Suplatasttosilate(IPD-1151T)の 松浦

直 資，森

マ ウ ス 抗 体 産 生 に 対 す る作 用 裕志 ，永 井

博 弍 ，江 田

昭英

岐阜薬科大学薬 理学教 室 (1992年9月8日)

要 約:ジ

メチ ル ス ル ホ ニ ウ ム 化 合 物 で あ るsuplatasttosilate(IPD・1151T)の

す 影 響 を 検 討 し ， 以 下 の 成 績 を 得 た ．1)ヒ 11emolyticplaqueformingcells(PFC)産 mg/k9の

よ びlgG・

生 は ， 免 疫 日か ら5日 間 のIPD・1151Tの10∼100

齢 の老 齢 マ ウ ス に お け るIgMお

よびIgG・PFC産

に 比 して 明 ら か に低 下 した が ，IPD・1151T10∼100mg/kgの 生 を 有 意 に 増 強 した ．3)抗

IPD・1151Tの10∼100mg/kgの 体 産 生 はIPI)・1151Tの (Pc)に

対 す るIgMお

経 口投 与 に よ り明 ら か に増 強 され ，そ の 増 強 作 用 は塩 酸 レバ ミゾー ル(LMS)20mg/k9と

ぼ 同程 度 で あ った ．2)60週

PFC産

マ ウ ス抗 体 産 生 に及 ぼ

ツ ジ 赤 血 球(SRBC)に

投 与 は この 低 下 した19Mお

ジ ニ トロ フ ェ ニ ル(1)NP)・19E抗

よびIgG抗

い ず れ の 用 量 に よ って も抑 制 され な か った ．4)IPD・1151Tは

以 上 の こ と か ら ，IPD・1151Tは

よびIgG・

体 産 生 は 免 疫 日 か ら5日 間 の

経 ロ投 与 に よ り明 らか に抑 制 さ れ た が ，抗DNP・IgMお

よ る 接触 性 皮 膚 炎 お よ びSRBCに

ほ

生 は10週 齢 の成 熟 マ ウ ス

塩 化 ピ ク リル

よ る遅 延 型 足 踵 反 応 の 誘 導 期 に対 して 影 響 を及 ぼ さな か った ．

マ ウ ス抗 体 産 生 に 対 して19E抗

体 産 生 を ク ラ ス特 異 的 に 抑 制 し， そ の

他 の免 疫 応 答 には 影 響 を及 ぼ さな い こ とが 明 らか で あ る ．

moyl)ethyl)dimethylsulfoniump-toluenesulfonate(su緒

言

platasttosilate;IPD-1151T，

メチ ル基 転 移 反 応 は 細 胞 機 能 の 発 現 お よび調 節 に 多 く の 役 割 を 演 じ， 免 疫 系 に 対 して も 細 胞 膜 リ ン 脂 質 ， ピ ス ト ン様 タ ソ パ ク質 あ る い はRNAの

興 味 あ る性 質 を見 マ ウス 抗 体 産 生 に

及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 した ．

メチ ル化 が リンパ球 実

の 活 性 化 に 必 要 な こ と が 明 ら か に さ れ て い る1∼3)．一 方 ， 1971年

図1)に

い だ し た ． 本 論 文 で はIPD-1151Tの

， レ バ ミ ゾ ー ル4)の 免 疫 調 節 作 用 が 見 い だ さ れ て

以 来 ，D一ペ ニ シ ラ ミ ソ5)， オ ー ラ ノ フ ィ ソ6)， ブ シ ラ ミ ン7)な ど の 多 く の 含 硫 化 合 物 に 免 疫 調 節 作 用 の あ る こ と が 報 告 され て い る。 我 々は ， 不 安 定 な メチ ル 基 を もつ 可能 性 の あ る含 硫 化

験

方

法

1． 薬 物 IPD・1151Tは

分 子 量499．65，

融 点 約88℃

の ジメチル

ス ル ポ ニ ウ ム 化 合 物 で あ り， 大 鵬 薬 品 工 業 で 新 規 に 合 成 され た もの で あ る． また ， 比較 薬 と して免 疫 調 節 剤 の塩 酸 レ バ ミ ゾ ー ル(LMS，Aldrich)，

