〔913〕

産科 医療施設に おけ る出生時体重 の計測 に関す る研究 曽







産業医科 大学医学部公衆衛生学教室

Instrumentation

of Birth

Weight

Tomofumi

in Obstetric

Facilities

Sone

Department of Human Ecology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu

An investigation on measurement of birth weight in facilities was made in the northern part of Fukuoka Prefecture from March 1989 to January 1991. The purpose of the investigation was to clarify the reliability of birth weight data in obstetric facilities. The author interviewed the manager of each facility. The data of 112 cases were analyzed. The following results were obtained: 1) Nurses and midwives measured birth weights in many facilities, but doctors rarely did. Birth weights were obtained within an hour after birth in almost all facilities. Tare and zero-adjustment were frequently checked in many facilities, but horizontal-adjustment was not checked in about a half of the facilities. 2) The types of scales were digital scales (48.2%), dial scales (31.3%), table-top platform scales (10.7%) and bathroom scales (9.8%). It was estimated that 70.6% of the all birth weights in these facilities were obtained with digital scales. The renewals of scales in the past 5 years has resulted in the widespread use of digital scales in facilities. 3) The accuracy and precision of each scale were examined with weights of 3000g. Digital scales were superior to the other types of scales in both accuracy and precision. The legal periodical inspection for scales improved accuracy. Procedures for measuring birth weight are not generalized among and within facilities. Digital scales have many merits for handling and reading. The spread of digital scales in facilities may decrease the degree of many kinds of errors in measurement, especially rounding errors, and improve the reliability of the data in the area.

Key words:

Community

health

indicator,

Birth weight,

Instrumentation,

Error

地 域 健康 指 標,出 生 時体 重,計 測,誤 差

た2∼4)。

緒言

BWに

あ る対 象地 域 に お け る出 生 時 体 重(Birth Weight,以 下BWと

記 す こ と あ り。 出 生 体 重 と 同義)の 分 布 は,生

物 学 的環 境 のみ な らず,母 子 を め ぐる社 会 ・経 済 的 生 活 環 境 を 反映 す る有 用 な健 康 指 標 で あ る1)。 な かで も,当 該 地 域 に お け る平 均 出生 時体 重(Mean 以 下MBWと

Birth Weight,

記 す こと あ り),低 出 生 体 重 児 出 現 率 は 有

用 な 指 標 と され,そ の公 衆 衛 生学 的意 義 が 検 討 され て き

関す る研 究 の過 程 にお い て,様 々 な要 因の 影 響

を評 価 す る こと が重 要 に な って くる場 合,改 め て 問題 と な るの が,解 析 に 用 い られ るBWデ

ー タの信 頼 性 の 問 題

で あ る。 小 児 科領 域 にお け る新 生 児 の 体位 の測 定 に 関 して は い くつ か の提 言 が 出 て い る もの の5∼9),BWに

関 して は,

その 測 定 に 関す る全 世界 的 な明 確 な フ ォ ーマ ッ トは 存 在 しない 。 わ ず か にWHOが

用 語 の 定 義 の 中 で,出 生 後 の

日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻

〔914〕

測定 時 期 に 関 して 言 及 して い るに過 ぎな い10)。 BWの

測 定値 の信 頼 性 の 検 討 に 関 す るア プ ロー チ に は

第5号1992年12月 し面 接 法 に て 回 答 を 得 る こ と が で きた の は118施 施 設 数 の95.9%)で

設(対 象

あ った 。 解 析 に は 本 論 文 の 解 析 項 目

大 き く2通 りの方 法 が あ る 。第 一 は デ ー タ全 体 を ま とめ

で あ る 前 記(1)∼(4)の 項 目 に デ ー タ の 欠 損 の な い112施

て分 布 の 状 態 な ど を検 討 す る こ とに よ って,測 定 値 の信

(同87.5%)の

頼 性 を検 討 して い こ うとす る方 法 で,例 えば 出生 に 関 す る広 域 の 登 録 デ ー タの 質 の評 価 に用 い られ て い る11,12)。 第二 は産 科 医 療 施 設 に お け るBWの

解 析 に は,SPSSx Sciences

計 測 の 実態 を 直接 個

とこ ろ,後 者 の 方 法 に よ ってBWデ

ー タの 信頼 性 を詳 細

に検 討 した報 告 は文 献 上 見 あた らな い 。 本論 文 は,産 科 医 療 施 設 に お け るBWの

(Statistical

結 1.対

Package



象 の属 性

調 査 対 象 の 経 営 の 形 態 は 個 人 の 診 療 所,病 る一 般 の 開 業 医 が97施 設(86.6%),公

計測 の実 態 を

直接 個 別 に調 査 した 結 果 を資 料 と して,BWの

測定 デ ー

タの 質(quality)を(1)測 定 者,測 定 手 技 の 質,(2)測 定 機

for the Social

X)を 使 用 した13)。

別 に調 査 し,そ れ らの 結 果 を用 い て 集 計,解 析 され る以 前 の デ ー タの信 頼 性 を検 討 す る方 法 で あ る。 現 在 まで の



もの を用 いた 。

%),大

学 病 院1施

設(0.9%),そ

院等 いわ ゆ

立 病 院 が12施 設(10.7 の 他2施

設(1.8%)で

あ った。 面 接 調 査 時 の 回 答 者 の 職 種 は,医

器 の質,(3)測 定値 の 読 み 取 りの質 の3つ の観 点 か ら評価

産 婦12名(10.7%),看

す る ことを 目的 とす る。

%)で

師91名(81.3%),助

護 婦8名(7.1%),事

務 職 員1名(0.9

あ っ た 。 医 師 が 最 も 多 い の は,調

査依頼を院長あ

る い は 医 長 に 対 し て 行 った た め で あ る 。

対象および方法

2.測

調 査 対 象 は,福 岡県 北 部地 域 の18市 町 に あ る産 科 医療 施 設 の うち調 査 時点 で 分 娩 を行 って い る施設 と した 。 調査 は1989年3月

か ら1991年1月

に か け て行 わ れ た 。

定者

複 数職 が携 わ って い る施 設 が あ った ため,測 定 者 の 職 種 を 重複 集 計 で み る と,112施 設 の うち,「 看 護 婦」 は78 施 設(70.0%)で,「

