Jpn. J. Clin. Immunol., 38(1)26~36(2015)Ⓒ 2015 The Japan Society for Clinical Immunology

26

総  説

慢性腎臓病におけるポドサイト障害の役割 淺沼克彦

The role of podocyte injury in chronic kidney disease Katsuhiko Asanuma Kyoto University Graduate School of Medicine, TMK project, Medical Innovation Center (Accepted December 10, 2014) summary It has recently become clear that initial glomerular injury affects glomerular visceral epithelial cells (also called as podocytes) as important target cells for progression of chronic kidney disease (CKD) and end-stage kidney disease. Podocytes are injured in many human kidney diseases including minimal change disease, focal segmental glomerulosclerosis, diabetic nephropathy, membranous nephropathy and lupus nephritis. Podocytes are highly specialized epithelial cells that cover the outer layer of the glomerular basement membrane (GBM). Podocytes serve as the final barrier to urinary protein loss through the special formation and maintenance of foot-processes and an interposed slit-diaphragm. Chronic podocyte injury may cause podocyte detachment from the GBM, which leads to glomerulosclerosis. The elucidation of podocyte biology during the last 15 years has significantly improved our understanding of the pathophysiologic processes of proteinuria and glomerulosclerosis. In this review, we highlight some of new data including our recent findings for translating podocyte biology into new examinations and therapies for podocyte injury. Key words    podocyte; proteinuria; glomerulosclerosis; Dendrin; Notch2 抄  録 慢性腎臓病(CKD)の概念が提唱され,本邦における CKD 患者数の増加が医療経済上問題となっており,CKD に対する新規診断・治療法の開発が急務となってる.CKD の進展を阻止するためには,血液の濾過装置である腎 糸球体の維持が必要である.血液濾過を行っている糸球体係締壁は,糸球体内皮細胞,糸球体基底膜(GBM),足 細胞(ポドサイト)の 3 層からなっている.この 3 層構造により血清蛋白がボウマン腔内から尿中へ漏れ出るのを 防ぐバリアとしての機能が果たされている.様々な糸球体疾患において,ポドサイト障害が引き起こされると,ポ ドサイトの足突起の規則的な噛み合せ構造が消失し,同時にスリット膜の崩壊が生じ蛋白尿が生じる.慢性のポド サイト障害は,ポドサイトの GBM からの脱落を引き起こし,最終的には糸球体硬化へと進展することがわかって いる.ポドサイトの機能や構造,蛋白尿出現・糸球体硬化形成のメカニズムについて,分子生物学的手法により, この 15 年間で急速に解明されて来ている.本稿では,ポドサイトの GBM からの脱落機序やポドサイト障害に対 する新規治療法の可能性について著者らの成果をまじえ概説する.

はじめに

球体腎炎,腎硬化症で全体の約 80%を占め,リウ マチ性疾患による腎障害として有名なループス腎炎

2002 年に米国腎臓財団が提唱した概念である慢

は,0.7%と少ないが,毎年 200 人以上が導入され,

性 腎 臓 病(CKD) は, 日 本 の 成 人 人 口 の 約 13 %

他の原因疾患と比べ,患者の平均年齢は 60 歳代前

(1330 万人)で,国民病と言われるほどに頻度が高

半と若く,透析への導入期間を延長できるような新

い.世界的にも末期腎不全による透析患者の増加

規治療法の開発が望まれる.蛋白尿は CKD におい

が,医療経済上の大きな問題となっており,CKD

て腎予後不良を示す指標であり,現在は,蛋白尿抑

の発症予防法・新規治療法の開発が望まれている.

制が CKD 治療の本幹とも言える.しかし,蛋白尿

透析患者の原因疾患として,糖尿病性腎症,慢性糸

が少量でも CKD が進行する症例があり,蛋白尿の

京都大学大学院医学研究科・メディカルイノベーショ ンセンター・TMK プロジェクト

軽減だけでは CKD の根本的な治療としては不十分 である.

淺沼・ポドサイト障害と慢性腎臓病

27

本稿においては,血清蛋白の最終濾過障壁として

イトは血中蛋白質の最終的なバリアであり,ポドサ

働く腎糸球体足細胞(ポドサイト)の基本的な構造

イトが障害を受けると著明な蛋白尿が引き起こされ

と機能を概説し,慢性腎臓病への寄与についてとポ

る.スリット膜の主要な蛋白として Nephrin が発見

ドサイト障害に対する新規診断法・治療法について

されて以来,P-cadherin, FAT, neph1-3 などがスリッ

著者らの検討を含め紹介する.

