〔939〕

ラッ トの 自発走運動 モデルの基礎的検討 お よび 健康 指標 に及 ぼす慢性影響 鈴

木

克

彦,町

田

和

彦,刈

屋

美枝 子

早稲 田大学人間科学部衛生学公衆衛生学教室

Conditions

for Low-intensity

Voluntary

its Chronic

Katsuhiko Department

Suzuki,

Effects

on Health

Kazuhiko

of Hygiene and Public Health,

Wheel

Running

in Rats

and

Indexes

Machida

and Mieko

Kariya

School of Human Sciences, Waseda University, Saitama

Studies were undertaken to evaluate the fundamental model in rats and its chronic effects on health indexes.

conditions

for a low-intensity

voluntary

wheel running

Male Fischer rats (SPF) 5 weeks of age were housed in individual sedentary conditions or in individual wheel-cage units which allowed free access to voluntary wheel running for 8 months. Voluntary running averaged 640±198m/day,reached 6th

month

(about

a peak 400∼500m).

(965m)

gains (-9%), suggesting a remarkable also recognized. In addition, preventive and pulmonary alveolar macrophages Although a voluntary

the amount wheel running

at

Exercising

the

rats

2nd

month

consumed

and more

waned

food

time, but

reaching

exhibited

a plateau decreased

after body

the

weight

lowering of fat. A lowering effect on resting blood pressure (-5%) was effects on oxygen toxicity and effective bactericidal activity of neutrophils (PAM) were suggested.

of exercise in this study was the smallest model,

over

(+23%),

many potential

health benefits

of the other precedeing were recognized.

ones conducted

with

Such health promoting

and

protecive effects by low-intensity voluntary exercise and the harmfulness of forced exrcise in rats have been reported in researches on cancer, lowering fat and hypertension. Therefore it is important to set up conditions for low-intensity voluntary running. It was also demonstrated by this study that strictly controlled environmental conditions,

such as room temperature

psychological stress to rats, establish this model.

Key words:

and humidity,

a 12-hr light-dark

as well as using male rats,

Voluntary

exercise,

Lowering

Host defense mechanisms,

fat,

cycle and prevention

which are more inactive,

Resting

blood

pressure,

of infection

were important

Free

and

factors

to

radicals,

Rats

自発 運 動,肥 満,安 静 時血 圧,活 性酸 素,生 体 防御 機 構,ラ

緒言 近 年,疾 病 の 予 防や 治 療,あ る いは 積 極 的 な健 康 の 保

ット

康 は 自分 で管 理 し生 活 の質 を向上 させ る とい う意 味で も, 今 後 ます ます そ の 必要 性 が 増 す もの と思 わ れ る。 しか し個 人 レベ ル で運 動 習慣 の必 要 性 が理 解 され,家

