 高血 糖 で あ っ た の に 対 し て精 巣摘 出 群 で は235.2±26.54(193∼274mg/dl)で

1)雄

ラ ッ ト実 験 群

臨 床 症 状:各 群 と も30週 齢 まで は 一 般 状 態 に 変 化 は 認

あ り,

梢 程 度 は 軽 減 す る傾 向 に あ った が 同様 に 高血 糖 と判 定 き れ る血 糖値 を 示 した 。 これ に対 して エ ス トロ ジ ェン投 与

484

三枝

Table

1. Effect of castration in male WBN/Kob rats

Table

2. Effect of castration in male WBN/Kob rats

雅 ・昆

and

弘志 ・土谷

estradiol

and estradiol

稔

他

benzoate

on serum

biochemistry

benzoate

on pancreatic

lesions

群 の 平 均 血糖 値 は164.4±19.79mg/dl(102∼196mg/dl)

し高 度 で あ っ た。 これ に 対 し,エ ス トロ ジ ェン投 与 群 で

で あ り,ほ

は外 分 泌 線 組 織 の萎 縮 は1例 に も認 め られ な か った 。 ま

ぼ 正 常 範 囲 内 の 値 を 示 した 。

そ の 他 の 項 目で は 無処 置 対照 群 に お い て糖 尿 病性 腎症 の影 響 と思 わ れ るBUNの

た,膵 島の 萎 縮 も精 巣 摘 出 群 では9/9例 に 認 め られ,そ

高 値,糖 尿 病 に よ る脂質 代謝

の うち8例 で は 高 度 で あ った の に 対 し,エ ス トロ ジ ェ

異 常 を 反 映 した と思 わ れ る ト リグ リセ ライ ド値 の 上昇 お

ン投 与 群 では 同様 な 変 化 は1例 に も認 め られ な か った 。

よびGOT,GPTな

らび にALPの

軽 度 な増 加 が み ら

これ らの 精 巣 摘 出 群 に 認 め ら れ た 膵 臓 病 変 の 組 織 像

れ た 。 しか し,エ ス トロ ジ ェ ン投 与群 で は この 様 な変 化

は,無 処 置 対 照 群 と同 様 に膵 島 の萎 縮 ・消失,外 分 泌 線

は 認 め ら れ な か った 。

組 織 の 広 範 な 萎縮 と脂 肪組 織 に よ る置換,膵

病 理 組 織 学 的 検 査:精 巣 摘 出群 お よび エ ス トロジ ェ ン 投 与 群 の膵 臓 病 変 の発 現 頻 度 をTable2に

示 した。

膵 臓 病 変 の うち,外 分 泌 線 組 織 の萎 縮 は 精 巣 摘 出 群 で は9/9例 に認 め られ,そ

の うち7例 の変 化 は 中等 度 な い

の 周 囲 領域 の 線維 化,間

島 お よび そ

質 に お け る炎 症 細 胞 浸潤 とヘ モ

ジ デ リン沈 着 等 か ら構 成 され て い た。 これ に 対 して,エ ス トロ ジ ェ ン投 与群 の組 織 燥 で は外 分 泌 線 組 織 お よび 膵 島 に は これ らの変 化 は認 め られ なか った(Fig.3)。

WBN/Kobラ

Fig.

3. No

Fig.

2)雌

Pancreas lesion

of (H.

485

ッ トの糖 尿 発症 の 性差

castrated+Es. E. •~

male

WBN/Kob

rat

100)

4. Effect of spay and teststerone propionate weight changes in female WBN/Kob rats

ラ ッ ト実験 群

on body

内障 を 併 発 して い た 。 無 処 置 対 照 群 で は88週 齢 まで尿 糖

臨 床 症 状:各 群 と も12ヵ 月 を経 て も一般 状 態 に変 化 は

排 泄 例 は 認 め られ な か った 。

認 め られ な か った 。 しか しな が らテ ス トス テ ロ ン投 与 群

体 重 の推 移:各 群 の体 重 の 推 移 をFig.4に

で は55週 齢 時 頃 か ら尿糖 陽 性(〓 ∼卅)例

テ ス トス テ ロ ン投 与 群 の 体 重 は10週 齢 か ら尿 糖排 泄 例

週 齢 頃 まで の 累 積 尿 糖 陽 性 率 は63%で

が 出現 し,75

あ った。

これ に 対 して,卵 巣摘 出 群 で は72週 齢 時 か ら尿 糖 陽 性 (〓 ∼卅)例 が み られ,88週

齢 ま で の累 積 尿 糖 陽 性 率 は

32%で あ っ た。 ま た,こ れ ら尿 糖 陽 性 例 は 尿 糖 出 現 と同 時 に 多 飲 ・多 尿 を 呈 し,徐 々 に削 痩 した 。 また,こ の うち 約 半 数 は 白