免 疫抑 制剤 の シ ク ロ

合 物 と して ， 種 々 の ジ メ チ ル ス ル ポ ニ ウ ム 化 合 物 の 免 疫

ホ ス フ ァ ミ ド(CY，

ナ カ ラ イ テ ス ク)， ス テ ロ イ ド剤 の

薬 理 学 的 性 質 に つ い て 検 討 を 行 な って きた ． そ の結 果 ，

酢 酸 ヒ ド ロ コ ル チ ゾ ン(HC，

(ｱ)一(2一(4一(3-ethoxy-2-hydroxypropoxy)phenylcarba一

ギ ー 剤 の ト ラ ニ ラ ス ト(N-5'， キ ッ セ イ 薬 品 工 業)を

萬 有 製 薬)お

よび 抗 ア レル

Fig. 1 Chemical structure of suplatast tosilate (IPD-1151T, (±)-[2-[4-(3-ethoxy-2-hydroxypropoxy) phenylcarbamoyl]ethyl]dimethylsulfonium p-toluenesulfonate) . *〒502岐

阜 市 三 田 洞 東5-6-1

用

い た ．IPD-1151T，LMSお 解 し ，N-5'は

よ びCYは

精製水 に用時溶

当 量 の 炭 酸 水 素 ナ ト リウ ム と と も に精 製

に 生 理 食 塩 水 で 倍 数 希 釈 し た 被 検 血 清 の0．1m1を 注 射 し ，24時

間 後 ，Eisenら10)の

皮 内

方法 に従 って作製 し

たDNP7

，4-bovineserumalbumin(BSA，

生 化 学 工 業)

て用 い た ．

1mgと

エ バ ン ス ブ ル ー(Merck)5mgを

含 む 生理 食 塩 水

2． 実 験 動 物

1m1を

股 静 脈 内 に 注 射 し た ．30分

後工 一テル麻酔下 に

水 に 加 温 溶 解 し て 用 い た ． ま た ，HCは

9∼10週

齢 お よ び60週

齢 のBALB/c系 Wistar系

水性懸濁液 と し

齢 のddY系

致 死 せ し め ， 背 部 皮 膚 を 剥 離 し 内 側 か らPCAに

雄 性 マ ウ ス ，9週

雌 性 マ ウ ス お よ び9∼10週

齢 の

雄 性 ラ ッ トを 用 い た ． こ れ ら の 動 物 は す べ て

色 斑 を 観 察 し た ． 直 径5mm以

陽 性 を 示 す 最 大 希 釈 倍 数 を 抗DNP・IgE抗 抗DNP-IgMお

日本 エ ス エ ル シ ー よ り購 入 し た ． 3．

ト を

脾 臓 中 のhemolyticplaqueformingcells (PFC)産

ddY系

生

用

(ELISA)に

マ ウ ス に108個

の ヒ ツ ジ 赤 血 球(SRBC)を

脈 内 注 射 し て 免 疫 し ，5お お よ びIgG-PFC数

よ び9日

静

目 の 脾 臓 中 のIgM

をCunninghamandSzenberg8)の

体 価 と した ．

体 価 は マ イ ク ロプ レー

てenzyme-1inkedimmunosorbentassay よ り 測 定 し た ． す な わ ち ，0．05M炭

重 炭 酸 緩 衝 液(pH9．6)を μg/mlの

方

よ びIgG抗

い

よ る青

上 の 色 素 斑 を 陽 性 と し，

酸一

用 い てDNP7．4-BSAを5

濃 度 に 溶 解 し， ポ リス チ レ ン ・マ イ ク ロ プ

レ ー ト(ImmunoplateI，Nunc)の

を

法 に 従 っ て 測 定 し た ． す な わ ち ， 摘 出 し た 脾 臓 を5ml のEagle'sminimumessentialmedium(MEM，

