口 病 誌1991,

原

CO、

58/1

253

著

レ ー ザ ー の 保 存 修 復 へ の 応 用 に 関 す る基 礎 的 研 究

中 島 正 俊 東京医科噛科大学歯学部第1歯 科保存学教室 (指導: 細田裕康教授) 1990年12月20日 受付) Effects

of CO2 Laser

Dentin

Adhesion

Irradiation

(

on Microstructure

of Resin Composites Masatoshi

of Dentin,

and Dental

Pulp

Nakajima

Department of Operative Dentistry, Faculty of Dentistry, Tokyo Medical and Dental University Director: Prof. Hiroyasu(Hosoda) This study

was designed

to investigate

the effects

of CO, laser

irradiation

microstructure, dentin adhesion of resin composites and dental pulp. An artificial caries lesion was produced on the bovine dentin, immersing

in 0.4mol/1

acid. Three kinds of dentin (sound dentin, outer or inner caries dentin) surfaces by the laser irradiation, acid etching or no-treatment. The tensile adhesion-test ated dentin surfaces was performed. ments including the laser irradiation effect

found at 3 and 90 days after the operation. 1. The outer highly and inner partially each approximately 200pm in thickness. 2. The bond strength of the resin Those

without

any severe

composites

of the laser

histopathological

conducted to examine the changes in the pulp were

The findings were as follows: decalcified layers produced in the bovine dentin to the

pretreated

3. At the initial stage, the laser irradiation (output second) exibited a slight pulpal response, producingirritation stage

acetic

were pretreated of these pretre-

The changes in these dentin surfaces by the various treatand the resin-dentin interfaces were examined by the SEM

Furthermore, histopathological study using monkey teethwas of the laser irradiation on the dental pulp. Histopathological

approximately 40kgf/cm2. were about 60kgf/cm2.

on the dentin

laser

pretreated

sound

outer

and inner

decalcified

dentin

were was

dentins

power 3W: irradiation period 0.5 dentin formation in the latter

change.

レーザ ー照 射 に よ る歯 質耐 酸 性 の増 大3∼6) ,エ ナ 1.緒 1960年

メル 質結 晶構 造 の変 化4三2) ,お よび 修復 物 の 辺縁

が ル ビ ー レー ザ ー の 発 振 に

封鎖 の 向上13,均 な ど さま ざ まな研 究 が な され て き

レーザ ーは さ ま ざ まな分 野 で の応

た。 現 在 で は これ らの基 礎 的 研究 を基 として, レ ー ザ ー照 射 に よ る翻 蝕予 防 の 可 能性 を追 求 す る た

にMaiman1)

成 功 し て 以 来,

言

用 が な され て き た。 歯 科 領 域 で は,

1964年 にGoldmanら2)

め, 一 部 臨 床応 用 が 試 み られ て い る。

が ル ビー

これ ら歯 牙 へ の レーザ ー照射 の研 究 の大 半 は歯

レー ザ ー に よ る 歯 牙 切 劇 へ の 応 用 を 試 み て 以 来,

(253)

254

口病 誌

平 成3年3月

質 表 面 の エ ナ メ ル質 を 対 象 と した も の で あ り, 象

ザ ー照 射 に 関 して,

牙 質 に対 す る レーザ ー照射 の 影響 につ いて の研 究

性 を 探 るべ く検 討 を 試 み た 。

は 少 な い 。 蒙 牙 質 に 対 す る レー ザ ー 照 射 の 研 究 に 関 し て, Kantola15)

ま ず,

は 象 牙 質結 晶構 造 の 変化 に つ

い て, 庄 司 ら16) , Taniら17) ,

照 射 に よ る 象 牙 質 表 面 の 改 造 や,

牛 抜 去 歯 を 用 い て,

製 し, CO2レ

熊 崎18) は レ ー ザ ー

保 存 修復 処 置 へ の応 用 の可 能

人工 軟 化 象 牙 質 を 作

ー ザ ー に よ り影 響 を 受 け た 軟 化 象 牙

質 な ら び に 健 全 象 牙 質 に 対 し て 接 着 性 レ ジ ンの 接

谷 ら19) ,Cooper

着 性 能 が ど の よ うな 挙 動 を 示 す か を ま ず 第 一 に 調

ら20)は 照 射 象 牙 質 面 に 対 す る レ ジ ン の 接 着 性 に つ

べ,

い て 報 告 して い る 。 ま た,

質 の 微 細 構 造 の 変 化 お よ び レ ジ ンー 象 牙 質 接 着 界

Boninら21)

は レーザ ー

照 射 処 理 条 件 の 整 備 を は か る と と も に,

象牙

照 射 に よ る 感 染 象 牙 質 の 滅 歯, 熊 崎 ら22)は 麟 蝕 象

面 に つ い て 詳 細 に 観 察 ・検 討 を 行 っ た 。 併 せ て,

牙 質 の 除 去 へ の 応 用 を 指 向 し た 研 究 を 行 って い

CO2レ

る。

た め に,

さ らに, Melcerら23) ,

Franquinら24)

歯 の 保 存 修 復 に 際 して,

は, 鶴 蝕

ー ザ ー 照 射 の 歯 髄 に 対 す る安 全 性 を 調 べ る サ ル 歯 牙 を 用 い て, CO2レ

ー ザ ー照 射 に

よ る歯 髄 へ の 影 響 を 病 理 組 織 学 的 に 検 索 し, 興 味

窩 洞 に レー ザ ー を 照 射 し

あ る知 見 が 得 られ た の で こ こ に 報 告 す る 。

た 後 に ア マ ル ガ ム充 填 な ど を 行 う こ と を 推 奨 して II.材

い る。 し か し な が ら, 現 在 に い た っ て も象 牙 質 に 対 す る レー ザ ー 照 射 に つ い て は,

レー ザ ー の 種 類,

1.使

照

料と方法

用 した レー ザー 装 置

本 実 験 で は,

波 長10.6μmの

赤外光 で あ る

射 条 件 な どの 観 点 か らまだ 考 慮す べ き 問 題 が 多

CO2レ

く, 特 に 軟 化 象 牙 質 に 対 す る レー ザ ー 照 射 に つ い

用 い られ た 。 な お, 照 射 野 ス ポ ッ トサ イ ズ は 直 径

て は ほ とん ど 検 討 が な さ れ て い な い 。

約3mmに

現 在,

ど の 点 か ら,

Nd:

そ の操 作 性 お よび 安 全性 な

YAGレ

ーザ ーで あ る 。 こ の2種 応 用 す る た め に は, Nd:

YAGレ

た め,

長

着 試 験 に 用 い られ た レジ ン材 料 お よ び 歯 面 処

理剤

ClearfilBright (以

短 が あ る。

下Ph.Cl.Br.と

酸 ゲノ レで あ るK-etchant (ク

必 要 が あ っ た 。 一 方, CO2レ

れ た (表1)

ー ザ ー は, そ の 波 長

長 くエ ナ メ ル質 お よび 象 牙質 に 対

Nd:

1)

YAG

導 光 が 困 難 で,

ー ザ ー は ガ ラ ス フ ァ イバ ー に よ る

ー が 実 用 化 さ れ, CO2レ

は 咬 耗,

が用い

接 着 強 さ 測 定 用 の 象 牙 質 試 片 を 準 備 す る た め,

ーザ ーの操 作 性 に お け る

象 牙 質 に 対 す るCO2レ

破 折 の 著 し い 歯 を 除 外 した210本

られ た 。

ーザ ー用 の 光 フ ァイバ

牛 歯 は 歯 根 切 断 後, 問 題 点 は 解 消 され つ つ あ る 。 そ こ で 木研 究 で は,

接 着 試 験 に 用 い られ た 歯 牙 お よ び 被 着 象 牙

た 牛 下 顎 永 久 切 歯 の な か か ら, 根 未 完 成 歯 あ る い

狭 い 口腔 内 に お け る 操 作 性 に 問

利 用 したCO2レ

。

被 験 歯 と し て は, 抜 去 後 た だ ち に 冷 凍 保 存 され

題 が あ っ た 。 と こ ろ が 最 近 の 技 術 開 発 に よ り, TIBrlを

ン

が用い ら

質 面 の準 備

レ ー ザ ー は ガ ラ ス フ ァ イバ ー に よ り導 光 で き る の に 対 し, CO2レ

ラ レ社 製)

3、 接 着 試 験

か し な が ら, そ

れ ぞ れ の レ ー ザ ー 光 の 波 長 の 性 質 上,

クラ

ク ラ レ社 製) , 象 牙 質 前 処 (理 剤 と して は40%リ

エ ナ メル 質 お よ び 象 牙 質 に 対 す る吸 収 効 率

す る 吸 収 効 率 が 非 常 に 高 い 働.し

略 す,

レ社 製) , ボ ン デ ィ ン グ 材 はClearfilPhotoBond

短 い

が 非 常 に 低 く25) , そ の た め に 黒 色 塗 料 を 塗 布 す る

が10.6μmと

て

本 実 験 に は コ ン ポ ジ ッ ト レ ジ ン と し てPhoto

の レーザ ーを 歯 科 領域 に

ー ザ ー は そ の 波 長 が1.06μmと

が

な る よ う事 前 に 調 製 し, defocusに

2.接

ー ザ ー お よ びCO2レ

そ れ ぞれ

田 製 作 所 製)

用 い られ た。

医 科 領 域 に お い て 主 と して 応 用 さ れ て い

る 高 出 力 レー ザ ー は,

ー ザ ー (Opelaser-3吉

抜 髄 さ れ,

理 食 塩 水 を 封 入 して, ー

の 後,

(254)

歯冠 歯髄 腔 内 に生

エ ポ ン樹 脂 包 埋 さ れ た 。 そ

歯冠 部唇 面 象牙 質 を 歯 科 用 グ ラ イ ンダー を

口 病 誌1991,

表1実

58/1

255

験 に用 い られ た レジ ン材料 お よび 歯 面 処理 剤

用 い て露 出 し, つ い で注 水 下 に て00の 耐水 シ リ コ ンカ ー バ イ ドペ ー パ ー に よ り平 坦 な 象 牙 質面 に

た。 ( 1)

仕 上 げ られ た.こ れ らの 象牙 質 平 坦 面 を もつ試 片

K-etchant処

理群

各 種 象 牙 質 被 着 面 を 水 洗 ・乾 燥 後,

K-etchant

の 大 半 は 鰯 蝕 を 仮 想 した 人工 軟 化 象 牙 質 作 製 の た

に て40秒 間 歯 面 処 理 さ れ, つ い で 水 洗 ・乾 燥 が,

め に 用 い られ た 。

そ れ ぞ れ10秒 間 行 わ れ た 。

2)

人 工 軟 化 象 牙 質試 片 の作 製 と第1お

レーザ ー照 射 処 理 群 (2)

よび 第

レー ザ ー の 照 射 条 件 は,

2脱 灰 層 に お け る被 着 面 の 準備 前 述 の試 片 を37℃, Ca, 2.2mMP,

0.4M酢

pH2.5)

事 前 に 予備 実 験 を 行

い, 照 射 出 力 お よ び 照 射 時 間 を 次 の よ うに 規 定 し

酸 溶 液 (2.2mM

た。

中 に24時 間 浸漬 して,

す な わ ち, 照 射 出 力3Wの

人 工 軟 化 象 牙 質 試 片 の作 製 が 行 わ れ た 。 そ の後, これ ら試 片 に 対 して 流 水 下 で15分 程 度 の 水洗 が 行 われた。

0.5S,

3W-1.0Sと

4Wの

場 合 は0.5秒 (以

2Wの

場 合 は0.5秒 (2W-0.5Sと

この よ うに して 作 られ た 人 工 軟 化 象 牙 質試 片 に 対 して,

1%ア

シ ッ ドレ ッ ドプ ロ ピ レ ング リコー

0.5,

1.0秒 (以

場 合 に は, 照 射 時 間

0.2,

下 そ れ ぞ れ3W-02S, 略 す)

の3条

3W-

件 と し, そ の 他

下4W-0.5Sと

略 す) , 略 す) ,

計5

ル溶 液 を滴 下 し, 10秒 後 に 水 洗 す る と鮮 明 な赤 染

条件 が 設 定 され た。 そ れ ぞ れ 照射 エ ネ ルギ ー密

部 が 生 じた 。 この赤 染 部 を#600の 耐 水 シ リコ ンカ ーパ イ ドペ ーパ ー を 用 い て 注水 下 にて 約90μm

3W-0.5Sで21.15J/crn2,

度 は,

cm2,

削除 した。 この象 牙 質 面 を第1脱 灰 層 に お け る被

後,

シ ッ ド レ ッ ドプ ロ ピ レ ソ グ リコー ル溶 液 に よ

3W-1.0Sで42.3J/

4W-0.5Sで28.2」/cm2,

J/cm2で

着 面 と した。 続 いて, 残 存 軟 化 象 牙 質 に 対 して1 %ア

1回 照 射 に つ き3W-0.2Sで8.46J/cm2,

2W-0.5Sで14.1

あ る。 各 種 象 牙 質 被 着 面 を 水 洗

前 述 の 各 条 件 で レー ザ ー が 被 着 面 (φ5.5

mm)

全 体 に 照 射 (ス ポ ッ ト径3mm)

削除

う に,

1秒 間 隔 で, 計5回

され た。 この よ うに仕 上 げ られ た 象 牙 質 面 を 中 間

3)

る染 色 ・削 除 を繰 り返 し, 象 牙 質 面 の染 色 性 が淡 い ピ ン ク染 に な る まで,

さ らに 約100μmが

け る3種

た。 3)

灰 層 お よ び 第2脱

灰 層 にお

耐 水 シ リコ ンカー

上 述 の各 種 の条 件 に従 って 処 理 され た象 牙 質 面

直径5.5mmの

にPhotoBondが

黒 色 の ビニー ル テ ー

塗 布 さ れ30秒

間 放 置 後,

弱圧エ

ア に て ア ル コー ル成分 を揮 散 させ 可 視 光線 照 射 器

プ (ヤ マ ト社 製) が粘 着 固 定 され, 被 着 面 が規 定

クイ ッ ク ラ イ ト, Vレ1型,

され た。 象 牙 質 面 の 前 処 理 と して 次 の3群

第1脱

の 象 牙 質 面 が, 偽00の

で 被 着 面 と して 使 用 され た 。

健 全 象 牙 質, 第1脱 灰 層 お よび 第2脱 灰 層 に お 穴 の空 い た 厚 さ0.18mmの

(

バ イ ドペ ー パ ー に よ り研 削 さ れ た そ の ま ま の 状 態

レ ジ ンー象 牙 質 接 着試 片 の作 製

い て 調製 され た 各 象 牙 質 面 に,

され る よ

照射 され た 。

無処 理 群

健 全 象 牙 質,

的 に 脱 灰 さ れ た 第2脱 灰 層 に お け る 被 着 面 と し

・乾 燥

30秒 間 光 照 射 して,

が 設 定 され (255)

モ リ タ 社 製)

にて (

ボ ンデ ィ ン グ材 を 重 合 さ せ

256

口病誌

た 。 つ い で,

平成3年3月

Ph.Cl.Br.を

填 塞 し,

ス ライ ドグ

5,

前 処 理 の施 された 各 種 象 牙 質 面 と レジ ン の接 着

ラス にて 圧 接 後, 60秒 間 光 照射 して重 合 硬 化 させ た 。 そ の後, パ ナ ビァEX (ク

ラ レ社 製) を 用 い

界面 の 観 察 3種 の 象 牙 質 面 と レ ジ ン と の 接 着 界 面 の 観 察 に

て, 引 っ張 り試 験 の た め の ステ ン レス棒 が 装 着 さ

際 して は,

れ た。

採 用 さ れ た 。 こ れ は, 安 定 した レ ジ ン の 接 着 強 さ

4)