示 した。

が出 現 す る55週 齢 ま で無 処 置 対 照 群 と比 べ て 有 意 な 高値 (約25%な

い し45%の

高 値)で 推 移 した 。 また,卵 巣 摘

出群 の体 重 も10週 齢 か ら60週 齢 に か け て無 処 置 対 照 群 と 比べ て 有意 な高 値(約20%な

い し40%の 高 値)で 推 移 し

た。 ブ ドウ糖 負荷 に よる耐 糖 能 検 査:30お

よび60週 齢 にお

486

三枝 Table 3. Effect of spay in female WBN/Kob

雅 ・昆

and teststerone rats

弘 志 ・土 谷

稔

他

propionate

on serum

biochemistry

が 明 らか で あ った の に 対 し,無 処 置 対照 群 の 血糖 曲線 は 依 然 と して 正 常 型 で あ った 。 血 清 生化 学 的 検 査:各 群 の 血糖 を は じめ とす る血 清 生 化学 的 検査 をTable3に

示 した。

無 処 置 対 照 群 の 平 均 血 糖 値 は151.2±26.33mg/dl (123∼197mg/d1)で

あ り,ほ

た 。 こ れ に 対 し て,卵

ぼ 正 常 範 囲 内 の値 を 示 し

巣 摘 出 群 お よび テ ス トス テ ロ ン 投

与 群 の 平 均 血 糖 値 は そ れ ぞ れ234.3±64.26mg/dl(202∼ 421mg/dl)お /dl)で

よ び329.9±165

あ り,明

そ の 他,テ BUN値

ス トス テ ロ ン投 与 群 で はTG,A:LP&

が 高 値 を 示 した 。

病 理 組 織 学 的 検 査:各 Table4に

.52mg/dl(143∼660mg

らか な高 血 糖 を 示 した 。

群 の膵 臓 病変 の 発現 頻度 を

示 した 。

膵 臓 病 変 の うち,外 分 泌 線 組織 の萎 縮 は 卵 巣 摘 出 群 お よび テ ス トス テ ロ ン投 与 群 では そ れ ぞ れ28/37例 お よび 15/19例 に認 め られ た。 両 群 とも こ の うちの 約 半 数 は 中 等 度 な い し高 度 な変 化 を示 した のに 対 し,無 処 置 対 照 群 Fig.

5. Effect of spay and teststerone on GTT levels in female WBN/Kob

propionate rats

の外 分 泌 組 織 は2/19例 で極 軽 度 に 萎 縮 して い るに す ぎな か った 。 また,膵 島 の 萎縮 も卵巣 摘 出群 お よび テ ス トス テ ロ ン投 与 群 で は そ れ ぞ れ35/37例 お よび19/19例 に 認 め られ,そ の ほ とん どが 高 度 な 変化 で あ った の に対 し,無

け る各 群 の 糖 負 荷 後 の血 糖 曲 線 をFig.5に

示 した 。

30週 齢 で は 各 群 の 血 糖 曲 線 は い ず れ も正 常 型 を 示 し

処 置群 で は2/19例 に 認 め られ た にす ぎ なか った。 これ らの卵 巣 摘 出群 お よび テ ス トス テ ロ ン投 与 群 に認

た 。60週 齢 に お い て は テ ス トス テ ロ ソ投 与群 の血 糖 曲 線

め られ た膵 臓 病 変 の組 織 像 は,膵

は糖 尿 病 型 を示 し,卵 巣 摘 出群 に お い て も耐 糖 能 の低 下

か,外 分 泌 線 組 織 の広 範 な 萎 縮 と脂 肪 組 織 に よ る置 換,

島 の 萎 縮 ・消 失 の ほ

WBN/Kobラ

Table

4. Effect of spay in female WBN/Kob

Fig.

