YAKUGAKU ZASSHI 135(3) 405―414 (2015)  2015 The Pharmaceutical Society of Japan

405

―Symposium Review―

人工酵素によるゲノム編集工学とその応用,可能性 野村 渉

Application and Potential of Genome Engineering by Artiˆcial Enzymes Wataru Nomura Institute of Biomaterials and Bioengineering, Tokyo Medical and Dental University; 2310 Kandasurugadai, Chiyoda-ku, Tokyo 1010062, Japan. (Received October 3, 2014) Artiˆcial zinc ˆnger proteins (ZFPs) consist of Cys2-His2-type modules composed of approximately 30 amino acids that adopt a bba structure and coordinate a zinc ion. ZFPs recognizing speciˆc DNA target sequences can substitute for the binding domains of various DNA-modifying enzymes to create designer nucleases, recombinases, and methylases with programmable sequence speciˆcity. Enzymatic genome editing and modiˆcation can be applied to many ˆelds of basic research and medicine. The recent development of new platforms using transcription activator-like eŠector (TALE) proteins or the clustered regularly interspaced short palindromic repeats/CRISPR-associated protein (CRISPR/Cas) system has expanded the range of possibilities for genome-editing technologies. These technologies empower investigators with the ability to e‹ciently knockout or regulate the functions of genes of interest. In this review, we discuss historical advancements in artiˆcial ZFP applications and important issues that may in‰uence the future of genome editing and engineering technologies. The development of artiˆcial ZFPs has greatly increased the feasibility of manipulating endogenous gene functions through transcriptional control and gene modiˆcation. Advances in the ZFP, TALE, and CRISPR/Cas platforms have paved the way for the next generation of genome engineering approaches. Perspectives for the future of genome engineering are also discussed, including applications of targeting speciˆc genomic alleles and studies in synthetic biology. Key words―genome editing; transcription activator-like eŠector; zinc ˆnger

1.

はじめに

近年,ゲノム編集技術( Genome Editing )を始

2.

ジンクフィンガータンパク質―発見と構造的

特徴―

めとする遺伝子改変技術研究が著しく発展してい

ジンクフィンガータンパク質は転写因子の DNA

る.本稿ではジンクフィンガータンパク質の DNA

結合ドメインとして細胞内に多数存在する. Cys2-

配列特異的な結合を利用した酵素の認識配列の変換

His2 型ジンクフィンガータンパク質はシステイン 2

に始まる一連の人工酵素創製研究から新たなゲノム

残基,ヒスチジン 2 残基を有し,亜鉛イオンを配位

編集ツールとして開発されてきている transcription

している.1985 年に Klug らによりアフリカツメガ

activator-like eŠector (TALE)や clustered regularly

エルの卵母細胞より初めて発見され(TFIIIA),連

interspaced short palindromic repeats/CRISPR-as-

続する保存配列を解析したところ亜鉛イオンを配位

sociated protein (CRISPR/Cas)システムに関する

した モジ ュ ラー 構 造を とる こ とが 明ら か にさ れ

研究の進展について概説し,将来的な研究展望につ

た.13) Cys2-His2 型以外にも亜鉛イオンの配位子と

いても論じる.

し て 異 な る ア ミ ノ 酸 残 基 を 用 い て い る Cys3His, 4) これらの亜鉛フィン Cys4 型などが存在している.

ガードメインの中にはタンパク質タンパク質相互 東京医科歯科大学生体材料工学研究所(〒1010062 東 京都千代田区神田駿河台 2310) e-mail: nomura.mr@tmd.ac.jp 本総説は,日本薬学会第 134 年会シンポジウム S49 で 発表した内容を中心に記述したものである.

5) 作用に関係するものも存在する.

ジンクフィンガータンパク質はモジュラー構造を 有するドメインとして天然に存在するタンパク質と 比較して特長的である.ここでのモジュラー構造と

406

YAKUGAKU ZASSHI

Vol. 135 No. 3 (2015)

は独立したドメイン構造を有し,各ドメインが独立

染色体中において 1 ヵ所のみに存在する配列に結合

して機能(DNA 塩基認識)することを指す.約 30

19) 杉 させることが理論上可能であることを示した.