ト膜の構成蛋白として同定されており,ポドサイト

1)ポドサイトの構造と機能 血液の濾過装置である糸球体は,糸球体毛細血管 の束ねの位置にメサンギウム細胞が存在し,原尿を

障害時にはそれら発現が低下することが知られてい る . 3)

2)糸球体障害におけるポドサイトの役割

受け止めるボウマン腔に面した糸球体係締壁は,内

糸球体障害からポドサイト障害が生じるが,多く

側から糸球体内皮細胞,糸球体基底膜(GBM),糸

の糸球体疾患(腎炎・ネフローゼ症候群など)や

球体足細胞(ポドサイト)の 3 層からなる構造をし

様々な実験腎炎・ネフローゼ症候群モデルにおいて

ている

.ポドサイトは,核や細胞内小器官が局

ポドサイト障害が認められている.ポドサイト障害

在する大きな細胞体,細胞体から伸び出した太い一

の早期には,まずスリット膜の分子構造の変化が認

次突起,さらに,一次突起から伸び出した細い足突

められ,足突起の細胞骨格の分布が変化し,足突起

起で構成された非常に特殊な構造をしている(図 1 ) .

は消失(foot-process effacement)して,その噛み合

糸球体係締壁の 3 層構造により血清蛋白がボウマン

3, 4) わせを失う(図 2 C, D) .ポドサイト障害の持続

腔および尿中へ漏れ出ることを防ぐバリア機能を果

はポドサイトのアポトーシスを含む細胞死や,別の

たしている(図 2 A).足突起は,隣り合うポドサ

原因によりポドサイトの糸球体基底膜からの脱落を

イトの足突起との間で規則的な噛み合わせを作って

引き起こす(図 3 ).ポドサイトの糸球体基底膜か

いる(図 1 C,図 2 B) .足突起の間に張ったスリッ

らの脱落やタンパク尿の持続は糸球体硬化を引き起

ト膜は,血液濾過の最終バリア(サイズバリア)と

こし,CKD から慢性腎不全へと進行して行く .つ

して働き,糸球体濾過障壁の最も重要な構成要素

まり,糸球体硬化から CKD・慢性腎不全にいたる

と言われている(図 2 A) .したがって,ポドサ

過程には,ポドサイトの重篤な障害による足突起の

1, 2)

2, 3)

4)

図 1  走査電子顕微鏡でボウマン腔側からみたマウス糸球体 A. 糸球体毛細血管を外側からポドサイトが覆い隠している. B. 糸球体毛細血管をいくつかのポドサイトで取り囲んでいる.ポドサイトの核や細胞内小器官が入った細胞体,細胞体から出 た一時突起が認められる. C. 一時突起から続く足突起の噛み合わせ構造が認められる.

日本臨床免疫学会会誌(Vol. 38 No. 1)

28

図 2  ポドサイトの足突起の透過電子顕微鏡像と模式図 A. 濾過障壁である糸球体係締壁は,糸球体内皮細胞,糸球体基底膜,ポドサイトの 3 層構造からなる.足突起と足突起の間に はスリット膜が存在し,血清蛋白のサイズバリアとして働く. B. 正常条件下でのポドサイトの模式図.ポドサイトは隣の細胞と足突起の噛み合わせ構造を形成することで濾過面積を増やし ている. C. ポドサイトが障害を受けると,足突起の噛み合わせ構造は消失(foot-process effecenent)する. D. 病的条件下でのポドサイトの模式図.ポドサイトの足突起は消退し消失している. 文献 3 より引用.

消失とポドサイトの糸球体基底膜からの脱落による ポドサイト数の減少が必要であることを示してい る(図 3 ) .スリット膜の主要な構成蛋白である 2, 4)

Nephrin が同定されて以来,CD2AP, Podocin などの スリット膜裏打ち蛋白を含め,多くのスリット膜関 連蛋白が同定され,スリット膜蛋白複合体を形成し ていることがわかっている .Nephrin と結合する 3)

蛋白として MAGI-2 が同定され,スリット膜の裏打 ち部に局在することが報告されていたが,ポドサイ トにおける役割については不明であった .Ihara ら 5)

は,MAGI-2 のノックアウトマウスを作製し,その マウスが生下時より無尿であり,腎不全により 24 時間以内に死亡することを見つけた(図 4 A, B) . 6)

このノックアウトマウスの腎臓を電子顕微鏡により 観察すると,ポドサイトの足突起は存在するものの 足突起間に通常存在するはずのスリット膜構造はな く,足突起同士が接着し tight junction 様構造を形成 していた(図 4 C, D).また,このノックアウトマ

図 3  糸球体障害におけるポドサイトの役割

淺沼・ポドサイト障害と慢性腎臓病

29

体硬化が引き起こされることがわかっている



9−11)

ADR 腎症マウスにおいて,蛋白尿は 7 日目にピー クを迎えるが,その時期から徐々に糸球体当たりの ポドサイト数は減少し,硬化糸球体数も増加して行 7) くことがわかった(図 5 A, B, C) .さらに,ポド