日本母 性 保 護 医協 会 福 岡 県 支部 北 九 州 ブ ロ ッ ク,福 岡 ブ

れBW測

ロ ッ クの ご協 力 を得 て,各 産科 医 療 施 設 に 事前 に質 問 票

は7施 設(6.3%)と

を 送付 した 。 数 日後 に1名 の調 査 員 が 各 施設 を訪 問 し,

助 産 婦 」 は51施 設(45.5%)で

それぞ

定 に 携 わ って い た 。 「医 師 」 が携 わ って い た の

Table1は

わ ず かで あ った 。

さ ら に各 施 設 に おい て 測 定 に携 わ るの は 延

施 設 責 任 者(院 長,医 長)あ るい は 測定 担 当 者(医 師,助

べ 何 人 く らいか を調 査 した結 果 と調査 前 年 の 出 生数 との

産 婦,看 護 婦 な ど)に面 接 しな が ら質 問 票 に記 入 した 。

関 係 を 示 した もの で あ る。 出生 数 は正 確 な数 値 が判 明 し

質 問 の 内容 は,(1)対 象 施 設及 び 回答 者 の属 性 に関 す る

ない 施 設 につ い て は 概 数 で 回答 を得 た た め,出 生100毎

6項 目(開 設 地 区,開 設 時 期,病 院形 態,病 床 数,調 査

の 階 級 に 分 けて 示 した 。測 定 者 の 延 べ人 数 が 複 数 で あ る

前 年 の 出 生 数,回

測定手技 に関

施 設 が70%以 上 を 占め,中 で も 「不定 」,即 ち そ れぞ れ

す る11項 目(測定 者,測 定 者 延 べ数,出 生 後 の測 定 時 期,

答 者 の 職 種),(2)BWの

の 勤 務 時 間帯 に応 じて 多数 の測 定 者 が 関与 して い る とす

記 録 単位,端 数 の処 理 の 仕 方,端 数 の 処 理 に 関す る院 内

る施 設 が,約3分

取 り決 め の有 無,風 袋 の 処 理 の仕 方,水 平 の調 整,零 点

数 別 にみ ると,出 生数 の 比較 的 多 い施設(年 間200人 以上)

の調 整,他 の 目的 への使 用,設 置場 所),(3)そ の施 設でBW

にお い て,「 不 定 」 とす る と こ ろが 多 か った 。

の 測 定 の 際 に使 用 して い る測 定 機 器(以 下,は か りと記

3.測

す ことあ り)に関す る12項 目(はか りの種 類,メ ー カー名,

の1を 占 めて い た 。 これ を 前 年 の 出生

定 時期

Table2は

測 定 時 期 に関 して 示 した もの で あ る。50%

製造 番 号,秤 量,最 小 目盛,定 期 検査 合 格 シ ール の有 無,

以 上 の 施 設 が 出生 後5分 以 内 に測 定 して い た 。WHOの

定 期検 査 受 診 の 有無,定 期 検査 の実 施 者,未 受 診 理 由,

定 義 の 中 で は,「 な るべ く出 産1時 間 以 内 の,生 後 の 著

購 入 時 期,購 入経 路,以 前 の は か りの種 類),(4)3000g

明な 体 重 減少 の起 こ る前 に 測 定 す る こと」10)とな って い

(2000g+1000g)の

るが,今 回調 査 対 象 の98.2%が1時

二 級 精 密分 銅(白 虎 精機 社 製)を そ の

施 設 の測 定 機 器 で3回 ず つ 測定 す る項 目お よび(5)過去 の 分 娩記 録 よ り任 意 に30例 ず つBWを

転記 す る項 目で あ る。

解析 方 法 質 問 票 は 対 象 施 設128施 設 に 郵 送 した が,実 際 に 訪 問

間以 内に 測定 を行 っ

て お り,概 ね この 定 義 の通 りで あ った。 4.は

か りの種 類

Table3は

各 施 設 で 使 用 され て い る 「は か りの 種 類 」

と 「最 小 目盛/秤 量 」 の 関 係 を示 した もの で あ る。 は か りの種 類 は電 気抵 抗 線式 の デ ジ タルは か り(Digital scale)

曽根:産 科 医療 施設 にお け る出生 時 体 重 の計 測 に関 す る研 究 Table 1

Number

of subjects by number

Table 3

Ratio of minimum

〔915〕

of births in the previous year and total number of measuring

scale value to maximum

persons

scale value by type of scale

Table 2 Number of subjects by time of measurement after birth

一 方卓 上 台 秤 ,デ ジ タル は か りで は 大 きい もの が 多 か っ た。 5.は

か りの使 用 法

表 には 示 して い ない が,測 定 時 の タオル な どの 風袋 の 処 理 の仕 方 に つい て は,「全 く風袋 な しで測 定 して い る」 13施 設(11.6%),「

きち ん と差 し引 いて い る」97施 設(86.6

%),「 適 当 に差 し引 い て い る」2施 設(1.8%),「

体重 に

組 み 入 れ て い る」0施 設 で,大 多 数 の 施 設 が 正 味 のBW を測 定 しよ うと して い る ことが わ か った。 が 全 体 の48.2%を

占 め,次

い で ば ね 式 の 自動 は か り(Dial

scale)が31.3%,て

こ 式 の 卓 上 台 秤(Table-top

scale)が10.7%,ヘ

ル ス メ ー タ ー(Bathroom

%で

platform scale)が9.8

は か り で は 一 般 に 「最 小 目 盛/秤 量 」 の 比 が 大 き い も 差(真 値 と の 差)が 小 さ い 測 定 が 可 能 と さ れ て

い る14,15)。 例 え ば 最 小 目盛29,秤 は1/3000で (1/400)の

あ り,こ

水 平,零 点 の 調 整 に 関 して ま とめ た 結 果 で

た。 水平 に 関 して は調 整機 構 の ない は か りも存 在 したが, そ の よ うな はか りを 使用 して い る施設 に関 して は,設 置

あ った 。

の ほ ど,誤

Table4は

あ る。 零 点 の調 整 に 関 しては 全 て の は か りで 可能 で あ っ

量6kgの

の は か りは 最 小 目盛50g,秤

(まれ)」,「 全 く行 って い な い 」 を 合 わ せ る と,50%近

は か りで

くの 施 設 が は か りの 水平 に注 意 を払 って い な い ことが わ

量20kg

か る。 それ に対 して零 点 は,大 部分 の施 設 で 頻 回 に調 整

は か りよ りも誤 差 の小 さい 測 定 が 可能 に な る。

この比 は 各 は か りに固 有 の もので いわ ば 構造 上 の制 約 を 示 した もの とい え る。 は か りに よ って は 荷重 範 囲 に よ っ て この 比 が 異 な る も の も あ っ た が,そ