アミノ酸で構成される単量体構造は bba 構造を有

浦らはさらにドメイン数を 9 個又はそれ以上に拡張

し, a へリックスの -1, 3, 6 番目のアミノ酸側鎖が

することで 30 塩基以上を認識する配列を認識する

それぞれ DNA 塩基と水素結合形成することで配列

ジンクフィンガータンパク質の構築に成功してい

特異的な認識が可能になる. 90 年代初めにおける

る.2023) このような構造の拡張性は直列に配置され

タンパク質結晶構造解析技術の進歩に伴い,いくつ

る繰り返し構造と単量体による DNA 結合によって

かのジンクフィンガータンパク質の構造が明らかに

可能になり,このような特長を有するタンパク質は

68) された.

稀な存在である.

そのなかでもマウス由来の zif268 及び

ヒト由来の Sp1 は短いリンカー配列を介してドメ

これらの取り組みと並行して,人工的な転写因子

イン構造が繰り返された構造を持ち,各ジンクフィ

としてのジンクフィンガータンパク質の利用が始め

ンガードメインの DNA 認識も保存性の高いもので

られた.転写活性化ドメインである VP16 若しくは

あることが明らかにされた.また,2 番目のアミノ

その 4 回繰り返し構造である VP64,又は転写抑制

酸による反対鎖の認識も高い DNA 配列特異性,結

ドメインである KRAB ドメインなどをジンクフィ

合親和性を保持するために必要であることも示され

ンガータンパク質の C 末端に付加することによっ

た.9,10)

て標的とする遺伝子のプロモーター領域に対して結

3.

ジンクフィンガータンパク質工学

ジンクフィンガードメインのモジュラー構造は組 み合わせることによって DNA 認識の長さを変化さ

合した場合に転写反応の活性化,抑制が自在に行え 24) ることが様々な内因性遺伝子で示された.

4.

ジンクフィンガー融合酵素

せることが可能であることを示唆している.また,

DNA 配列特異性を自在に作り出せるという特長

DNA 認識に係わるアミノ酸配列を変化させること

を利用して DNA 修飾酵素の配列特異性の変換が可

によって DNA 認識配列を変換することが可能であ

能である( Fig. 1 ).近年,ジンクフィンガーヌク

ると考えられる.これに基づき,人工的な操作に

レアーゼ(zinc ˆnger nuclease; ZFN)を利用したゲ

よって任意の DNA 配列に対して結合するジンク

ノム編集が注目を集めているが,はじめに ZFN が

フィンガードメインの構築を行う試みが始まった.

報告されたのは 1996 年の Chandrasegaran らの報

Barbas らのグループは抗体の in vitro 進化に威力を

25) その後,FokI の結晶構造解析が進み, 告である.

発揮していた phage display 法を利用することで各

ZFN についても標的配列上で二量体を形成するこ

コドンを認識するジンクフィンガードメインのパネ

とによって効率的に DNA 二重鎖切断を行うことが

ル作成に取り組んだ.1115) また Pabo らのグループ

明 ら か に さ れ た .26) 当 時 , 抗 が ん 剤 作 用 と し て

はファージディスプレイ法のほかにも yeast two

DNA 二重鎖切断が注目され, DNA 切断活性を持

hybrid 法を用いることで同様に高い親和性を有す

つ低分子化合物の開発が盛んであった.ジンクフィ

るジ ン クフ ィン ガ ード メイ ン の構 築に 取 り組 ん

ンガータンパク質は DNA 配列特異性を有すること

だ.16,17) Joung らはこれをさらに発展させた OPEN

から,DNA 切断による細胞毒性を低減できる可能

18) これらの取り組みに システムを開発している.

性が考えられ,杉浦らはジンクフィンガードメイン

よって標的とする DNA 配列に応じて各ドメインを

に対して Gly-Gly-His 配列を付加することで形成す

組み合わせることによって任意の標的配列に対して

るニッケル錯体による DNA 切断効果に配列特異性

結合するジンクフィンガータンパク質の構築が可能 となった.また,ジンクフィンガータンパク質の DNA 認識には複数のドメインが必要とされ, 3 つ

のドメインを有するジンクフィンガータンパク質は 9 塩基を認識する. Barbas らは 6 つのドメインを

つなげたジンクフィンガータンパク質により 18 塩 基を認識することによって 3 億塩基対存在するヒト

野村 渉

東京医科歯科大学生体材料工学研究所 准教授,博士(薬学). 2005 年 3 月京 都大学大学院薬学研究科博士後期課程 修了後,米国スクリプス研究所 博士研 究員,2007 年 8 月より東京医科歯科大 学助教, 2012 年 1 月より講師を経て, 2013 年 4 月 よ り 現 職 . 専 門 : 生 物 化 学,タンパク質工学.