サイトアポトーシスが,蛋白尿出現前から認められ ることを見いだし,アポトーシスによるポドサイト 数の減少が,糸球体硬化を引き起こしたと考えられ た(図 5 D). 著者らは,Dendrin を Nephrin と CD2AP と結合す るスリット膜裏打ち蛋白として同定し,ポドサイト 障害時に Dendrin がスリット膜裏打ち部から核へ移 行しポドサイトのアポトーシスを促進することを報 告している .ADR 腎症マウスにおいてもポドサ 12)

イト障害早期に核への移行が認められた(図 6 ). スリット膜が,シグナルプラットフォームとして正 常時・病態時においてポドサイトの機能を制御して いることがわかっている .スリット膜関連蛋白で 3)

ある CD2AP と Nephrin が,抗アポトーシス作用の ある Akt シグナルを活性化する .また,CD2AP 13)

GBM: 糸球体基底膜,En: 糸球体内皮細胞,FP: 足突起 矢頭:スリット膜

図 4  MAGI-2 ノックアウトマウス A. MAGI-2 ノックアウトマウスの血清クレアチニン値は上 昇し腎不全に陥っていることがわかる. B. MAGI-2 ノックアウトマウスの尿量はほとんどなく無尿 の状態である. C. 野生型マウスでは足突起間にスリット膜が認められる. D. MAGI-2 ノックアウトマウスでは,足突起は存在するも ののスリット膜構造は消失し,足突起は tight junction 様 に接着している. 文献 6 より一部改変し引用.

ノックアウトマウスでは,蛋白尿と糸球体硬化が引 き起こされることがわかっており,さらに,ポド サイトアポトーシスが増加することが報告されて いる

.Yaddanapudi らは,核へ移行した Dendrin

14−16)

が転写因子として働き,ポドサイト障害を誘発す ることが知られている蛋白分解酵素である cytosolic Cathepsin L の発現を上昇,その cytosolic Cathepsin L が CD2AP を分解することで,さらに Dendrin の核 移行を誘発することを報告している(図 7 ) . 17)

ウスの Nephrin の発現低下と局在変化が認められ,

最近,Campbell らは,Hippo kinese の下流ターゲッ

MAGI-2 が,スリット膜構造維持に極めて重要な蛋

ト で あ る Yes-associated protein(YAP) が, ポ ド サ

白であることが判明した .

イトの核で Dendrin と結合することで,Dendrin に

6)

より促進されるアポトーシスを抑制すると報告して

3)ポドサイト障害と Dendrin

いる(図 7 ) .さらに,同グループは,ポドサイ 18)

著者ら,糸球体障害におけるポドサイトの役割を

ト特異的 YAP ノックアウトマウスを作製し,同マ

解明するために,ネフローゼ症候群・糸球体硬化モ

ウスが蛋白尿・糸球体硬化を引き起こすことと,

デルであるアドリマイシン(ADR)腎症マウスを

その原因としてポドサイトアポトーシスが認めら

作製し解析した .ヒト糸球体疾患では,ポドサイ

れることを 2014 年アメリカ腎臓学会年次総会で報

ト障害によりアポトーシスや他の理由により,ポド

告している.Dendrin と MAGI-2 が結合するとの報

サイトは GBM からボウマン腔へ脱落していく



告があり,MAGI-2 ノックアウトマウスで Dendrin

ポドサイトは分裂し難い終末分化細胞であることか

の核への集積が認められることから,スリット膜

ら,脱落部のむき出しになった GBM は,隣のポド

関連蛋白である CD2AP や MAGI-2 が正常条件下で

サイトの肥大や細胞移動により覆い隠されるが,脱

Dendrin の核移行を阻止している可能性が考えられ

落したポドサイトが多くなるともはや代償しきれな



くなり,GBM にボウマン嚢上皮細胞が接着し糸球

ト特異的に発現する蛋白であることを考え合わせる

7)

2, 8)

.以上の事実と,Dendrin が腎臓でポドサイ

6, 17, 19)

30

日本臨床免疫学会会誌(Vol. 38 No. 1)

図 5  アドリアマイシン(ADR)腎症マウス A. ADR をマウスに静脈注射すると蛋白尿が出現し 7 日目にアルブミン尿(蛋白尿)がピークとなる. B. ADR 腎症マウスでは,7 日目には硬化糸球体が出現し,徐々に硬化糸球体数は増加する. C. ADR 腎症マウスの糸球体あたりのポドサイト数は,7 日目以降に減少して行く. D. ADR 腎症マウスの糸球体内のアポトーシス細胞は蛋白尿出現前の 3 日目に出現し,その後も認められる. 文献 7 より一部改変し引用.

図 6  ADR 腎症マウスにおける Dendrin の核移行 A. コントロールマウスでは,Dendrin は,糸球体係締壁に沿って線状に染色されており,ポドサイトの核のマーカーである WT-1 とは共局在していない. B. ADR 腎症マウスでは,Dendrin が一部核へ移行し,WT-1 と共局在している. 文献 7 より一部改変し引用.