一 夜 放 置 し て 抗 原 を マ イ ク ロ プ レ ー トに 結 合 さ せ た ．

清)中

千葉 血

で ス テ ン レ ス ワ イ ヤ ー メ ヅ シ ュ(200mesh)を

し て 単 細 胞 浮 遊 液 と し ， さ ら にMEMで10倍 細 胞 数 は ザ ッ ボ ブ ロ ピ ソ・皿(日

科 機)を

溶 解 し た 後 ， 自動 血 球 計 数 器(日 た ．IgM-PFCの

通

希 釈 した ． 用 い て赤 血 球 を

本 光 電)に

よ り測 定 し

よ び 補 体 と し て5%モ

モ ッ ト血 清0．45mlと

混 和 し ，Cunninghamの

形 成 チ ャ ン バ ー(高 橋 技 研)中

に 封 入 し て37℃

間 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 後 ，4℃

つ い で ，0．1%Tween20を

含 むphosphatebuf艶red

saline(PBS・T，pH7．2)で3回 び5%非 バ

洗 浄 後 ，1%BSAお

動 化 牛 血 清 を 含 むPBS-T(ブ

ッ フ ァ ー)150μ1を

加 え ，37℃

で1時

ル 溶血斑

，2時

間

ロ ッ ク し た 。PBS-Tで3回

定 の 場 合 に は500倍

， 抗DNP・IgG抗

IgM-PFC/spleenお

よ びIgM・PFC/106spleencensを 測 定 は ， 補 体 液 中 に ウサ

学 生 物 学 研 究 所)を100倍

と な る よ う に 加 え ，IgM-PFCの

場 合 と 同様 に 操 作 して ，

出 現 し た 溶 血 斑 か らIgM-PFCを と し ，IgG-PFC/spleenお

希釈

プ ロ ッ キ ソ グ バ ッ フ ァ ー で200倍

体 産生

IgM(Cappel)あ

る い は500倍

体(Cappel)100μ1を

し て0．5mM塩 方 法 に 従 っ て ・4sα漉s3観

抽 出 物 を 作 製 し ，Eisenら10)の

〃3

希 釈

方 法 に 従 っ て ジ ニ トロ

加 え ，37℃

tract(DNP-As)5μgと

50μ1を

て 免 疫 した ． 免 疫 後10，20お

含 む生 理食 塩

マ ウスの腹 腔 内に注 射 し よ び30日

目 に 尾 動 脈 よ り採

血 し ， 血 清 中 の 抗DNP-IgE，IgMお

よ びIgG抗

体価

化 マ グ ネ シ ウ ム を 含 む1Mジ

体 価 の 測 定 は ラ ッ ト の24時

間

間 イ ン

エ タ 調 整 した

加 え て37℃

間 イ ソ キ ュベ ー シ ョ ン後 ，5N水 加 え 酵 素 反 応 を 停 止 し ，405nmに

酸 化 ナ トリウ ム お け る吸 光 度

を 測 定 した ． DNP-lgE，IgMお

よ びIgG抗

体 価 は いず れ も重 複 測

定 した ． 5． 塩 化 ピ ク リル(Pc)に

を 測 定 した ．

で1時

洗浄 後，基質液 と

ρ一nitrophenylphosphate(Sigma)100μ1を で1時

ア ラ ム11)1mgを

し た ア フ ィ ニ

ノ ー ル ア ミ ソ 緩 衝 液(pH9．8)で1mg/mlに

フ ェ ニ ル 化 し た ． こ のdinitrophenylatedascarisex-

水 溶 液0，2mlをBALB/c系

間 イ ン 洗浄後 ，

希 釈 した ア フ ィ ニ

キ ュ ベ ー シ ョ ン し た ．PBS・Tで4回

StrelanandCampbell9)の

で2時

テ ィ ー精 製 ア ル カ リホ ス フ ァタ ー ゼ標 識 ヤ ギ 抗 マ ウス

IgG抗

を そ れ ぞ れ 算 出 した ．

抗DNP・IgE抗

加 え ，37℃

テ ィ ー精 製 ア ル カ リホ ス フ ァタ ー ゼ標 識 ヤ ギ 抗 マ ウス

差 し 引 きIgG-PFC数

よ びIgG-PFC/106spleencells

4． マ ウ ス の19E抗

希 釈)100μ1を

体価測