接 着 強 さ の測 定

レ ー ザ ー 照 射 処 理 条 件 は3W-0.5Sが

を 示 した こ とに 加 え て, 後 述 す る 歯 髄 試 験 に お い て 初 期 に お け る歯 髄 変 化 が 軽 度 で あ っ た か ら で あ

以 上 の よ うに 作製 され た 試 片 は37℃ 水 中 に24時 間浸 漬 保 管 後, 当 教 室 に お いて 従 来 よ り用 い られ て い る 引 っ張 り 試 験 装 置 に 装着 され, 機 (オ ー トグ ラ フ, AG-500B,

万 能試 験

各 種 の 前 処 理,

引 っ張 り接 着 強 さが測 定 され た 。 そ の際

す な わ ちK-etchant処

ー ザ ー 照 射 処 理 (照 射 出 力3W,

島 津製 作 所 製)

に よ り ク ロスヘ ッ ドス ピー ド2.0mm/minに

る。

て 各群 お

お よ び 無 処 理 の 場 合 の3種

理,

レ

照 射 時 間0 .5秒)

の象 牙 質 面 そ れ ぞれ と

接 着 性 レジ ンとの接 着 界面 の 微 細 構 造 の観 察 が 行

よび 各 条 件 と も10固 の試 片 の測 定 が 繰 り返 され,

わ れ た 。 す な わ ち, 各 種 象 牙 質 面 に 対 して 上 述 の

そ れ らの 平均 値 を も って 接 着 強 さ と した。 測 定 さ

前 処 理 後, 接 着 試 験 の 場 合 と 同 様 に ボ ン デ ィ ン グ

れ た 接 着 強 さの 各群 にお け る平 均 値 に つ い て は, Duncan'snewmultiplerange testに よ り統 計学

材PhotoBondの

的 有 意 差 検 定 が行 わ れ た 。 つ い で 接 着 試験 後,

塗 布 を 行 い,

光 照 射 に よ り重 合

硬 化 させ, さ ら に そ の 上 に 試 作 の 低 粘 性 レ ジ ン (ク

レ

ラ レ社 製) を 塗 布 し, 60秒 間 光 照 射 して 重 合 硬 化 さ

ジ ンと象 牙 質 の破 壊 の様 相 が 肉 眼 に て 詳細 に観 察

せ た 。 こ の よ うに し て 調 製 さ れ た 試 料 は10%中

され た 。

緩 衝 ホ ル マ リ ン中 に24時 間 固 定 保 管 後,

4.前 処理の施 された各種象牙質被 着面の走査電子

切 機 (LEITZ1600Saw

顕微鏡による観察

Wetzlar社

硬組織薄

Ernst

Leitz

に よ り可 能 な 限 り歯 軸 に 平 行 と な

る よ う被 着 面 中 央 部 で 切 断 さ れ た 。 切 断 面 は ダ イ

各 処理 面 の表 面微 細 構 造 の 様 相 を検 索 す るに 際 し,

製)

Microtome,

性

レーザ ー 照 射 処理 に 関 して は 前 述5条 件 の

ヤ モ ン ドペ ー ス トを 順 次 用 い て 鏡 面 研 磨 さ れ,

自

うち, 比 較 的 安 定 した接 着 強 さが 得 られ た3W0.5Sお よび3W-1.0Sの2条 件 を 採 用 す る とと

然 乾 燥 後,

もに, 短 時 間照 射 の影 響 を も 調 べ るた め に3W0.2Sの 照 射 条 件 が 追 加 され た。

分 に て ア ル ゴ ン イ オ ン ビ ー ム照 射 (電 顕 試 料 エ ッ

か く して,

K-etchant処

理 (照 射 出 力3W,

理

0.5秒,

秒) お よび 無 処 理 の場 合 の3種 の象 牙 質 面

接 着 界 面 のSEM観

1.0 すな

6.人

照 射 時 間10

エ リオ ニ ク ス 社 製)

が行

通 法 に 従 い, 金 蒸 着 が 施 さ れ, 察 が 詳細 に 行わ れ た。

工 軟 化 象 牙 質 試 片 のKnoop硬

に よ るCaとPの

さ測 定, EPMA

濃 度 測 定 お よび 光 学 顕 微 鏡 観 察

本 研 究 に お け る酢 酸 脱灰 に よる鶴 蝕 モ デ ルが 天

に お け る表 面 微 細 構造 の様 相 を検 索 す るた め に,

以 下SEMと

EIS-1E,

わ れ た 。 つ い で,

わ ち健 全 象 牙 質 面, 第1脱 灰 層面, 第2脱 灰 層 面

走 査 電 子 顕 微 鏡 (JXA-840型,

イ オ ン流 密 度0.2mA/cm2,

チ ン グ装 置,

レーザ ー 照 射 処

照 射 時 間0.2秒,

圧1kV,

猪 越 らの 方 法26) に 準 じて イ オ ン加 速 電

然 鶴 蝕 な らび に 従 来 のin

日本 電 子 社 製,

vitroの

て い る か を 検 討 す る 目 的 で,

略 す) に よ る観 察 が行 わ れ た 。

モ デ ル と相 似 し

次 の よ うな検 索 が 行

各 種 前 処 理 の 施 され た 象牙 質 試 片 は漸 強 ア ル コ ール 系 列 に よ り脱 水後, 酢 酸 イ ソア ミル羅 換 を 経

わ れ た。

て, 液 化 炭酸 ガ ス に よ る臨 界 点 乾 燥 が 行 わ れ た 。

牛 歯 試 片 は,

つ い で, 通 法 に従 い, 金 蒸 着が 施 され た 後, 処 理

軸 と 平 行 に 切 断 さ れ た 。 切 断 さ れ た 試 片 は5%

され た 象 牙 質 の 表面 な らびに そ の割 断 面に つ い て

glutaraldehyde溶

SEM観

buffer,

察 が それ ぞれ 詳細 に行 わ れ た。

( 256)

す な わ ち, 人 工 軟 化 象 牙 質 が 作 製 さ れ た 一 部 の

4℃)

象 牙 細 管 の 走 行 を 配 慮 し な が ら, 歯

液 (pH7.4,

sodium

に て24時 間 固 定 後,

cacodylate ダイヤモ ン ド

口 病 誌1991,

ペ ー ス トを 用 い て 鏡 面 研 磨 され た。

2)

鏡 面 研 磨 試 片 は, 微 小硬 度 計 (MXT-70松 精 機 社 製)

を 用 い てKnoop硬

沢

257

填塞術式

窩 洞 は,

さの測 定 が 行わ れ

58/1

mg/kg,

全 身 麻 酔 下 (Ketalar三 Nembutar大

共 社 製20

日 本 製 薬 社 製20mg/

た 。 測 定 は, 人 工 軟 化 象 牙 質 表 層 の 測 定可 能 部 位

kg)

か ら歯 髄 側 に 向か って 象 牙 細 管 の走 行 に平 行 に,

ンハ ン ドピ ー ス に 装 着 し た 鼓 形 ダ イ ヤ モ ン ドポ イ

荷重50g,

ン ト (1421S,

負 荷 時 間15秒 に て50μrn間 隔 で連 続

的 に行われた。

に て,

に てV級

っ い で, Knoop硬

さの 測 定 を終 了 した試 片 は,

2種 の脱 灰 層 を弁 別 す るた め に1.0%ア

被 験 歯 の 顔 面 側 歯 頸 部 に,

松 風 社 製)

シッ ドレ

窩 洞 が 形 成 さ れ た 。 な お,

レーザ ー照 射 処 理 群

接 着 試 験 に お い て,

写 真撮 影 の 終 了 した鏡 面 研 磨 試 片 は漸 強 ア セ ト ン系 列 に て 脱 水 ・置換 後, エ ポ ン812を 滲透 させ,

3種 の 象 牙 質 面 に 対 し比 較 的

安 定 した レ ジ ン の 接 着 強 さ を 示 し た3W-0.5S, 3W-1.0Sの2条

つ い で 順 次37℃ お よび60℃ (お の お の約24時 間)

件 が採 用 され た。

窩 洞 形 成 終 了 後,

の恒 温 槽 中 に て 重 合 させ た 。

窩 底 部 に1秒

未脱 灰 薄 切 切 片 数枚

可 及 的 に エ ア 乾 燥 が 行 わ れ,

間 隔 で2回

のCO2レ

ーザ ー の 照 射

が行 わ れ た 。 レー ザ ー 照 射 後,

0.51%toluidineblue (pH7.4, 染 色 が 施 され た 後, 光 学 顕 微

順 でPh.Cl.Br.が

前述 の 接着 試 験 と 同様 の 手 充 填 さ れ た 。 つ い で,

の 辺 縁 封 鎖 の 完 全 を 期 す た め に,

鏡 下 で 観 察 され た 。 つ い で, 未 脱 灰 薄 切 切 片 作 製 後 の 残 余 の 試 片

修復物

充 填 物 お よび

そ の 周 囲 の エ ナ メ ル 質 を ダ イ ヤ モ ン ドポ イ ン ト #215,

部 分 に 対 して, 通 法 に 従 い カ ー ボ ン蒸着 (約300

松 風 社 製)

を 用 い て, 高 速 注 水 下 に て 一(

層 劇 除 し, K-etchantに

A) を施 し, 波 長分 散 型X線 マ イ ク ロア ナ ライザ ー (JXA-840型, 日本 電 子 社 製, 以 下EPMAと

蝕 後,

略 す) に よ り, Ca, Pに つ い て元 素 分析 が 行 わ れ

され た。

た 。 す なわ ち, 各 元 素 分 析 は, KnoOP硬

が設

歯 髄 試 験 に お け る レ ー ザ ー 照 射 条 件 は, 前 述 の

た。

phosphatebuffer)

窩底 はで き る

窩 洞 内 の 象 牙 質 面 の 前 処 理 と し て 次 の2群

1)

リ ンパ ス社 製) を 用 い て カ ラー 写真 撮 影 が 行 われ

が 作 製 され,

高速 注 水 下

定 され た 。 (

後 に 水 洗 した 後, マ クロ撮 影 装 置 (PMT-35オ

厚 さ約1.0μmの

を 用 い て,

だ け 歯 髄 に 近 接 す る よ う配 慮 さ れ た 。

ッ ドプ ロ ピ レン グ リコー ル溶 液 が 滴 下 され, 10秒

そ の 後,

エアター ビ

PhotoBondを

2)

さ測 定

て エ ナ メ ル 質 を40秒 間 酸 塗 布 し,

K-etchant処 (

Ph.Cl.Br.が

理群

コ ン ト ロ ー ル と してK-etchant処

と同 様 に 軟 化 象 牙 質 最 表 層 か ら象牙 細 管 の走 行 に

充填

理群が 設定

沿 って 歯 髄 側 に 向 か って 線分 析 が 行 われ, 各 元 素

され た 。 す な わ ち, 窩 洞 形 成 終 了 後,

のX線 強 度 が 記録 され た。

わ た っ て 上 述 の ダ イ ヤ モ ン ドポ イ ン トに よ り, ラ

7.歯 1)

ウ ン ドベ ベ ル が 付 与 さ れ,

髄試 験

験 と 同 様 の 手 順 でPhotoBondを

歯 髄 試験 に あ た りニ ホ ンザ ル2頭 (体 重12∼13 kg, 推 定 年 齢6∼7歳) を入 手 し, そ れ ら成 猿 の

Br.が

め られ ず, か つ 比 較 的 咬 耗 の少 ない 健 全 歯52本 が

薬 殺 (Ravona1田

用 い られ た。

注)

さ れ,

お よ び90日)

経 過 後,

つ い で速 や か に 個 々 の歯 牙 が 顎骨 か ら 性 緩 衝 ホ ル マ リ ン中 に て1

週 間 以 上 固 定 保 管 され た 。 そ の 後,

PhotoBond

のPlank

が 用 い られ た。 ( 257)

サルは

辺 製 薬 社 製250mg/kg静

分 離 さ れ た 後, 10%中

また, 修 復 材 料 と して は, 前 述 の接 着試 験 と同

塗 布 し, Ph, Cl.

充 填 され た。

所 定 の 期 間 (3日

口腔 内 に 存 す る歯 牙 の うち, 肉 眼 に よ り蠕 蝕 が 認

Clearfil Bright/Clearfil

つ い でK-etchantに

て 窩 洞 全 体 が60秒 間 処 理 さ れ た 。 そ し て, 接 着 試

実 験 用 歯牙 な らび に レ ジ ン材 料

様 にPhoto

窩縁 全 周 に

& Rychloの

歯 牙 は 約4℃

迅 速 脱 灰 液 に て5日

間浸漬

258口

病誌

平 成3年3月

脱 灰 され, 通 法 に 従 い, 窩 洞 と歯 髄 を 通 る歯軸 に 平 行 な 厚 さ5μmの

連続 パ ラフ ィ ン切 片 が 作製 さ

れ た 。 薄 切 標 本 は, hematoxilin-eosin染 びTaylorの

ま ず,

を み る と,

色お よ

方 法 に よ る グ ラム染 色 が 施 され,

健全 象 牙 質 面 に対 す る レ ジ ンの接 着 強 さ

理 群,

光

K-etchant処

理 群 が レーザ ー 照 射 処

無 処 理 群 と比 較 し て,

に 高 く56.9kgf/cm2で

1%の

あ った。

危険率で有意 レー ザ ー 照 射 処

学 顕 微 鏡 下 で 歯 髄, 象 牙 質 の 変化 な らび に 窩壁 に

理 の 場 合 に は, い ず れ の 照 射 条 件 で も無 処 理 の 場

お け る細 菌 の有 無 な どに つ い て病 理 組織 学 的検 索

合 の 値 と比 べ,

が な され た。

た 。 一 方,

そ れ ぞ れ 有 意 差 は 認 め られ な か っ

レーザ ー照 射 処 理 の条 件 が 変 わ って も

接 着 強 さ の 値 の 間 に 有 意 差 は み られ な か っ た が,

III.結

果

小 さな 照 射 エ ネ ル ギ ーか ら 順 次 大 きな エ ネ ル ギ ー, す な わ ち3W-0

1, 前処理の施 された各種象牙質面に対する レジン の接着強 さ

4W-0.5S,

.2S,

3W-1.OSの

2W一 α5S,

の 値 を み る と そ れ ぞ れ, 40.4,

各 種 の象 牙 質 面 す な わ ち, 健全 象 牙 質 面, 第2 脱 灰 層お よび 第1脱 灰 層 の象 牙 質 面 に, 各 種 の 前

36.4kgf/cm2で

処 理 (酸 エ ッチ ング処 理,

3W-0.5S,

条 件 で 得 られ た 接 着 強 さ 42.6,

38.7, 35.7,

あ り, 2W-0.5S群 (14.1J/cm2)

レー ザ ー照 射 処 理 お よ

よ りも 大 き な エ ネ ルギ ーで レーザ ー を 照射 す る

び無 処 理) を 施 した場 合 の レジ ンの接 着 強 さの成

と, 僅 か で は あ る が 接 着 強 さ が 低 下 し て い く傾 向

績 を表2,

が み られ た 。

図1,

に示す。

表2各

種 の処 理 が 施 され た3種 の 象牙 質 平 坦 面 に対 す る レジ ンの 援着 強 さ (kgf/cm2)

図1各

種 の前 処 理 が 施 さ れ た3種 の象 牙 質 平坦 面 に対 す る レジ ンの 接 着 強 さ

(258)