淺沼・ポドサイト障害と慢性腎臓病

31

図 7  ポドサイトにおける Dendrin の役割 正常時,Dendrin は,Nephrin・CD2AP と結合し,スリット膜裏打ち部に局在するが,ポドサイト障害時に核へと移行し,アポ トーシスを促進する.また,Dendrin は転写因子として働き,蛋白分解酵素である Cathepsin L の発現を促し,CD2AP を分解に 導く.YAP2 は Dendrin と結合し,Dendrin の機能を抑制する.

と,新規 CKD 治療法の開発に,Dendrin の核移行

ヒト糸球体疾患においても Dendrin の核移行がポド

によるアポトーシス促進作用が創薬ターゲットとし

サイト数の減少を促進している可能性が示唆され

て有用となるかもしれない.

た .もしも,Dendrin の核移行がポドサイトアポ 20)

腎症や腎炎モデルマウスにおいて,ポドサイト障

トーシスを引き起こし,ポドサイトの GBM からの

害時に Dendrin がスリット膜裏打ち部から核へ移行

脱落を導くのであれば,尿中に脱落したポドサイト

することは前述したが,ヒト腎糸球体疾患において

の核には Dendrin が集積していることが予想される.

も Dendrin が核へ移行していることを著者らは見つ

著者らは,IgA 腎症患者の尿を採取し,その尿沈渣

け報告している .糸球体硬化を引き起こさない,

の免疫染色を行ったところ,尿沈渣中の脱落ポドサ

糸球体疾患である微小変化型ネフローゼ症候群では,

イトの核に Dendrin が集積していた(図 8 C).さら

Dendrin の核への集積はほとんど認めないが,糸球

に,尿沈渣中の脱落ポドサイトにアポトーシスが起

体硬化を引き起こす糸球体疾患(巣状糸球体硬化

きていることを見つけた.ヒト腎生検組織上,糸球

症,膜性腎症,ループス腎炎)において Dendrin の

体内のポドサイトにアポトーシスが起きている所見

核への集積が顕著であった(図 8 A).特に,ループ

を見つけることは難しく,ポドサイトが糸球体内で

ス腎炎のヒト腎生検組織でその傾向は顕著であった

アポトーシスを起こしているのか,糸球体から脱落

7)

(図 8 A, B) .

後にアポトーシスを起こしているかは議論の余地が

本邦で最も多い慢性糸球体腎炎である IgA 腎症

残るところではあるが,いずれにせよ,Dendrin の

でも同様に Dendrin の核移行は認められた.また,

核への移行が,ポドサイトの GBM からの脱落に関

Dendrin 陽性核数と糸球体硬化への進展が予測され

与している可能性は高い.

る糸球体の急性管外性病変に正の相関が認められ,

日本臨床免疫学会会誌(Vol. 38 No. 1)

32

イトマーカーで染色することで,尿中に脱落したポ ドサイト数を測定することができる.尿中脱落ポド サイトは,糖尿病性腎症,巣状糸球体硬化症,IgA 腎症,ループス腎炎において報告されているが,微 小変化型ネフローゼ症候群症例や膜性腎症ではあま り認められないと報告されている

.著者らは,

21−23)

成人 IgA 腎症症例において,尿中ポドサイト数が糸 球体硬化と相関がある事を報告している(図 9 A) . 24)

Podocalyxin は,腎臓においてポドサイトのマー カー蛋白として知られ,細胞の apical 側に局在する 膜蛋白である .これまで,Podocalyxin は,ポド 25)

サイトの細胞形態やスリット膜構造維持に関与して いることがわかっている .Hara らは,尿中に検 26)

出される多くの Podocalyxin は,脱落したポドサイ ト由来ではなく,障害ポドサイトから,Podocalyxin 陽性の微絨毛様構造物がちぎれて尿中に排泄されて 検出されることを証明した

.Kanno らは,尿中

25, 27)

Podocalyxin 値を ELISA で測定し,小児の炎症性糸 球体疾患症例(IgA 腎症,紫斑病性腎炎,ループス 腎炎,膜性腎症,溶連菌感染後急性糸球体腎炎)に おいて急性管外性病変などの活動性糸球体障害の予 測が可能であることを報告した .著者らは,成人 28)

IgA 腎症の腎生検組織と尿中 Podocalyxin 値の関係を 検討し,小児と同様にポドサイト障害の存在を疑う 糸球体の急性管外性病変と尿中 Podoclyxin 値に強 い正の相関があること見つけた(図 9 B) .糸球 24)

体の急性管外性病変は,IgA 腎症におけるステロイ ド治療の適応を決める上で重要な病変であり,尿中 Podocalyxin 値 の 測 定 は,IgA 腎 症 の 治 療 方 針 の 図 8  ヒト糸球体疾患における Dendrin の核移行 A. ヒト糸球体疾患における Dendrin 陽性核数.文献 7 より 一部改変し引用. B. ループス腎炎患者の腎生検組織で,ポドサイトに Dendrin の核への集積(*)が認められる.Podocalyxin はポドサ イトマーカー.文献 7 より一部改変し引用. C. IgA 腎 症 患 者 の 尿 沈 渣 に 認 め ら れ る 尿 中 ポ ド サ イ ト (Podocalyxin 陽性細胞)の核に Dendrin が集積している. 文献 20 より一部改変し引用.