体価測定 の場合 に

キ ュ ベ ー シ ョ ソ した ． さ ら に ，PBS-Tで3回

体(医

間 イ ン

洗 浄 後 ， ブ ロ ッキ ン グ

バ ッ フ ァ ー で 希 釈 し た 被 検 血 清(抗DNP-IgM抗

は5，000倍

ギ 抗 マ ウ スIgG抗

よ

ロ ッキ ン グ

イ ソキ ュペ ー シ ョ ソ した 後 ， 出 現 した 溶 血 斑 を 数 え ，

算 出 し た ． ま た ，IgG-PFCの

で

キ ュ ベ ー シ ョ ン し て マ イ ク ロ プ レ ー トの 非 結 合 部 位 を ブ

測 定 は ， 細 胞 浮 遊 液0．1mlを7．5x

108個/mlSRBCO．45mlお

で1時

各 穴 に100μ1宛

分 注 し た ．37℃

AshersonandPtak12)の

heterologouspassivecutaneousanaphylaxis(PCA)で

ddY系

測 定 した ． す な わ ち ， あ ら か じ め 勢 毛 し た ラ ッ トの 背 部

μ1を 塗 布 し て 感 作 し ，7日

よ る接 触 性 皮膚 炎 方 法 に 従 い ， 前 日 に 勢 毛 した

マ ウ ス の 腹 部 に7%Pcの

エ タ ノ ー ル 溶 液100

後 に1%Pcの

オ リー ブ油 溶

液20μ1宛

を 両 耳 朶 に 塗 布 して浮 腫 を誘 発 した ．24時 間

後 の耳 朶 の厚 さ をdialthicknessgauge(尾

崎 製 作 所)を

て 感 作 し ，5日 SRBCを

後 ， 左 後 肢 足 脈 に4×109個/m1の

，右 後 肢 足 脈 に 生 理 食塩 水 を そ れ ぞ れ25μ1宛

用 い て測 定 し，誘 発 前 の耳 朶 の厚 さを 差 し引 き， 接 触 性

皮 下 注 射 して反 応 を誘 発 した ．24時 間後 ，左 右 の後 肢 足

皮 膚 炎 に よる腫 張 度 と した ． さ ら に，3日 後 ， 同 様 に 感

首 を 一 定部 位 で 切 断 し，左 足 の重 量 か ら右 足 の重 量 を 差

作 し， そ の7日 後 に二 次 誘 発 を行 ない ， 接 触 性 皮 膚 炎 を

し引 き， 遅 延 型 足 臆反 応 に よる腫 張 度 と した ．

惹 起 した ．

7． 統 計 処 理

6．SRBCに

よ る遅 延 型 足 踵 反 応

Lagrangeら13)の SRBC25μ1をddY系

方 法 に 従 い ，4×108個/mlの

結 果 は平 均 あ る い は平 均 ±標 準 誤 差 で表 し，Student の か検 定 を用 い て有 意 差 検 定 を 行 な った ．

マ ウス の右 後 肢 足 臆 に 皮 下 注 射 し

Fig. 2 Effect of IPD-1151T, LMS, and N-5' on IgM-PFC and IgG-PFC formation in mice immunized with SRBC. Drugs were given p.o. for 5 days from the day of immunization. Each point represents the mean ± S.E. of 7 animals. (A): IgM-PFC formation (IgM-PFC/spleen), (B): IgM-PFC formation (IgM-PFC/106 spleen cells), (C): IgG PFC formation (IgG-PFC/spleen), (D): IgG-PFC formation (IgG-PFC/106 spleen cells), 0: Control; 0: IPD-l 151 T, 10 mg/kg; A: IPD-1151T, 20 mg/kg; A: IPD-1151T, 50 mg/kg; LI: IPD-1151T, 100 mg/kg; •: LMS, 20 mg/kg; V: N-5', 100 mg/kg. *J: Statistically significant difference from the control at P