口 病 誌1991,

一 方,

また, 健 全 象 牙 質面 に おけ る接 着 試 験 後 に お け る 破 断 面 の 観 察 で は, 理

無 処 理,

酸 エ ッチ ング処

259

レーザ ー照 射 処 理 群 に おけ る接 着強 さを

評 価 す る 前 に,

レー ザ ー照 射 処理 の いず れ も, す べ て 界 面破

58/1

対照 と して の無 処理 群 に おけ る接

着 強 さ を み て み る と, 最 も 商 い 接 着 強 さ が 得 られ

壊 を 示 した。 つ い で, 象 牙 質 第2脱 灰 層面 に 対 す る レジ ンの

53.6kgf/cm2を

接 着 強 さ をみ てみ る と, 健 全 象 牙 質 面 に 対 す る レ

面 に お い て 得 られ た 接 着 強 さ は, そ れ ぞ れ40.6,

ジ ンの 接 着 強 さ と 異な り, K-etchant処

35.7kgf/cm2で,

た の は 第2脱

理群の

灰 層 面 に 対 し て で あ って,

な か っ た が,

の それ ら と比 較 して1%の

強 さ の 値 と の 間 に は1%の

た。 一 方,

レー ザ ー照 射 処理 群 の 各照 射 条 件 と無

両 者 と も 第2脱

つ い で,

レー ザ ー 照 射 処 理 群 に お け る 値 を み る

また, 各 レー ザ ー照 射 条件 に お け る接 着 強 さの値

と,

の問 に も有 意 差 は な く, 約50∼67kgf/cm2の

ネノ レギ ー が14.1J/cm2以

接

レー ザ ー の照 射 エ ネ ルギ ー の上

レー ザ ー 照 射5条

群 お よ び2W-0.5S群

昇に 伴い 接 着 強 さが 若 干 高 くな る傾 向を 示 した。

層,

こ の第2脱 灰 層面 に お け る接 着 試 験 後 に おけ る

第1脱

壊 が み られ た。

険 率1%で

K-etchant処

理 群,

無処理

灰

ともに 健全 象

で は,

上 の照 射 エ ネ 3W-1

.0S群

お よ

3群 と も健 全 象 牙 質 に お い

て 得 られ た 接 着 強 さ と比 べ て, 第1お

よび 第2脱

灰 層 に お け る接 着 強 さ は 有 意 に 高 い 値 を 示 し た 。

有意 差 が 認め られ た。 レー ザ ー照 射 処 理 群 の 各照 射 条 件 にお け る 接 着 強 さは,

2W-0.5S群

1回 に つ き21 .15J/cm2以

び4W-0.5S群

危険率で

第2脱

灰 層 で の接 着 強 さの 値 の 問 に 危

ル ギ ー で あ っ た3W-0.5S群,

レーザ ー照 射 処理 群 の順 に 高 い 値 を 示 し, そ

れ ぞれ の群 の接 着強 さの 値 の 間 に1%の

で は 健 全 象 牙 質,

有 意 差 が認 め られ た。

一 方,

さ らに, 象 牙 質 第1脱 灰 層 面 に 対す る レ ジ ンの

1回 の 照 射 エ

下 で あ っ た3W-0.2S

を 示 し, 3W-0.2S群, 牙 質 お よ び 第1脱

群,

件 の な か で,

灰 層 の 順 に, 接 着 強 さ は 高 くな る傾 向

破 断 面 の観 察 で も, す べ て の試 片に お い て 界 面破

接 着 強 さを み る と,

灰 層 面 に おけ る接 着 危険 率で 有意 差が 認 め

られ た 。

処理 群 の 値 の 間 に は有 意 差 は認 め られ な か った。

着強 さが 得 られ,

灰層

両 者 の 間に 有 意 差 は認 め られ

値 は レー ザ ー照 射 処理 群 の 各照 射 条 件, 無 処 理 群 危険 率 で 有 意 に 低 か っ

そ の値 は

示 し, 健 全 象 牙 質 面, 第1脱

レ ー ザ ー 照 射 処 理 群 中 で, 脱 灰 程 度 の 異 な る3

約54∼62kgf/cm2

であ り, そ れ ぞ れ の接 着 強 さ の値 の間 に 有意 差 は

種 類 の 象 牙 質 面 そ れ ぞ れ に お い て, 比 較 的 安 定 し

な く, ま た レーザ ー照 射 エ ネ ル ギ ーの 差 の接 着 強

た 接 着 強 さが 得 られ た の は, 3W-0.5S群,

さに 及 ぼ す 影 響 は 特 に 認 め られ な か った が, 本実

1.0S群

験 中 最 小 の 照 射 エ ネ ルギ ー で あ る3W-0.2Sの

条

2.前

処 理 の 施 され た 各 種 象 牙 質の 表 面 お よび 割 断

面 に お け るSEM所

件 で, 他 の照 射 条 件 よ り比 較 的 大 きな接 着 強 さが 得 られ た。

1)

見

健 全 象 牙 質 面 に お け るSEM像

図2,

また, 前 述 の2種 の 象 牙 質 面 に お け る 破 断 面

3W-

であ った。

3は 各 種 の 前 処 理 が 施 さ れ た 健 全 象 牙 質

と同様, 第1脱 灰 層 面 にお け る接 着 試 験 後 に 観 察

の 表 面 お よ び 断 面 に お い て 観 察 され たSEM像

され た破 断 面 の様 相 も, す べ て 界 面 破 壊 で あ っ

示す 。

た。

図2-aに

で は,

健 全 象 牙 質 面 で56。9kgf/cm2の

茸600の シ リ コ ン カ

ー バ イ ドペ ー ハ ー に よ る 研 削 の ま ま の 象 牙 質 表 面

さて, これ らの接 着 強 さに つ い て 各 種 の 前 処理 条 件 ご とに 比 較 して み る と, K-etchant処

み ら れ る よ うに,

を

に は,

理群

値 を示 し

切 削 条 痕 と と もに,

積 し てsmearlayerを

象 牙質 削 片 が 層状 に重

形 成 し, 象 牙細 管 の 開 口は

た接 着 強 さは, 第2脱 灰 層 面, 第1脱 灰 層 面 に み

認 め ら れ な か っ た 。 そ の 割 断 面 を み る と, 象 牙 質

られ る よ うに, 脱 灰 の程 度 が 進 む に従 って そ れ ら

表 面 を 覆 う 約1∼2μmのsmearlayerお

の接 着 強 さは1%の

牙 質 削 片 に よ るdentinalPlugが

危険 率 で有 意 に低 下 した 。 (259)

よび 象 細 管 開 口部 を封

260口

図2無

病誌

平 成3年3月aa'bb'

処 理 お よ びK-etchant処 ×3,000)

理 され た牛 健 全 象 牙質 にお け る 処理 面 な らび に そ の割 断 面 のSEM像 (

鎖 して お り, そ の 下 層 の管 間 象牙 質 は 緻 密 で, 管

で 残 存 して お り, 不 明 瞭 な が ら も 細 管 開 口 部 と思

周 象 牙質 は明 瞭 に 観 察 され, 細 管 内 壁 面 は 滑 沢 で

わ れ る部 位 が 認 め ら れ た 。 そ の 他smearlayerに

あ った年

の み 局 在 して い る微 小 な 亀 裂 も と こ ろ ど こ ろ に 散

健 全 象 牙 質 面 をK-etchantに

見 され た 。 そ の 割 断 面 を み る と,

よ り40秒 間面 処

理 を 施 す と, 切 削 条痕 は浅 くな り, 著 明 な 象牙 細 管 の 開 口が 認 め られ, 前 述 のsmearlayerは

smearlayerの

厚 さ は 無 処 理 に お け る割 断 面 (図2-a') し て,

完全

と比 較

薄 く な りか つ 平 坦 な 表 面 性 状 を 示 し て い

に 除 去 され て, 表 面 の管 間 象 牙 質 は一 見 無構 造 で 'F滑 感 を 呈 して い るが, 詳 細 に 観 察 す る と微 小 な

た 。 ま た, 無 処 理 の 場 合 に み られ た よ うに 削 片 状

陥 凹 が随 所 に 認め られ た。 そ の 割 断 面 をみ る と,

り若 干 融 合 した と思 わ れ る 像 を 示 し て い た 。 ま た

象 牙質 表 面 か ら 約13∼14μmに

を 呈 して い たdentinalplugは

わ た って 脱 灰 さ

管 間 象 牙 質 は 緻 密 で, 管 周 象 牙 質 も 明 瞭 に 観 察 さ

れ, 管 間 象 牙 質, 管 周 象 牙質 と もに 線維 状 構造 物

れ,

が露 出 して い た年 なお, 管 周 象 牙 質 の 脱灰 は, さ

た。

らに そ の下 國す なわ ち管 間 象 牙 質 が比 較 的 緻 密 な

覆 ってい るsmearlayerは

照 射 時 間0.5秒

の レーザ ー照射

処 理 で は, 象 牙 質 表 面 のsmearlayerは

除 去 され

る が 完 全 に 消 失 し た 状 態 で は な い 。 しか し な が

健 全 蒙 牙質 表 面 に レーザ ー照射 処理 を 行 う と, 照 射 時 間0.2秒

内 部 に お け る 変 化 は ほ と ん ど 認 め られ な か っ

照 射 出 力3W,

構造 を 臣して い る部 位 に まで 及 ん で い た。

照 射 出 力3W,

レーザ ー照射 に よ

ら, 表 面 の 管 周 象 牙 質 は 平 坦 化 し, 耐 水 研 磨 紙 に

で は, 象牙 質 面 を

よ る切 削 条 痕 も 認 め られ た 。 細 管 開 口部 は3W,

部 分的 に あ る い は薄 層 (260)

口 病

図3レ

0.2秒

ー ザ ー照 射 され た 牛健 全 象 牙 質 に おけ る処 理 面 な らびに そ の 割断 面のSEM像 (×3,

処 理 で は,

照 射 の 場 合 よ り明 瞭 に 確 認 され る よ う に な

り, ま た 象 牙 細 管 内 のdentinalplugも

融 合 して

い る よ う な 像 と し て 観 察 さ れ た 。 ま た,

亀 裂 は3

W,

0.2秒 照 射 の 場 合 と 比 べ て,

放 射 状 に 増 加 し て い た が,

261aa'bb'cc'

000)

ほ と ん ど が 消 失 し, 耐

め られ た 。 そ の 割 断 面 を み る と, dentinalplugは

象 牙 細管 周辺 に

に 観 察 され,

そ の下 層 の管 間 象 牙 質

細 管 開 口部 の

融 合 して 一 塊 と な っ て い る よ う また そ の 下層 の細 管 内壁 に はや や 粗

造 感 が 認 め られ た 。 2)

か った 。 照 射 時 間1.0秒

smearlayerの

58/1

水 研 磨紙 に よ る 切 削 条痕 と 思 わ れ る 深 い溝 も 認

お よ び 管 周 象 牙 質 に は ほ と ん ど 変 化 が 認 め られ な

照 射 出 力3W,

誌1991,

図4,

の レー ザ ー 照 射

(261)

象 牙 質 第2脱 5は

灰 層 に お け るSEM像

各 種 の 面 処 理 が 施 さ れ た 象 牙質 第

262

口病 言 誌

aa'bb'図4無

平 成3年3月

処 理 お よ びK-etchant処 SEM像 (×3, 000)

理 さ れ た 牛 象 牙 質 第2脱

灰 層 に おけ る 処 理 面 な らび にそ の 割 断 面 の

2脱 灰 層 の 表 面 お よ び 断 面 に お い て 観 察 さ れ た

れ た 健 全 象牙 質 の場 合 とほ ぼ 同 じ幅 (13∼14μm)

SEM像

を もってK-etchantに

を示 す 。

図4-aに み られ る よ うに, #600の シ リ コ ン カ ー バ イ ドペ ー パ ー に み る 研 削 の ま ま の 象 牙 質 表 面 に は,

覆 わ れ て い る た め,

管 周象 牙

して い た。 さ らに そ の下 層 を み る と, 管 周 象牙 質

泥状 の

の 脱 灰 が 深 くまで 及 び線 維 状 構 造 物 が 認 め られ る

比 較 的平 坦 で

が, そ の 周 囲 の管 間 象 牙質 は無 処 理 の場 合 と (図

僅 か に 切 削 条 痕 が 認 め られ る が,

smearlayerで

よ り 脱 灰 され,

質 は 消失 し, 管 間 象牙 質 で は線 維 状 構造 物 が露 出

細 管 開 口部 は 全 く認 め ら れ な か っ た 。 そ の 割 断 面

4-a')

で は,

牙 細 管 内 に チ ュー ブ状 の内 容物 も認 め られ た 。

象 牙 細 管 口 にdentinalPlugが

認 め ら れ,

同 程度 の粗 造 感 を 呈 して いた 。 また, 象

管 間 象 牙 質 は 若 干 粗 造 感 を 呈 し, 線 維 状 構 造 物 が

第2脱 灰 層 面 に レー ザ ー照 射 処 理 を 行 う と, 照

僅 か に 認 め られ た 。 ま た, 管 周 象 牙 質 は 明 瞭 で 一 部 に 管 周 象 牙 質 外 周 の 壁 で 割 断 さ れ た 豫 も認 め ら

射 出 力3W, 照 射 時 間0.2秒 の 条件 で は, smear layerの 部 分 的 な 消失 ま た は一 部 溶 融 を 思 わ せ る

れた。

面 性 状 を示 し, 象 牙 細 管 開 口部 は溶 融 した と思 わ

第2脱

灰 層 面 をK-etchantに

よ り閉 塞 して お り, 不 明瞭

完全に除

なが らもそ の位 置が 確 認 され た 。 また, そ の 割 断

か つ 象 牙 細 管 は 大 き く開 口 し, 表 面 の 管

面 観 察 で は, 無処 理 の場 合 (図4-c') と同 様 に レー ザ ー照 射 処 理 に よ る変化 は認 め られ ず, 管 間

理 を 施 す と, 象 牙 質 面 のsmearlayerは 去 され,

れ るdentinalplugに

よ り40秒 間 面 処

間象 牙 質 に は線 維 状 構 造 物 の 著 明 な露 出が 認 め ら れ た 。 そ の 割 断 面 を み る と,

K-etchant処

象 牙 質 に は粗 造 感 が あ り線 維 状 構 造 物 が若 干認 め

理 さ

( 262)

口 病 誌1991,

図5レ

58/1

ー ザ ー照 射 さ れ た牛 象 牙 質 第2脱 灰 層 に おけ る処理 面 な らび に そ の割 断 面 のSEM像 (×3,

000)

られ る程 度 で, 管 周 象牙 質 も明瞭 で そ の 内壁 面 は

面 の直 下 の 約2μmの

滑 沢 で あ った 。

認 め られ ず, 管 間 象 牙 質 は僅 か に 溶 融 した よ うな

照 射 出 力3W,

照 射 時 間0.5秒 の条 件 で はsmear

範 囲 で は,

263aa'bb'cc'

線維 状 構 造 物 が

像 を呈 して い た。 そ の深 部 の管 間 象 牙 質 や管 周象

layerの 消 失 が さ らに 明瞭 とな り, 象 牙 質 表 面 全

牙 質に は変 化 は ほ とん ど認 め られ なか った。 照 射 出 力3W,

体 は 平 坦 な 面 性 状 を 示 し, 象牙 細 管 開 口部 と思 わ

照 射 時 間1.0秒

の条 件 で は, 象

れ る部 分 は 容 易 に 確 認 され る よ うに な り, そ の 入

牙細 管 開 口部 のdentinalplugは

口は 溶 融 し た と思 わ れ るdentinalplugに

よ り閉

明 とな り, 象 牙 質表 面 そ≧体 も溶融 して, よ り 一層

塞 され て い た。 そ の割 断 面 を み る と, 平 坦 化 した

平坦 滑 沢 な 面性 状 を 示 した。 そ の 割 断 面 を み る

( 263)