決定を決めるポドサイト障害のバイオマーカーと なる可能性がある.糖尿病性腎症において,尿中 Podocalyxin 値は,マクロアルブミン尿,ミクロア ルブミン尿を検出した患者で上昇しているだけでな く,アルブミン尿がない患者においても上昇してい る症例があり,糖尿病性腎症の早期ポドサイト障害 マーカーとして有用であることが示されている . 29)

他の糸球体疾患においても尿中 Podocalyxin 値の上 4)尿中ポドサイト・尿中 Podocalyxin と ポドサイト障害

昇が報告されており,本邦で開発された ELISA キッ トによる尿中 Podocalyxin 値の測定は,ポドサイト 障害のバイオマーカーとして今後,期待がかけられ

蛋白尿の測定を本邦では頻繁に行っているにもか

る.現在,リウマチ性疾患における尿中ポドサイト

かわらず,CKD から透析導入患者が増加してきた

や尿中 Podocalyxin 値の測定と腎生検組織との関連

ことを考えると,蛋白尿出現メカニズムのさらなる

についての検討が行われている.

解明とポドサイト障害の評価法が必要と考えられる. 尿中に脱落した細胞を採取し,その尿沈渣をポドサ

最近は,尿検体を使用して,ポドサイトに発現す る蛋白や mRNA の測定,尿中 exosome からのポド

淺沼・ポドサイト障害と慢性腎臓病

33

図 9  IgA 腎症と尿中ポドサイト数・尿中 Podocalyxin 値 A. IgA 腎症患者の尿中ポドサイト数が多いほど,ヒト腎生検組織に硬化糸球体を認める. B. IgA 腎症患者の尿中 Podocalyxin 値とヒト腎生検組織の糸球体急性管外性病変に正の相関を認める. 文献 24 より一部改変し引用.

サイトに発現する蛋白の検出も試みられている.今

の B7-1(CD80)に結合し,CD28 共刺激シグナルを

後,様々な尿中・血中のポドサイト障害マーカーの

阻害する事で T 細胞の活性化を抑制することが知ら

組み合わせにより,ヒト腎生検組織の予測・治療法

れており,慢性関節リウマチの治療薬として使用さ

の選択・治療効果判定まで可能になることが望まれる.

れるが,ループス腎炎にも有効との報告がある . 34)

以前,ループス腎炎患者の腎生検組織において,

5)ポドサイト障害に対する新規治療法

B7-1 が,ポドサイトに発現し,その発現が病勢と

リツキシマブ(Rituximab)は,B 細胞表面に発

関係するとの報告がされている .さらに,蛋白尿

現する分化抗原 CD20 に対するモノクローナル抗体

モデル動物においてポドサイトに B7-1 の発現上昇

であり,分子標的薬の一つである.リツキシマブは

が報告され,B7-1 によるスリット関連蛋白やアク

CD20 陽性の B 細胞を特異的に障害することから,

チン骨格の制御についても示されていた.最近,ポ

B 細胞の異常に起因する各種疾患に有効とされ,

ドサイトにおける B7-1 発現が上昇しているリツキ

本邦では CD20 陽性の B 細胞性非ホジキンリンパ

シマブ無効例の再発性巣状糸球体硬化症にアバタセ

腫(B 細胞性リンパ腫)やウェゲナー肉芽腫および

プトが有効との報告がされた .足突起は,integrin

顕微鏡的多発血管炎の適応承認を得ている.また,

と dystroglycan によって GBM の細胞外マトリック

ループス腎炎にリツキシマブが有効との報告があり,

スと接着していることがわかっているが,B7-1 は,

現在多施設での RCT が試みられている .最近,

β1 Integrin と結合することでその活性を抑制し,ポ

本邦において,微小変化型ネフローゼ症候群を呈す

ドサイトに悪影響を及ぼす

る小児難治性頻回再発型ネフローゼ症候群や小児ス

プトは,B7-1 を阻害し,β1 Integrin 活性を維持する

テロイド依存性ネフローゼ症候群にリツキシマブの

ことで巣状糸球体硬化症に対し効果を発揮したと予

有効性が示された .以前より,ネフローゼ症候群

想している .以上のように,免疫細胞に作用する

の原因として T 細胞由来の液性因子が重要と考え

と思われる治療法が,ポドサイトに直接作用するこ

られてきたが,リツキシマブの有効性は,B 細胞の

とが予測される例が散見され,これからも,既存の

関与を疑わせるものである .Fornoni らは,巣状

治療法で,ポドサイト障害阻害薬として有効なもの

糸球体硬化症の腎移植後の再発に関して,リツキシ

が見つかる可能性がある.

