Suplatasttosilate(IPD-1151T)の1∼

】V型

ア レル ギ ー 反 応 に 対 す る 作 用

松浦

直 資 ,森

裕志 ,永 井

博 弍 ,江 田

昭英

岐阜薬科大学薬理学教室* (1992年9月8日)

要 約:ク

ラ ス特 異 的 にIgE抗

体 産 生 抑 制 作 用 を 示 すsuplatasttosilate(IPD・1151T)の1∼W型

レル ギ ー 反 応 に 及 ぼ す影 響 を 検討 し, 以下 の成 績 を得 た .1)1型7レ ッ トの48時 間 同 種 受 身 皮 膚 ア ナ7イ mg/kgの

ラ キ シ ー(PCA)は



ルギ ー 反 応 の 実 験 モ デ ル で あ るラ

, 抗 原 誘 発30分 前 のIPD・1151T10∼100

経 口投 与 に よ り用 量 依 存 的 に抑 制 され , そ の 抑 制 作 用 はN・5'と ほ ぼ 同 程 度 で あ った . ま た ,

50mg/k9を

抗 原 誘 発 前 の 種 々 の時 間 に 経 ロ投 与 して 抑 制 作 用 の経 時 変 化 を観 察 した . そ の 結 果 ,誘 発

0.5∼2時 間前 の投 与 に よ って抑制 作 用 を示 し, 特 に ,2時 間前 の投 与 に よ り最 大 抑 制 を示 した . さ らに , 感 作 ラ ッ ト腸 間 膜 肥 満 細 胞 の抗 原 に よ る 脱穎 粒 は ,10-5∼1r4g/mlIPD・1151Tに ッ ト腹 腔 滲 出細 胞(PEC)か れ た .2)五

よ り, ま た ,感 作 ラ よ りそ れ ぞ れ 有 意 に 抑制 さ

型 ア レル ギ ー 反 応 の 実 験 モ デ ル で あ る ラ ッ トの 逆 受 身 皮 膚 ア ナ7イ

IPD・1151Tの

高 用量(200mg/kg)の

はIPD・1151Tに Artlms反

らの ヒス タ ミン遊 離 は10-49/mlIPD・1151Tに

よ っ て影 響 が み ら れ な か っ た .3)皿

型 ア レ ル ギー 反 応 の 実 験 モ デ ル で あ る ウサ ギ の

応 , 】V型ア レ ル ギ ー 反 応 の モ デ ル で あ る マ ウ ス の塩 化 ピ ク リル(Pc)に

よ び ヒツ ジ 赤 血球(SRBC)に

よ る足 踵 反 応 はIPD・1151Tの

の成 績 よ り,IPD・1151Tは1型

ラ キ シー(RCA)は

経 ロ投 与 に よ り抑 制 さ れ た が , モ ル モ ッ トのForssmanshock

よる接触性皮膚炎 お

投 与 に よ って影 響 が み られ な か った .以 上

ア レル ギ ー 反 応 を比 較 的 特 異 的 に抑 制 し,そ の作 用 機 序 に は肥 満 細 胞 の

脱 穎 粒 お よ び ヒ ス タ ミン遊 離 抑 制 作 用 が 関 与 す る こ とを 示唆 す る .





ギ ー 性 鼻 炎 , ア ト ピー 性 皮 膚 炎 な ど の い わ ゆ る ア ト

(ア)一(2一(4一(3-ethoxy-2-hydroxypropoxy)phenylcarbamoyl)ethyl)dimethylsulfoniump-toluenesulfonate(su-

ピ ー型 ア レル ギ ー疾 患 の 原 因 抗 体 で あ る の で2),IgE抗

platasttosilate;IPD-1151T,

体産 生 を 特 異 的 に抑 制 す るIPD-1151Tは

図1)は

種 々の ジ メチ ル

,感染免疫 の

ス ル ポ ニ ウム化 合 物 の免 疫 薬 理 学 的 検 討 の 結 果 見 い だ さ

低 下 な ど の生 体 防 御 機 構 に 対 す る副 作 用 の 少 な い ア レル

れ た 新 規 化 合 物 で あ る . 我 々1)はIPD-1151Tが

ギ ー疾 患 の 根 治 療 法 剤 と して の 可 能 性 が 期 待 さ れ て い

免 疫 抑 制 剤 と は 異 な りIgMやIgG抗 こ と な く , マ ウ ス のIgE抗

従来 の

体 産 生 を抑 制 す る

体 産 生 を ク ラ ス特 異 的 に抑

制 す る こ と を 見 い 出 し た .IgEは

気 管 支 喘 息 , ア レル

る . 本 研 究 では ,CoombsandGen3)の の 分 類 に従 い ,IPD・1151Tの1∼

に対 す る作 用 を 種 々 の動 物 モ デ ル を 用 い て検 討 した .