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に類似した CCR5 のノックアウトを作り出すこと は細胞機能への影響を与えず,かつ HIV-1 抵抗性 の T 細胞を作り出す有効な手段で合えると考えら れる.ジンクフィンガードメインを基盤とするベン チャー企業であるサンガモバイオサイエンス社はこ Fig. 1. A Concept for Creation of Sequence-speciˆc DNA Modiˆcation Enzymes DNA binding domain of DNA modiˆcation enzymes is substituted to DNA binding domain with sequence speciˆcity.

の CCR5 ノックアウト T 細胞を利用することで HIV-1 感染者におけるウイルス抵抗性の増強に取 3133) り組んでいる.

DNA 修飾酵素への応用例として DNA リコンビ

ナ ー ゼ ( 組 換 え 酵素 ) が挙 げ ら れ る ( Fig. 3 ). Stark らはジンクフィンガー融合酵素として Tn3 の DNA 結合ドメインを置換した酵素を構築し,それ

らが配列特異的に組換え反応を行えることを示し 34) さらに Barbas らは分子進化的手法を用いる た.

ことによって酵素反応効率の向上に成功し,哺乳類 細胞のゲノムにおいても利用可能であることを示し ている.35,36) このような融合酵素を構築した多くの 場合においては,元の酵素と比較して大きく活性が Fig. 2. The Work‰ow of ZFN Induced Mutation at Endogenous Locus ZFNs are dimerized on the target sequence and digest double strand DNA. During the repair process, mutations are induced by NHEJ.

低下することが見受けられる.そのため,酵素ドメ インのライブラリー化を行い,分子進化的手法によ るセレクションを行い,活性の向上を目指すアプ ローチは必須であると考えられる.ジンクフィン

を付加することに成功している.27) またホーミング

ガーリコンビナーゼにおいては,これまで Cre リ

エンドヌクレアーゼである I-SceI による哺乳類細

コンビナーゼの分子進化実験などで利用されている

胞の ゲノ ム 切断 によ っ てそ の修 復 過程 にお け る

酵素反応前後での配列変化を検出する手法37)と合わ

non-homologous end joining (NHEJ)により変異が

せて, Barbas らは抗生物質耐性遺伝子上に標的配

導入されることが明らかにされたことをきっかけと

列を置くことで,組換え反応後に抗生物質耐性を発

28) ZFN も ま た ゲ ノ ム 上 の 標 的 配 列 切 断 に して,

現する仕組みを構築することで,さらに早い段階で

29,30) ゲ よって変異が導入されることが報告された.

高活性な酵素を得ることができることを報告してい

ノム上での変異導入が可能であることはすなわちタ

る.3842) 酵素ドメインのライブラリー化による分子

ンパク質のコード配列においてフレームシフトを誘

進化ではタンパク質のフレームは既定のままである

発することにつながり,結果としてタンパク質発現

ため,融合酵素の構築において重要であると考えら

の恒 常的 な 抑制 (ノ ッ クア ウト ) が可 能と な る

れるドメイン間をつなげるリンカー部位の種類や長

(Fig. 2).このように標的とするゲノム配列を自在

さに関して最適化を行うことは難しい.われわれの

に設定し,標的遺伝子をノックアウトする技術とし

グループではこの点に着目し,ジンクフィンガーリ

ては,古典的な変異導入法と比較して 1000 倍以上

コンビナーゼのリンカー部位の最適化に取り組ん

も効率に優れるものであり,以後様々な遺伝子の

だ.43) リンカー配列の長さ,リンカー構造の柔軟性

ノックアウトへの応用が試みられた.その中でも代

に変化を与えるために構成アミノ酸に変化を与えた

表的と考えられるのが HIV-1 感染時に第二受容体

リコンビナーゼを各種構築し,大腸菌内及び哺乳類

として働く CCR5 のノックアウトである. CCR5

細胞でのゲノム上での組換え反応効率に関して検討

は白人人種の数パーセントにおいて 32 塩基の欠損

を行った.得られた結果として,リンカー配列が 3

がみられ,その場合, HIV-1 感染に対して抵抗性

アミノ酸でも反応性は有することが示されたが,あ

を有することが知られている.したがって,人工的

る程度の長さと柔軟性を有する場合に反応効率が向

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Fig. 3.

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Reaction of Zinc Finger Recombinase (ZFR)

The sequence between the target sites is eliminated from target DNA.