30)

31)

32)

35)

36)

.Yu らは,アバタセ

2, 36)

36)

マブがポドサイトの細胞膜の acid sphingomyelinase-

ADR 腎症マウスが,ネフローゼ症候群・糸球体

like phosphodiesterase acid-like 3b(SMPDL-3b)に結

硬化の良いモデルであることを前述したが,著者ら

合し,その結果,ポドサイトのアクチン骨格を安定

はこのモデルマウスを用い,新規 CKD 治療法の探

化し,ポドサイトアポトーシスを減少させる可能性

索を行っている.これまで,蛋白尿をともなう CKD

示し,B 細胞とは無関係の機序を報告している .

の治療薬としては,高血圧治療薬である angiotensin-

アバタセプト(abatacept)は,抗原提示細胞表面

converting enzyme inhibitor(ACE-I)や angiotensin

33)

日本臨床免疫学会会誌(Vol. 38 No. 1)

34

receptor blocker(ARB)などの RAS 阻害薬が推奨さ

する細胞同士の Notch レセプターと ligand が結合す

れ,ポドサイトへの直接作用も言われている.著者

ることが刺激となり,Notch レセプターが γ-secretase

らは,ポドサイトにビタミン D レセプターが発現

により切断され,切られた Notch レセプターの細

していることに着目し,活性化ビタミン D である

胞内ドメインが核へ移行し,ターゲット遺伝子の

22-oxa-calcitriol(OCT)を ADR 腎症マウスに投与

転 写 が 開 始 さ れ る. 哺 乳 動 物 は,4 種 類 の Notch

したところ,OCT 投与群において蛋白尿・硬化糸

レセプター(Nocth1, 2, 3, 4)を持つことが知られ

球体数は著明に減少し,ポドサイトアポトーシス数

ている

も減少した

.さらにその効果は,ARB である

Notch2 シグナルが発生に関与しているが,ポドサ

telmisartan と同時に投与すると蛋白尿・糸球体硬化

イトの分化には Notch2 シグナルが重要な役割を果

軽減作用は相殺されることなく効果が増すことを見

たすことが報告されている .Niranjan らは,糖尿

つけた(in printing).今後,ポドサイト障害に効果

病性腎症と巣状糸球体硬化症患者の腎生検組織を使

があるさまざまな薬剤を組み合わせた CKD に対す

用し,それらの疾患のポドサイトに Notch1 シグナ

る治療法を検討する必要があるかもしれない.

ルが活性化されていることを示し,Notch1 シグナ

37, 38)

Notch 経路は,種々な臓器において分化過程に関 与することが知られている

.この経路は,近接

39, 40)

.腎臓においては,Notch1 シグナルと

41−43)

44)

ル活性化が糸球体病変の蛋白尿とポドサイトアポ トーシスによる糸球体硬化に関与することを示し

図 10 Notch2 シグナル活性化とポドサイト障害 A. ADR 腎 症 誘 発 時 に,Notch1,2 シ グ ナ ル を 抑 制 す る Jagged1 antagonist 抗体を投与するとアルブミン尿は増加する. B. ADR 腎 症 誘 発 時 に,Notch2 シ グ ナ ル を 活 性 化 す る Notch2 agonist 抗体を投与するとアルブミン尿は減少傾向となる. C. ADR 腎 症 誘 発 後 に,Notch2 シ グ ナ ル を 活 性 化 す る Notch2 agonist 抗体を数回投与するとアルブミン尿は減少する. D. ADR 腎症マウスに,Jagged1 antagonist 抗体を投与すると硬化糸 球体数は,ADR 腎症群よりも著明に増加する.Notch2 agonist 抗体を投与すると硬化糸球体数は著明に抑制される. 文献 46 より一部改変し引用.

淺沼・ポドサイト障害と慢性腎臓病

た .さらに,Nocth シグナル活性化を抑制するこ 45)

とで,Notch1 シグナルがポドサイト障害に対する 新規治療ターゲットとなる可能性を示唆した.著者 らは,ADR 腎症マウスで Notch 活性化を確認した ところ,予想通り,ポドサイトにおける Notch1 と Notch2 の活性化が認められた46).そこで,Notch1 と Notch2 シグナルを阻害することができる Jagged1 antagonist 抗体を ADR 腎症マウスに投与したとこ ろ,予想に反し,蛋白尿・硬化糸球体数は増加した (図 10 A, D) .一方,Notch2 シグナルを活性化する Notch2 agonist 抗体を投与しところ,蛋白尿・硬化 糸球体数は著明に減少した(図 10 B, D).この効果 は,ADR でポドサイト障害を惹起した後に Notch2 agonist 抗体を投与しても認められた(図 10 C, D). Notch2 シグナル活性化によるポドサイト障害抑制 効果のメカニズムについては,Notch2 シグナル活 性化により Akt-Bad 経路が活性化され,ポドサイ トアポトーシスが抑制されたためであることが培 養ポドサイトを使用した検討で判明した .今後, 46)