Fig. 1 Chemical structure of suplatast tosilate (IPD-1151T, phenylcarbamoyl]ethyl]dimethylsulfonium p-toluenesulfonate). *〒502岐

阜 市 三 田 洞 東5 -6-1

ア レル ギ ー反 応 】V型ア レル ギ ー反 応

(±)-[2-[4-(3-ethoxy-2-hydroxypropoxy)

DNP・As・IgE血 実







清 中 で37℃

,2時

間 イ ンキ ュベ ー

シ ョン して感 作 した .感 作腸 間膜 をTyrode液

1. 使 用 薬 物

で 洗浄 し,

被 検 薬 物 と と も に30分 間 プ レイ ン キ ュベ ー シ ョソ した

IPD・1151Tは

大 鵬 薬 品 工 業 で 合 成 さ れ た も の で あ り,

実 験 に は 精 製 水 あ る い はTyrode液

に 用 時 溶 解 して 用 い

後 , 抗 原 と して 最 終 濃 度10μg/mlDNP-Asを

加 え,さ

らに20分 間 イ ンキ ュ ベ ー シ ョン した . 氷 冷 して反 応 を停

た .比 較 薬 と し て 抗 ア レ ル ギ ー 剤 の ト ラ ニ ラ ス ト(N-5',

止 し, 腸 間 膜 を10%ホ

キ ッ セ イ 薬 品 工 業),

0.1%ト ル イ ジ ンブ ル ー溶 液 を 用 い て染 色 固 定 し, エ タ

タ ッ ト(FUT-175, ニ ゾ ロ ン(ナ

抗補 体 剤 の メシル酸 ナ フ ァモス

鳥 居 薬 品),

カ ラ イ テ ス ク)お

ソ(hydrocortisone,

ス テ ロ イ ド剤 の プ レ ド

よ び酢 酸 ヒ ド ロ コル チ ゾ

萬 有 製 薬)を

用 い た .N・5'は

当量 の

ノー ルお よび キ シ レン処 理 を 行 な って鏡 検 し,肥 満 細 胞 の脱 穎 粒 率 を 求 め た . 5. ラ ッ ト腹 腔 肥 満 細 胞 か らの ヒス タ ミン遊 離 体 重180∼220gのWistar系

炭 酸 水 素 ナ ト リ ウ ム と と も に 精 製 水 あ る い はTyrode液 に 加 温 溶 解 し ,FUT-175は

ル マ リンお よ び0.1%酢 酸 を 含 む

生 理 食 塩 水 に 溶 解 して 用 い

生 理 食 塩 水 で8倍

雄 性 ラ ッ トの 腹 腔 内 に ,

希 釈 した 抗DNP-As・IgE血

清1ml

た . ま た , プ レ ドニ ゾ ロ ン お よ び ヒ ド ロ コ ル チ ゾ ソ は 水

を注 射 して 感 作 した .24時 間後 , ラ ッ トを放 血 致 死 せ し

性 懸 濁 液 と した .

め ,1U/mlの

2. 実 験 動 物

内 注 射 し て 腹 腔 滲 出 細 胞(PEC)を

体 重180∼220gお

よ び90∼110gのWistar系

ラ ッ ト, 体 重200∼360gのHartley系 体 重2∼3kgの ddY系

雄性

雄 性 モ ル モ ッ ト,

日 本 白 色 種 ウ サ ギ お よ び9∼10週

齢 の

雄 性 マ ウス を 用 い た . これ ら の動 物 は す べ て 日

ヘ パ リン を含 むTyrode液10mlを

液 で2回 洗 浄 後 ,PEC中 104個/mlに

腹腔

回 収 した 。Tyrode

の肥 満 細 胞 数 を 計 測 し,5×

調 整 した . 被 検 薬 物 と と もに30分 間 プ レイ

ン キ ュ ベ ー シ ョ ン し た 後 , 抗 原 と し て 最 終 濃 度10 μg/mlDNP-Asを

加 え , さ ら に20分

間 イ ン キ ュベ ー

本 エ ス エ ル シ ー よ り購 入 し た .

