日 内 分 泌 会 誌,(Folia

1121

Endocrinol.)68.1121∼1129.1992

バ セ ドウ病 患 者 に お け るmethimazole治

療 に よる

血 中 顆 粒 球 刺 激 因 子(G-CSF)の

動態

昭 和 大 学 医 学 部 第3内 科1),伊 藤 病 院2) 原

秀

雄1),伴

吉

良

村

雄1),佐

弘2),久

岡

藤

俊

龍

次1),石

川

藤

彦2)

彦2),伊

國

直

文2)

Change in Serum G-CSF Levels in Patients with Graves' Disease by Treatment with Methimazole Hideo HARA , Yoshio BAN, Ryuji SATO, Naohumi ISHIKAWA*, Hiroshi YOSHIMURA*, Toshihiko HISAOKA* and Kunihiko ITO* TheThirdDepartment ofInternalMedicine, ShowaUniversity SchoolofMedicine , Tokyo, Japan ItoHospital* We evaluated

the determination

due to methimazole treated

(MMI)

with MMI,

hormones, assay,

IgE,

serum

done

by

in 54 patients

by way of measuring and

interleukin-2.

G-CSF

detectable

assay.

disease,

patients

with Graves'

and

for 4 weeks,

and those levels

significantly with those

through (neutrophil

complicated

disease,

agranulocytosis. counts)

than the minimum

with

of serum

subjects,

Graves'

measured thyroid

Interleukin-2

was

G-CSF

patients

with

difference

under

granulocytopenia

with

We recognized

untreated with

a significant

levels in the patients

第68巻

第10号

enzyme-linked

than the minimum

3 (23%) in

correlation

change

However,

before

of serum

there

compared

patients disease

with who

between

G-CSF

in

were

of WBC in patients

by MMI,

disease, Graves'

change

WBC counts

no significant

whose

with untreated

and 2 (33%) in patients

low counts

Graves'

euthyroid

level.

by

disease,

between

induced

being thyroid

and IgE were

was no significant

treatment.

and significantly

and patients

and G-CSF detectable

G-CSF

done

Graves'

There

were

by immunoradiometric hormones

agranulocytosis,

We observed

disease

they

4 (22%) in patients

euthyroid

was a significant

Graves'

while

levels were higher

subjects,

treated

of granulocytopenia

levels of G-CSF,

was

at 8 weeks after treatment.

disease

in normal

euthyroid

TSH

whose

with

disease,

and serum

with granulocytopenia.

but there

in patients

high levels

Graves'

Graves'

disease who had gone through

WBC counts

in the diagnosis

immunoassay,

was 6 (30%) in normal

disease complicated

G-CSF

serum

2 (12%) in patients

with Graves'

treatment

with

Serum

The population

level (30pg/ml)

Graves'

G-CSF

WBC counts

was done by enzyme

radioimmunoassay,

immunosorbent

of serum

levels

with treated

had gone

WBC counts were

higher

バセ ドウ病 患 者 に おけ るG-CSFの

1122

We

concluded

marrow

and

feedback

mechanism

Key words

serum

: G-CSF,

that

methimazole

G-CSF

levels

between

G-CSF

granulocyte,

might within

influence

4 weeks

levels

Graves'

the

production

during

and WBC

treatment

of WBC , and

じ

め

that

bone

there

was

a

counts.

に

バ セ ド ウ病 患 者 に お い て は,Methimazole(MMI)治

療 で 顆 粒 球 減 少 が0.2∼0.3%の

頻度 で 生 じ

の 予 知 は き わ め て 困 難 で あ り,臨 床 症 状 な らび に血 球 計 数 ・生 化 学 的

検 査 に よ り経 過 を 観 察 す る こ と で 対 処 して い るの が 現 状 で あ る。 近 年,エ よ び 臨 床 応 用 が な さ れ る よ う に な り,さ

ら に,顆

床 応 用 さ れ る に 至 っ て い る 。 こ の た び,バ MI治

in the

disease

は

る こ と が 知 られ て い るが,そ

動態(原,他6名)