6.

and rats

Pancreas or

atrophy

膵 島 お よび そ の周 囲 領 域 の 線 維 化,間

teststerone

of

Atrophy of

487

ッ トの 糖 尿 発 症 の性差

propionate

spayed+Tes.

female

disappearance exocrine

of

pancreatic

質 に お け る炎 症

on pancreatic

WBN/Kob islet

tissue

rat

tissue (H.

lesions

and E. •~

血 糖 発 症 と膵臓 病 変 が,雌

100)

ラ ッ トの 性腺 を摘 出 した場 合

細 胞 の浸 潤 とヘ モ デ ジ リン沈 着 等 か ら構 成 され て い た

に も,発 現 す る こ とか ら本 系 統 ラ ッ トの 自然 発症 糖 尿病

(Fig.6)。

の 遺 伝 的 な発 症 因 子 が 雄 だ け で な く,雌 に も存在 す る こ

この よ うな組 織 像 はWBN/Kobの

高 血糖 発

症 ラ ッ トの そ れ と同質 で あ った。 これ に対 して,無 処 置

とが 明 らか に され た[7]。

今 回 の 実 験 で は 雌 雄 ラ ッ トの

対 照 群 の膵 臓 で は 外分 泌組 織 の 萎縮 を 示 した2例 を除 い

性 腺 摘 出 とそれ に 加 え て雌 性 お よび 雄 性 ホ ル モ ン(エ ス

て 外 分 泌 組 織 お よび膵 島 の い ず れ に も明 らか な組 織 学 的

トロジ ェ ン,テ ス トス テ ロ ン)を 投 与 し,本 系 統 ラ ッ ト

変 化 は 認 め られ な か った 。

の糖 尿 病 態 に対 す る両 ホ ル モン の影 響 につ い て調 べ た。 無 処 置 雄 ラ ッ トで は30週 齢 で既 に尿 糖 陽 性 例 の発 現 を

考

伴 って 耐糖 能 が低 下 し,精 巣 摘 出群 で は60週 齢 で耐 糖 能

察

が 低 下 した の に対 し,テ ス トス テ ロ ン投 与 群 で は この様 雄 だ け に 自然 発 症 す るWBNIKobラ

ッ トに お け る 高

な 変 化 を 示 す もの は1例

もい な か った 。 した が っ て,精

488

三枝

巣 摘 出 に よってWBN/Kobラ

雅 ・昆

ッ トの糖 尿 病 態 の 発 症 は

遅 延 す る のに 加 え て,精 巣 摘 出+エ

ス トロ ジ ェ ン投 与 で

弘 志 ・土 谷

稔

他

ラ ッ トとほ ぼ 同 質 の 変化 を 示 した。 また,無 処 置 雄 ラ ッ トに 屡 々認 め られ る ト リグ リセ ライ ドの 高値 も合わ せ て