融 解 ・固着 が著

261

口病 誌

平 成3年3月aa'bb'

図6無

処 理 お よ びK-etchant処 SEM像 (×3, 000)

と,

表 層 か ら 約2μmの

理 さ れ た 牛 象 雅1第1脱

灰 層 に お け る 処 理 面 な らび に そ の 割 断 面 の

い た。

幅 で 管 間 象 牙 質 の線 維 状

第1脱 灰 層 表 面 をK-etchantに

構 造 物 が 明 らか に 溶 融 した と思 わ れ る 像 が 観 察 さ

て40秒 間 面 処

れ た 。 しか し な が ら, そ の 直 下 の 管 間 象 牙 質, 管

理 す る と (図6-b) ,

周 象 牙 質 に は 前 述 と同 様 変 化 は ほ とん ど 認 め られ

維 状 構 造 物 が 絡 み 合 い, 象 牙 細 管 の開 口部 は 本 来

な か った。

の 形 を失 い, 著 しい 崩壊 を示 して い た 。 そ の 割 断

3)

象 牙質 第1脱

図6,

7は

面 を 入 る と, 第1脱 灰 層 にお け る無 処 理 で の 観 察

灰 層 に お け るSEMl象

と同様 に管 周 象 牙 質 は 消 失 し, また 管 間 象 牙 質 は

各 種 の 前 処 理 が 施 され た 象 牙 質 第

さらに疎 な線 維 状 構 造物 で 占め られ て い た 。

1脱 灰 層 の 表 面 お よ び 断 面 に お い て 観 察 され た SEM像

を示 す 。

図6-aに

み ら れ る よ うに,

そ の 表面 は 露 出 した疎 な線

第1脱 灰 層表 面 に レーザ ー照 射 処 理 を行 った 場 #600の

合, 照射 出 力3W,

シ リコ ンカ

照射 時 間0.2秒

の条 件 では,

ー バ で ドヘ ー パ ー に よ る研 削 の ま ま の 象 牙 質 表 面

表 層 のsmearlayerは

で は, 脱 灰 に よ り露 出 し た 線 維 状 構 造 物 が 研 削 に

が 明瞭 とな り, 細 管 の局 在 が 確 認 され た。 さ らに

よ りち ぎれ,

表 面 の管 間 象 牙 質 に は線 維 状 構 造 物 が 僅 か に認 め

そ の 表 面 に 固 着 し た よ うな 籐 を 馳

し, 象 牙 細 管 はsmearlayerを

消 失 して, 象 牙 細 管 開 口部

られ た が, それ らの一 部は 溶 解 ・凝 固 し比 較 的 平

介 して 部 分 的 に 開

口 して い た 。 そ の 割 断 面 を み る と, 管 周 象 牙 質 の

滑 な面 性 状 を呈 して い た 。 そ の 割 断 面 をみ る と,

消 失 に よ り象 牙 細 管 が 拡 大 し た 像 を 竪 し, 管 問 象

象 牙 細 管 開 口部 は細 管 の開 大 に比 べ 狭 くな って お

牙 質 は そ の ほ と ん ど が 線 維 状 構 造 物 で 占 め られ て

り, 管 間 象牙 質 は線 維 状 構 造 物 で 占め られ て, 第

(264)

口病

図7レ

誌1991,

58/1

ー ザ ー照 射 され た 牛 象 牙 質 第1脱 灰 層 に お け る 処理 面 な らび に その 割 断 面 のSEM像 (×3,

1脱 灰 層 に おけ る無 処理 の場 合 のSEM像

とほ ぼ

照 射 出 力3W,

同様 な所 見 を示 した。 照 射 出 力3W,

照 射 時 間0.5秒

照 射 時 間1.0秒

265aa'bb'cc'

000)

の条 件 で は, 象

牙 質表 面 の線維 状 構 造 物 の溶解 ・凝 固 が さ らに進 ん で線 維 状 構 造物 は ほ とん ど認 め られ な くな り,

の条 件 で は, 管

間 象 牙 質 の線 維 状 構 造 物 の 溶解 ・凝 固 が さ らに 進

表 面全 体 が 滑 沢 な面 性 状 を 呈 し, 部 分 的 に表 層 が

み, よ り平 滑 な面 性 状 を 呈 して い た が, 依 然 とし

剥 離 す る よ うな像 を示 して い た。 そ の割 断 面 をみ

て 線 維 状 構 造 物 が 部 分 的 に散 見 され た。 しか しな

る と, 溶 解 ・凝 固 した線 維 状 構造 物 が 象 牙 質表 層

が ら, そ の下 層 に お け る変化 は認 め られ な か った

に 一 層 固 着 して い る のが 認 め られ た。 しか しな が

図7-b')

。

ら, そ の 下 層 の 変化 は 認 め られず, 管 間 象 牙 質 の

(

(265)

266

口病 誌

平 成3年3月abc

図8各

種 の 前 処理 された 健 全 象 牙 質面 と レジ ンとの接 着 界 面 のSEM像 (×2,

レジ ン含浸 層 と象牙 質 との境 界 な らび に レジ ン含

ほ と ん ど が 線 維 状 構 造 物 で 占 め られ て い た 。 3.前

1) 図8に

浸 層 とボ ンデ ィン グ材 との境 界 は 明瞭 で あ った 。 レーザ ー 照射 処理 (照 射 出 力3W, 照射時間

処 理 の施 され た各 種 象 牙 質 面 と レジ ンの 接 着

界 面 のSEM所

見

0.5秒)

健 全 象 牙 質 に お け る 接 着 界 面 のSEM像

を 示 す。

と の 接 着 界 面 に お け るSEM像

plugが 認 め られ,

をみ る

れ, そ れ は 比較 的深 部 まで 浸 入 して い た。 2)

そ の下 方 の象 牙細 管中 に は ボ ンデ ィ

象 牙 質 第2脱 灰 層 に お け る 接 着 界 面 の SEM像

ン ク材 が 浸 入 ・硬 化 した 像 が 部 分 的 に 認 め ら れ

図9に 各種 の前 処 理 が 施 され た 象牙 質 第2脱 灰

た。 K-etchantで

そ の下 方 の 象牙 細 管 内 に は 比

較 的 疎 な 構 造 を も った ボ ンデ ィ ン グ 材 が 認め ら

と, 表 層 の 象 牙 細 管 内 に 削 片 状 のdentinalplug が 認 め られ,

を み る と, 象 牙 質 表 層

の象 牙 細 管 内 に 凝 固 して 一 塊 とな ったdentinal

健 全 象 牙 質 の 仕 上 げ 面 と ボ ン デ ィ ン グ材 (PhotoBond)

され た 健全 象 牙 質 と ボ ンデ イ ング材 との

接 着 界 面 に お け るSEM像

各 種 の 前 処理 が施 され た健 全 象牙 質 面 と

レ ジ ン の 接 着 界 面 のSEM像

000)

処 理 さ れ た 健 全 象 牙 質 面 と ボ ンデ

ィ ン グ材 と の 接 着 界 面 に お け るSEM陳

で は,

層 面 と レジ ンの接 着 界 面 のSEM像

漏

を示 す 。

第2脱 灰 層 に おけ る仕 上 げ 面 とボ ンデ ィ ン グ材 PhotoBond) との接 着 界 面 に お け るSEM像 で (

斗 状 に 大 き く開 口 し た 象 牙 細 管 に レ ジ ンが 浸 入 ・ 硬 化 して い る 像 を 示 し て い た 。 ま た, 象 牙 質 表 層

は,

に は 約1μm前

が 僅 か に 薄 く認め られ た 。 また,

後 の レ ジ ン含 浸 層 が 認 め ら れ た 。

(266)

象 牙 質 最表 層 に レジ ン含 浸 層 と 思 わ れ る 層 象牙細管 内の

口 病

図9各

dentinalplugは

疎 な 構 造 物 と し て 観 察 され,

そ

理 され た 象 牙 質 第2脱

灰 層 とボ ン

が 認 め られ,

象 牙 質 第1脱

灰 層 に お け る接 着 界 面 の

SEM像

漏

図10に 各 種 の 前 処 理 が 施 され た 象 牙 質 第1脱 層 面 と レ ジ ンの 接 着 界 面 のSEM像

斗 状 に 大 き く開 口 し た 象 牙 細 管 に レ ジ ンが 浸 入 し か つ 約13∼15μmの

000)

材 が 認 め られ た 。 3)

デ ィ ン グ 材 と の 接 着 界 面 を み る と (図9-b) ,

267abc

方 の 象 牙 細 管 内 に は 浸 入 ・硬 化 し た ボ ン デ ィ ン グ

ング材 が 認 め られ た。

て お り,

58/1

種 の前 処 理 され た 象 牙質 第2脱 灰 層面 と レジ ン との接 着 界 面 のSEM像 (×2,

の 下 方 の 象 牙 細 管 中 に は 浸 入 ・硬 化 した ボ ンデ ィ

K-etchant処

誌1991,

幅 で レジ ン 含 浸層

第1脱

を示 す 。

灰 層 に お け る 仕 上 げ 面 と ボ ンデ ィ ン グ 材

PhotoBond)

レ ジ ン含 浸 層 と細 管 入 口 の ボ ン デ ィ

灰

と の 接 着 界 面 に お け るSEM像

を (

ン グ材 の み か ら な る レ ジ ン タ グ と の 境 界 は 明 瞭 で

み る と, 象 牙 細 管 内 に レ ジ ンが 浸 入 し, 象 牙 質 表

あ っ た が,

層 か ら 約10μmの

よ り深 部 の レ ジ ン含 浸 層 と象 牙 質 の 境

界 は, 移 行 的 で や や 不 明 瞭 で あ っ た 。 レ ー ザ ー 照 射 処 理 (照 0.5秒)

射 出 力3W,

され た 象 牙 質 第2脱

幅 で,

レ ジ ン 含 浸 層 と思 わ れ

る 層 が 観 察 さ れ た 。 レ ジ ン含 浸 層 と ボ ンデ ィ ン グ 照射時間

材 と の 境 界 は 明 瞭 で あ る が,

灰 層 面 と レジ ン との

接 着 界 面 で は, 象 牙 質 最 表 層 に 約0.5μmの

健 全 象 牙 質 面 や 第2

脱 灰 層 に お け る無 処 理 面 の も の と比 べ て, 界 は 凹 凸 に 富 ん で い た 。 ま た,

幅で

そ の境

レ ジ ン含 浸 層 とそ

レ ジ ン含 浸 層 と思 わ れ る 層 が 認 め られ た 。 象 牙 細

の下 層 の象 牙 質 との境 界 は 移 行的 で不 明 瞭 で あ っ

管 内 のdentinalplugは

た。

凝 固 し て 一 塊 と な り比 較

的 密 な 構 造 物 と し て 観 察 さ れ た 。 そ し て,

K-etchant処

そ の下

(267)

理 さ れ た 象 牙 質 第1脱

灰 層 とボ ン

268

口 病 誌3年3月abcb'

図10各

種 の 前 処理 され た象 牙 質 第1脱 灰 層 面 と レジ ンとの 接 着 界 面 のSEM像 (×2,

000)

デ ィ ン グ 材 と の 接 着 界 面 で は, 形 の 崩 れ た 細 管 腔

光 学 顕 微 鏡 像 で あ る 。 象 牙 質 表 層 か ら 約200μm

に レ ジ ンが 浸 入 し,

の 幅 で1%ア

約50μmの

幅 を もっ た レジ

ン含 浸 層 と 思 わ れ る 層 が 観 察 さ れ た 。 レ ジ ン含 浸

溶 液 に よ り明 瞭 に 赤 染 す る 層 が 認 め ら れ た 。 2)

層 と ボ ン デ ィ ン グ材 と の 境 界 は 明 瞭 で あ っ た (図 10-b')

が,

一 方,

0.5秒)

レジ ン含 浸層 と 象 牙質 との境

た 約2μmの 察 され,

照射 時 間

切 片 にtoluidineblue染

灰 層面 と レシ ンとの

象 牙 細 管 内 に レ シ ンか 浸 入 し,

1)

青 染 さ れ て い た が,

よ って

そ の 下 層 を み る と, 染 色 性 が

若 干 異 な り青 紫 色 を 示 し, 管 周 象 牙 質 がtoluidine

レジ ン 含 浸 層 と ボ ンテ ィ ン ク材 と の 境 界

blueに

ょ っ てmetachromasiaを

起 こ して い る こ

と が 判 る 。 さ ら に 歯 髄 側 に 向 か うに 従 っ て, 染 色

工 軟 化 象 牙 質 試片 の 光 学 顕 微 鏡 所 見, K皿oop

性 が 徐 々に 低 下 し て い き, そ の 歯 髄 側 よ りで は,

濃度

ご く僅 か な 染 色 性 を 示 し た に と ど ま っ た 。

鏡面研磨試片の光学顕微鏡像

図11は,

色 を 施 した 場 合 の 光 学 顕

に わ た って 管 間 象 牙 質 がtoluidineblueに

ま

幅 で レ ジ ン含 浸 層 と思 わ れ る 層 が 観

硬 さお よ びCaとPの

色 切 片 の 光学 顕 微

微 鏡 像 を 図12に 示 す 。 象 牙 質 表 層 か ら 約200μm

は 明瞭 で あ った。 4.人

blue染

酢 酸 脱 灰 液 に よる 牛歯 人工 軟 化 象 牙 質 の 未脱 灰 射 出 力3W,

さ れ た 象 牙 質 第1脱

接 着 界 面 で は,

未 脱 灰toluidine 鏡像

界 は 不 明 瞭 で あ った 。 レ ー ザ ー 照 射 処 理 (照

シ ッ ド レ ッ ドプ ロ ピ レ ン グ リ コ ー ル

3)

酢 酸 脱 灰 液 に よ り作 ら れ た 人 工 軟 化 象

KnoOP硬

さ

人 工軟 化 象 牙 質 表 層 か ら可 及 的 に 象 牙 細 管 の 走

牙質 を もつ 牛 歯 象 牙質 断 面 に お け る鏡 面研 磨 面 の

(268)

口 病 誌1991,

図11鏡 1%ア

面研 磨 試片 の光 学 顕 微 鏡 像

図12未

シ ッ ド レ ッ ドプ ロ ピ レ ン グ リ コ ー

58/1

269

脱 灰 薄 切切 片 の光 学 顕 微 鏡像 ×50) toluidine blue染 色 (

ル溶 液 に よ る 染 色 像

向に 沿 って 測 定 したKnoop硬

さ の値 を 図13に 示

す 。 象 牙 質 表 層 か ら 約250μmの が 著 しい た め,

深 さ まで は軟 化

測 定 は 不 可 能 で あ った。250μm

よ り歯髄 側 の部 分 のKnoOP硬

さ値 は21を 示 し,

さ らに 深 部 に 向 か って 漸増 し,象 牙 質 表 層 か ら550 μmの 深 さで はKnoOP硬 L, 4)

さは約50で ピー クに 達

それ よ り深 部 で は ほぼ 一 定 の値 を示 した 。 CaとPの

図14は,

濃度

人 工 軟 化象 牙 質 試 片 断 面 に お け るCa,

Pの 各 元 素 に つ い て, EPMAに

図13牛

歯 人 工軟 化 象牙 質 のKnoop硬

さ曲線

よ りそ の表 層か ら

可 及 的 に 象 牙 細 管 の走 行 に 沿 って 歯髄 方 向 に 向か な った 。 つ い で,

い 線 分 析 した 結 果 で あ る。Ca, Pの 濃 度 は ともに 象 牙 質 表 層 か ら 約50μmの す るが,

向 か っ てCa,

深 さ まで 急 激 に 上 昇

そ こか ら約180μm下

P濃

約180μmの

度 は 再 び 急 上 昇 し始 め, 象 牙 質

表 層 か ら 約400μmの

層 ま で は濃 度 勾 配

は ゆ る や か とな り, あ ま り大 き な変 化 を 示 さな く

( 269)