リス ロ ポ エ チ ンの 測 定 お

粒 球 刺 激 因 子(G-CSF)の

研 究 も進 め られ,臨

セ ドウ 病 患 者 に お い て 血 中G-CSF濃

度 を 測 定 し,M

療 に よ る そ の 動 態 を 検 討 した 。 対 象 お よび 方 法

1.対

象:健

常 者20例(平

齢36.8±10.4歳,男

均 年 齢46.9±8.3歳,男

女 比2:7),MMI治

44.2±16.2歳,男

女 比2:15,平

28.3±3.9mg/日

でMMI以

月),既

下 に な った 場 合)を

均 年 齢39.3±14.7歳,男

治 療 バ セ ド ウ病 患 者18例(平

療 中 で 甲 状 腺 機 能 正 常 の バ セ ドウ病 患 者17例(平

均 治 療 期 間15.3±10.1ヵ

(末梢 血 液 中 好 中 球 が1.500/mm3以 13例(平

女 比7:3),未

女 比2:11,平

往 にMMI治

示 した 甲状 腺 機 能 正 常 の バ セ ドウ病 患 者

均MMI治

療 期 間3.1±1.2週,平

均 年 齢47.8±17.9歳,女

均 年齢

療 にて顆 粒 球 減 少

均MMI治

外 の 治 療 を 受 け て い る症 例),MMI(30mg/日)に

合 併 した バ セ ドウ病 患 者6例(平

均年

性)計74例

療 量

て顆粒 球 減 少症 を を対 象 と した 。 末 梢 血 液 中 の

顆 粒 球 数 の 平 均 は そ れ ぞ れ,3057.7±1185.6,3454.5±1196.7,2717.9±815.0,2366.0±1886.5, 418.7±288.3/mm3で 2.方

法:未

あ った。

治 療 バ セ ド ウ病 患 者 に お い て は,治

thyroxine(FT4),free ロ イ キ ン ー2(IL-2),白

triiodothyronine(FT3),甲

療 前,治

療 開 始 後2,4,お

よ び8週 に 血 中free

状 腺 刺 激 ホ ル モ ン(TSH),lgE,G-CSF,イ

血 球 数 を測 定 し,治 療 後4週 の 時 点 で は ,リ

ン ター

ン パ 球 刺 激 試 験(LST)を

行 っ

た。 治 療 中 バ セ ドウ病 患 者 と既 往 に顆 粒 球 減 少 症 の あ る 患 者 に お い て は,甲 る時 点 で,FT3,FT4,TSH,G-CSF,lgE,白 も経 過 を追 っ て,TSH,FT4,FT3,G-CSF,白 3.測

定 法:FT3,FT4はAmerlex-Mキ

RIA-gnost

TSHキ

assayで

ある

行 った。

サ ギ 血 清 コー テ ィ ン グ チ ュー ブ に標 準 溶 液 ま た は 血 清 を0.2ccそ

Tris-HClを0.5ml加

Fウ サ ギFab'を

血 球 数 を測 定 した 。 ッ トで,TSHはimmunoradiometricn

ッ トで,白 血 球 は 電 気 抵 抗 検 出 方 式 で,lgEはradioimmunoassayで

G-CSFは,抗G-CSFウ 0.05Mol

状 腺 機 能 の 正 常 化 して い

血 球 数 を 測 定 した 。 顆 粒 球 減 少 症 合 併 患 者 に お い て

え2時 間 室 温 で イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン,HRPで

加 え2時 間 室 温 で イ ン キ ュ ベ ー シ ョン した 後,20mMolのTris-HClと

浄 を3回 行 い1時 間 暗 室 で イ ンキ ュ ベ ー シ ョ ン し,4Nの 吸 光 度 を 測 定 す る と い うenzyme

immunoassay(最 第68巻

硫 酸1mlで

第10号

緩衝 液 で洗

反 応 を 停 止 させ た 後492nmで

低 検 出 濃 度30pg/ml)を

して

ラベ ル した 抗G-CS

用 いた。

の

日

IL-2は,抗

ヒ トIL-2モ

血 清 と抗 ヒ トIL-2家 標 識 抗 家 兎lgG山 応 を1N硫

分

泌

学

会

雑

1123

誌

ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 固 相 化 プ レー トを 用 い,緩

衝 液 さ らに 標 準 液 ま た は

兎 血 清 を イ ンキ ュベ ー シ ョ ン,洗 浄 を行 い 第2抗 体 で あ る パ ー オ キ シ ダ ー ゼ

酸 で 停 止 さ せ492nmで

LSTは,患

内

羊 抗 体 を 加 え イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン し,酵 素 反 応 基 質 液(0.015%H2O2)添

