日 内 分 泌 会 誌,(Folia

736

Endocrinol.)68.736∼742.1992

初 代 培 養 ウ シ副 腎 皮 質 細 胞 に お げ る コル チ コイ ド産 生 に及 ぼ すCa2+拮 抗 薬 の影 響 東京慈恵会医科大学第1薬理学教室 中

道

昇,陶

山

田

憲

次,高

村

緒

平,村

上

光

行,川

村

稔 将

弘

Effect of Ca2+- channel Antagonists on the Corticoidogenesis in Primary Cultured Bovine Adrenocortical Cells Noboru NAKAMICHI, Shohei TOU, Minoru MURAKAMI, Kenji YAMADA, Mitsuyuki TAKAMURA and Masahiro KAWAMURA Department ofPharmacology I, TheJikeiUniversitySchoolofMedicine We

investigated

Verapamil(V)

and

adrenocortical operated

were

not

CG. of

at

the

inhibitory

CG, F

inhibited were

antagonists.

In on

for

VOC

the

lh

in

the

only

high K+

of ROC;

on

low

the

CG,

and

the

did

we N

and

and

antagonists,

or N

K+

and

not

(30mM).

V

concentration

inhibited

affect

- dependent ACTH-

concentrations

synthesis, hand,

a

bovine

adrenocorticotropic without

standard. in

micromolar

other

cultured

,

-channel(ROC)

(100pM)

the

CG

corticoid

or

ACTH

as

- induced the

regulation

of

- induced

primary Ca2+

synthesis, With

cortisol

high K+

at

corticoid

presence

Nicardipine(N)

in operated

respectively.

using

observed

antagonists,

receptor

involved

in

but

without

on

used

fluorometrically

inhibitions

effect

,

- channel

corticoidogenesis(CG)

effect

were

37•Ž

measured

Ca2+

the

the

high-K+

incubated

However, These

on

examine

ACTH-induced

manner.

,

of

-channel(VOC)

and

was only

To

Ca2+

hormone(ACTH)

Corticoid

effect

Flunarizine(F)

cells.

voltage

cells

the

induced

(below

indicate V

that

inhibit

both

40ƒÊM) F

has

ROC

an and

VOC.

Key

words

: Adrenal

cortex,

Calcium

antagonist,

Corticoid

緒 細 胞 内 外 のCa2+は,種

言

々 の 細 胞 機 能 の 調 節 に お い て 極 め て 重 要 な 役 割 を 演 じ て い る。 副 腎 皮 質

細 胞 も例 外 で は な く,従 来 よ り知 ら れ て い る 副 腎 皮 質 刺 激 ホ ル モ ン(ACTH)の ン産 生 を 直 接 的 に増 強 す る種 々 の 物 質 に よ る促 進 機 構 に お い て も,細 胞 内Ca2+濃

み な ら ず,ホ

般 的 に は セ カ ン ドメ ッセ ン ジ ャ ー と 考 え られ て い るcyclic AMP量 第68巻

第8号

ルモ

度 の 増 加 が,一

の 増 加 と 同 様 に,重

要 な役割 を

日

本

内

分

泌

演 じ て い る こ と を 示 唆 す る報 告 が あ る1)。一 方,生

学

会

雑

誌

737

理 的 役 割 は 明 確 で は な い が,ウ

に お い て 活 動 電 位 の 周 期 的 発 生 が 報 告 さ れ て い る2)。 こ れ は,電

位 依 存 性Ca2+チ

シ副腎 皮質 細胞 ャ ン ネ ル(VOC)

の 存 在 も報 告 さ れ て い る こ と か ら,副 腎 皮 質 に お け る ホ ル モ ン産 生 に お い てVOCが 担 っ て い る 可 能 性 を 示 唆 す る もの で あ る3)。近 年,Ca2+拮 用 さ れ て い る が,こ

れ らのCa2+の

重 要 な役割 を

抗 薬 は 循 環 器 疾 患 等 を 中 心 と して 広 く使

細胞 内へ の流 入 を抑 制す る薬物 が 副腎 皮質 細胞 にお け る ホルモ

ソ産 生 に対 して 抑 制 的 に 作 用 す る と い う報 告 もな さ れ て い る3)。 今 回,我 々 は,初 代 培 養 ウ シ 副 腎 皮 質 束 状 層 細 胞 を用 い て 各 種Ca2+拮 抗 薬 の コル チ コ イ ド産 生 に与 え る直 接 的 影 響 に つ い て 検 討 した 。 方