は60週 齢 まで 完 全 に 発 病 が 抑 制 され る こ とが 明 らか に な

認 め られ,テ

った 。 糖 尿 病 症 状 と膵臓 の 組織 学 的 変 化 が 密接 な 関 連 を

尿病 態 の そ れ とほ ぼ 合致 して い ると考 え られ た。Nonaka

持 つ こ とは既 に 知 られ て お り[15],特

に膵 島 お よ び β

らは,KK系

ス トステ ロ ン投 与群 は 無 処 置 雄 ラ ッ トの糖

マ ウス の糖 尿 病 発 現 に 雄 性 ホ ル モ ンが 重 要

細 胞 の 減 数 と糖 尿 病状 態 が概 ね 並行 して進 行 す るこ とが

な役 割 を果 た して い る こ とを報 告 して い るが[10],本

確 認 され て い る。 精 巣 摘 出群 の膵 臓 で は無 処 置 雄 ラ ッ ト

系 統 ラ ッ トに お い て もテ ス トス テ ロンの 糖 尿 病 態 の 発 症

とほ ぼ 同質 の炎 症 性変 化 が認 め られ た が,そ の程 度 は 無

促 進 効 果 が 示 唆 され た 。

処 置 雄 ラ ッ トに比 べ 梢 軽 度 で あ り,逆 に正 常 組 織 は 無 処

各 群 の 体 重 に 関 して,尿 糖 発症 が 抑 制 され た エ ス トロ

置 雄 ラ ッ トに比 較 して よ り良 好 に保 た れ て い た 。 一 方,

ジ ェ ン投 与 群 で は 無処 置雄 ラ ッ トの 体 重 に ほ ぼ近 似 して

エ ス トロジ ェン投 与 群 の 膵 病 変 は 無 処 置 雌 ラ ッ トの そ れ

い た 。 一 方,卵 巣 摘 出 お よび テ ス トス テ ロ ン投 与 群 の体

とほ ぼ 同様 であ り,殆 ど糖 尿 病 性 の 変 化 を 欠 い て い た。

重 は,無 処 置雌 ラ ッ トの そ れ に 比 べ 有 意 な 高 値 で 推 移

これ は,雌 性 ホル モ ンが 糖 尿 発 症 に 抑 制 的 に作 用 して い

し,精 巣 摘 出群 の体 重 に近 か った。 これ らの群 で は60週

る と した 先 の報 告 の 推 論 を支 持 して い るの に加 え て,雄

齢 時 に耐 糖 能 の低 下 が 見 られ た が,そ の時 期 と体 重 増 加

性 ホ ル モ ン除外 も同 様 に糖 尿 病 発症 を 遅延 させ る効 果 を

の程 度 とは概 ね 合 致 して い る と考 え られ た 。 とこ ろ で,

持 つ こ とを 示唆 して い た 。

糖 尿 の発 症 に関 与 す る因 子 の一 つ に 肥 満 が あげ られ て お

エ ス トロ ジ ェ ンの作 用 に つ い て は ラ ッ トの膵 切 除 後 に

り,肥 満 で は血 糖 値 は 正 常 に もか か わ らず,血 中 イ ンス

これ を投 与 す る と糖 尿 病 の発 症 が 抑 制 され た とい う報 告

リン値 が 高 く,イ ン ス リ ン抵 抗 性 が あ る こ とが 知 られ て

[4],イ

い る[14]。

ヌの膵 広 範 囲 切 除 後,エ

ス トロジ ェ ンが 残 存 膵

この こ とは,卵 巣 摘 出 あ るい は テ ス トス テ

の再 生 を 形 態 的 に も機 能 的 に も促 進 さ せ る とい う報 告

ロン投 与群 の 顕 著 な 体 重増 加 が糖 尿 病態 の進 展 に二 次 的

[5],イ

な もの と して,関 与 して い た と も考 え られ た。 テ ス トス

ヌの 膵 管 結 紮 腺 維 化 膵 に 膵 管 再 建 兼 膵 切 除 後,

エ ス トロ ジ ェ ン投 与 群 で 糖 尿 病 の 発 症 が 著 明 に 抑 制 さ

テ ロ ンが もた らす そ の他 の作 用 と しては,エ

れ,膵 線維 化 率 が 減 少 し,膵 内外 分 泌機 能 が 比較 的 良好

ンの場 合 と同 様,本 実 験 に お い ては 明 らか に 出来 なか っ

に 維 持 され た とす る報告[9]等

た。

が あ る。 こ れ らの 結 果

は エ ス トロ ジ ェ ンが膵 に作 用 し て,ラ

氏 島 数 を増 加 さ

せ,そ の イ ンス リン分 泌 能 を高 め る作 用 が あ る[1,2,6] こ とを推 測 させ る。WBN/Kobラ

ッ トの 膵 臓 で は 加 齢

結 局,今 回 の成 績 は ラ ッ トの膵 切 除 後,様

もの は 糖 尿 病 の頻 度 を 減 少 させ た が,ア の もの は 増 進 させ た とす るLewisら

られ て い る[15]。

致 す る。

れ ら再 生 島 細 胞 の 増 加 と と もに 現 時 点 まで 充 分 に解 明 さ

々なステ ロ

イ ドホ ル モ ンを投 与 した 結 果 エ ス トロ ジ ェ ン作 用 を もつ

と と もに 島細 胞 が 減 少 し再 生 島 細 胞 が 出 現 す る こ とが 知 エ ス トロジ ェ ンの作 用 と して は,こ

ス トロ ジ ェ

いずれ に して も,WBN/Kobラ

ン ドロ ジ ェ ン様

の報 告[8]と

も一

ッ トの糖 尿 病 発 現 に は

れ てい ない 本系 統 ラ ッ トの膵 島 β細 胞 破壊 作 用 を 防御 す

雌 性 ホ ル モ ンが抑 制 的 に作 用 して い る こ と,ま た,雄 性

る機 構 に 関 与 す るの か も知 れ な い 。WBN/Kobラ

ホ ル モ ンが そ の発 症 を促 進 して い る こ とは 確 認 し得 た 。

ッ ト

の糖 尿 病 の 発症 に 対 す るエ ス ト ロ ジ ェ ンの 抑 制 作 用 に つ い て は既 に仲 間 らに よ って も確 認 され て い る[12 ,13]