台 の 水 平 へ の 配 慮 と して 回 答 を得 た 。 「気 が つ い た と き

の 場 合 は3000gを

が 行 わ れ て いた 。 6.計

量法 に よ る定 期検 査

わ が 国 の計 量 行 政 の基 本 とな るの は昭 和26年 に公 布 さ れ た 計 量 法16)で あ る。 取 引,証

明 に使 用 され るは か り

含 む荷 重 範 囲 に お け る値 を 示 した。 種 類 別 にみ る と 自動

に 関 して は,そ の 器差 が あ る誤差 範 囲(検 定 公差)内 に納

は か り と ヘ ル ス メ ー タ ー は こ の 比 が 小 さ い も の が 多 く,

ま る こと が証 明 され た もの で な けれ ば 使 用 す る こ とが で

〔916〕

日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻

Table 4 Number of subjects by frequency horizontal and zero adjustment

第5号1992年12月

of

Table 5

Proportion

of number of births

in the

previous year by type of scale

Note 1): This proportion was obtained from a frequency distribution histogram of births. の1以 下 で あ った。 ま たTable6は

デ ジ タル は か りの 普及 の状 況 を各 施 設

きない 。 また,そ の は か りの使 用 者 は原 則 と して 年1回

に お け るは か り買 い替 えの 動 向 か らみ た もので あ る。対

(一部3年 に1回),検

定所 また は 代 検計 量 士 に よ る定 期

象 は現 在 のは か りを購 入 して5年 未満 の26施 設 で あ るが,

検 査 を受 け な けれ ば な らな い。 定 期 検査 は器 差 が使 用 公

買 い替 え前 は わ ず か11.5%に 過 ぎ なか った デ ジ タル は か

差(実 際 の 使用 時 に許 容 され る誤 差,検 定 公 差 の2倍)内

りが 買い 替 え 後 は80.8%に 増 加 して い た 。

に あ るか ど うか を 検 査 す る も の で,BW計

8.測

測 に 関 して は

ヘ ル ス メー ター を除 くは か りは 原 則 と して 定 期 検査 を受 け る こ とに な って い る。

定 値 の 読み 取 り,記 録

測 定 値 の 記 録 単位(g)に

関 して調 べ て み る と,表 に は

示 して い な い が,デ ジ タル は か りの 場 合,最 小 目盛(g)

表 には 示 して いな い が,過 去1年 間 の定 期 検 査 の受 診

とそ の記 録 単 位(g)が 全 例 で一 致 して い た 。つ ま りデ ジ

の有 無 を 調 査 した 結 果,ヘ ル ス メー ター を使 用 して い る

タル はか りに お い て は デ ジ タル の数 字 で の表 示 値 が そ の

施設 を 除 い た101施 設 の うち,定 期 検 査 を受 け て い る も

ままBWと

の が73施 設(72.3%),受

記 録 単位(g)と

け て い な い も の が28施 設(27.7

か りの 種類 別 に み た 出生 数

Table5はTable1で

はBWを

記 録す る際 の最 小 単 位 で 今 回 の

調査 で は,1g,2g,5g,10g,20g,50g,100gが

%)で あ った 。 7.は

して 記 録 され て い る こと がわ か った 。 こ こで

あ った 。

しか しデ ジ タル は か り以 外 の は か りで は,測 定 値 は 指

示 した前 年 の 出生 数 の100人 毎 の

階級 値 を用 い て,は か りの種 類 別 に み た 出生 数 の 割 合, 即 ち どの 種 類 の は か りで どれ だ け の数 のBWが

測定 さ れ

針(pointer)に よ って 目盛 表 示 の あ る線 分 上 の 一点 と し て 表示 され るた め に,測 定 者 が それ を読 み 取 り,記 録 す る過 程 に お い て 測 定 値 の 「丸 め(Rounding)」

の 問題 が

た かの 割 合 を 算 出 した もの で あ る。 これ を見 る と,調 査

生 じる余 地 が あ る。 こ こで 「丸 め」 とは 「読 み取 りに お

対 象施 設 で 出 生 した 児 のBW全

け る測定 値 の末尾 数字(下1桁,下2桁,下3桁)の

体 の 約70%が

デ ジ タル は

か りで 測 定 されて い る こ とがわ か る。 自動 はか りとヘ ル ス メ ー タ ーで 測 定 され たBWは,合 Table 6

Number

of subjects

わ せ て も全 体 の4分

by type of scale used before

処理」

と定義 す る。 Table7は and after

デ ジ タル は か り54施 設 を 除 い た58施 設 に つ

renewal

Note: Only subjects who had renewed their scales within the past 5 years were analyzed.

曽根:産 科 医療 施 設 に お け る 出生 時体 重 の計 測 に 関 す る研 究 Table 7 Number of subjects by method of dealing with terminal digits of birth weight

〔917〕

の 半数 に満 た な か った 。 9.3000gで

の測 定

1名 の 調 査 員 が 面 接 調 査 の 際 に,そ 用 い て,3000g(2000g+1000g)の な しで3回

の 施設 の は か りを 二級 精 密 分 銅 を 風袋

ず つ 測 定 した 。3000gと

した の は,BW付

の 器 差 を 調 査 す る た め で あ る 。 数 値 は,デ は 最 小 目 盛 ま で,そ gま で は1/10,5gま

の 他 の は か りに つ い て は 最 小 目盛10 で は1/5,以

取 っ た 。 従 っ て,全 と して 得 られ,よ



ジ タル は か り

下 は 最 小 目盛 ま で 読 み

て の 測 定 値 は 「最 小 目盛 ≧ 記 録 単 位 」 り大 きな 記 録 単 位 へ の 丸 め は 行 わ な か っ

た。

Note:

Subjects who used digital excluded.

scales were

な お,二

級 精 密 分 銅 の 検 定 公 差(検 定 時 に 許 容 さ れ る

器 差)は,2000gが400mg,1000gが200mgの

い て,読 み 取 りに お け る表 示 と記 録 の差 の 処理 の方 法 に

で あ り16),今

関 す る 回答 を ま とめ た もの で あ る 。 これ を 見 る と,約60

た。

%の 回 答 者 は,そ

の よ うな 場 合 「四 捨 五 入(Rounding

一 般 に測 定 値 の 質 を 評価 す るに は

off)」的 な処 理 を行 う と回 答 して い る。 これ は,「 最 小 目

と精 密 さ(precision)の2つ

盛>記 録単位 」の時 は 目盛 の比例 配分(Proportional distri-

racyと

bution)を,「 最小 目盛 ≦記 録単 位 」 の 時 は よ り大 きな 記

意 味 し,今

録 単 位 へ の 繰 上 げ(Rounding  up),繰

gと

下 げ(Rounding

down)を 意味 す る もの と考 え られ る。 こ こで 比 例 配 分 と

計600mg

回 の 測 定 に お い て は 無 視 で き る もの と し

,正

確 さ(accuracy)

の 概 念 が 用 い られ る17,18)。accu-

は 測 定 の 結 果 の 真 値 よ りの 差 異 の 少 な い 程 度 を 回 の 調 査 の 場 合,「 測 定 値3回

の 差 の 絶 対 値(以 下,Ac値

した 。precisionと

の 平 均 と 真 値3000

と 記 す)」 を そ の 指 標 と

は 測 定 値 の ば ら つ き の 程 度 を 意 味 し,

は,目 盛 の な い線 分 上 を 目分量 で 分 割 して,最 小 目盛 よ

「3回 の 測 定 値 の 範 囲(最 大 値-最

り小 さい 記 録 単位 で 記 録 す る ことで あ る。

記 す)」

小 値:以

を そ の 指 標 と し た 。 即 ち,Ac値

下,Pr値



が 小 さ い方 が

accuracyが

高 い こ と に な り,同

わ る人 数 は か な り多 数 に わ た る こ とが あ る。 そ の 場 合,

precisionが

高 い こ と に な る 。 な お,以

施設 内で 測定 値 の 末 尾 数字 の処 理 の仕 方 に つい て の 取 り

期 検 査 の 対 象 外 で あ る ヘ ル ス メ ー タ ー を 使 用 して い る11

決 め を して い るか ど うか が,そ の施 設 のBWデ

施 設 を 除 い た101施

しか し,Table1で

示 した よ うに,施 設 内 で測 定 に携

ー タ の信

頼 性 とい う点 で 重 要 に な る と考 え られ る。 そ こで 表 には 示 して い な いが,施 設 内で 測 定 値 の 末尾

Table8は にAc値

の 平 均,標

期 検 査 の 受診 の 有 無別

ま たTable9はAc値

を,デ ジ タルは か りを使 用 して い る54施 設 を 除 い た58施

査 受 診 の 有 無 を2つ

設 につ いて 質問 した ところ,「 して い る」28施 設(48.3%),

に よ っ て 解 析 し た も の で あ る 。Ac値

「して い ない」27施 設(46.6%),「

ル は か りが 値 が 小 さ く,全

%)と な り,取 り決 め を して い る と回 答 した 施 設 は 全 体 Table 8

Mean

下の解析 では定

準 偏 差 を 求 め た もの で あ る 。

数 字 の 処理 の仕 方 に つ い て取 り決 め を して い るか ど うか

わ か らない 」3施 設(5.2

が小 さい 方 が

設 の デ ー タを用 い た 。

は か り の 種 類 別,定

及 びPr値

様 にPr値

及 びPr値

を は か りの 種 類 と定 期 検

の 要 因 と して,二

元 配 置 の 分 散 分 析19) につ いて は デ ジ タ

体 と して は か り の 種 類 に よ っ

て 有 意 差 が 認 め ら れ た 。 ま た 定 期 検 査 を 受 診 して い る 方

of Ac and Pr values by type of scale and periodical examination

日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻

〔918〕

第5号1992年12月

で あ り,院 内で の 取 り決 め の 有 無 に つい て の 回答 も,ど

Table 9 Analysis of variance of Ac and Pr values by type of scale and periodical examination

の 程 度実 際 の 測 定 の状 況 を反 映 して い るか に つ いて は 疑 問 の 余地 も あ る。 測 定時 期 に関 して は大 部 分 の 施設 で 出 生1時 間 以 内 に 測 定 され て お り,WHOの

定 義 は遵 守 され て い た。

測 定 時 に タオ ル な ど の風 袋 を使 用 して い る施設 の 大 部 分 は,風 袋重 量 をBWに

含 め な い よ う考 慮 して い た 。 デ

ジ タル は か りの 場 合風 袋 の重 量 は ワ ンタ ッチ で きわ め て 容 易 に 除去 で き る。 ま たそ の 他 の種 類 の は か りに おい て が有 意 に小 さか った 。 さ らに これ らの 交 互作 用 も有 意 で,

も,タ オ ル な ど風 袋 とな る もの を 一旦 は か りの 上 に載 せ

例 えば デジ タルは か りで 定 期検 査 を 受診 してい るほ どAc

て か ら零 点 の 調 整 を行 うこ とに よ って補 正 す る ことが で

値 が 小 さ くな る こ と が認 め られ た 。Pr値 に つ い て もデ

き る。

ジ タルは か りが 最 も値 が 小 さ く,全 体 と して は か りの 種

零 点 の調 整 に関 して は,水 平 の 調整 よ りも多 くの 施 設

類 に よ る有 意 差 が認 め られ た。 しか し定 期検 査 受 診 の 有

で 考 慮 され て い た 。 これ は(1)零点 の 方 が水 平 に 比べ て そ

無 に よ る差,2要

の 狂 い が わ か りや す い こと,(2)ど の種 類 のは か りに おい

因の 交 互 作用 は有 意 で は な か った 。

考 BWの

て も零 点 の方 が 調 整 しやす い こ と等 がそ の 原 因 と して 考



え られ る。

計 測 に は通 常 の物 品の 計 測 と比 較 して い くつ か

は か りが傾 斜 して い る ため に生 じる傾 斜 誤 差 は,重 力

の特 徴 が あ る。 第一 は,迅 速 な測 定 が 必 要 と され る点 で

の影 響 に よ って生 じる もので あ り,計 量 器検 定検 査規 則16)