法

1.試 薬 ベ ラバ ミル,ニ

カ ル ジ ピ ン及 び フル ナ リ ジ ソ は シ グマ 社 よ り購 入 し た。 そ の 他 の 試 薬 は す べ て 特

級試 薬 を用 い た。 2.細 胞 採 取 ・培 養 方 法 従 来,我 glucose

々 が 行 な っ て い る ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ソ(0.3%)を

albumin

(DNase)消

buffer(KRBGA,pH=7.4)を

含 むKrebs-Ringer

bicarbonate

緩 衝 液 と し たcollagenase-deoxyribonuclease

化 法 に よ り ウ シ副 腎 皮 質 束 状 層 遊 離 細 胞 を調 製 し た4)。KRBGAは125mM

KCl,1.2mM

CaCl2,1.2mM

EGTA,0.3%ウ

KH2PO4,1.2mMgSO4,25.3mMNaHCO3,0.2%グ

シ血 清 ア ル ブ ミ ン(fraction

消 化 酵 素(collagenase0.1%及

びDNase0.005%)を

キ ュ ベ ー トした 。 イ ソキ ュ ベ ー ト後,ピ 各 種 抗 生 物 質(ゲ

V)を

ル コー ス,10μM

含 有 す る も の で あ る。 ウ シ副 腎 皮 質 を細 切 し, 含 むKRBGA中

で5%CO2気

ペ ッテ ィ ン グ に よ り細 胞 を 遊 離 さ せ,遊

ソ タマ イ シ ン:50μg/ml,ペ

1

NaCl,6mM

ニ シ リ ソ:100U/ml及

相 下 で1時 間 イ ン 離 細 胞 を 作 製 し,

び ス トレプ トマ イ シ ン:100

μg/ml)を 含 む 培 養 液(ウ シ 新 生 児 血 清:10%,ウ シ胎 児 血 清:5%,ウ -F10培 地)を 用 い て コー ニ ン グ社 製24well(2cm2)plateに20万/cm2の

マ 血 清:2.5%を 含 むHam 細 胞 密 度 で 播 種 ,培 養 し

た。 3.イ

ン キ ュベ ー ト方 法 ・コ ル チ コ イ ド測 定 方 法

Ca2+拮 抗 薬 と して は ニ カ ル ジ ピ ン,ベ 刺 激 と して は,ACTH(100pM)及

ラ バ ミル 及 び フ ル ナ リ ジ ン を用 い た 。 ま た,ホ

び 高K+刺

培 養72時 間 後 の 細 胞 を0.5mMEGTAを 及 びCa2+-free

KRBGAで

激(30mM)を 含 むCa2+-free

洗 浄 した 後,KRBGAを

用 いた。 phosphate-buffered

用 い て 全 用 量 を1mlと

saline(pH=7.4) し各 種 薬 剤 と 共 に1時 間

イ ン キ ュ ベ ー ト した 。 産 生 さ れ た コ ル チ コ イ ドは イ ン キ ュ ベ ー ト後 のKRBGA中 光 法 に よ り,コ ル チ ゾ ー ル を 標 準 ス テ ロ イ ドと して測 定 した 。 細 胞 数 は,ト むCa2+-free

KRBGAに

よ り細 胞 をwellよ

ル モ ン産 生

の も の を硫 酸 蛍

リプ シ ン(0.1%)を

含

り遊 離 さ せ 細 胞 浮 遊 液 と し て 血 球 計 算 板 に よ り計 測 し

た 。 コル チ コ イ ドは 細 胞 数10万 あ た りの1時 間 の 産 生 量 と して 算 出 し た。 4.統 計 処 理 初 代 培 養 細 胞 系 で あ る た め に,実

験 に 使 用 す る系 に よ り反 応 性 に 若 干 の 変 動 が み ら れ る た め,コ

ル チ コイ ド産 生 は 各 系 に お け る100pMACTHに 数 値 は 平 均 ± 標 準 誤 差(標 本 数=3)で 有 意 差 に つ い て はStudent'st-testを

よ り惹 起 され た 最 大 反 応 量 に 対 す る%で 表 示 した 。

示 した 。 用 い て 検 定 し,pが0.05未

第68巻

第8号

満 を有 意 と した 。

38

コル チ コ イ ド産 生 とCa2+拮

抗 薬(中

結

道,他5名)