持 ・増 進 の た め に,適 度 な 運 動習 慣 の 必 要 性 が説 か れ て

庭 や地 域 社会 に おい て体 力づ く りが実 践 され るた め には,

い る1∼3)。特 に 中 高 年者 の体 力 づ く りは,急 速 な高 齢 社

運 動 の効 果 が科 学 的 に証 明 され,そ の 内 容 が説 得 力 の あ

会 の 到 来 を 目前 に控 え た今 日,老 化 に伴 う慢 性疾 患 の 増

る もの で な けれ ば な らない 。 従 来 よ り運 動 習慣 は,糖 尿

大 を 食 い止 め るた め の打 開 策 とい う意 味 で も,自 分 の 健

病4),肥 満5),高 血圧6),虚 血 性 心疾 患7),高 脂 血 症8)等

〔940〕

日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻

第5号1992年12月

の現 代 病 と称 せ られ る慢性 疾 患 の 予 防や 治 療 に 有効 に働

水 車 式 回 転 籠(幅10cm)を

くこ とが報 告 され て きた。 しか し ヒ トを対 象 と した研 究

32cm)に

では,適 切 な対 照 群 の設 定 や 一 定 条件 の 運 動 の 長期 継 続

KN-78R)で,非

が難 しい 上 に個 人 差 も大 きい な ど,微 妙 な生 体影 響 の把

×25cm,夏

握 を難 し く して い る とい う面 が あ る。 そ こで 本研 究 で は,こ れ らの 生 活条 件 や 遺 伝 的条 件 を

固 定 ケ ー ジ 部(高 さ14×12×

付 設 した 回 転 式 運 動 量 測 定 装 置(夏 目製 作 所 運 動群 は ラ ッ ト代 謝 ケ ー ジ(高 さ20×20 目製作 所KN-646B)で,そ

れ ぞれ1匹 飼 いで

8ヵ 月 間 飼 育 した。 飼 育環 境 は,外 部 の騒 音 を 遮断 し感 染 を制 御 した セ ミバ リア 室 内で,全 期 間 にわ た って温 室

規 定 で き,健 康 づ く りの ため に 奨 励 され て い る速 歩 運 動

25±2℃,湿

度55±10%,さ

ら に9時 か ら21時 まで の12

に よ り近 い運 動 条件 と考 え られ る ラ ッ トの 自発走 運動 で,

時間 照 明に よる 明暗 周 期 を設 定 した 。一 方 飼 育 作 業 に伴

そ の 健 康指 標 に及 ぼ す影 響 を 多 方面 か ら検 討 す る こ とに

う音 な どが ラ ッ トに心 理 的 な不 安 を 与 え,そ の 結果 自発

した 。 近年 ラ ッ トの 自発 走 運 動 モ デ ル に よ って,延 命 効

的 で ない 極 端 に多 い運 動量 が もた ら され る と報 告 され て

果9∼11),肥 満 抑 制 効 果12,13),発 癌 予 防 効 果14∼16),高

い る16)の で,セ

血 圧 予 防効 果17∼22),免 疫 能 の 強 化23)等 が報 告 され て お

験 専 用 と し,飼 育 作 業 以 外 の立 ち入 りを制 限 した 。餌 は

ミバ リア 室 は 飼 育 全 期 間 に わ た り本 実

り,今 後運 動 習 慣 の 生体 影 響 を 解 明 して い く上 で,さ ら

高圧 蒸 気滅 菌 した 固 形 飼 料(日 本 ク レアCE-2)を,水

に詳 細 な検 討 が 期 待 で き る もの と思わ れ る。

蒸 留 水 を 両 者 と も に 「自由摂 取 」 で 与 え た。 この理 由は

しか しそ の実 験 条 件 は研 究 施 設 に よ って まち ま ちで あ り,ま た 今 後 健 康 づ く りの た め の 適 切 な 運 動 の あ り方

は

まず 第 一 に,で き る限 り肥 満 の影 響 の少 ない 状態 で真 の 運 動 習 慣 の影 響 を把 握 した い と考 えた た め,Fischer系

(強度,頻 度,期 間,種 類 等)を 検 討 して い か な けれ ば な

ラ ッ トを 用 い れば,前 述 した特 性 に よ り自 由摂 取 で長 期

ら ない とい う要 請 か らも,今 一 度,実 験 条 件 に 関す る十

飼 育 して も妨 害 要 因 を か な り防 げ るば か りか,運 動 に よ

分 な検 討 を行 い,先 行研 究 で 蓄 積 され た知 見 と整 合 させ

る カ ロ リー 消 費 に対 して も摂 食 行 動 で体 重 を 自己制 御 す

つつ,実 験 モ デル と して の問 題 点 お よ びそ の 是 非 を検 討

る可 能 性 が 考 え られ た か らで あ る。 第二 に ラ ッ トに は食

す る こ とが重 要 だ と考 え られ る。 特 に健 康 づ く りに あ る 程 度肯定 的 な知 見が 報告 され つ つあ る今 日,よ り 「軽度 」