上することが明らかになった.この結果はモデリン

ンによる DNA 結合で近接効果をもたらすことに

グによっても検証されたが,タンパク質構造とも論

よってドメインの再構成と反応活性の回復を促進す

理的に合致することが示唆された.大腸菌内におけ

ることは配列特異性の向上に有効な手段であると考

る反応はプラスミド遺伝子を標的としており,ゲノ

えらえる( Fig. 4 ).このように酵素由来の配列特

ム上 に 組み 込ん だ 標的 に対 す る反 応と 比 較し て

異性をバックグラウンドとしていかに低減させるか

DNA 構造の違いに起因すると考えられる最適なリ

という課題への取り組みは今後も必要となるであろ

ンカー配列の違いがみられたことは興味深い結果で

う.

ある.

5.

TALE タンパク質

DNA 切断,組換え反応のように遺伝子配列に変

2011 年に植物に寄生するバクテリアから発見さ

化,変換を与える反応だけではなく,DNA の修飾

れた transcription activator-like eŠector (TALE)タ

反応としてメチル化反応も重要な標的となると考え

ンパク質はジンクフィンガードメインと同様にモ

られる.哺乳類細胞においてメチル化はシトシンの

ジュラー構造の繰り返しがみられ,高い DNA 配列

約 70 %において起こっていると考えられている.

50,51) TALE タンパ 特異性を有することが示された.

DNA メチル化によってヒストンの脱アセチル化が

ク 質 の モ ジ ュ ー ル 構 造 は helix-loop-helix 構 造 の

促進され,ヘテロクロマチン形成による遺伝子発現

ループ部分に存在する 2 アミノ酸によって 1 塩基を

44,45) また DNA メチル化パターン 抑制がみられる.

認 識 す る パ タ ー ン を 示 す . TALE ド メ イ ン は モ

は細胞分裂後も保持されることが知られているため

ジュール構造を利用することでジンクフィンガード

に,細胞の遺伝子発現パターンを保持する機構にお

メインと同様に標的とする DNA 認識配列に特異的

いて重要な役割を果たしていると同時に,このよう

に結合するドメインを自在に作り出すことができる

な DNA メチル化パターンに変化を与えることは細

プラットフォームとして利用が可能である.これを

胞の恒常的な遺伝子発現パターンに変化を誘導する

用いることでこれまでジンクフィンガードメインを

有効な手段であると考えらえる. Nomura, Barbas

利用してきた融合酵素が TALE ドメインをもって

らは protein-fragment complementary assay を利用

52,53) TALE ドメイン 構築する試みが行われている.

してメチル化酵素を分割型とし,ジンクフィンガー

の特長として繰り返しモジュール構造のほかに N

融合酵素を構築することで,ジンクフィンガードメ

末端,C 末端に数十アミノ酸の付加配列を加える必

インが認識する標的配列においてのみメチル化反応

要性が挙げられる.また,野生型 TALE ドメイン

を行う酵素の開発に成功している.46)

DNA メチル

においては 5′ 末端の認識配列が T(チミン)である

化酵素のような DNA 修飾酵素においては酵素由来

ことが必須である.DNA への結合についてジンク

の DNA 結合活性を有している場合が多く,融合酵

フィンガードメインは N 末端側から DNA の 3 ′ か

素として新たな DNA 結合活性を付加した際に元の

ら 5′ 末端を認識するのに対して, TALE ドメイン

酵素の結合活性がバックグラウンドとして反応の配

では 5 ′ から 3 ′ 末端への認識となっている.した

4749) 列特異性に大きく影響を与える.

そのため,酵

がって,ヌクレアーゼ(TALE nuclease; TALEN)

素ドメインを分割型としてジンクフィンガードメイ

を構築した場合,認識する配列は ZFN のそれとは

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Fig. 4.

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Advantage of the Split-type DNA Methylase with Zinc Fingers

Fusion with intact methylase causes background methylation because of the DNA binding activity of the enzyme. Split-type DNA methylase is active when the zinc ˆngers bind to the target sequences.

異なることになる.54) しかし,どちらも C 末端側に

パク質を最適化する必要があったが,CRISPR/Cas

FokI ドメインを融合させることで会合状態を作り

においてはガイド RNA をコードするテンプレート

出して二重鎖切断を可能とすることは共通している.