Nocth2 シグナル活性化とポドサイト障害抑制メカ ニズムの解明が,新規ポドサイト障害治療薬へつな がることが期待される. おわりに ポドサイト培養系の樹立,スリット膜蛋白の発 見,ポドサイト特異的ノックアウトマウスの作製と, この 15 年間でポドサイト研究は急速に進歩して来 た.しかし,どのようにポドサイトの複雑な構造が 形成維持されているのか,スリット膜の局在やサイ ズバリアとしての機能がどのように維持されるのか, ポドサイト障害時の形態変化は何を意味するのかな ど,解明されなければいけない課題がまだ多く残っ ている.今後,ポドサイトの研究がさらに発展し, 副作用の少ないポドサイト障害に対する治療法が確 立され,CKD から末期腎不全に陥る患者数が減少 することが望まれる. 文   献 1) Mundel, P., Kriz, W.: Structure and function of podocytes: an update. Anat Embryol (Berl). 192: 385−397, 1995. 2) Asanuma, K., Mundel, P.: The role of podocytes in glomerular pathobiology. Clin Exp Nephrol. 7: 255−259, 2003.

35

3) Faul, C., et al.: Actin up: regulation of podocyte structure and function by components of the actin cytoskeleton. Trends Cell Biol. 17: 428−437, 2007. 4) Asanuma, K., et al.: The role of podocytes in proteinuria. Nephrology (Carlton). 12: S15−20, 2007. 5) Lehtonen, S., et al.: Cell junction-associated proteins IQGAP1, MAGI-2, CASK, spectrins, and alpha-actinin are components of the nephrin multi­ protein complex. Proc Natl Acad Sci U S A. 102: 9814−9819, 2005. 6) Ihara, K., et al.: MAGI-2 is critical for the formation and maintenance of the glomerular filtration barrier in mouse kidney. Am J Pathol. 184: 2699− 2708, 2014. 7) Asanuma, K., et al.: Dendrin location in podocytes is associated with disease progression in animal and human glomerulopathy. Am J Nephrol. 33: 537− 549, 2011. 8) Kriz, W., Lemley, K.V.: A Potential Role for Mechanical Forces in the Detachment of Podocytes and the Progression of CKD. J Am Soc Nephrol. 2014. 9) Kriz, W., et al.: Progression of glomerular diseases: is the podocyte the culprit? Kidney Int. 54: 687− 697, 1998. 10) Suzuki, T., et al.: Genetic podocyte lineage reveals progressive podocytopenia with parietal cell hyper­ plasia in a murine model of cellular/collapsing focal segmental glomerulosclerosis. Am J Pathol. 174: 1675−1682, 2009. 11) Matsusaka, T., et al.: Podocyte injury damages other podocytes. J Am Soc Nephrol. 22: 1275− 1285, 2011. 12) Asanuma, K., et al.: Nuclear relocation of the nephrin and CD2AP-binding protein dendrin promotes apoptosis of podocytes. Proc Natl Acad Sci U S A. 104: 10134−10139, 2007. 13) Shankland, S.J.: The podocyte’s response to injury: role in proteinuria and glomerulosclerosis. Kidney Int. 69: 2131−2147, 2006. 14) Shih, N.Y., et al.: CD2AP localizes to the slit diaphragm and binds to nephrin via a novel C-terminal domain. Am J Pathol. 159: 2303−2308, 2001. 15) Huber, T.B., et al.: Nephrin and CD2AP associate with phosphoinositide 3-OH kinase and stimulate AKT-dependent signaling. Mol Cell Biol. 23: 4917−4928, 2003. 16) Schiffer, M., et al.: A novel role for the adaptor molecule CD2-associated protein in transforming growth factor-beta-induced apoptosis. J Biol Chem. 279: 37004−37012, 2004.