あ る。 低 出 生 体重 児 な ど出 生後 特 別 の 処 置 が必 要 と され

で は 全 方 向 に3° 傾 け て検 定 公 差(こ の場 合 最 小 目盛 の1

る児 は も ち ろん の こ と,健 常児 に おい て も分 娩 時 に は 母

目盛 分)以 上 の 誤 差 が 生 じるは か りに関 して は,水 平 器

体 の処 置 と平 行 して,体 重 測定 を含 め た 迅速 な対 応 が 必

の設 置 を 義務 づけ て い る。逆 にい え ば必 ず しも全 て のは

要 とされ る。 そ の ため,測 定 前 の はか りの調 整,風 袋 の

か りに 水 平調 整 機 構 が 必 要 と され るわ げ では な い 。 さ ら

処 理,新 生 児 の 置 き方,表 示 の読 み取 り,記 録 な どの い

には か りの 設置 場 所 に よ って は水 平 の調 整 に制 約 を受 け

わ ゆ る測 定 手 技 に信 頼 性 を 欠 く こと も考 え られ る。 第 二

る こ とが あ り,結 果 的 に 水平 の調 整 に は それ ほ ど注 意 が

は 測 定対 象 が 体 動 を伴 う新 生 児 で あ る とい う点で あ る。

払 わ れ て い な い もの と考 え られ る。

これ らは と もにaccuracy,precisionに 要 因 と な りう ると い う点 にBW計 しか し現在 まで の と こ ろ,BWの

関 して 測定 の 誤 差

また,今 回 の調 査 で は 触 れ なか った が,測 定 手 技 に 関 連 した誤 差 と して 「偏 置 誤 差(四 隅 誤 差)」 が あ る15)。

測 の特 殊 性 が あ る。 計 測 に関 して は 「測

これ は は か りの計 量 皿 の 中心 部 以 外 に 品物 を載 せ た と き

定 時 間」 以 外 に は世 界 的 にあ るい は国 内 に お い て も統 一

の測 定 値 と中心 部 に載 せ た と きの 測 定値 の差 の こ とで あ

され た基 準 は 存 在 せず,各 産 科 医療 施 設 に 委 ね られ て い

る。 これ は は か りの 工 作 精度 に関 連 して,ど の 種 類 の は

るの が 現状 で あ る。 以 下,各 産 科 医 療 施 設 に お け るBW

か りにお い て も発 生 す る可能 性 の あ る誤 差 で あ る。 しか

の 測 定値 の デ ー タの質 に関 して,(1)測 定 者,測 定 手 技 の

し一 般 的 に 新生 児 の 体 重 測定 の場 合,安 全 性 の 点 か らも

質,(2)測 定 機 器 の 質,(3)測 定 値 の読 み 取 りの 質,の3つ

そ の重 心 は は か りの 計 量 皿 の 中心 付 近 に位 置 す る もの と

の 観 点 か ら考 察 を 加 え る。

考 え られ,偏 置 誤 差 は 無 視 で き うる もの と考 え られ る。

1.測

定者,測 定 手技 の質

以 上 ま とめ ると,測 定 時期,風 袋 の処 理,零 点 調 整 な

測 定 者 に関 して は,調 査 対 象 の ほ とん どの 施 設 で助 産

どの 基本 的 事項 には あ る程度 注 意 が払 わ れて い る もの の,

婦 また は看 護 婦 が 測定 に 携わ って お り,医 師 が 関与 す る

測 定 には 多 人数 が携 わ って い る施 設 が 多 く,施 設 問 は も

こ とは 少 な か った 。 ま た,出 生 数 の 多い 施 設 で は,多



と よ り施 設 内 で の手 技 の 統 一 と い う点 で も問 題 を 残 して

の 助 産 婦,看 護 婦 が それ ぞ れ 自分 の勤 務 時 間 帯 に測 定 に

い る。 全 体 と して 測 定 者,測 定 手 技 の質 には 改 善 の 余地

携 わ る こと が多 く,例 えば デ ジ タル以 外 の は か りに おい

が あ る と考 え られ る。

て は 末 尾数 字 の 処 理 の仕 方 に して も,院 内 に お いて あ る

2.測

程 度 の 取 り決 め を して い るの は 半数 に満 た な か った。 し か し回 答者 の多 くは 直接 測 定 に 携 わ って い な い 「医 師 」