DNA を用意するのみで,ヌクレアーゼ Cas は共通

ZFN においてはこれまで in vitro での結合親和性

して利用できることが最大の利点となる(Fig. 5) .

を検討したのちにゲノムへの結合を検討するという

このことはこれまで数週~数ヵ月単位で構築する必

手順がとられる場合が多くみられたが,TALEN で

要があった ZFN, TALEN と比較して細胞ベースで

はゲノム編集に成功する確率が ZFN と比較して高

あれば数日単位でゲノム編集の結果が得られること

いといわれ,構築後に直接ゲノムへの作用,若しく

を意味する.すなわち,これまでとは比較にならな

は in vivo でのゲノム編集効率が検討される例が多

い速さで研究が進展する可能性を示唆するものであ

く み ら れ る . ま た 最 近 で は N 末 端 の TALE モ

る.また,ユーザーフレンドリーという点において

ジュールの認識ループ構造を最適化することによっ

もタンパク質構造やサブクローニングに障壁を感じ

て認識配列の 5 ′ 末端がチミン以外の場合でも高い

る研究者らにとっても比較的扱い易いと考えられ,

親和性を示すことが報告されている.55,56) また,

現在世界的に様々な利用が検討されている.

TALE ド メ イ ン を 用 い る こ と で こ れ ま で ジ ン ク

CRISPR/Cas の DNA 二重鎖切断は 2 つのドメイ

フィンガードメインにおいて示されてきた,人工転

ンによってそれぞれ独立に切断が行われることで達

写因子(活性化,抑制因子)としての利用,その他

成される.したがって,それぞれのドメインに変異

融合タンパク質としての利用といった応用が同様に

を導 入し た Cas で は片 側の 配列 のみ にニ ック が

示されている.5760) ゲノムに対して結合するドメイ

入った状態を得ることができる.Nickase と名付け

ンを構築できる確率が増しているため,より高い効

られるこのような酵素は, oŠ-target 効果を大幅に

率で応用例が成功する場合が多くみられる.

低減することができる手法として,その可能性が検

6.

65,66) また,両方のヌクレアーゼドメ 討されている.

CRISPR/Cas システム

CRISPR/Cas は 1980 年代に既に見い出されてい

た細菌の防御システムである.61,62)

インに変異を入れた dCas は配列特異的に結合する

2013 年初めに哺

ドメインとして,転写活性化/抑制因子としての利

乳類細胞における発現コドンを最適化することでガ

用6770)や,他の酵素ドメインとの融合体の構築への

イドとなる RNA とヌクレアーゼ Cas の組み合わせ

応用が考えられ,今後も利用例が増えていくものと

によって DNA 二重鎖切断が配列特異的に行われる

考えられる.

63,64) ことが示された.

これまで ZFN や TALEN に

おいては配列特異的に DNA 切断を行うためにタン

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YAKUGAKU ZASSHI

Fig. 5.

Vol. 135 No. 3 (2015)

Schematic Illustration of CRISPR/Cas System

Complex of Cas9 nuclease and guide RNA bind to the target sequence and induce double strand break.

7.

各ゲノム編集技術のプラットフォームにおけ

る特長の比較 ゲノム配列の切断に続く NHEJ による変異導入 若しくはドナー遺伝子を加えることで起こる配列変 換によって目的タンパク質のノックアウト,若しく はアミノ酸置換においては,効率,コスト面におい て最適なプラットフォームとしては CRISPR / Cas である( Fig. 6 ). Adeno-associated virus ( AAV ) ベクターなどを用いた遺伝子デリバリーでヌクレ アーゼ作用を発現するといった場合には免疫原性が 低いと考えられる ZFN が適している可能性が高い. TALE ドメイン, CRISPR / Cas システムはともに

ヒト体内での発現に関しては未知な部分が多い.ゲ ノム切断以外の DNA 修飾反応を考えた場合,各プ ラットフォームの性質においては長所と短所を考慮 して最適なものを選択していく必要がある.ジンク フィンガードメインの場合,約 30 アミノ酸のモ ジュールが 3 塩基を認識することからタンパク質分 子量は低く抑えられる.また,モジュール構造の連 結のみで DNA 結合親和性がみられるため,付加配 列を加えることなく目的の酵素と直接的に,あるい は短いリンカー構造を介して融合することが可能で ある.CRISPR/Cas においては Cas9 タンパク質の 分子量が大きく,コード遺伝子だけで 4000 bp 近く

Fig. 6. (A) Procedure of Surveyor Nuclease Assay for Indel Detection and (B) Comparison of E‹ciency of Mutation Induction by Three Gene Editing Platforms, ZFN, TALEN, and CRISPR/Cas The target sequence is AAVS1 locus, which is a safe harbor in human cell lines.64,71,72) M, marker; lane 1, control; lane 2, ZFN; lane 3, TALEN; lane 4, CRISPR/Cas. TALEN and guide RNA for AAVS1 site were obtained from Addgene.