深 さ か ら歯 髄 側 に

深 さ 付 近 で ピ ー クに 達 し,

そ れ よ り深 部 で は ほ ぼ 一 定 と な る 傾 向 を 示 し た 。

270

口病 誌

平 成3年3月

表3残

表4象 図14牛

歯 人工 軟 化 象 牙質 のCaお

存窩 底 象牙 質 の厚 さ (単 位: mm)

牙 芽 細 胞 の 配列 の 乱れ と消 失 の 発 現 例 数

よびPの 濃 度 変

化 曲線

5.歯 髄試験の成績 1)

歯髄 お よび 象 牙質 の病 理 組 織 学 的 判 定 法 (

1)

残 存 窩底 象 牙 質 の厚 さ

残 存窩 底 象 牙 質 の厚 さ (以下RDTと

略 す) は,

組 織 切片上 に お いて, 歯 髄 と窩 底 との最 短距 離 を も って 表 示 され た。 表3に

表5象

牙芽 細 胞 層 に お け る充 血 の 発 現 例 数

各実験 期 間 別 のRDT

の平 均 値, 最 小値 お よび 最 大 値 を示 す 。 2)

窩 壁 の細 菌

(

窩 壁 上 の細 菌 はそ の 存在 の 有 無 を 詳細 に 調 べ, 評 価 され た。 3)

歯髄変 ( 化 の観 察 項 目な らび に評 価 基準

歯髄 の病 理 組 織 学 的 変化 の観 察項 日は, 象 牙 芽 表6急

細 胞 の 配 列 の乱 れ お よび 消 失, 急 性 炎症 性 細 胞 の

性 炎症性細胞浸潤 の発現例数

浸 潤, 慢 性 炎症 性 細 胞 の浸 潤, 象 牙 芽細 胞 層 とそ の 周 辺 の充 血 な らび に 刺 激 象 牙 質 の形 成 の5項 と し, そ の 変化 の程 度 に よ り一, ±, +,

目

の4

段階 に 分 け て評 価 され た。 4)

歯髄 の病 理 組 織 学 的( 変 化 の評 価 方 法

観 察 され た 項 目は 上 述 の ご と く5項

目 である

が, 3日 経 過 例 の歯髄 変 化 に つ いて は, 主 と して いず れ の 前処 理 群 またい ず れ の 実 験期 間 に お い

象 牙芽細 胞 の配 列 の 乱 れ お よび 消失, 急 性 炎症 性 細 胞 の 浸潤, 象 牙芽 細 胞 層 とそ の周 辺 の 充 血 の3

て も, 細 菌 染 色 を 施 した標 本 で 窩 壁 上 に 細菌 が 認

項 目を中 心 に 評 価 が な され た。90日 経 過 例 の 歯髄

め られ た ものは 皆 無 で あ った 。

変化 に つ いて は,

3)

髭と して 急 性 炎症 性 細 胞 の 浸

各 前処 理 群 に お い て, 実 験 期 間 別 に 病 理 組 織 学

潤, 慢 性 炎症 性 細 胞 の 浸潤, 刺激 象 牙質 の 形 成 の

的 変 化 を前 述 の4段 階 に よ り評 価 し, 得 られ た 成

3項 口を中 心 に 評 価 され た。 2)

歯 髄 の病 理 組織 学 的 変化

細 菌 侵 入状 態

績 を 表4∼8,

(270)

図15∼19に 示 す 。

口 病 誌1991,

表7慢

271

性 炎症性細胞浸潤の発現 例数

表8刺

図15象

激 象 牙質 形 成 の 発現 例 数 図17急

性 炎症 性 細 胞 の浸 潤

図18慢

性 炎症 性紐1胞の浸 潤

牙芽 細 胞 の 配 列 の 乱 れ と消失

図19刺

1)

図16象

激 蒙 牙質 の 形 成

3日 経 過 例 の 歯髄 変 化 K-etchant処

理群

(1)

象 牙 芽細 胞 層 とそ の周 辺 の充 血 は9例 中1例 の みが 中 等 度 で あ り, ま た急 性 炎症 性 細 胞 の浸潤 も

牙 芽 細 胞 層 にお け る充 血

(271)

(

58/1

272

口 病 誌

平 成3年3月abc

図203日

軽 度 の も の が1例

後 の 歯 髄 変 化 例 (HE染

中 等 度 が3例,

っ た (表4∼6, 2)

図15∼17,

残 る3例 20-c)

レーザ ー照射 処理 群

(

に 比 べ る と 顕 著 で,

般 にK-etchant群

8例 中2例

な い し3例

3W-0.5S群

こ れ ら試 片 の 残 存 窩 底 象

図15∼17,

20-b)

90日 経 過 例 の 歯 髄 変 化

中K-etchant処

一

(272)

一般に

。 (

理群

軽 度 の 慢 性 炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 が7例

に比 べ 変 化 の 程 度 が 強 か った

中等 度 の

に 認 め られ,

の 炎症 性 変 化に 比 べ 強 い 傾 向が 認 め

られ た (表4∼6, 2)

に 高

これ ら試 片 の残 存 窩 底 象 牙

急 性 炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 が3例

牙 質 の 厚 入 を み る と比 較 的 菲 薄 な 傾 向 に あ っ た 。 一 方, 軽 度 お よ び 中 等 度 の 急 性 炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 に 認 め ら れ,

一 般 に3W-0巻5S群

質 の 厚 み は 比 較 的 菲 薄 で あ っ た 。 一 方,

8例 中 約 半 数 例 に 中

あ る い は1例

。

細 胞 の 配 列 の 乱 れ と 消 失 は,

象 牙 芽 細 胞 層 と そ の 周 辺 の 充 血 な らび に 象 牙 芽

等 度 の 変 化 が 認 め られ,

20-a)

象 牙 芽 細 胞 層 とそ の 周 辺 の 充 血 な ら び に 象 牙 芽

が軽度であ

。

度 の 変 化 が 認 め られ,

細 胞 の 配 列 の 乱 れ と 消 失 は,

そ れ ぞ れ2例

図15∼17,

b.3W-1。0S群

a.3W-0.5S群

が,

/16)

(表4∼6,

入 られ た の み で あ っ た 。 そ れ に

対 し, 象 牙 芽 細 胞 の 配 列 の 乱 れ と 消 失 は 著 明 で, 高 度 が3例,

色,

中2例

に認

口 病 誌1991,

図2190日

後 の 歯 髄 変 化 例 (HE染

色,

58/1

273abc

×16)

め られ た のみ で, 一 般 に炎 症 性 変 化 は きわめ て軽

象 牙 細 管 様 構 造 物 の 数 は,

微 で あ った。 また, 中 等 度 ない し多 量 の 刺激 象 牙

理 群 に 比 し, 少 な い 傾 向 に あ った (表6∼8,

質 の形 成 が3例 に 認 め られ たが, そ れ ら刺激 象 牙

17∼19,

21-a)

一 般 にK-etchant処 図

。

質 に は象 牙 細 管 様 構 造 物 が 一 様 に観 察 され た (表

b.3W-1。0S群

6∼8,

軽 度 の急 性 お よび慢 性 炎 症 性 細 胞 の浸 潤 が そ れ

図17∼19,

21-c)

。

レーザ ー照 射 処 理 群 (2)

ぞ れ10例

中1例

K-etchant処

a.3W-0.5S群

な い し3例

に 認 め られ た のみ で

理 群 な らび に3W-0.5S群

と同 様 に

ほ と ん ど炎 症 性 変 化 は 認 め られ な か っ た 。 一 方,

急 性 お よび慢 性 炎 症 性 細 胞 の浸 潤 に つ い て は,

多 最 の 刺 激 象 牙 質 の 形 成 が3例

そ れ ぞれ10例 中1例 な い し2例 に 軽 度 な 変 化 が 認

に 認 め られ た が,

め られ た のみ で あ った。 一 方, 中 等 度 な い し多 量

こ れ ら試 片 の 残 存 窩 底 象 牙 質 の 厚 み は 比 較 的 菲 薄

の刺 激 象 牙 質 の形 成 が 半 数 例 に 認 め られ た が, こ

で あ っ た 。 ま た,

そ れ ら刺 激 象 牙 質 の 様 相 を み る

れ ら試 片 の残 存 窩 底 象 牙 質 の厚 み を み る と比 較 的

と,

菲 薄 であ った 。 ま た, そ れ ら刺激 象牙 質 にお け る

の そ れ に 比 べ 少 な く, さ らに 細 管 様 構 造 物 が 全 く

(273)

敦 牙 細 管 様 構 造 物 の 数 はK-etchant処

理群

274

口 病 誌平

成3年3月

観 察 さ れ な い 部 分 も 認 め られ た (表6∼8, 17∼19,

21-b)

図

表 面 のsmearlayerは

。

細 菌 お よび 種 々の 外 来 物 質

の 象 牙細 管 へ の 侵 入 を 防 ぐ の で,

歯髄 保 護 の 観 点

か ら保 存 す べ き で あ る28・29) ,と さ れ て い る 一 方, IV.考

察

こ のsmearlayerに

レ ー ザ ー を 歯 牙 硬 組 織 に 応 用 し よ う とす る 最 初 の 試 み は,

り う る と の 観 点 か ら除 去 す べ き も の29) と の 考 え も

窩 洞 形 成 に 関 す る も の で あ った2) 。 当

あ る。

初 用 い られ て い た ル レビ ー レ ー ザ ー 装 躍 は, そ の 機 械 的 な 操 作 性 の 点 で 歯 科 領 域 へ の 応 用 に 適 して お らず,

そ こ で,

今 回 著 者 は, 蠕 蝕 象 牙 質 を 切 削 し た 際

に は 健 全 象 牙 質 の 切 削 時 と 異 な り, 独 特 なsmear

また 実 際 に ル ビー レーザ ーで窩 洞 形 成 を 行

うた め に は 高 出 力 の エ ネ ル ギ ー が 必 要 で あ り, 歯

layerが

髄 や 歯 牙 周 囲 の 口腔 粘膜 に 傷害 な どの 問 題 が 生

て,

じ, 現 在 で は ノ しビ ー レ ー ザ ー を 歯 牙 切 削 に 利 用 し

蠕 蝕 の 第1層 (外

よ う と す る 報 告 は ほ とん ど み ら れ な く な っ た 。

す るCO2レ

そ の 後,

歯 科 領 域 へ の レ ー ザ ー の 応 用 は,

ザ ー 装 概 の 操 作 性 な ど の 点 か らCO2レ らび にNd:

YAGレ

レー

歯髄 お よび 歯 牙周 囲 の

1.本

レーザ ー照射 に よる エ ナ メル質

齢,

醸 蝕 予 防 な どに 関 す る 報 告 は 多

レー ザ ー の 象 牙 質 へ の 応 用 に 関 す る 報 告 そ れ らを 抄 覧 す る と,

人天 然 驕 蝕 象 牙 質 を 用 い 人象牙質は 加

個 体 差 な ど の 影 響 に よ りそ の 性 状 は さ ま ざ ま

質 蠕 蝕 を 有 す る 人抜 去 歯 を 多 数 得 る こ と は き わ め

Kant〇la15)

ー ザ ー 照 射 を 行 い,

て 困 難 で あ る 。 さ ら に 今 回,

X

CO2レ

も エ ナ メ ル 質 と 同 様,

こ で,

牙 質 に 人 工 軟 化 象 牙 質 を 作 製 す る こ とを 試 み た 。

耐 酸 性 が 得 られ る と 述 べ て はinvivoに

お け るCO2

と こ ろ で,

レー ザ ー 照 射 に よ る 感 染 象 牙質 の 滅 菌 効 果 に つ い て 言 及 して い る 。 最 近 で は, ー ザ ー お よ びNd:

よ るsmearIayerの

YAGレ

人 工 軟 化 象 牙 質 の 作 製 に つ い て は,

爾 蝕 象 牙 質 第2層

の 生 理的 一 再石 灰 化 に 関す る研 究

で 加 藤31) , 宮 内32) は イ ヌ, 巽33) は サ ル の 歯 牙 に 対

熊 崎18)

し て, Plank&Rychloの

ー ザ ー照 射 に

処 理 な らび に 象 牙 質透 過 性 へ

の 影 響 を 検 討 して い る が, 生 じるsmearlayerの

Taniら17) ,

コ ン ポ ジ ッ ト レ ジ ン の 接 着 試 験 に お い て,

一 般 に 人 歯 の 代 替 と して よ く用 い られ て い る 牛 象

ー ザ ー 照 射 に よ り象 牙 質

い る 。 ま た, Boninら21)

あ る程

度 の大 き さ の被 着 歯 面 の獲 得 が 必要 で あ った。 そ

非 常 に 類 似 し た も の に 変 化 した と 報 告 し て お り, は,

象牙 質 に対 す る コ ン

ポ ジ ・.トレ ジ ンの 接 着 試 験 を 行 う た め に,

象 牙質 の結 晶構 造 は エ ナ メル レ質 の も の と

Nelsonら27)

人 健 全 繁 牙質,

ーザ ー照射 の 影 響 を検 索

部 位 に よ り多 種 多 様 の 態 様 を 示 し, 同 程 度 の 象 牙

線 回 折 を 用 い て 象 牙 質 結 晶 構 造 の 変 化 を 検 討 した

はCO2レ

研 究 にお け る人 工 繭 蝕 モ デ ル の妥 当性 の 評 価

で あ り, ま た 象 牙 質 蠣 蝕 は, そ の 進 行 程 度 や 発 生

象 牙 質 粉 揺 こCO2レ

と こ ろ,

ーザ ーの有 用性 につ い

る の が 望 ま し い 。 し か し な が ら,

い3∼6,9,1227)。

は,

CO2レ

象 牙 質 に 対 す るCO2レ す る 際,

は 少 な い が,

ー ザ ー の影 響 を 主 と して観 察 す る と と

て 考 察 を試 み た。

て い る。

一 方,

に対

そ れ ら の 変 化 が コ ンポ ジ ッ ト レ ジ ン の 接 着

織 学 的 検 討 を 行 い,

歯 牙 硬 組 織 に 対 す る レー ザ ー の 応 用 に つ

の 耐 酸 性 付 与,

層)

レ ー ザ ー 照 射 の 歯髄 へ の 安 全 性 に つ い て も病 理 組

い て 基 礎 的 な ら び に 臨 床 的 研 究 が 数 多 く報 告 さ れ

そ の な か で も,

層) お よ び 第2層 (内

に い か な る 影 響 を 及 ぼ す か を 検 討 し, 併 せ てCO2

ーザ ー な

口腔 粘 膜 に 傷害 が生 じない 低 出 力 の エ ネ ル ギ ーに お い て,

形 成 さ れ る と い う 佐 野 の 報 告30) に 基 づ い

こ れ ま で 基 礎 的 に ほ と ん ど 検 討 され な か っ た

も に,

ーザー 一を 中 心 と し て 進 め られ

て き た 。 そ し て そ れ ぞ れ,

は 細 菌 が 残 概 さ れ て お り, 細

菌 繁 殖 の 場 と な り, ひ い て は 歯 髄 炎 の 原 因 と も な

迅速 脱 灰 液 を 用 い て 人

工 軟 化 象 牙 質 を 作 製 し て い る。 ま た,

一 般 に 象 牙質 切削 時 に

は, inz, ilroで

処 理 に つ い て は い まだ に 明

確 な る 見 解 の 一 致 を み て い な い 。 す な わ ち, 窩 洞

(274)