餌 を制 限 す る と運 動 量 を著 し く増 加 させ る 性 質 が あ り 10,27) ,そ の 分 消 耗 が 激 し くな る と考 え られ た か らで あ

な運 動 の長 期 継 続 を 可能 にす るた め の実 験 条 件 を設 定 す

る。

る こ とが 必要 に な る と思 われ る。 そ こで 今 回 は,中 高年

2.運

者 の 適 度 な運 動 習 慣 に よる成 人 病 の予 防 と防 衛体 力 の強

動 量,体 重,代 謝 活動 の記 録

飼 育 期 間 中,運 動 量 測 定装 置 の 回 転数 を運 動 群 の 自発

化 を念 頭 に置 き,ラ ッ トを8ヵ 月 間飼 育 ・観 察 して基 礎

運 動 量 と して 日祝 日を除 き毎 日記 録 し,ま た 体 重 は2週

的 な検 討 を行 うと 同時 に,9ヵ

間 に1度 測 定 した。 代 謝 活動 につ い て は摂 食 量,摂 水量

月 齢 の 成 熟 ラ ッ ト(ヒ ト

で は 中 年 初 期 に相 当)で 健 康 指 標 に 及 ぼ す 慢 性 影 響 を検

を1ヵ 月 に1度,糞

討 す る こ とに した 。

代謝 ケ ー ジ内 の安 静 状 態 下 で2日 間 測定 した 。

方 1.実

法

験 動物 お よび 飼 育条 件

4週 齢 のFischer系SPF雄 バ ー社)を,1週

ラ ッ ト(日本 チ ャー ル ズ ・リ

間 予 備 飼 育 した 後,運 動 群 と非 運 動 群

3.安

量,尿 量 を4ヵ 月 に1度,両

群 とも

静 時 収縮 期 血 圧 値 の 測 定

血 圧 の 測 定 は,飼 育 期 間終 了1週 間前 に非 観 血式 ラ ッ ト用 血 圧 計(ト ー イ デ ン)を用 い,尾 動脈 の収 縮 期血 圧 を 測 定 した 。 この血 圧 計 は感 度 が よ く,測 定 前 に ラ ッ トを 加 熱 箱 の 中 で加 温 しな くて も測 定 で きる ため,ス