定 機 器 の質

Table3か

ら も わ か る よ う に,は

か っ た の は デ ジ タ ル は か り で,全

か りの種 類 で 最 も多 施 設 の48.2%が

使用 し

曽根:産 科医 療 施 設 に お け る出 生 時体 重 の計 測 に 関す る研 究 て い た。BW測

定 に使 用 され て い るデ ジ タル は か りは電

現 在 ば ね 式 自 動 は か り,卓

〔919〕 上 台秤 を使 用 して い る施 設 は

子式 のは か りの うちで も 「電 気 抵 抗 線 式」 と呼 ば れ る機

比 較 的 古 い は か りを 使 用 して い る も の と 考 え ら れ,ば

構 を持 って お り,荷 重 を加 え る こ とに よ って 生 じる抵 抗

支 持 機 構 な ど機 械 部 分 に 経 年 変 化 が 生 じ,そ

値 の変 化 を 検 出 して デ ジ タル表 示 して い る。1980年 前後

の 低 下 に 結 び 付 い て い る も の と推 測 さ れ る。

か らBW測 定 に も用 い られ る よ うに な って きた 。今 回 の

定 期 検 査 は,は

ね,

れ がprecision

か りの 使 用 時 に お け る誤 差 が 定 め ら れ

調査 で も,特 に 出生 数 が 多 い施 設 で 多 く使 用 され て い る

た 使 用 公 差 を 越 え て い な い か を,即

た め,Table5で

を 検 査 す る も の で あ る16)。 従 っ て,今

回 の 調 査 で の定

期 検 査 を 受 診 して い る 方 がaccuracyが

有 意 に 高 く,一

体 の約70%と

み る よ うに 出生 数 に 占 め る割 合 で は全 な って い た。 ま たTable6よ

り最 近 の 買 い

ち そ の は か りのaccuracy

替 え の動 向 を 見 る と,他 の種 類 の は か りか らデ ジ タル は

方precisionに

か りに移 行 して い る状 況 が推 測 され る。

定 期 検 査 の 本 来 の 目的 か ら み て も 妥 当 な も の で あ る と考

この よ うな近 年 の デ ジ タルは か りの 普及 の 原 因 と して は,他 の 種 類 の は か りに 比 して,先 に述 べ たBW測

定の

は 有 意 差 が み ら れ な か っ た と い う結 果 は,

え られ る 。 な お 今 回,accuracyとprecisionに

関 して は,定

期検

特徴 を うま く補 完 す る性質 を持 って い る ことが あ げ られ

査 の 対 象 外 で あ る ヘ ル ス メ ー タ ー を 使 用 して い る11施 設

る。 特 にTable3に

の デ ー タ は 解 析 か ら除 い た 。 表 に は 示 して い な い が そ のAc

示 した よ うに,ヘ ル ス メ ー タ ー と 自

動 は か りは誤 差 の小 さい測 定 とい う点 で劣 って お り,て

値,Pr値

こ式 の 卓 上 台秤 は誤 差 の点 では 優 れ て い る が,そ の操 作

れ も他 の3種

性 か らみ る と,迅 速 な 測定,新 生 児 の体 動 には 対 応 しき

と もに最 も低 い ことが 確 認 された 。

れて い な い 。一 方 デ ジ タル はか りは 最小 目盛 も小 さ く, 2gま

た は5g単

位 の 測定 が可 能 で あ る。 新 生 児 の体 動

の 平 均 値 を み る と そ れ ぞ れ55.2,30.0で,い

以 上 ま と め る と,測

定 機 器 の 質 に 関 し て は,デ

の 点 で 優 れ て お り,ま

て は,電 気 回路 及 び マ イ クロ コン ピ ュー タ ー に よ る制 御

に 寄 与 して い る こ と が わ か っ た 。

除去 し,迅 速 な測 定 を 行 え る よ うに な って い る。 また, 表示 の 読 み取 り,零 点 調 整,風 袋 除 去 な ど の操 作 性 に も

ジ タル

は か りは 他 の 種 類 の は か りに 比 べ て,accuracy,precision

や計 量 皿 に 載せ る と きに発 生 す る過 渡 的減 衰 振 動 に対 し

を用 い て 荷重 信 号 処 理 を行 うこ とに よ って,誤 差 要 因 を



類 の は か り よ りも 大 き く,accuracy,precision

3.測

た,定

期 検 査 はaccuracyの

向上

定 値 の 読 み取 りの 質

結 果 で も述 べ た よ うにデ ジ タル はか りの場 合,デ ル の 数字 で の表 示 値 がそ の ま まBWと

ジタ

して 記 録 され て お

優 れ て い るた め に,産 科 医療 施 設 に お い て も この よ うに

り,人 為 的 な 「丸 め」 の 問 題 は生 じない と推 測 され る。

普及 して きた も の と考 え られ る。

しか しその ほ か の種 類 のは か りで は,測 定値 は指 針 に よ

Table8,9の3000gの

精 密 分 銅 を用 い た測 定 の結 果 を

り目盛 表示 の あ る線 分 上の 一点 と して表 示 され るため に,

も に は か りの 種 類 に よ っ

た ま た ま 目盛 と指 針 が一 致 した場 合 を除 い て,測 定 者 が

て 有 意 差 が 認 め ら れ て い る。 平 均 値 な ど か ら 判 断 す る と,

それ を読 み取 り,記 録 す る過程 に おい て測定 値 の 「 丸 め」

両 指 標 と もデ ジ タル は か りが最 も優 れ て いた 。 は か りの

の 問題 が生 じ る余地 が あ る。

見 る と,accuracy,precisionと

種 類 は,測

定 機 構,秤

量 と最 小 目 盛,そ

の 読 み 取 り と記

録 な どの 諸 要 因 を含 ん だ総 合 的 な 要 因 と い え る。 これ ら 諸 要 因 が 全 体 と してaccuracy,precisionに て い る も の と考 え ら れ,総

影響を及ぼ し

合 的 に み て デ ジ タル は か りが

計 量 器 検 定 検 査 令16)に

で2目

盛(100g)で

あ り,秤

ジ タ ル は か り の 場 合,使 (6g)で accuracyに

よ る と,例

自 動 は か り の 場 合,使

小 目盛2gの

用 公 差 は3000g付

9施 設(75.0%)は

「卓 上台 秤」 を使 用 して い る施 設 であ っ

た 。 この は か りもBWは

あ る線 分 上 の 一 点 と して 表示 さ

近 で3間



録 を行 って い る もの と考 え られ る。



以上 の 考 察 よ り,今 回 の 調査 で は 「最 小 目盛記 録 単位 」で あ った 施設 で は 最 小 目盛 間 を 比例

回 の 調 査 も は か りの 種 類 に よ るaccuracyの

差が大 きい

こ と を 実 際 に 裏 付 け る結 果 と な っ た 。 ま た,近

に調 べ る と,表 に は示 して い な い がそ れ ら12施 設 の うち

るた め,多 くの 測定 者 は,丸 め を意 識 す る ことな しに記

え ば 秤 量10kg,最 用 公 差 は3000g付

量6kg,最

「端 数 な し」 と して い る 施設 を詳 細

れ る が,一 般 に 最小 目盛 が 細 か く,目 盛 の間 隔 が 密 で あ

最 も優 れ て い る とい う結果 と な った 。

小 目盛50gの

例 え ばTable7で

年 デ ジ タ ル は か りへ の 移 行 が 進 ん で い る 中 で,

配分 して 読 み 取 りを行 って い ると考 え られ る が,比 例配 分 の段 階 で 記 録 単位 の 選 択 に測 定 者 の 恣 意 が介 在 す ると い う点 で,依 然 と して 「丸 め」 の 問 題 と無 関 係 とは い え