果

1)ニ カ ル ジ ピ ン の コ ル チ コ イ ド産 生 に 対 す る 影 響 ニ カ ル ジ ピ ン は,ACTH(100pM)に

よ り惹 起 さ れ た コル チ コ イ ド産 生 を5μM以

的 に 有 意 に抑 制 した 。 ま た,高K+刺 した 。 い ず れ の 場 合 も,50%以

激 に よ る コル チ コ イ ド産 生 も同 様 に10μM以

上 の抑 制 が10μM以

上 で 有 意 に抑 制

上 の 濃 度 で み られ た(Fig.1)。

お け る最 大 の コ ル チ コイ ド産 生 は1140.5±78.3pmol/10

5cells/hで

上 で濃 度依 存

尚,本 実 験 系 に

あった。

2)ベ ラ パ ミル の コ ル チ コ イ ド産 生 に 対 す る 影 響 ベ ラ パ ミ ル は,ACTH(100pM)に

よ り惹 起 さ れ た コル チ コイ ド産 生 を5μM以

に 有 意 に 抑 制 した 。 ま た,高K+刺 た 。 い ず れ の 場 合 も,50%以

激 に よ る コ ル チ コ イ ド産 生 も同 様 に5μM以

上 の 抑 制 が10μM以

上 で 濃度 依 存 的 上 で有 意 に抑 制 し

上 の 濃 度 で み られ た(Fig.2)。

け る最 大 の コル チ コ イ ド産 生 は897.4±52.2pmol/10

5cells/hで

尚,本 実 験 系 に お

あ った。

3)フ ル ナ リジ ン の コ ル チ コ イ ド産 生 に 対 す る影 響 40μMま

で の フ ル ナ リ ジ ンはACTH(100pM)に

を 与 え な か った 。 一 方,高+K刺 有 意 に 抑 制 し,50%以

激 に よ る コル チ コイ ド産 生 に 対 して は10μM以

上 の 抑 制 が み られ た(Fig.3)。

生 は1311.4±74.1pmol/10 以 上 の 結 果 よ り,ニ

よ り惹 起 さ れ た コル チ コ イ ド産 生 に 対 して 影 響

5cells/hで

尚,本

実 験 系 に お け る 最 大 の コル チ コイ ド産

あ った 。

カ ル ジ ピ ン及 び ベ ラ バ ミル 両 者 と フ ル ナ リジ ン の 間 で は,コ

刺 激 に 対 す る抑 制 作 用 に解 離 が み られ た 。

Fig.

1

Effect

of

bovine

Nicardipine

was Nicardipine

means•}S.E.

corticoid

cells. of

production

are

on

adrenocortical

concentrations

without

上 で濃 度依存 的 に

Cells

Nicardipine,

expressed

as (mean:

production were

ACTH

or K+.

and

±

response 78.3pmo1/105cells/h).

(n=3).

第68巻

primary with

% of maximum 1140.5

by

incubated

第8号

by

cultured the

indicated Corticoid

100pM

ACTH Values

ル チ コ イ ド産 生

日

Fig.

2

Effect

of

bovine

adrenocortical

本

Verapamil

内

on

of

Verapamil,

was

as

% of

Verapamil

(mean:

泌

corticoid

cells.

concentrations expressed

分

学

会

雑

production

Cells

were

and

ACTH

maximum

897.4•}52.2pmol/10

by

primary

incubated or

response

with

K+. by

739

誌

cultured the

Corticoid

production

100pM

5cells/h).

indicated

ACTH Values

without are

means

±S.E.(n=3).

Fig.

3

Effect

of

bovine

Flunarizine

concentrations

without

was Flunarizine

means•}S.E.

corticoid

cells. of

production

are

on

adrenocortical

production

Cells

were

% of

maximum

Flunarizine,

expressed

as (mean:

(n=3)

and

1311.4

±

.

第68巻

by

incubated

第8号

ACTH response 74.1pmol/10

primary with

cultured indicated

K+ .

Corticoid

or

the

by

100pM

5cells/h)

ACTH .

Values

740

コル チ コ イ ド産 生 とCa2+拮

抗 薬(中

考 細 胞 外 か ら流 入 したCa2+及

察

び 細 胞 内 で 遊 離 したCa2+が

細胞 機 能 の調節 に極 めて重 要 な役 割 を演

じて い る こ と は,分

泌 細 胞 を は じめ 種 々 の 細 胞 に お い て,数

細 胞 に お い て は,セ

カ ソ ドメ ッ セ ン ジ ャ ー はcyclic

Ca2+拮 抗 薬,カ 薬 物 がACTHの

ル モ ジ ュ リ ン 阻 害 薬 等 のCa2+が み な らず,dibutyryl

道,他5名)