トレス

(対照群)に12匹 ず つ体 重 を揃 え て分 け た。Fischer系 ラ ッ

の影 響 を 排 除 で き る。 測定 は 明時(非 活 動 時)の 安静 無 麻

トを用 い た理 由は,こ の ラ ッ トに は カ ロ リーの過 剰 摂 取

酔 下 でTail cuffを 装 着 し,各 群 交 互 で 全 匹数 の 測 定 を

を摂 食 ・摂 水 行 動 で 自己抑 制 し,肥 満 に な りに く く,成

通 しで5回 繰 り返 し,得 られ た 値 を 平均 して 測定 値 と し

熟 期 以 降 の体 重 を一 定 に 保 つ とい う特 性 が あ る24∼26)た

た。

め,個 体 間 の体 重 差 が で に く く,長 期 飼 育 を 伴 う実 験 に

4.麻

適 して い るか らで あ る。雄 を実験 に用 い た 理 由 は,性 周

酔 お よび 尾 静 脈 血 を用 いた 検査

8ヵ 月 間 の 飼 育 終 了 後,測

定 に 際 して一 晩 絶食 させ た

期 の 影 響 を 回避 で き るば か りで な く,雄 は 雌 に 比べ 運 動

ラ ッ トに ペ ン トバ ル ビ タ ー ル を 腹 腔 内 注 射 で 投 与 し た 後,

量 が 少 な く9,13),よ り軽 度 な運 動 の 慢 性 影響 を検 討 す る

尾 静 脈 よ り採 血 した 。 赤 血 球 数,白

の に適 して い る と考 え られ た か らで あ る。 運 動群 は,運

ル 法,ヘ

動 した い とき に 自由 に移 動 して 走運 動 で き る1周1mの

法,ヘ

モ グ ロ ビ ン 量(Hb)は マ ト ク リ ッ ト値(Ht)は

血 球数 は メ ラン ジュ ー

シ ア ン メ トヘ モ グ ロ ビ ン 毛 細 管 法,白

血球構成 比

鈴木 ・町 田 ・刈 屋:ラ

ッ トの 自発 走 運 動 モ デル の 基 礎 的検 討 お よび健 康 指 標 に 及 ぼす 慢 性 影響

の 算 定 は メ イ ・ギ ム ザ 染 色 法 で 行 っ た 。 血 中pH,酸 分 圧(PO2)はCorning

178pH/blood

酸(LAC)はLactate

analyzer

instrument)で

gas

model

素

analyzerで,乳

23 (Yellow

実 施 し た 。NBT還

元 試 験 を 松 田 の 毛 細 管 法28)で

元 試 験 は,可

肝 臓,腎 臓 を摘 出 した 。臓 器 重 量 を測 定 後,各 臓 器0.4 gを 分 解 用 試験 管 に入 れ,硝 酸-過 塩 素酸 分 解 法 に て湿

springs

測 定 した。 さ らに好 中球 の活 性 酸 素 産 生

能 の 指 標 と し て,NBT還

〔941〕

溶 性 の 還 元 剤 で あ るNBT

式 灰 化 した30)。臓 器 の 元 素 濃 度 は,単 一 プ ラ ズマ 条 件 で高感度 に多元素同時分析 が可能な プラズマ発光分析 (ICPS-2000,島

津製 作 所)で20元 素 同 時 に測 定 した26,30)。

本研 究 で は 生体 内部 環 境 の維 持 ・調 節 に不 可 欠 な微 量 元

が 食 細 胞 の 生 成 す る ス ー パ ー オ キ サ イ ドに よ っ て 容 易 に

素 に着 目 して実 験 を 行 った の で,特 にCu,Mn,Se,Zn

酸 化 さ れ,有

に つい て 得 られ た結 果 を報 告 す る。

色 の 凝 固 物(フ

ォ ル マ ザ ン)を 形 成 す る 酸 化

8.実

還 元 反 応 を 原 理 と し て い る29)。 無 刺 激(Spontaneous)試 験 と 刺 激(stimulated)試

験 が あ り,後

者 に は食 細 胞 の 活

験 結 果 の統 計 処 理

測 定 結 果 は 平 均 値 ± 標 準 偏 差 で 表 し,有

性 酸 素 生成 を促 す た め の刺 激 物 質 を添 加 す る。 本実 験 で

はStudent's

は 殺 菌 能 を 検 討 す る た め,黄

色 ブ ドウ球 菌(St.aureus)209P

の 相 関 係 数 を 用 い,そ

(カ タ ラ ー ゼ 陽 性,H2O2非

産 生 株 で よ り強 く活 性 酸 素 の

た。

生 成 を 促 す)を 用 い,細

t-testを

意 差 の検 定 に

行 っ た 。 ま た 相 関 分 析 に はPearson の有 意 性 に は 無相 関 の 検 定 を行 っ

菌 貧 食 能 と活 性 酸 素 産 生 能 を 塗

結

抹 標 本 上 で 同 時 に 分 析 す る こ と に し た 。 しか も オ プ ソ ニ ン 効 果 も測 定 結 果 に 反 映 で き る 全 血 を 用 い,採