シ ョン した .氷 冷 して反 応 を停 止 し, 上 清 中 の ヒス タ ミ

3. ラ ッ ト48時 間 同 種 受 身 皮 膚 ア ナ フ ィ ラ キ シ ー(PCA)

ン をMayら6)の

StrejanandCampbell4)の

方 法 に よ り作 製 し たdinitro-

mlを

研 化 学)1μgを

体 重 約160gのWistar系

む 生 理 食 塩 水0.5m1を4分

含 む 生 理 食 塩 水0.5 雌 性 ラ ッ トの 足 瞭 に4

分 割 し て 皮 下 注 射 した .5日

後 にDNP・AsO.5mgを



割 し て ラ ッ トの 背 部:お よ び

腎 部 筋 肉 内 に 注 射 して 追 加 免 疫 した . さ ら に ,10日 下 行 大 動 脈 よ り 採 血 し , 抗DNP-As・IgE血 力 価1=256)を

後に

まず ,江 田 ら7)の 方 法 に 従 って ウサ ギ 抗 ラ ッ ト血 清 を 作 製 した 。す な わ ち , 体 重 約2,5kgの 血 清1ml宛

ウサ ギに ラ ッ ト

を 隔 日に10回 耳 静 脈 内 に 注 射 して 免 疫 し,

最 終 免 疫 よ. り10日 後 に頸 動 脈 よ り採 血 して 抗 ラ ッ ト血 清 を得 た .抗 血 清 を 熱 処 理 して 非 動 化 し, 凍結 乾燥 した . RCAは

清(PCA

山 崎 ら8)お よびUngarら9)の

方 法 に 従 っ て惹

起 した . す な わ ち , あ らか じめ勢 毛 した 体 重90∼110g

得た.

抗DNP-As・IgE血

た. 6. ラ ッ ト逆 受 身皮 膚 アナ フ ィラ キ シー(RCA)

phenylatedascarisextract(DNP-As)lmgとislet-activatingprotein(科

方 法 に 従 っ て , 蛍 光 法 に よ り測 定 し

清 を 生 理 食 塩 水 を 用 い て75倍



のWistar系

雄 性 ラ ッ ト背 部 の1側 の2ヵ 所 に ,20%ウ

釈 し , あ ら か じ め 勇 毛 し た 体 重180∼220gのWistar

サ ギ抗 ラ ッ ト血 清 を 含 む0.Ol%エ バ ンス ブ ル ー生 理 食 塩

系 雄 性 ラ ッ ト背 部 の4ヵ

を 皮 下 注 射 して

水 溶 液0.1ml宛

含 む0.25%エ



ヵ所 に は0.01%エ パ ンス ブル ー生 理 食 塩 水 溶 液 を 同量 注

尾静 脈 内

射 した .2時 間 後 , 放血 致 死 せ しめ て ,皮 膚 を剥 離 し,

感 作 し た 。48時

所 に0,lml宛

間 後 ,DNP-Aslmgを

ン ス ブ ル ー(Merck)生

理 食 塩 水 溶 液1m1を

に 注 射 し て 反 応 を 惹 起 し た .30分

後 に放 血 致 死 せ しめ,

青 色 斑 を 指 標 に 皮 膚 を 切 り取 り ,Katayamaら5)の に 従 っ て1NKOHlm1を

加 え て37℃

,24時

方法 間 イ ン

を 皮 内 注射 した .他 側 の 背部 皮 内 の2

青 色 斑 を指 標 に 直 径12mmの

パ ソ チ を用 い て 炎 症 部 位

を 打 ち 抜 き, 皮 膚 片 の重 量 を 測定 し,浮 腫 率 を 次 式 に よ り求 め た .

キ ュ ベ ー シ ョ ン し て 皮 膚 を 溶 解 し た . こ れ に0.6Nリ ン 酸 と ア セ トン(5:13)混 ル ー を 抽 出 し ,620nmで

液9mlを

加 え て エ パ ンス ブ

比 色 定 量 した .