36

日本臨床免疫学会会誌(Vol. 38 No. 1)

17) Yaddanapudi, S., et al.: CD2AP in mouse and human podocytes controls a proteolytic program that regulates cytoskeletal structure and cellular survival. J Clin Invest. 121: 3965−3980, 2011. 18) Campbell, K.N., et al.: Yes-associated protein (YAP) promotes cell survival by inhibiting proapoptotic dendrin signaling. J Biol Chem. 288: 17057−17062, 2013. 19) Kawata, A., et al.: CIN85 is localized at synapses and forms a complex with S-SCAM via dendrin. J Biochem. 139: 931−939, 2006. 20) Kodama, F., et al.: Translocation of dendrin to the podocyte nucleus in acute glomerular injury in patients with IgA nephropathy. Nephrol Dial Transplant. 28: 1762−1772, 2013. 21) Hara, M., et al.: Urinary podocytes in primary focal segmental glomerulosclerosis. Nephron. 89: 342−347, 2001. 22) Hara, M., et al.: Urinary excretion of podocytes reflects disease activity in children with glomerulonephritis. Am J Nephrol. 18: 35−41, 1998. 23) Jefferson, J.A., et al.: Podocyte biology for the bedside. Am J Kidney Dis. 58: 835−845, 2011. 24) Asao, R., et al.: Relationships between levels of urinary podocalyxin, number of urinary podocytes, and histologic injury in adult patients with IgA nephropathy. Clin J Am Soc Nephrol. 7: 1385− 1393, 2012. 25) Hara, M., et al.: Apical cell membranes are shed into urine from injured podocytes: a novel phenomenon of podocyte injury. J Am Soc Nephrol. 16: 408−416, 2005. 26) Nielsen, J.S., McNagny, K.M.: The role of podocalyxin in health and disease. J Am Soc Nephrol. 20: 1669−1676, 2009. 27) Hara, M., et al.: Podocyte membrane vesicles in urine originate from tip vesiculation of podocyte microvilli. Hum Pathol. 41: 1265−1275, 2010. 28) Kanno, K., et al.: Urinary sediment podocalyxin in children with glomerular diseases. Nephron Clin Pract. 95: c91−99, 2003. 29) Hara, M., et al.: Urinary podocalyxin is an early marker for podocyte injury in patients with diabetes: establishment of a highly sensitive ELISA to detect urinary podocalyxin. Diabetologia. 55: 2913−2919, 2012. 30) Bao, H., et al.: Successful treatment of class V+IV lupus nephritis with multitarget therapy. J Am Soc Nephrol. 19: 2001−2010, 2008. 31) Iijima, K., et al.: Rituximab for childhood-onset, complicated, frequently relapsing nephrotic syn-

32)

33)

34)

35)

36)

37)

38)

39)

40) 41)

42)

43)

44)

45)

46)

drome or steroid-dependent nephrotic syndrome: a multicentre, double-blind, randomised, placebocontrolled trial. Lancet. 384: 1273−1281, 2014. Shalhoub, R.J.: Pathogenesis of lipoid nephrosis: a disorder of T-cell function. Lancet. 2: 556−560, 1974. Fornoni, A., et al.: Rituximab targets podocytes in recurrent focal segmental glomerulosclerosis. Sci Transl Med. 3: 85ra46, 2011. Wofsy, D., et al.: Abatacept for lupus nephritis: alternative definitions of complete response support conflicting conclusions. Arthritis Rheum. 64: 3660−3665, 2012. Reiser, J., et al.: Induction of B7-1 in podocytes is associated with nephrotic syndrome. J Clin Invest. 113: 1390−1397, 2004. Yu, C.C., et al.: Abatacept in B7-1-positive proteinuric kidney disease. N Engl J Med. 369: 2416− 2423, 2013. Lydia, A., et al.: Effects of 22-oxa-calcitriol on podocyte injury in adriamycin-induced nephrosis. Am J Nephrol. 35: 58−68, 2012. Stumpf, W.E., et al.: Target cells for 1,25-dihydro­ xyvitamin D3 in intestinal tract, stomach, kidney, skin, pituitary, and parathyroid. Science. 206: 1188−1190, 1979. Artavanis-Tsakonas, S., et al.: Notch signaling: cell fate control and signal integration in development. Science. 284: 770−776, 1999. Schweisguth, F.: Regulation of notch signaling activity. Curr Biol. 14: R129−138, 2004. Chen, L., Al-Awqati, Q.: Segmental expression of Notch and Hairy genes in nephrogenesis. Am J Physiol Renal Physiol. 288: F939−952, 2005. McCright, B., et al.: Defects in development of the kidney, heart and eye vasculature in mice homozygous for a hypomorphic Notch2 mutation. Development. 128: 491−502, 2001. McLaughlin, K.A., et al.: Notch regulates cell fate in the developing pronephros. Dev Biol. 227: 567− 580, 2000. Cheng, H.T., et al.: Notch2, but not Notch1, is required for proximal fate acquisition in the mammalian nephron. Development. 134: 801−811, 2007. Niranjan, T., et al.: The Notch pathway in podocytes plays a role in the development of glomerular disease. Nat Med. 14: 290−298, 2008. Tanaka, E., et al.: Notch2 activation ameliorates nephrosis. Nat Commun. 5: 3296, 2014.

[The role of podocyte injury in chronic kidney disease].

It has recently become clear that initial glomerular injury affects glomerular visceral epithelial cells (also called as podocytes) as important targe...
3MB Sizes 14 Downloads 9 Views