血直後に

飼 育 期 間 中,ラ

果

ッ トに下 痢 や 風邪 等 の 感 染症 状 は み ら

体 内 で の 機 能 発 現 に よ り近 い 活

れ なか った が,途 中運 動 群 の うち1匹 が,ネ ジ が緩 ん で

性 を 測 定 で き る の が 本 試 験 の 特 長 で あ る 。 作 製 した 標 本

は ず れ か け た回 転 籠 と固定 ケ ー ジ部 の間 に 前足 をは さん

で 好 中 球 を 原 則 と して1匹

で 負 傷 したた め 実験 よ り除 外 した。

反 応 を 開 始 す る た め,生

に つ き100個

以 上 観 察 し,細

菌 を 貧 食 した 細 胞 の 構 成 比 を 貧 食 率(%),フ 陽 性 細 胞 の 構 成 比 をNBT還

5.血

元 率(%)と

ォル マザ ン

運 動群 の運 動 量 は,2ヵ

清 を 分 離 した。 血 清 は測 定 日まで 一

40℃ で 保 存 した 。 血 清 生 化 学 検 査 は ヤ トロ ン 製 の 測 定 キ ッ

CL-7100(島

津 製 作 所)で,総

ン(ALB),ト

analyzer

タ ン パ ク(TP),ア

糖(GLU),総

6.肺

クに達 し(965±385m),成

長 期 に おけ る活 発性 が示 され

た が,運 動 量 を増 加 させ た ラ ッ トは全 体 の55%で 標 準 偏

ル カリ

レ ア チ ニ ン(CRE),尿

酸

コ レ ス テ ロ ー ル(T.CHO),高

比 性脂 肪

測 定 した 。

胞 マ ク ロ フ ァー ジ(PAM)の

脱 血 死 後,直

ち に 開 胸 し,気

た 。 滅 菌 シ リ ン ジ で12mlの

重 に 吸 引 す る 操 作 を3回

採 取 と機 能 検 査

管 に カ ニ ュ ー レを 装 着 し

濾 過 滅 菌 済 みwarm

カ ニ ュ ー レ よ り注 入 し,肺

℃,1,000rpmで10分 ス 液 で1×107cells/mlに 用 い て,直

PBSを

を よ くマ ッ サ ー ジ して か ら慎

繰 り返 し,そ

の肺 胞 洗 浄液 を氷

冷 した 遠 沈 管 に 回 収 し た 。 こ の 行 程 を3回

7.臓

減 少傾 向 を示 した 。2ヵ 月 目に は一 日平 均運 動 量 が ピー

ルブ ミ

重 リ ポ タ ン パ ク コ レ ス テ ロ ー ル(HDL.CHO),中 (TG)を

月 目 と4ヵ 月 目を 除 き経 時 的 に

酸 脱 水 素 酵 素(LDH),

ク レ ア チ ン キ ナ ー ゼ(CK),ク (UA),血

chemistry

ラ ン ス ア ミナ ー ゼ(GOT,GPT),ア

性 フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ(ALP),乳

は運 動 群 の運 動 量 の経 時 的 変動 を示 し,Fig.

2に は運 動 群 全 体 と して の 平 均運 動 量 の 推 移 を示 した 。

股 動 脈 よ り全 採 血 し て 室 温 放 置 後,4℃,3,000rpm

ト(イ ヤ トロ フ ァ イ ン)を 用 い,Clinical

動量 と代 謝 活 動 お よび 成 長

Fig.1に

した 。

清 採 取 お よび 血 清 生 化 学検 査

で10分 間 遠 心 し,血

1.運

間 遠 心 後,そ

繰 り返 し,4

の ペ レ ッ トを ハ ン ク

調 整 した 。 こ のPAM浮

ち に 前 述 のNBT還

遊液 を

元 試 験 を 実 施 した 。

器灌 流 と臓 器重 量,微 量 元素 濃 度 の 測 定

脱 血 死後,生 理食 塩 水 で 臓 器 を十 分 に灌 流 し,心 臓,

Fig.