人 抜 去 歯 に 対 し て,

大 串34,35)

同 じ くPlank

&Rychloの

迅速脱灰液を用いて人工軟化象牙質

を 作 製 し て,

第2脱

灰 層に 関 す る研 究 を行 って い

口 病 誌1991,

58/1

一 方, 赤 染 部 に お け るKnoOP硬

る。 今 回 の実 験 で は 適 当 な 厚 さを も った 象牙 質 第

275

さ は, 巽 の 実

1お よび 第2脱 灰 層平 坦 面 を 確 実 に 得 る こ とを 目

験33) と 同 様 に 軟 化 が 著 し く 測 定 が 不 可 能 で あ っ

的 とした が,

た。

特 に 比 較 的 厚 い 幅 の 第2脱 灰 層 が

必 要 で あ った 。 巽33)は,

Plank&Rychloの

迅

さ ら に,

toluidilleblue染

色 を 施 す と,

1%ア

速 脱 灰 液 に よ って, サ ル の歯 牙 に 作 られ た 第2脱

シ ッ ド レ ッ ドプ ロ ピ レ ン グ リ コ ー ル 溶 液 に よ る 赤

灰 層 の幅 は 約80μmで,

染 相 当 部 (表 層 よ り約200μm)

作 用 時 間 を 延 長 して も

はtoluidineblue

第1脱 灰 層 の幅 は大 き くな るが, 第2脱 灰 層 の幅

に よ っ て 青 染 した 。 こ れ は 天 然 鵬 蝕 歯 に お け る 第

に ほ とん ど変 化 は認 め られ なか った と述 べて い る

1脱 灰 層 がtoluidineblue染

が,

清 水 の 報 告37) と一 致 して い る。

今 回 の実 験 で は,

insitasで 短 時 間 の脱 灰 を

必 要 と した サ ル の実 験 と異 な り, 抜 去 歯 牙 な の で

ま た,

1%ア

色 で 青 染 し た とい う

シ ッ ドレ ッ ドブ ロ ピ レ ング リコー

時 間 的 制 約 が 比 較 的 少 な い こ と も あ り, 新 た に

ル 溶 液 に よ る 赤 染 部 よ り下 層 約200μmの

上 記 目的 の ため に 脱 灰 液 を 調 製 す る こ とを 試 み

EPMAに

た。

部 よ り低 下 し て お り, り下 層 約300μmに

さて, 象 牙 質 蠕 蝕病 巣 中 に 同定 され て い る有 機 酸 の うち代 表 的 な ものに 乳 酸

Ca,

KnoOP硬

Pの さ は,

濃 度 は健 全 赤 染部 よ

わ た っ て 健 全 部 よ り低 下 して

い た。

酢 酸 が あ る こ とは

広 く知 られ て い る。 ま た, エ ナ メル質 に お け る人 工 鶴 蝕 の作 製 や 耐 酸 性 の実 験 で は,

よ り 分 析 す る と,

部分を

そ して,

こ の 赤 染 部 よ り下 層 約200μmに

て, toluidineblue染

pH.4∼6の

おい

色 を 施 す とmetachromasia

乳 酸 緩 衝 液 や 酢 酸 緩 衝 液 な どが 用い られ て い る。

が 観 察 さ れ た 。 これ は 天 然 鶴 蝕 歯 に お け る 第2脱

これ は, エ ナ メル質 鰯 蝕 病 巣 中 のpHが4∼6で

灰 層 がtoluidineblue染

あ り36) ,エ ナ メル質 で は適 当 な人 工 鵬 蝕 を作 る こ

が 起 き た と い う清 水 の 報 告37) と一 致 し て い る 。 こ

とが で き るた め であ る。 一 方, 象 牙 質 蠕 蝕病 巣 中

のmetachromasiaは,

のpHも

同 様 に4∼6で

あ る36)ので, 予 備実 験 に

色 に よ りmetachromasia

酸 性 ム コ多 糖 類 が 存 在 す

る こ とに よ っ て 起 こ る も の と考 え られ て お り, 清

お い て これ らの脱 灰 液 を7日 間 象 牙 質 に作 用 させ

水37) は,

たが, 第1お

か っ た の は,

よび 第2脱 灰 層 を 幅 広 く作 る こ とは

正 常 象 牙 質 でmetachromasiaが

現れな

正常 象 牙 質 中 の多 糖 類 が 無機 塩 に よ

不 可 能 で あ った 。 そ こで, 比 較 的 幅 の 広 い脱 灰 象

って 密 に マ ス ク さ れ て い た た め で あ り, ま た 第1

牙質 を 得 る ため,

脱 灰 層 に お い てtoluidineblueに

検 討 を 加 え,

pHお

よび 作用時間 について

romasiaを

脱 灰 液 な らび に 作 用 時 間 を 決 定 し

糖 類 が 消 失 した た め で あ る と考 察 し て い る 。

た。 す なわ ち, mMCa,

よ っ てmetach-

生 ぜ ず に 逆 に 青 く染 ま っ た の は 酸 性 多

本実 験 で は0.4M酢

2.2mMP,

pH.2.5)

以 上 の こ とか ら, 今 回 用 い た 酢 酸 脱 灰 液 に よ り

酸 脱 灰 液 (2.2

牛 歯 象 牙 質 を 脱 灰 す る と, 従 来 と 異 な り第1お

を 用 い, 37℃ で24

時 間, 牛 象 牙 質 を脱 灰 す る と, 1%ア

び 第2脱

シ ッ ドレ ッ

μm) で はEPMAに

よ りCaお

よ

幅 で作 製 し う

る こ と が 可 能 とな り, 今 後 の 蠕 蝕 モ デ ル と し て き

ドフ ロ ピ レ ン グ リコー ル 溶 液 に よ って 赤 染 す る 部 分 いわ ゆ る鶴 蝕 象 牙 質 第1層 (表

灰 層 を と も に 約200μmの

わ め て 有 用 で あ る よ うに 思 わ れ た 。

層か ら 約200

か く し て, 作 製 さ れ た 人 ユニ 軟 化 象 牙 質 に 対 し,

よびPが 僅 か に 検

出 され る のみ で あ った 。 これ は, 巽 の 実 験33)で は

1%ア

赤 染 部 に お い てCaお

染 色 性 を 指 標 と し て 染 色 ・削 除 を 繰 り返 す こ と に

よびPは ほ とん ど 検 出 され

シ ッ ドレ ッ ドプ ロ ピ レ ング リコー ル溶 液 の

な か っ た とい う事 実 と異 な るが, 使 用 した 酸 の強

よ り38)第1脱

弱 お よび 作 用 時 間 の長 短 の差 異 に よ る もの で, 本

作 製 し う る こ とが で き た 。

実 験 に お け る僅 少 なCaお

よびPの 存 在 は, そ れ

らの 再 沈 着 に 起 因 す る もの と考 え られ る。

(275)

灰 層 面 お よび 第2脱

灰 層面 を確 実 に

276

口病 誌

平 成3年3月

2.健 全象牙質, 第1脱 灰層および第2脱 灰層にお い て生 じるsmearlayerに ついて

で は な か った が, 健 全 象 牙 質 お よび 第2脱 灰 層 よ

本 研 究 にお い て,

あ る。象 牙質 表 面 に 露 出 した線 維 状 構 造 物 もか な

3種 の象 牙 質 面 を#600耐 水 研

磨 紙 に よ り 切 削 す る こ とに よ って 生 じるsmear

りか な り深 部 まで 影 響 を 受 け て い る こ とは 明 白で り細 い 状 態 で あ った。

layerは それ ぞれ 独特 な 性 状 を 示 す こ とが 明 ら

い ず れ に せ よ, リン酸 エ ッチ ングが3種 の象 牙

か と な った 。 す なわ ち, 健 全 象 牙 質 面 に お け る

質 に い か な る影 響 を及 ぼ す か を形 態 的 に把 握 して

smearlayerは

お くこ とは きわ め て 興 味 深 い こ とで, 事 後 の接 着

滑 沢 で 緻 密 な 構造 で あ る の に 対

し, 第2脱 灰 層 面 で は比 較 的 平 坦 では あ るが泥 状 物 で 覆 わ れ た よ うな状 態 で あ り, 第1脱 灰 層 で は 線 維 状 構 造 物 を す りつ ぶ した よ うなか な り粗 造 な 構 造 を 示 して い た 。 これ は, 麟 窩 に お け る切 削時

を 論 ず る うえ で意 義 の あ る こ と と思 わ れ る。 4.C02レ

ーザー照射 による象牙質表面性状の変化

について CO2レ

ーザ ー照 射 に よる生 体 へ の作 用 機 序 と し

面 性 状 が 鰯 蝕 の表 層か

て は, 熱 の作 用, 圧 力 の作 用, 光 の作 用 お よび電

に み られ たsmearlayerの

ら深 層 に 向か うに従 って変 化 して い た とい う当教

磁 界 の作 用 な どが あ げ られ て い る。 これ まで報 告

室 の佐 野 の報 告30)に 一 致 して い る。 こ の よ うに脱

され て い るCO2レ

灰 程 度 の変 化に よ って,

結 晶構 造 の変 化 は, エ ナ メル質 の表 面 温 度 がCO2 レーザ ー照 射 に よ って ア パ タ イ トの溶 解 温 度 まで

変 化 す る のは,

smearlayerの

面 性1状が

3種 の 象 牙 質面 の硬 さ, 性 状 の違

い に よる こ とは 明 らか で あ る。 3.健

ーザ ー照 射 に よる エ ナ メル 質 の

上 が る ため で あ る と 考 え られ て い る。 一 方,

全象牙質, 第1脱 灰層および第2脱 灰層に対

す る リン酸エ ッチ ンゲの影響の違いについて これ まで, 接 着 性 レジ ン修復 の場 合 に は, 接 着

清

水9) は, エ ナ メル質 表 面 に48J/cm2の エネルギ ー密度 でCO2レ ーザ ーを照 射 した 場 合, エ ナ メル 質 ア パ タ イ トの分解 は認 め られ なか った と報 告 し

を 促 進 す る ため に エ ナ メル 質 のみ な らず 象 牙 質 ま

て い る。

で を含 め た 全 酸 蝕 が 推 奨 され て き てお り, 現在 日

今 回照 射 した 最 大 の エ ネ ル ギ ー 密度 は42.3/ cm2な ので, 象 牙 質 の ア パ タイ トに お い て も溶 解

常 の臨 床 で 行 わ れ て い る。 そ こで まず, 健 全 象 牙 質 お よび人 工 鶴 蝕 の第2 脱 灰 層 に対 す る酸 エ ッチ ングの影 響 をSEM観

察

は 起 こ らな い も の と思 われ る。 象 牙 質 に対 す るCO2レ

ーザ ー照 射 の影 響 は, そ

に よ り 検 討 してみ る と, それ らの 表 面 に お け る

の表 面性 状 に 左 右 され,

SEM像

面 に お け る 脱 灰 程 度 が 進 む に 従 って,

は,

著 し く異 な り, 健 全象 牙 質 で は 管 間

特 に 照 射 され る 象 牙 質 そ の効 果

象 牙 質 にお い て 比 較 的 線 維 状構 造 物 の露 出が 少 な

は 明 瞭 とな り, 照 射 エ ネ ル ギ ー 密 度 が 低 くて も

く平 坦 な状 態 を呈 して い た の に 対 し, 第2脱 灰 層 で は管 間象 牙 質 に お け る線 維 状構 造 物 の露 出 が 著

有 効 に 作 用 す る こ とが 判 明 した 。 こ の 効 果 は, smearlayerに も同 様 に 認め られ た。 これ は, 脱

明 で, 網 目状 を 呈 して い た 。 しか しなが ら, 両 者

灰 に よ り有機 質成 分 の割 合 が増 加 した象 牙 質 表 面

の割 断 面 を比 較, 観 察 す る と, リン酸 エ ッチ ング

が レーザ ー の 熱的 効 果 に 著 し く影響 され た もの と

に よ り影 響 を受 け た と思 わ れ る深 さは両 者 とも同

考 えて よい で あ ろ う。

程 度 で, 表 層か ら 約13μmに

わ た って 観 察 され,

CO2レ

ーザ ー 照 射 を3種

の 象 牙 質 面 に 行 った

管 周 象 牙 質 は 消失 し, 管 間 象 牙 質 で は線 維 状 構 造

場 合,

物 が露 出 して いた 。 また, 管 周 象 牙 質 の脱 灰 は管

SEM観

間象 牙 質 の脱 灰 よ り深 くまで 進 ん で い た。

は象 牙 質 の光 吸 収 ス ペ ク トル を調 べ, CO2レ ーザ ー の象 牙質 の到 達 深 度 は7 .7μmで あ った と 報 告

また, 第1脱 灰 層 で は, す で に酢 酸脱 灰 液 に よ る脱 灰 の程 度 が 著 し く, 管 周 象 牙 質 が 完全 に 消失 して い るた め, 酸 エ ッチ ンクに よる脱 灰 幅 は 明瞭

そ の 基 質 の 構 造 変 化 は, 察 に よれ ば2∼3μmで

本研究におけ る

あ った が, 熊 崎 ら

して い る。 CO2レ

ー ザ ー照 射 に よ る象 牙 質 基 質 の構 造 変化

口 病誌1991,

を観 察 す る場 合,

smearlayerの

消 失 や, さ らに

ま た, Perinkaら41)