〔920〕

日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻

な い。 また 「 記 録 単 位=最 小 目盛 」 で あ った 施 設 も,実

第5号1992年12月

2つ の グル ープ の境 界 を表 す値 に関 連 した度 数 分 布 の偏

際 に は指 針 の位 置 か ら最 小 目盛 へ の 丸 め を行 って い ると

りを,特 にObserverのPrejudiceに

い え る。 さ らに結 果 で も述 べ た よ うに 測定 者 が 多 人数,

れ も 「丸 め」 に よ る誤 差 の 一 つ で あ り,BWに

不特 定 の 施 設 が 多 く,な お か つ末 尾 数字 の処 理 の 仕 方 に

例 え ばLow

つ い て取 り決 め の ない 施設 が多 い た め,実 際 の 読 み 取 り

あ た る もの と考 え られ る。

に お いて は 各測 定 者 の 恣 意 が介 在 す る余地 が 非 常 に 多 い こと が考 え られ る。

Birth Weightの

よ る もの と した 。 こ

上 限 で あ る2500gが

す わ けで あ るが,こ の 「丸 め 」 に よ る誤 差 がBWを

地域

それ に

土 井 ら20)は全 国 の出 生 票 の 磁 気 テ ー プ(厚 生 省 統計 情 報 部)を 用 い た 分 析 か ら,わ が 国 で は2500g丁

この よ うに 「丸 め 」 は 明 らか に測 定値 に誤 差 を もた ら

おいては

頻度(単 産,男)が1969年

度 の相 対

以 降 一貫 して 減 少 して い る こと

を報 告 し,そ の 原 因 の一 つ と して測 定 の 際 の 「丸 め 」 の

健 康 指 標 と して扱 う際 に 問題 とな る理 由 は2つ あ る。第 一 はそ れ に よ って 生 じる偏 りが 他 の誤 差 に比 べ て 大 きい

縮小 を あ げ て い る。 さ ら に,MBWに

つ い て は 男女 と も

1976年 か ら1988年 にか け て のMBW減

少 の うち,11∼24

こ とで あ る。 土 井 ら20)は わ が 国 の 人 口動 態 統 計 を用 い

%は

た500g間

で確 認 され た,読 み取 り時 の 「丸 め」 に よる誤 差 を 生 じ

隔 の 度 数 分 布 表 か らMBWを

算 出 す る際,測

「丸 め 」 の 縮小 に よ る もの と推 論 して い る。 本 調査

定時 の 「丸 め」 に よ って,本 来 よ りも一 つ上 の 階 級 に組

な い デ ジ タル は か りの普 及 の 状 況 は,2500g丁

み入 れ られ る測 定 値 が 存在 す る可 能 性 が あ る こ とを述 べ

頻度 やMBWの

て い る。 階 級 値 か らMBWを

い う土井 らの 推 論 を,間 接 的 に 支持 す る結果 と な った と

算 出す る な らば,500gも

大 き く評 価 され る こ とに な り,こ の よ うな ケ ー スが 多 い 場 合 には そ の影 響 は 決 して小 さ くな い 。

度の相対

減 少 に 「丸 め」 の縮 小 が 関 与 して い る と

考 え られ る。 今 回 の調 査 に お いて は,各 施 設 の 実 際 のBWの

第 二 は そ の偏 りの 方 向 で あ る。 他 の誤 差 で は そ の 符号

記録か

ら任 意 に30例 ず つ 転記 して い る。今 後 は これ を用 い て,

(プ ラ ス,マ イ ナ ス)が 均 等 に 出現 す る,即 ち偏 りの 方 向

実 際 の デ ー タに お け るDPの 程 度 と,「 丸 め」 がMBWに

が一 定 で は な い と考 え られ る。 「丸 め」 に よ る誤 差 の場

与 え る影響 につ いて 検討 を加 えて い くこ とが可 能 であ る。

合,偏

りの 方 向 が あ る一 定 の傾 向 を持 ち,例 え ばMBW

以上 ま とめ る と,読 み 取 りの質 に関 して は,デ ジ タル

を実 際 よ り も大 き く,あ る いは 小 さ く評価 して しま う可

は か りで は 読 み 取 りの 際 の 「丸 め」 に よ る偏 りが 存 在 し

能 性 が 考 え られ る。

な い ため 質 の 高 い デ ー タが 得 られ る と推 測 され るが,他

以 上 の よ うな 読 み 取 りに お け る Preference(以 Preference,

下,DPと Terminal

「丸 め 」 はDigit

記 す こ と あ り 。End Digit Preferenceも

の種 類 の は か りで は 分 布 上Digit Preferenceと

せ て い る もの と考 え られ る 。「丸 め 」 に よ る誤 差 は他 の

あ る特 定 の数 字

誤 差 と比 べ て そ の影 響 は 大 き く,近 年 の デ ジ タル は か り

限 らず,Census

Dataに

の 普及 はわ が国 のBWデ

ー タの 質 を 向上 させ て い る もの

お け る 年 齢 の 申 告21)や 血 圧 測 定 に お け る 測 定 値22,23)に

と考 え られ る。

お い て も 見 ら れ る 現 象 で あ る 。 実 際 のBWの

4.出 生時体重の誤差の要因

い て こ のDPが

存 在 す れ ば,そ

データにお

こに は読 み 取 りの 際 の

「丸 め 」 に よ る 誤 差 が 存 在 して い る も の と 考 え ら れ る 。 David11)はNorth

Carolina州

信 頼 性 の 検 討 に お い て,測

の 出生 デ ー タベ ー スの

定値 の

存 在 を 度 数 分 布 表 か ら指 摘 し,解 Ounce単

位 の 階 級 をGram単

よ っ て,そ

のBWの

「丸 め 」 に よ るDPの 析 に お い て はPound,

位 の 階 級 に 変換 す る こ と に

の 影 響 を 取 り除 け る と し た 。

さ ら に,Kahyoら24)は

沖 縄 県 の2つ

デ ー タに お い て 測 定 値 の

存 在 を 指 摘 し,は

か り の 種 類,秤

計 測 に おけ る以 上 の 考 察 を も とに,Roseら22)の に 関 す る誤 差 の 要 因 の 分 類 を 参 考 に して,BWの

血圧 誤差 の

要 因 を ま と め た の がFig.1で あ る。 この よ うにBWの



差 を生 む 要 因 に は様 々 な もの が考 え られ る。 今 回 の 調査 で は,児 に 関 す る もの と して測 定 時 間,測 定 機 器 に 関す るも の と して構 造 上 の 制 限,定 期 検 査 受診,傾 斜 誤 差, 零 点 調 整 に よ る誤 差,測 定 手技 に関 す る もの と して風 袋