多 く報 告 され て い る。 副 腎 皮 質 束 状 層

AMPで

あ る との 考 え 方 が 一 般 的 で あ る が,

関 与 す る細 胞 機 能 の 調 節 機 構 に 抑 制 的 に 作 用 す る

cyclic AMP等

のcyclic

AMP誘

導 体 に よ り惹 起 され る コ ル

チ コ イ ド産 生 を も 阻 止 す る と い う報 告 が あ る5)。 これ は 副 腎 皮 質 束 状 層 細 胞 に お け る ホ ル モ ン産 生 促 進 機 構 に お い て,細

胞 内Ca2+濃

度 の 増 加 がcyclic

い る こ と を 示 す も の で あ る1)。 ま た,副

生 を 促 進 す る物 質 と して は 前 述 したACTH及 ア ド レナ リ ン作 動 薬,プ

AMP量

の 増 加 と 同 様 に 重 要 な 役 割 を 演 じて

腎 皮 質 束 状 層 細 胞 に対 して 直 接 的 に作 用 し コル チ コイ ド産 びcyclic

AMP誘

導 体 以 外 に,ア

Ca2+の 細 胞 内 へ の 流 入,細

胞 内 貯 蔵 部 位 よ りのCa2+の

を 演 ず る と述 べ ら れ て い る6)。ま た,一

遊 離 等 が ホ ル モ ン産 生 に お い て 重 要 な 役 割

方 で は 細 胞 外 液 中 のK+濃

チ コ イ ド産 生 が 刺 激 され る こ と も知 られ て い る7)。そ して,こ は 細 胞 外 液 中 にCa2+が 外K+がVOCを

セ チ ル コ リ ン,β-

ロ ス タ グ ラ ソ ジ ン等 が 報 告 さ れ て い る。 そ して い ず れ の 報 告 に お い て も

存 在 す る こ と が 必 要 で あ り,ま

度 を 上 昇 さ せ る こ と だ け で コル

の コ ル チ コ イ ド産 生 促 進 効 果 発 現 に

た そ の 濃 度 に 依 存 して い る こ と よ り,細 胞

活 性 化 す る こ と に起 因 す る と考 え ら れ て い る 。 今 回 は 臨 床 的 に も,広

て い るCa2+拮 抗 薬(ニ カ ル ジ ピ ン,ベ す る 影 響 を 検 討 した 。 ま た,ホ 体 依 存 性Ca2+チ と こ ろ で,従

ル モ ン産 生 促 進 刺 激 と して は,VOCを

ャ ン ネ ル(ROC)を

活 性 化 す るACTHを

来 よ り頻 用 さ れ て い る ウ シ,ラ

活 性 化 す る 高K+及

び受 容

用 いた。

ッ ト等 の 組 織 片,単

離 細 胞 等 はACTHに

応 性 が 概 して 低 く,十 分 な コ ル チ コ イ ド産 生 を も た らす た め に は 高 濃 度(1nM程 必 要 で あ る。 今 回,我

く使 用 され

ラ バ ミル 及 び フ ル ナ リ ジ ン)に つ い て コル チ コ イ ド産 生 に 対

々 の用 い た 初 代 培 養 ウ シ 副 腎 皮 質 束 状 層 細 胞 系 は,種

に 対 す る 反 応 性 が 高 く,血 液 中 の 生 理 的 な 濃 度 近 傍 に お げ るACTHを

対 す る反

度)のACTHが

々 の ホ ル モ ン産 生 刺 激

用 いた検 討 が十 分 に可能 で

あ る8)。 ニ カ ル ジ ピ ン はL型VOCに

対 す る選 択 的 な 抑 制 作 用 を

,ベ

て 幅 広 い 抑 制 作 用 を 有 す る と され て い る。 本 実 験 に お い て,こ

ラバ ミル はVOC及

びROCに

の 両 者 はACTH刺

激 及 び 高K+刺

対 し

激 に よ る コル チ コイ ド産 生 を 濃 度 依 存 的 に抑 制 し た。 ジ ヒ ドロ ピ リ ジ ン誘 導 体 は細 胞 膜 に存 在 す る Ca2+チ ャ ソ ネ ル の み な ら ず 細 胞 内 に お い て もCa2+の 系)に 影 響 を 与 え る こ と が 報 告 さ れ て い る9)。 ま た,ベ 依 存 性ATPaseに