になる.そのため,デリバリー用ベクターが許容で きる搭載遺伝子の大半を使ってしまうため,付加的

8.

な機能ドメインなどを同一ベクターに載せて利用す

ゲノム編集技術はホーミングエンドヌクレアーゼ

ることが困難である. CRISPR / Cas の複合体構造

や Cre リコンビナーゼ, ZFN での哺乳類細胞ゲノ

73,74) が明らかにされたため,

その情報を基盤として

ムに対する変異導入(ノックアウト)の成功例を足

Cas9 タンパク質の低分子化,最適化などが可能に

掛かりとして次世代の基盤プラットフォームとして

なると考えられる.

の TALE ドメイン, CRISPR / Cas の開発によって

ゲノム編集とその応用の可能性

近年更なる発展が見込まれている.哺乳類遺伝子の

Vol. 135 No. 3 (2015)

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411

なかでもこれまでノックアウトが難しいとされてき

米国スクリプス研究所

故 Carlos F. Barbas, III 教

た多数の遺伝子,又はこれまでノックアウト方法が

授に深く感謝致しますとともに謹んで哀悼の意を捧

確立されていなかった多様な生物種の遺伝子におい

げます.本研究は JSPS 科研費 23710251, 24119506,

てもこれらの技術を利用することでノックアウトを

25410171, 26119703 及び公益財団法人

7579) 可能としてきた例が報告されている.

ヒト遺伝

学薬学振興財団の助成を受けて遂行しました.併せ

子における研究においては遺伝子治療などへの応用

て感謝の意を表します.AAVS1 を標的とした TA-

を考えた場合に oŠ-target 効果をいかにして低減さ

LEN, hCas9 及び guide RNA テンプレートプラスミ

せるかということが最大の課題になると考えられ

ド遺伝子は Addgene(35431, 35432, 41815, 41817,

る.ヒトへの遺伝子治療を志向した遺伝子送達方法

41818)より分譲を受けて使用しました.

持田記念医

として AAV ベクター開発競争が世界的に激化して いる.また,induced pluripotent stem (iPS)細胞な

利益相反

どを利用した場合には ex vivo として一旦体外に取

REFERENCES

り出した自己細胞に対して修飾を加えた後に初期化 の過程を経て自己の体に戻すといった方法も将来的

1)

な実現の可能は高い.この場合においても oŠ-target 効果については十二分に検討される必要があ

り,現段階ではこの点について最も精力的に研究が 展開されている.医療的な応用のみならず,合成生 物学分野においても多くの利用が期待されていると

2) 3) 4)

いう側面も存在する.合成生物学は比較的新しい研 究分野であるが,その目的においても基礎的な知見

5)

から近い将来の課題解決に直接的につながる課題設 定までその幅は非常に広い.また扱う生物種につい てもバクテリア種から哺乳類細胞まであらゆるもの が対象となり,いかに設定した目的に即した生物を 用いるかが重要である.エネルギー,環境問題に関 連するバイオエネルギー創出や新たなバクテリア機

6) 7) 8)

能の創出,また発展途上国における疫病に関連する 生物(マラリア:蚊など)においては生物環境の保 護や生態系への影響を十分に考慮する必要がある. このように“ゲノム編集”による生態系への影響を 考慮する必要に迫られた時代はこれまでになく,人 類の福祉への多大な貢献を研究成果として享受する

9) 10) 11)

権利を得ている傍らで次世代における地球環境への 配慮,人類の叡智と,その扱いについて時代に問わ れている.研究の進展によるテクノロジーの適用範

12)

囲の拡大とともに関連する法令を世界的基準で整備 13)

していく必要がある. 謝辞

本研究を遂行するにあたり多大なご指

導,ご支援を頂きました東京医科歯科大学

玉村啓

和教授を始め,研究室の方々に感謝致します.本研 究に際し,終始有益なご助言とご指導を頂きました

開示すべき利益相反はない.

14)

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412

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20)

21)

22)

23)

24) 25) 26)

27)

28)

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