7. モ ル モ ッ トForssmansllock

4. ラ ッ ト腸 間 膜 肥 満 細 胞 の 脱 穎 粒 体 重180∼220gのWistar系

Glovskyら10)の

雄 性 ラ ッ トを 放 血 致 死

せ し め , 腸 間 膜 を 摘 出 し ,Tyrode液

で6倍

希 釈 した 抗

方 法 に従 っ て 惹 起 した . す な わ ち ,

ウ サ ギ 抗 ヒ ツ ジ 赤 血 球(SRBC)血 5,000,

東 芝 化 学 工 業)1m1/kgを

清(溶

血 素 , 力 価1:

モ ル モ ッ トの 前 腕 静

脈 内 に注 射 し,抗 血 清 注 射1時 間 後 まで の 生 存 率 と致 死 時 間 を観 察 した . 8. ウ サ ギArthus反



10mgのovalbumin(OA)を

フ ロ イ ン ト完 全 ア ジ ュ

バ ン トと と もに一 週 間 毎 に4回 , ウサ ギ に 筋 肉 内 注 射 し て 免疫 し, 最 終 注 射 か ら11日 目に 重 層 沈 降 反 応 を 用 い て , 血 中抗 体 価 を測 定 した .2日 後 に 抗 体 価 に よ り群分 け し, あ らか じめ勢 毛 した ウサ ギ の 背 部 皮 内 の4ケ 所 に ,1% OA生

理 食 塩 水 溶 液 の0.2ml宛

を 注 射 して反 応 を 惹 起

した .経 時 的 に 炎 症 部 位 の 長 径 と短 径 を ノ ギ ス で 測 定 し,炎 症 面 積 を算 出 した . 9. マ ウ スの 塩 化 ピ ク リル(Pc)に AshersonandPtakll)の

よ る接 触 性 皮 膚 炎

方 法 に 従 い, あ らか じめ 勇毛

した マ ウス の 腹 部 に7%Pcの

エ タ ノ ー ル 溶 液0.lml

を塗 布 して 感 作 し,6日 後 に1%Pcの

オ リー ブ油 溶 液

0.02mlを 両 耳 朶 に塗 布 して反 応 を 惹 起 した .24時 間後 両 耳 朶 の厚 さをdialthicknessgauge(尾

崎製 作 所)を 用

い て測 定 し, 誘 発 前 の 耳 朶 の 厚 さを 差 し引 き,腫 張 度 を

Fig. 2 Effect of IPD-1151T and N-5' on 48-hr homologous PCA in rats sensitized with anti-DNP As IgE serum. Drugs were given p.o. 30 min prior to the challenge with DNP-As. Each column represents the mean±S.E. of 6-7 animals. *,t: Statistically significant difference from the control at P < 0.05 and P < 0.01, respectively.

求 め た .腫 張 度 に よ りマ ウス を 群 分 け し,さ らに3日 後 , 同様 に 二 次 免 疫 を 行 な った . 二 次 免 疫後6日

目に再 び誘

下 注 射 して 誘 発 した . 右 後 肢 足 瞭 に は 生 理 食 塩 水25μ1

発 を行 な い, これ に 及 ぼ す 薬 物 の 影 響 を 観察 した .

宛 を 同様 に 注 射 した .24時 間 後 , 左右 の 後肢 足 首 を一 定

10. マ ウ スのSRBCに

部 位 で切 断 し, 左 足 の 重 量 か ら右 足 の重 量 を差 し引 い て

Lagrangeら12)の SRBC25μ1を

よ る足 肢 反 応 方 法 に 従 い ,4×108個/mlの

遅 延 型 足 脈 反 応 に よ る腫 張 度 と した .

マ ウス の 右 後 肢 足 脈 に 皮 下 注 射 して 免 疫

し,5日 後 , 左 後 肢 足 脈 に4×109個/m1のSRBCを



11. 統 計 処 理 結 果 は平 均 ±標 準 誤 差 で 表 し,Studentの

か検 定 を 用

Fig. 3 Time course of inhibitory activity of IPD-1151T on 48-hr homologous PCA in rats sensitized with anti DNP-As-IgE serum. IPD-1151T was given p.o. in a dose of 50 mg/kg at varying times before the challenge. Each datum represents the mean±S.E. of 6-8 animals. *,t: Statistically significant difference from the control at P < 0 .05 and P < 0.01, respectively.

Fig. 4 Effect of IPD-1151T and N-5" on antigen induced degranulation of rat mesenteric mast cells sensitized with anti-DNP-As • IgE serum in vitro. Each column represents the mean±S.E. of 8 ex periments. *J: Statistically significant from the control at P

[Effect of suplatast tosilate (IPD-1151T) on types I-IV allergic reactions].

We examined the effect of suplatast tosilate (IPD-1151T), which exhibits a class-specific suppression of IgE antibody production, on types I-IV allerg...
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