関 与 す る機 能 調 節 系(Ca2Lカ

ル モ ジ ュ リン

ラ バ ミル も細 胞 内 に お け るCa2+輸 送,Ca2+

対 す る作 用 を 有 す る と い わ れ て い る10)。従 って,ACTHに

生 促 進 へ 対 す る こ れ ら2種 の 薬 物 に よ る 抑 制 効 果 は,Ca2+チ

よ る コ ル チ コイ ド産

ャ ン ネ ル に 対 す る作 用 の み な らず,細

胞 内 に お け る非 特 異 的 な 作 用 に起 因 した 結 果 で あ る 可 能 性 も あ る。 一方

,フ ル ナ リ ジ ン はT型VOCに

お い てACTHに

対 す る選 択 的 な 抑 制 作 用 を有 す る と され て い る が,本

よ る コ ル チ コ イ ド産 生 に 対 して は 影 響 を 与 えず,ROC及

チ コイ ド産 生 機 構 に 対 して は 影 響 が な い も の と考 え られ る。 ま た,こ

の 結 果 はACTHに

よ る コル

チ コイ ド産 生 に於 い てVOCの

果 た す 役 割 は 主 要 で は な い こ と,ま

層 細 胞 に お け るVOCはCa2+拮

抗 薬 に対 す る 特 異 性 が 高 くな い こ と を 示 す も の と考 え られ る 。

ま た,こ

た,一

実験 に

び 細 胞 内 に お け る コル

方 で は ウ シ副 腎 皮 質 束 状

れ ら薬 物 の 臨 床 適 応 時 の 患 者 血 漿 中 濃 度 は 臨 床 試 験 成 績 よ り考 え る と,1μMを 第68巻

第8号

越える

日

本

内

こ と は な い と思 わ れ る11)12)13)。 従 って,こ

分

泌

学

会

雑

誌

741

の 濃 度 よ り本 実 験 で 得 られ た コル チ コ イ ド産 生 抑 制 を 惹

起 す るin vitroの 濃 度 を 単 に 考 察 す る と臨 床 的 に コル チ コイ ド産 生 に影 響 を与 え る とは 考 え が た い。 しか し,Ca2+拮

抗 薬 は,臨 床 的 に は 比 較 的 長 期 に わ た り投 与 され る こ と が 一 般 的 で あ る こ と,ま た,

概 して 脂 溶 性 が 高 く,ク

ロル プ ロ マ ジ ン等 の 脂 溶 性 の 高 い 薬 物 で は 副 腎 へ の 蓄 積 が 報 告 され て い る

こ と14)等を 考 慮 す る と,通 常 使 用 量 で あ っ て も連 続 投 与 時 は,コ

ル チ コ イ ド産 生 に 直 接 的 な 影 響 を

与 え る可 能 性 も考 え られ る。 結

語

初 代 培 養 ウ シ 副 腎 皮 質 細 胞 を用 い て,Ca2+拮

抗 薬(ニ

カ ル ジ ピ ン,ベ

ラバ ミル 及 び フ ル ナ リジ ン)

の コル チ コ イ ド産 生 に 対 す る 直 接 的 影 響 を 検 討 した 。 ホ ル モ ン産 生 刺 激 と して は,ACTH(100pM) 及 び 高K+刺

激(30mM)を

1)ニ カ ル ジ ピ ン,ベ

用 いた。

ラ バ ミル は,共

にACTH刺

激 及 び 高K+刺

依 存 的 に有 意 に 抑 制 し,い ず れ の 場 合 も,50%以 2)フ ル ナ リ ジ ン は 高K+刺

激 に よ る コ ル チ コ イ ド産 生 を 濃 度

上 の 抑 制 が10μM以

上 の 濃 度 で み られ た 。

激 に 対 す る コル チ コイ ド産 生 は 有 意 に 抑 制 した が,ACTHに

対す るコ

ル チ コイ ド産 生 に は 影 響 を 与 え な か っ た 。 以 上 の 結 果 よ り,フ ル ナ リジ ンは 他 の2薬 と異 な り,ACTHに

よ るROC(受

ン ネ ル)を 介 す る コル チ コイ ド産 生 に 対 して は 影 響 を 与 え ず,ま

容 体 依 存 性Ca2+チ

ャ

た 細 胞 内 に お け る コル チ コ イ ド産

生 機 構 に 対 す る 影 響 も な い もの と 考 え られ る。 文

1) Yanagibashi K.,

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第8号

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of Ca2+ to the

bovine adrenocortical

cells.

コ ル チ コイ ド産 生 とCa2+拮

742

7)

Uzawa

S.,

Amamoto

corticoidogenic

T.

action

and

of ACTH:

抗 薬(中

Yanagibashi

道,他5名)

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Ca2+ -channels

on

messenger"

adrenocortical

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第68巻

第8号