理/Photo・

象 牙 質 のCa濃

度 と相 関 が

Bondの

際 にsmearlayerを

あ っ た と報 告 して い る。

含 め た表 面 か ら どの程 度 の深

が, CO2レ 5μmの

今 回,

ーザ ー照 射 に よ る象 牙 質 へ の 影響 は約

さ れ て い た。 こ の こ とか ら, 第2脱

理におけ る3種 の象牙質面と レジ

灰 層 の酸 エ ッ

チ ン グに よ り露 出 した コ ラ ー ゲ ンは,

ンの接着強 さについて K-etchant処

灰 層 に お け る レ ジ ン含 浸 層 は 酸 エ

ッ チ ン グ に よ る 脱 灰 深 さ と ほ ぼ 同 じ深 さ ま で 形 成

深 さ まで で あ る と 考 え て よい で あ ろ う。

5.K・etchant処

第2脱

277

は, K-etchant処

象 牙 質 基 質 の 溶 融 に よ る収 縮 を も考 慮 す る と, 実 さ まで 構 造 変 化 が 生 じるか は 正確 に は い え ない

接 着 強 さ は,

58/1

健 全象 牙 質

の 場 合 よ り酸 エ ッ チ ン グ後 の 水 洗 ・乾 燥 に よ る 収

理 にお け る接 着 強 さ は, 健 全 象 牙

縮 を 起 こ し に く い も の と思 わ れ る 。 こ の 理 由 は 明

質 面, 第2脱 灰 層面, 第1脱 灰 層面 と脱 灰 程 度 が

ら か で は な い が,

進 む に 従 って 低下 した。K―etchant処 理 に よ り各

るK-etchant処

象 牙 質 表 面 は比 較 的 疎 で あ るの で, ボ ンデ ィ ング

た コ ラ ー ゲ ン線 維 の 性 状 の 違 い な ど もそ の 一 因 で

材 の管 間象 牙 質 へ の 浸 透 は 良好 で あ るの で, そ れ

あ る と考 え られ る ◎

ぞれ の 象牙 質 面 に対 す る接 着 強 さは, 象牙 質 面 の

ま た, 第2脱

健 全 象 牙 質 と 第2脱

灰 層 に対 す

理 に よ る 影 響 の 差 異 や,

露 出 し

灰 層 に お い て 良好 な レ ジ ン含 浸 層

強 度 お よび性 状 の違 い, す な わ ち 無 機 成分 の濃 度

が 形 成 され た に も か か わ らず,

の低 下, 有 機 成分 の性 状 の差 な らび に 硬 さの 低下

着 強 さ が 低 下 した の は,

な どに 影 響 され て い る よ うに 思 わ れ る。

の 底 部 基 質 の 無 機 質 の 濃 度 の 低 下 が 大 き く影 響 し

と ころ で, hant処

健 全 象 牙 質 と 第2脱 灰 層 はK―etc・

理 に よ り 約13μmの

レ ジ ン 含 浸 層 な らび に そ

た た め で あ る と思 わ れ る。 一 方,

深 さに わ た って 脱 灰

され て い た に もか か わ らず,

健 全 象 牙 質 よ り接

レジ ン との 接 着 界面

第!脱

らK-etchant処

灰 層 に お い て は, 当 然 の こ とな が 理 に よる 脱 灰 が か な り 深 部 まで

の状 態 を 比 較 して み る と, レジ ン含浸 層 と思 わ れ

及 ん で い た 。 しか し な が ら,

る深 さは 健 全 象 牙 質 で は 約1μmで

深 さ とほ ぼ 同 し深 さ で 形 成 され て い る こ とか ら,

し, 第2脱 灰 層 で は約13μmを

あ った のに対

示 し, K-etchant

管 間 象 牙 質 へ の ボ ン デ ィ ン ク 材 の 浸 透 は 良 好 と思

処 理 で 脱 灰 され た 深 さ とほ ぼ 同 しで あ っ た。

わ れ る が,

象 牙 質 面 をK-etchant処

度 の低 下 に よる基 質 の弱 体化 の ため で あ る こ とぱ

理後 の

明 白 で あ る。

水 洗 ・乾 燥 に よ り露 出 した コ ラー ゲ ンが収 縮 す る た め,

K-etchant処

そ の 接 着 強 さ は 低 く, そ れ は レ ジ ン含

浸 層 内 な らび に そ の 底 部 に お け る無 機 質 成 分 の 濃

杉 崎39)は, 人 健 全 象 牙 質 を用 い て レジ ン含 浸 層 の研 究 を 行 い,

レ シ ン含 浸 層 が 脱 灰

6.無

理に よる 脱灰幅 よ り狭 い レ

処 理 の 各 種 象 牙質 面 と レジ ン の接 着 強 さにつ

いて

ジ ン含 浸 層 が形 成 され る と述 べ て い る。 ま た, 杉

無 処 理 の 場 合 の 健 全 象 牙 質 面 お よ び 第2脱

崎39) ,中 島 ら鋤 は レジ ン含 浸 層 の性 状 と接 着 強 さ

灰 層

の 関係 に つ い て, 健 全 象 牙 質 を 用 い た場 合, 酸 エ

面 に 対 す る レ ジ ン の 接 着 強 さ を 比 べ る と, 無 機 成

ッチ ン グに よ る脱 灰 幅 と同 じ幅 で レジ ン含浸 層が

分 の 濃 度 が 低 下 して い る に も か か わ らず,

形 成 さ れ れ ぽ, 高 い 接 着 強 さが 得 られ る と述 べ て

灰 層 面 の ほ うが高 か った。 使 用 した ボ ンデ ィ ング

い る。 す な わ ち, 表 面 に 露 出 した コ ラー ゲ ン線 維

材 に は セ ル フ エ ッ チ ン グ効 果 が あ る の で 多 少 の 脱

が収 縮 を 起 こ さな け れ ぽ, コ ラー ゲ ン線 維 間へ の

灰 を 伴 い な が ら 浸 透 して い く と い わ れ て い る 。 し

ボ ンデ ィ ング材 が 含 浸 層 底 部 まで よ く浸透 し, そ

た が っ て 第2脱

の 結 果 レジ ン含 浸 層 底 部 に お い て も無 機 質 との 間

質 面 よ り疎 で あ れ ば, そ の 而 に, 僅 か な が ら レ ジ

に 良 好 な接 着 が 得 られ ・ さ らに レジ ン含 浸 層 の強

ンが 浸 入 し て い く の は 当 然 で あ り, 実 際 レ ジ ン含

度 も 向上 して, 高 い 接 着 強 さが 得 られ る と考察 し

浸 層 と思 わ れ る 層 が 僅 か に 観 察 さ れ た こ とや,

て い る。

2脱 灰 層 面 の 細 管 開 口 部 のdentinalPlugも

(277)

灰 層 面 のsmearlayerが

第2脱

健 全象 牙

第

健全

278

口 病誌

平 成3年3月

象 牙質 に 比 べ れ ば有 機 質 に富 んで い るの で ボ ンデ

実 験 で は 各 照 射 エ ネ ル ギ ー 間 で も 最 も接 着 強 さ の

ィ ン グ 材 の 通 過 浸 入 が 容 易 とな り, そ の 確 認 も な

差 が 大 き か っ た 第2脱

さ れ た こ と な どか ら,

た 値 を 示 して い な い。

は,

smearlayerを

こ の レジ ン の 接 着 強 さ の 差

含め て 管 間 象 牙 質 部 や細 管 内

谷 ら19)は, Nd:

灰 層 面 で も有 意 な 差 を も っ

YAGレ

ー ザ ー を 用 い,

象牙 質

に お け る ボ ンデ ィ ン グ材 の 浸 透 度 に 大 き く 左 右 さ

表 面 に レー ザ ー 照 射 を 行 う と, 象 牙 質 表 面 の 水 に

れ て い る も の と思 わ れ る 。 ま た,

第1脱

対 す る接 触 角 が 低 下 し, ぬ れ が 向 上 す る こ とを 報

お い て は,

よび 管 間象 牙 質

表 面 のsmearlayerお

は か な り疎 で あ る た め, き わ め て 良 好 で,

灰 層 面に

告 し て い る。 ぬ れ は,

ボ ンデ ィ ング材 の 浸透 は

か な りの 深 さ ま で レ ジ ン 含 浸 層

ら19)がNd:

が 形 成 さ れ て い た 。 そ れ に もか か わ ら ず, そ の 面 に お け る 接 着 強 さ は 第2脱

接 着 剤 が 被 着 面 に よ く接 着

す るた め の重 要 な因 子 で あ る といわ れ て い る。 谷 YAGレ

PhotoBond)

灰 層 面 の そ れ に比 べ れ

ーザ ーを 用 いて 行 った レジ ン

の 接 着 試 験 で は, 牛 健 全 象 牙 質 に(

お け る 接 着 強 さ は,

70J/cm2の

条 件 で レーザ ー

ば 著 し く低 下 し て い た 。 こ の こ とか ら, ボ ン デ ィ

照 射 を 行 っ た 場 合 と 無 処 理 の 場 合 とほ ぼ 同 じ値 で

ン グ 材 の 管 間 象 牙 質 へ の 浸 透 が 良 好 で あ っ て も,

あ る と 報 告 して お り, エ ッ チ ン グを 行 っ た デ ー タ

高 い 接 着 強 さ を 得 る た め に は,

に つ い て は 言 及 し て い な い が,

象 牙 質 が 強 固 で あ る こ と や,

まず 被 着 面 であ る レジ ン含浸 層 内 な ら

図 示 して い る 。CO2レ

高い 接 着 強 さ値 を

ー ザ ー 照 射 に よ る,

象牙

び に そ の 底 部 の 象 牙 質 基 質 に か な りの 無 機 成 分 が

質 表面 の ぬれ の 向上 に つ い て は検 討 して い な い が

必 要 で あ る と 思 わ れ る。

smearIayerの

以 上 の よ うに, に お け る3種 に 対 して,

無 処 理 お よ びKetchant処

る と,

理

の 象 牙質 面 と レジ ンとの 接 着強 さ

消 失 像 や 接 着 界 面 のSEM像

をみ

レー ザ ー 照 射 面 の ぬ れ が 向 上 し て い る こ と

は 明 らか で あ る 。

ボ ンデ ィ ン ク材 の 管 間 象 牙 質 お よ び 細

方, Cooperら2e)

がCO2レ

ーザ ーを 用 い て行

管 内 へ の 浸 透 度 も さ る こ と な が ら, 象 牙 質 基 質 内

った レ ジ ン (Scotchbond)

の無 機 質 の濃 度 も重要 な 役割 を は た して い る よ う

人 健 全 象 牙 質 に お け る 接 着 強 さ は, 10∼50J/cm2

に 思 わ れ る 。 な お,

の 条 件 で レー ザ ー 照 射 を 行 っ た 場 合,

コ ラ ー ゲ ン線 維 が 破 壊 して い

る ほ ど レ ジ ン含 浸 層 は 深 く形 成 さ れ て は い る が,

本 研 究 に お い て,

こ れ も接 着 強 さ に 影 響 す る 一 要 因 で あ る と 考

無 処 理 お よ び レー ザ ー 照 射 さ

れ た 健 全 象 牙 質 面 と第2脱

え られ る 。 7.レ

無 処 理 の場

合 よ り接 着 強 さ が 向 上 し た と 述 べ て い る 。

レジ ン含浸 層 の強 度 は ま ち ま ちで あ る よ うに思 わ れ,

の 接 着 試 験 を み る と,

灰 層面 に おけ る象 牙 質

表 面 の 性 状 に は 差 が 認 め られ た が,

ー ザ ー 照射 処 理 され た 各 種 象牙 質 面 と レ ジ ン

CO2レ

照 射 に よ る 健 全 象 牙 質 な ら び に 第2脱

の 接 着強 さにつ い て

ーザ ー

灰層での レ

ジ ンの 接 着 強 さ は 無 処 理 の 場 合 と像 ぽ 同 等 で,

レー ザ ー 照 射 され た 象 牙 質 に 対 す る レ ジ ン の 接

者 は 約40kgf/cm2,

後 者 は 約60kgf/cm2で

前

あ っ

着 強 さ を み る と, 表 面 の 脱 灰 程 度 が 進 む に 従 っ て

た 。 こ の よ う な 差 が 生 じ た の は, 無 処 理 の 場 合 に

照 射 面 も著 し い 変 化 を 示 し, か つ 脱 灰 が 高 度 な ほ

み ら れ た と 同 様 に ボ ンデ ィ ン グ材 の 浸 透 度 の 差 異

ど低 い 照 射 エ ネ ル ギ ー で も, 無 処 理 の 場 合 よ り接

に よ る も の と思 わ れ る 。

着 強 さ が大 き くな る傾 向を 示 した 。 ま た, O.2S,

14.1J/cm2以

2WD.5S)

で は 脱 灰程 度 が進 む に従 って 接

着 強 さ は 上 昇 し, 一 方21.15J/cm2以 ネ ル ギ ー (3W-O。5S, 第2脱

第1脱

レ ー ザ ー 照 射 処 理 な らび に 無 c)

に おい て

は 同 様 に 無 機 成 分 の 濃 度 が 低 い と思 わ れ る に も か か わ らず,

上 の照 射 エ

レー ザ ー 照 射 処 理 群 は 約60kgf/cm2

では

と い う 値 を 示 し, 無 処 理 群 よ り高 い 接 着 強 さ を 示

灰 層面 と同様 な 接 着

し た 。 そ の 接 着 界 面 の 様 相 を み る と, 無 処 理 の 場

3W-1.0S,

灰 層 而 に 対 し, 第1脱

灰 層 で は,

処 理 と も そ の 接 着 界 面 (図10-a,

下 の 照 射 エ ネ ル ギ ー (3W-

4W-0.5S)

合 は,

強 さ の 差 が 得 ら れ て い る 。 しか し な が ら, 今 回 の

(278)

レ ジ ン含 浸 層 や レ ジ ンの 細 管 内 浸 入 が 比 較

口 病 誌1991,

58/1

279

的 不 明 瞭 で あ った の に 対 し, レーザ ー照 射 処 理 の

い て 行わ れ て い る歯髄 反応 の発 生 しやす い窩 洞 条

場 合 は 幅 は狭 い が 明瞭 な レジ ン含 浸 層 や レジ ンタ

件 を 設 定 して,

グが 観 察 され て い る。 これ は,

レーザ ー照 射 に よ

薄 く し, そ の 菲 薄 な 窩 底 象 牙 質 を 介 し, CO2レ

って, 溶 融 した コラ ー ゲ ン線 維 が ボ ンデ ィン グ材

ー

ザ ー を 照 射 し歯 髄 へ の 影 響 の 検 討 を 行 っ た 。

と強 固 に 絡 み 合 うだ け で な く, 細 管 の開 口が 明瞭

初 期 の 象 牙芽 細 胞 の配列 の乱 れ と消 失 に関 して

とな って 深 部 に ま で レジ ンが 浸 入 し, レジ ンタ グ

み る と レ ー ザ ー 照 射 処 理 群 よ りK-etchant処

を 形 成 した た め と推 測 され る。 &C03レ いて

窩 底 残 存象 牙 質 の 厚 み を 可及 的 に

理

群 の ほ うが 若 干 強 い が, 象 牙 芽 細 胞 層 の 充 血 は, 一 般 に レ ー ザ ー照 射 処 理 群 の ほ うが 強 く現 れ る 傾

ーザー の歯髄 に及ぼす影響 と安全性につ

向 を 示 し,

これ ま で, 生 活 歯 に レーザ ーを 照 射 し た 場 合

特 に 照 射 エ ネ ル ギ ー の 強 い3W1.0S

群 の ほ うが3W-0、5S群

よ り高 度 で あ っ た 。 急 性

の 歯 髄 反 応 を 観 察 した 報 告 は 数 多 くな され て い

炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 も 同 様 に レー ザ ー 照 射 処 理 群 の

る風 犯∼鋤 。 これ らの 報 告 に よれ ぽ,

ほ うが 若 干 強 い 傾 向 を 示 し て い る。 こ れ ら を 総 合

初期 におい

て は, 歯 髄 組 織 の 変 化 は 軽 度 で 限 局 性 で あ り, そ

的 に 評 価 す る と,

の後 す み や か に 回 復 し, 2次 象 牙 質 の形 成 が 認め

照 射 条 件 で あ れ ば 比 較 的 軽 度 で あ る とい っ て よい

られ た と述 べ て い る。

で あ ろ う。

従 来,

初 期 の 歯 髄 変 化 は3W-0.5Sの

レーザ ー照 射 処理 群 にお い て象 牙芽 細 胞 の配 列

レーザ ー照 射 の対 象 は 主 と して 歯 牙表 面

の エ ナ メ ル質 で あ り, 象 牙 質 に レーザ ーを 照射 し

の 乱 れ と 消 失 が 認 め ら れ な か っ た5例 (3W-0.5S

た=場合 の歯 髄 反 応 を 観 察 した 例 は少 ない 。

群 の3例,

Melcerら50) は,

サ ル お よび イ ヌ の歯 牙 にV級

窩 洞 を形 成 し, 窩 底 象 牙 質 にCO2レ

ーザ ーを照 射

した場 合 の 歯 髄 反 応 に つ い て 観 察 を 行 い,

た も の は2例

ーザ ー を照 射 した 場 合 の

で, い ず れ も照 射 エ ネ ル ギ ー の 強 い

芽 細 胞 層 の 充 血 も 同 様 で, 充 血 の 認 め られ な か っ た6例 (3W-0.5S群

層 に 変 化 が 認 め られ た と報 告 して い る。 一 方, レーザ ー照射 に よ る歯 髄 に 対 す る刺 激 の

例)