1 Individual daily running exercising rats

distance

of

日衛 誌(Jpn.J.Hyg.)第47巻

〔942〕

Fig.2

Daily in sedentary

running (○)

distance and

第5号1992年12月

of exercising

exercise

(●)

差 も大 き く,飼 育 初 期 に おけ る活 動量 の不 安 定 性 が示 さ れ た。4ヵ 月 目には91%の

ラ ッ トに運 動 量 の 増 加 がみ ら

rats

groups

(■)

during

and the

body

weight

experimental

gains period

こと が認 め られ た。 Fig.2に

は さ ら に体 重 の 変 化 に よ る成 長 曲 線 を 示 し

れ たが,そ の理 由は 小型 空 気 清 浄 器 を飼 育 室 内 に導 入 し

た が,運 動 習慣 に よ る体 重 の抑 制 効 果 は顕 著 で あ り,運

た結 果,微 風 と小 さな モ ー タ ー音 で飼 育 環 境 が 微妙 に変

動 群 と非 運 動群 の間 に一 貫 して 有 意 差 が認 め られ た。 ま

化 した た め と考 え られ た 。6ヵ 月 目以 降 はFig.2の

た成 長 曲 線 に増 減 の 変 動 が み られ ず,規 則 的 な 増加 傾 向

よ

うに運 動 群全 体 と して の平 均 運 動 量 が安 定 化 し400∼500

がみ られ た こと か ら,飼 育期 間 中 の ラ ッ トの 健 康状 態 は

mで 推 移 した の み な らず,Fig.1の

良好 に保 た れ,両 群 と も順調 に成 長 した もの と推察 され

よ うに活 発 な ラ ッ

トは常 に 多 い運 動 量 を保 持 す る一 方 で,非 活 動 的 な ラ ッ

た。 特 に体 重 がほ ぼ安 定 し成 熟 期 に入 る6ヵ 月齢 以 降は,

トは常 に 低 い運 動 量 で推 移 し,個 体 毎 の運 動 量 も一 定 に

運 動 量 も非 常 に安 定 して きて お り(Fig.2),自

固定 ・習 慣 化 す る現 象 が認 め られ た 。 この こ とはTable

動 の慢 性 影 響 を検 討 す る上 で,適 切 な運 動 条 件 が設 定 さ

1に 示 した よ うに,最 後 の1ヵ 月 間 の個 体 毎 の1日 平 均

れ た もの と考 え られ た 。

運 動 量 が そ れ以 前 の 各 月 の1日 平均 運 動 量 と どの 月 も強

Fig.3に

は8ヵ 月 時 の摂 食 量,摂 水 量,糞

発走運

量,尿 量

い正 の 相 関 を示 し,ま た飼 育 全 期 間 に おけ る運 動量 で も

の1日 平 均 値 を示 した が,運 動 群 の 方 が その い ず れ に も

各 月の 運 動量 と強 い 正 の相 関 が 認 め られた こ とか ら も確

有 意 な高 値 を 示 し,代 謝 活 動 が活 発 で あ る こ とが示 され

認 で き,ラ ッ トの 個 体 毎 に一 定 の 活 動水 準 が 維 持 され る

た。 この傾 向は飼 育全期 間 にわ た って共通 して認 め られ た。

Table 1 Daily running distance of exercising rats in each month of an 8-month breeding period and their correlation coefficients compared with those in the last 1-month period and in the entire breeding period

鈴 木 ・町 田 ・刈屋:ラ

ッ トの 自発走 運 動 モ デ ル の基 礎 的 検討 お よび 健康 指 標 に及 ぼ す慢 性 影 響

Fig. 3 Metabolic behavior in sedentary and exercise groups cages in the last month of the experimental period

Table 2 Systolic blood pressure, organ weights and concentrations in organs of sedentary and exercise groups

2.安

静 時収 縮 期 血 圧 値

Table

2に 示 し た よ う に 安 静 時 の 収 縮 期 血 圧 は,非

動 群123.7±3.8mmHgに で,運

運

対 し運 動 群117.0±4.5mmHg

動 群 に 有 意 な 低 値 が 認 め ら れ た(p