の産科医療施設

「丸 め 」 に よ るDPの

量 と 最 小 目 盛,お

よび

測 定 方 法 の 取 り決 め が 大 き く影 響 し て い る と 報 告 し て い

の処 理 に関 連 した項 目の 調 査 をそ れ ぞ れ行 い,こ れ らの 要 因 に関 す る産 科 医 療 施 設側 の対 応 の 程度 を 明 らか に し た 。 ま た,DPに

つ い て は,最 小 目盛,記 録 単 位 の 項 目

の調 査 結 果 か ら考 察 を加 え た。 さ ら に今 回 の調 査 で この地 域 にお け る デ ジ タル は か り

る。 Rose22)は

して現 わ

れ る 「丸 め 」 に よ る偏 りが 存在 し,デ ー タの質 を 低 下 さ

同 義)と 呼 ば れ

る 末 尾 数 字(下1桁,下2桁,下3桁)の へ の 偏 り を 生 む 。 こ れ はBWに

Digit

血 圧 測 定 に お け る120/80mmHgの

よ う に,

の普 及 の 程 度 が 明 らか に な ったわ け で あ る が,お そ ら く

曽根:産 科 医 療 施設 に おけ る出生 時 体 重 の計 測 に関 す る研 究

Fig.

1

Schematic

classification

この デ ジタル は か りの 普及 はFig.1の 誤 差 の 要 因の うち, 新生 児 の 体 動,構 造 上 の制 限,零 点 調 整,視 差,風 袋 の 処理,DPに

影 響 を及 ぼ して い る もの と考 え られ る。

こ こで,DPを

除 く これ らの 誤 差 が 真 のBWを

of errors in birth weight

〔921〕

measurement

に て行 わ れ た 。 回収 した 回 答の うち,デ ー タ欠 損 の な い112施 設 の 回答 を用 い て解 析 を行 った 。 2.測

定 時 期,風 袋 の 処 理,零 点 調 整 な ど測 定 手 技 の基

常 に大

本 的事 項 に は あ る程 度 注 意 が払 わ れ て い た が,測 定 に

きい方,あ るいは 小 さい 方 に偏 らせて しま うの で あれ ば,

は 多人 数 が携 わ って い る施設 が多 く,施 設 問 は も とよ

そ の大 き さを 評 価 す る こ とは,BWの

地域 間,年 度 間 の

り施 設 内 で の 手技 の 統 一 とい う点 で も問題 を残 して い

比較 をす る上 で重 要 で あ る 。 しか しそ うで なけ れ ば,そ

た。 全 体 と して測 定 者,測 定 手 技 の 質 に は改 善 の 余地

れ ぞれ に 関 して その 影 響 の大 き さを 評価 す る こ とは,地

が あ る と考 え られ た 。

域 健 康 指 標 と して のBWの

活 用 とい う本 来 の 目的 か らみ

3.測

定 機 器 の質 に関 して は,デ ジ タル は か りは 他 の種

る と あ ま り重 要 とは い え な い。 特 に わ が 国の 人 口動態 統

類 のは か りに 比べ て,accuracy,precisionの

計 を も と に500gご

と に ま とめ られ た度 数 分 布 表 か ら算

て お り,ま た,定 期 検 査 はaccuracyの

出 され たMBWを,こ

れ らの 誤 差 が そ れ ぞ れ個 別 に一 定

方 向 に偏 らせて しま う可能 性 は 低 い と考 え られ るか らで あ る。

て いた 。 4.読

み 取 りの質 に関 して は,デ ジ タル は か りで は 読 み

取 りの 際 の 「丸 め」 に よる偏 りが 存 在 しな いた め,質

今 後 は い くつ か の 産科 医 療 施 設 に お いて,測 定機 器 の 変 化 が 実 際 にBWデ

ー タに 与 え る影 響 を検 討 す る こ と に

よ って,以 上 の 誤 差 要 因 が全 体 と してMBWに

与 え る影

響 を 明 らか にす る こ とがで き る もの と考 えて い る。

結 1.産

点 で優 れ

向 上 に寄 与 し

科 医 療 施 設 に お け るBWの

は か りで は 分 布 上Digit Preferenceと

して 現 わ れ る

「丸 め 」 に よ る偏 りが存 在 し,デ ー タの質 を低 下 させ て い る もの と考 え られ た 。 この 「丸 め」 に よ る誤 差 は 他 の 誤 差 と比 べ てBWの



分 布 に 与 え る影 響 は大 き く,

近 年 の デ ジ タル は か りの 普及 は,わ が 国 のBWデ

計 測 の実 態 を 直接 個 別

に調 査 した 結果 を資 料 と して,BWの

の高 い デ ー タが得 られ ると推 測 され た が,他 の 種類 の

ータ

の質 を 向 上 させ て い る もの と考 え られ た。

測 定 デ ー タの 質

(quality)を(1)測 定 者,測 定 手 技 の質,(2)測 定 機 器 の





質,(3)測 定 値 の 読 み取 りの 質 の3つ の観 点 か ら評価 し

稿 を終 え るにあ た り,本 研 究 に対 す る懇 切 な る ご指 導,

た 。 調 査 は1名 の 調 査員 に よ り質 問 票 を用 い た 面接 法

ご助 言,ご 校 閲 を賜 った華 表 宏 有 教授,資 料 収 集 に多 大

日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻

〔922〕

第5号1992年12月

な ご協 力 を い た だい た 日本母 性 保 護 医協 会 福 岡県 支 部北

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深謝 す る。



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readings of birth weight, J. UOEH, 5, 315-327 (1983).

of

birthweight and gestational age data in computerized

(受 付1991年12月18日

受 理1992年6月16日)

[Instrumentation of birth weight in obstetric facilities].

An investigation on measurement of birth weight in facilities was made in the northern part of Fukuoka Prefecture from March 1989 to January 1991. The...
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