の3例,

3W4.0S群

の 残 存 象 牙 質 の 厚 み が0.5mm以

残 存 象 牙 質 の 厚 み は0.5mm以 ら れ た も の は,

強 さを 測 るた め に レーザ ー照 射 に よ る歯 髄 内温 度 の変 化 を 観 察 した 報 告51∼54)もな され て い る。 YAGレ

レーザ ー

場 合 で あ っ た 。 レ ー ザ ー照 射 処 理 群 に お け る 象 牙

直 後 の 歯 髄 反 応 に つ い て 観 察 を 行 い, 象 牙 芽 細 胞

王 ら53)は, 象 牙 質 表 面 にNd:

の残 存 象 牙 質 の

以 上 で 象 牙 芽 細 胞 の 配 列 の 乱 れ と消 失 が 認 め ら れ

また, 庄 司 ら16)は, イ ヌ の象 牙 質 表 面 を リ ン酸 YAGレ

の2例)

上 で あ っ た 。 ま た,

照 射 処 理 群 に お い て 残 存 象 牙 質 の 厚 み が0。5mm

1カ 月

後 に は刺 激 象 牙 質 が 形 成 され た と述 べ て い る。 に て 脱 灰後Nd:

3W-1.0S群

厚 み は0.5mm以

群 の1例

ーザ ーを

の3 上 で あ り,

上で 充血が 認め

照 射 エ ネ ル キ ー の 強 い3W-1.0S

のみ で あ った。

こEら53)は, Nd:

YAGレ

ー ザ ー 照 射 に よ る歯 髄

照射 した 場 合, そ の歯 髄 内温 度 は照 射 エ ネ ル ギ ー

内 温度 お よび 歯 髄 組織 の変 化 は 残 存象 牙 質 の厚 み

よ りも残 存 象 牙 質 の厚 み に よ り大 き く変 化 す る と

に 大 き く左 右 さ れ る と述 べ て い る が,

報告 して い る。

の 深 達 性 の 違 い は あ る も の の, 象 牙 質 の 歯 髄 庇 護 性 が 大 きい こ とを 物 語 って い る 。CO2レ

また, Jeffreyら54) は, CO2レ ー ザ ー を800W/ cm2の 合,

エ ネ ル ギ ーで0.2,

0.5, 1.0秒 照 射 した場

残 存 象 牙 質 の 厚 み が3mm以

上 あれ ば 歯髄

レーザ ー光

ーザ ー は

幸 い に も組 織 浸 透 性 が 浅 い た め,

3W-0.5S群

は 残 存 象 牙 質 の 厚 み が0.5mm以

上 あ る 場合に

で

は, 歯 髄 組 織 に お け る 変 化 は ほ とん ど 認 め られ な

に 傷 害 を 生 じる ほ ど歯 髄 内温 度 は上 昇 しな い と述 べ て い る。

か っ た 。 一 方, K-etchant処

理 に よ る歯髄 組 織 の

変 化 を み る と, 残 存 象 牙 質 の 厚 み (0.2∼0.8mm

そ こで, 本 研 究 で は コ ンポ ジ ヅ トレジ ンの 歯髄

の 範 囲 内)

へ の影 響 を 検 索 す るた め に, 従 来 よ り当 教 室 に お

と の 関 係 は ほ と ん ど 認 め られ な か っ

79)( 2

280

口 病 誌平

成3年3月

た。

置 が 行 え る よ うに な った55,56)。 そ して, 鵬 蝕 象 牙

長 期 経 過 後 に お け る 歯 髄 の 炎 症 性 変 化 は, ザ ー 照 射 処 理 群, K-etchant処

レー

質 第1層 のみ を 確 実 に 除去 す るた め に, 鵬 蝕 検 知

理 群 と もほ とん ど

液 が開 発 され, そ の染 色性 を 指 標 と した 歯 質 除去

認 め られ な か っ た 。 こ れ は, 全 例 に お い て 窩 壁 上

法 が推 奨 され て い る。

の 細 菌 が み ら れ な か っ た こ とか ら, 窩 壁 へ の レ ジ

しか しな が ら, 実 際 の臨 床 に お い て 鶴蝕 検 知 液

ン の 適 合 性 が よ く 辺 縁 漏 洩 が な か っ た こ とが 伺

に よ る染 色 性 を指 標 と した 翻 蝕 象 牙 質 の除 去 を 行

え,

この こ とが 歯髄 に治 癒 傾 向を もた ら した もの

う場 合, そ の作 業 量 に伴 う除 去 の 不 徹底, 鵬蝕 除

と 考 え て よ い で あ ろ う。 一 方,

去後 の窩 底 の染 色性 の問 題 な ど57)が指 摘 され る よ

レー ザ ー 照 射 処 理 群 に お け る刺 激 象 牙 質

うに な った。

の 形 成 を み る と, 刺 激 象 牙 質 の 出 現 し な か っ た9 例 (3W-0.5S群 うち1例

の3例,

3W-1.0S群

の6例)

また, 1象牙 質 切 削 時 に 生 じるsmearlayerの な されて い るが, 感 染 象 牙 質 切 削 時 のsmearlayer

を 除 き, 残 る す べ て に お い て 残 存 象 牙 質

の 厚 み が0.5mrn以 て く る と, CO2レ

上 で あ っ た 。 こ の よ うに み

に つ い て の関 心 は きわ め て 薄 く, Brannstr6m29) が 言 及 して い る のみ で あ る。

ー ザ ー 照 射 の 場 合 に は, 窩 底 残

存 象 牙 質 の 厚 み が 安 全 率 を と っ て 約1mm以

処

理 に つ い て保 存 す べ きか, 除 去 す べ きか の討 論 は

の

この よ うな 状 況 の なか で, レーザ ー照 射 を 齢蝕

上

あ れ ば 歯髄 へ の障 害 は きわ め て 軽 微か 皆 無 で あ る

処 麗 に応 用 し窩 底 象 牙 質 に生 じたsmearlayerの

と考 え て よ い で あ ろ う。

消失 ・溶 融 ・凝 固 お よび感 染 象 牙 質 の殺 菌 効 果 を 期 待 す る とと もに,

な お, 刺 激 象 牙 質 の 形 成 の 頻 度 を み る と, 照 射 エ ネ ル ギ ー の 低 い (3W-0.5S) ネ ル ギ ー の 高 い (3W-1.OS) に 思 わ れ る が,

の ほ うが 照 射 エ

レーザ ー照 射 が そ の 後 の接 着

性 レジ ン修 復 な どの 修 復処 置 の一 助 とな れ ば, き わ め て 有 益 で あ る よ うに 思 わ れ る。

場 合 よ り高 い よ う

本 研 究 に お い て, 組 織 深 達 性 の低 いCO2レ ーザ ー を採 用 し, この レー ザ ーを 照 射 した場 合 の象 牙

これ は照 射 エ ネ ル ギ ーの 低 い 群 の

窩 底 残 存 象 牙 質 が 薄 く (平 均 値0.36mm) ,

一方

エ ネ ル ギ ー の 高 か っ た 群 で は 厚 か っ た (平

均 値

質 と レジ ンとの接 着 強 さな らび に歯 髄 へ の影 響 を

こ とに 起 因 す る も の と 推 測 さ れ る 。

検 討 した と ころ, 軟 化 象 牙 質 へ の レジ ンの接 着 能

0.53mrn) ま た,

K-etchant処

を 向上 させ るた め に は, 照 射 出 力3W,

理 群 お よ び レ ー ザ ー照 射 処

0.5秒 の照 射 条 件 が 適 当 で あ る こ とが 判 明 し,

理 群 に お け る刺 激 象 牙 質 の 構 造 を 詳 細 に 観 察 す る と, K-etchant処

理 群 よ り3W-0.5S群

細 管 様 構 造 物 が 少 な く,

質 が0.5mm以

では

上 あ れ ば きわ め て 軽 微 でそ の 安

全 性 も確 認 され た。

原 生 象 牙 質 直 下 に 封 入 体 様 の 構 造 が み ら れ, そ れ

な お, 修復 材 料 を審 美 性 の あ る レジ ンに 限定 し

よ り下 層 で は 細 管 様 構 造 物 が 認 め ら れ な い 部 分 が 観 察 され た 。 これ は, K-etchant処

こ

の条 件 は 歯髄 へ の影 響 を 考 慮 して も窩 底 残 存 象 牙

の ほ うが

さ ら に3W-1。0S群

照射時間

たた めdefocusの

理 に比 ベ レー

状 態 で 象 牙 質 表 面 に焼 痕 を作 ら

ザ ー 照 射 処 理 の ほ うが 急 激 な 一 過 性 の 刺 激 が 加 わ

ない よ うに 努 力 し, 適 正 な 照射 条 件 を 得 る こ とが

っ た た め と思 わ れ,

で きた が, これ は他 の修 復 材 料 を 用 い て の蠕 蝕 処

そ の刺 激 の程 度 は照 射 エ ネ ル

置 に も十 分応 用 し うる も の と思 わ れ る。

ギ ー の 差 異 を 明 白 に 物 語 っ て い る。 9.総 近 年,

しか しな が ら, これ まで の報 告21,58)に あ る よ う

合的考察

に この 照射 条件 で殺 菌 効 果 が 現 れ るか ど うか今 後

エ ナ メ ル 質 の み な らず 象 牙 質 に 対 し て も

の 検 討 の 余地 を残 して い る。

接 着 性 を 有 す る 接 着 性 コ ンポ ジ ッ ト レジ ンが 登 場 し,

細 菌 感 染 し た 鯖 蝕 象 牙 質 第1暦

し, 細 薗 感 染 の な い 鰯 蝕 象 牙 質 第2層 状 態 で,

また, 今 回用 いたCO2レ

のみ を 除 去

ーザ ー の導 光 路 は, 多

は残 概 した

関 節 ミラー式 で あ り, 実 際 に 人 の 口腔 内 で患 部 象

す な わ ち必 要 最 小 限 の 歯質 除 去で 修 復 処

牙 質 に 照射 す る に は 自 由度 に か け 確 実性 に難 が あ 80) 2 (

口 病 誌1991,

る。 以上 の こ とか ら, CO2レ

ー ザ ー を保 存 修 復 処

58/1

った 。

置 に お い て 臨 床 で 使用 す る ため に は, 光 フ ァイバ ー を 利 用 したCO2レ ーザ ー の 照 射 チ ップを 開 発 し, そ の うえ で再 度, 照 射 条 件 な どに つ い て 検 討

そ の 表 面 な らび に 割 断 面 に つ い てSEM観

を行 い, さ らに 今 回 行わ れ な か った レー ザ ー照射

て,

に よる感 染 象 牙 質 の滅 菌 効 果 に つ い て の詳 細 な 検

よ りsmear

3.

3種 の 象 牙 質 にCO2レ

layerの

質 の 溶 融 が み られ,

括 な らび に結 論

応 用 の可 能 性 を検 討 す る こ とを 目的 として 行 わ れ

cm2の

た。

む に 従 って,

mMCa,

2.2mMP,

pH.2.5)

そ の 構 造 変 化 は 表 層 か ら2∼

ン酸 処 理 後 の3種

ジ ンの 接 着 強 さ は,

酸脱 灰 液 (2.2

溶 解 ・消 失 な らび に 象 牙 質 基

あ った。

4.リ

ーザ ー の 保 存 修復 処 資 へ の

まず, 牛 象 牙 質 を37℃, 0.4M酢

察を行

よ り低 い 照 射 エ ネ ル ギ ー で も レー ザ ー 照 射 に

3μmで

本研 究 は, CO2レ

ー ザ ー を 照 射 し,

っ た と こ ろ, 象 牙 質 表 面 の 脱 灰 程 度 が 進 む に 従 っ

討 が必 要 で あ る と思わ れ る。 V.総

281

の象 牙 質面 に対 す る レ

健 全 象 牙 質 面 で は 約57kgf/

値 を 示 し た が, 象 牙 質 表 面 の 脱 灰 程 度 が 進

5.サ

そ の 接 着 強 さ は 低 下 した 。

ル健 全 象 牙 質 にCO2レ

ー ザ ー照射 を行 っ

に24時 間 浸漬 して,

た 場 合 の 歯 髄 変 化 は, 初 期 に お い て は 象 牙 芽 細 胞

人工 軟 化 象 牙 質 試 片 を作 り, これ か ら第1脱 灰 層

層 に 軽 度 な 歯 髄 変 化 が 認 め ら れ る が, 経 時 的 に 治

お よび 第2脱 灰 層 の各 面 を研 削 に よ り調 製 した。

癒 傾 向 を 示 し, 刺 激 象 牙 質 の 形 成 が 認 め られ た 。

これ らに 健 全 象 牙 質 面 を加 えた3種

特 に, 照 射 出 力3W,

対 し, 各 種 条 件 のCO2レ

の象 牙 質 面 に

ー ザ ー照 射 を行 い, 表 面

照 射 時 間0.5秒

の照 射 条 件

で は 初 期 の 歯 髄 変 化 は 比 較 的 軽 微 で, 窩 底 象 牙 質

微 細 構 造 の様 相 の変 化 な らびに レジ ンの接 着強 さ

の 厚 さ が0.5mm以

に及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 した 。 対 照 と して リン

い こ とが 判 明 し た 。

酸 処 理 後 の微 細 構 造 の変 化 や 接 着 強 さに つ い て も

上 であ れ ぽ そ の 安 全性 が 高

謝

辞

検 討 した 。 稿 を 終 え る にあ た り, 終 始 ご懇 篤 な る ご指 導 と こ校

さ らに, サ ル の健 全 歯 顔 面 側 にV級 窩 洞 を形 成 し, 特 定 され た 条 件 下 のCO2レ

閲 を 賜 り ま した 東 京 医 科 歯科 大 学 歯 学 部 第1歯 科 保存

ーザー 照射処理

学 教 室 細 田裕 康 教 授 に 対 し衷 心 よ り謝意 を 表 し ます 。

お よび リ ン酸 処 理 後, コ ンポ ジ ッ トレジ ンを填 塞

また, 本研 究 に 対 し, 絶 えず 温 か い ご支 援 な らひ に ご

し, 3日 お よび90日 後 に お け る歯 髄 変 化 につ い て

協 力 を い た だ き ま した 第1歯 科 保 存 学教 室 の 皆 様 に心

病 理 組 織 学 的 に 検 索 した 。 そ の結 果,

よ り厚 くお 礼 申 しあげ ます 。

次 の よ うな 興 味 あ る 知 見が 得 られ

レー ザ ー装 置 を 貸与 して いた だ きま した 吉 田製 作 所

た。

に 対 し深 く感 謝 致 します 。

1.0.4M酢

酸脱灰液で 牛象牙質に 人工軟化象

牙 質 を 作 製 した とこ ろ,

それ ぞれ 約200μmの

文

1お よび 第2脱 灰 層 を 得 る こ とが で きた。 2.3種

の 象 牙 質 (健 全 象 牙 質, 象 牙 質 第1お

よび 第2脱 灰 層) 面 にCO2レ

ーザ ー照 射 を行 い,

約60kgf/cm2の

第1お

T. H.:

in ruby. 2) Goldman,

Nature 187: 493-494, 1960. L., Hornby, P., Meyer, R. and Gold-

Stimulated

3) Sognnaes, R. F. and Stern, on resistance of human

よび第2脱 灰 層 で は

demineralization

接 着 強 さを 得 る こ とが で きた 。

optical

radiation

in

vitro.

にお いて 比 較 的 安 定 した 接 着 強 さが 得 られ た の

J. So. Cal.

Lased enamel: Ultrastructural of pulsed carbon dioxide laser

照 射 時 間住5お よび1.0秒 で あ

caries.

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各 種 の レー ザ ー照 射 条 件 の なか で, 3種 の象 牙 質 は, 照 射 出 力3W,

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レジ ンの接 着 強 さを 測 定 した と ころ, 健 全 象 牙 質 で は 約40kgf/cm2,

献

第

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81)( 2

282

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