要

約

が,そ の詳 細 な メカ ニズ ム につ い ては 不 明 で あ る。 今 回 の実 験 結 果 もこれ ら の報 告 と よ く一 致 してい た が,副 腎

WBN/Kobラ

ッ トの 糖 尿 病 発 症 に及 ぼ す 性 ホ ル モ ン

皮 質 ホ ル モン を は じめ とす る他 の ス テ ロイ ド系 ホ ル モ ン

の影 響 を 検 討 す るた め 性腺 摘 出 に加 え,雌 雄 に 性 ホ ル モ

との相 互 作 用 あ る いは 拮 抗 作 用 等 に つ い て は,ホ ル モ ン

ンを 投 与 し,尿 糖 の 発症,体

定 量 も実 施 され て お らず,充

重 推移,耐 糖 能 な らび に病

分 な解 明 に は 至 ら な か っ

理 組織 学 的所 見 を無 処 置 対 照 群 の それ と比 較 した。 そ の

た 。 一 方,雌 実 験 に お い て 無 処 置 ラ ッ トは 高 齢 に 至 る ま

結 果,雌 無処 置群 お よび雄 エ ス トロジ ェ ン投 与 群 では 異

で 異 常 が 認 め られ な か った の に 対 し,テ ス トス テ ロ ン投

常 は なか った が,雄 の無 処 置 群 では 約30週 齢,精 巣 摘 出

与 群 で55週 齢頃 か ら,卵 巣 摘 出群 で は そ れ よ り約4ヶ

群 で52週 齢,雌

月

遅 れ て尿 糖 陽性 例 が 出現 した。 糖 負荷 試 験 で もそれ らに

の テ ス トス テ ロ ン投 与 群 で55週 齢,卵 巣

摘 出群 で72週 齢 よ り尿 糖 排 泄 が み られ は じめ た 。 また,

先 立 ち,耐 糖 能 の低 下 が認 め られ た。 膵 病 変 に お い て も

それ に先 立 ち,こ れ ら の群 で は 耐 糖 能 の 低 下 が 認 め られ

卵 巣 摘 出群 お よび テ ス トス テ ロン投与群 の それは無処置 雄

た 。 雄 の 体 重 では 対 照 群 に 比べ て 精 巣 摘 出,エ

ス トロ ジ

WBN/Kobラ

ッ トの糖 尿 発 症 の 性差

エ ン投 与 群 の順 に顕 著 な低 値 を 示 し,雌 では 対 照 群 に 対

[7]

し,卵 巣 摘 出,テ ス トス テ ロン投 与 群 の順 に 顕 著 な高 値 を示 した 。膵 臓 の組織 学 的検 査 で は,精 巣 摘 出群,卵 巣

実 験 動 物,3?,429-435.

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ラ ッ トと同 質 の 変化(外 分 泌 腺 組 織 の 萎 縮 お よ

び 膵 島 の 萎 縮 ・消失)が

認 め られ た が,雌 の 対 照群 お よ

び 雄 の エ ス トロジ ェン投 与 群 で は これ らの 変 化 は な か っ た。WBN/Kobラ

ッ トの尿 糖 排泄 を 伴 う高 血 糖 発 症 に

Nonaka, T., Higuchi, N., Arai, T. and Oki, Y. (1988). Effect of castration androgen on glycosuria appearance in the diabetic KK mice induce by monosodium glutamate administration. Jpn. J. Vet. Sci, 50, 1121-1123.

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性 ホ ル モン が そ の発 症 を促 進 して い る こ とが示 唆 された。

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[2]

[3]

献

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[16] ッ

泌 能 に お よぼ す

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pp.150-157,後

効

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は雌 性 ホ ル モ ンが 抑 制 的 に作 用 して い る こ と,ま た,雄

文

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[8]

摘 出 群 お よび テ ス トステ ロ ン投 与 群 で 基 本 的 にWBN/ Kob雄

489

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