レー ト固 相 法,大

FCS添

本

塚 製 薬)で

者 血 液5ccの

加RPMI

の 吸 光 度 を測 定 す るenzyme-linked

immunosorbent

加後反 assay(プ

行 った。 リ ン パ球 を 分 離 ・算 定,リ

1640培 地 に て 調 整 し た 後,マ

液 と し50,250,1250,6250,31250,156250倍 炭 酸 ガ ス 培 養 器 に て37℃,64時

ン パ 球 濃 度 が5×105個/mlと

な る よ うに10%

イ ク ロ プ レ ー トに てMMI(MMI1錠5mgを

に 希 釈)20μlを

間 培 養 の うえ3Hサ

飽和 溶

添 加 し リ ンパ 球 浮 遊 液200μl分

イ ミ ジ ンを0.25μCi添

注 し

加 して 炭 酸 ガ ス培 養 器 で8

時 間 培 養 し,セ ル ハ ー ベ ス トで 細 胞 を 回収 し液 体 シ ン チ レー シ ョ ン カ ウ ン タ ー で 放 射 活 性 を測 定, Stimulation

Index(MMI添

%以 下 を 陰 性,200%以 4.統

計 処 理:結

は30pg/mlと

加 検 体c.p.m/無

添 加 検 体c.p.m.)を

算 定 し判 定 した 。 そ の 際,179

上 を 陽 性 と した 。

果 は,血

中G-CSF濃

度 に お い て は 測 定 感 度 で あ る30pg/ml以

して 処 理 し,平 均 ±SDで

示 し,統 計 学 的 検 定 に は,Wilcoxon

下 を 示 した も の

testま た はStudent's

ttestを 用 い た 。

Fig.

1

Serum patients through

G-CSF

levels in patients

with euthyroid granulocytopenia,

complicated

with

Graves' and

with untreated disease, patients

granulocytopenia.

第68巻

第10号

Graves'

disease,

patients having gone with Graves' disease

バセ ドウ病 患 者 に おけ るG-CSFの

1124

結 1.未

果

治 療 お よ び 治 療 中 の バ セ ドウ 病 患 者 の 血 中G-CSF濃

健 常 者,未

治 療 バ セ ドウ病 患 者,同

症 合 併 患 者 の 血 中G-CSF濃 を 示 した の は,健 常 者,未

治 療 中 患 者,既

度 をFig-1に

ml),2例(12%,最

中G-CSF濃

123.1,58.4±75.7,682.3±1062.6pg/mlで

上

粒 球 減 少 症 の 既 往 の あ る患 者,

高 濃 度93pg/ml),4例(22%,最

高 濃 度430pg/

高 濃 度305pg/ml)

度 の 平 均 で は,そ

粒 球 減少

度 が 測 定 感 度 の30pg/ml以

治 療 中 患 者,顆

高 濃 度432pg/ml),3例(23%,最

度2506pg/ml)で,血

2.未

度

往 に 顆 粒 球 減 少 症 の あ る 同 患 者,顆

示 した 。 血 中G-CSF濃

治 療 バ セ ドウ病 患 者,同

顆 粒 球 減 少 症 合 併 患 者 そ れ ぞ れ,6例(30%,最

0.05)に

動態(原,他6名)

,2例(33%,最

高濃

れ ぞ れ38.2±17.2,75.1±118.4,80.8±

あ り顆 粒 球 減 少 症 合 併 患 者 は 健 常 者 に 比 べ 有 意(p