106
速
報
慢 性C型
肝 炎 患者 の精 液 お よび尿 中 か らのC型 香 川 医科 大 学 附属 病 院 中央 検 査 部1),BML総 寺 田 総 一 郎1)片
Key
C型
山
words:
肝 炎 ウ イ ル ス(以 下HCV)の
和 彦2)根
受 付) 受 理)
伝播経 路 とし
体 陽 性 の慢 性肝 疾 患 を調 査 し
て み る と輸 血 歴 の な い 症 例 が 意 外 に 多 い1).そ で,HCVの
者(以 RNAを
検 出 さ れ た 慢 性C型
下CH-C)の
肝炎 患
中 心 に 検 索 し た.
例(男
体(以
性 の み,平
下HCVAb)陽
性の
意 を 得 て 患 者 よ り血 清,精
を 採 取 し た.精
液 は 尿 採 取 後 の も の を 使 用 し た.
測 定 はELISA法(Chiron社)で
た2).HCV-RNAは guanidinium
各 試 料100μlか
行 っ
精 製 後,5'end
Table
1
別 刷請 求 先:(〒761-07)香 -1
例の血清 中の
をTable1に
示 す. 次 に,尿,精
液 中 のHCV-RNAを
測 定 した.
液 と もに6例 全 例 で 肉眼 的 に血 液 の混 入 は
認 め られ ず,尿
沈 査 に お い て も多 い症 例 で 赤 血 球
は1∼3/HPFし
か 観 察 され なか っ た 。そ して,尿, 全 例 で 検 出 され ず,
等 の血 液 生 化 学 検 査 値 や 輸 血 歴 の 有
考 案:HBVは
ス ピ ロヘ ー タ等 と同 様,STDの そ の範 疇 に は い
る もの と思 わ れ るが,性 行 為 に よ る感 染 性 に 関 し
noncoding領
Characteristics
尿 採 取 時 の血 清GOT,GPT,r-gl値
病 因 と考 え られ て い る5).HCVも
らAGPC(acid
プ ラ イ マ ー セ ッ トを 用 い た4)RT-PCRに
性 のCH-C症
全 例 で 検 出 され た.血 清,精 液,
無 との 相 関 は み られ な か った.
thiocyanate-phenol-chloroform)
法3)に てRNAを
結 果:HCVAb陽 HCV-RNAは6例
血 清GPT値
液,尿
浩 一1)
semen
精 液 中 のHCV-RNAは6例
均 年 齢46.8±11.7歳)
を 対 象 と し,同
HCVAbの
PCR,
西
定 した.
尿,精
精 液 お よ び 尿 を 採 取 し,HCV-
対 象 と方 法:HCV抗 CH-C6症
こ
性 行 為 に よ る感 染 性 を し らべ る 目的
で 血 中HCV-RNAの
清1)河
(平成3年8月29日
て 輸 血 等 の 血 液 を 介 し て の 伝 播 は 広 く知 ら れ て い る.し か し,HCV抗
ケ山
C virus,
検出
合 研 究 所 分子 診 断 部2)
(平成3年7月12日
hepatitis
肝 炎 ウイル スRNAの
域 の
よって測
of the patients
with
て は不 明 な点 が 多 く,精 液,尿 か らのHCV-RNA の 検 出 の 報 告 は 過 去 に な い.今
chronic
hepatitis
C studied
回,わ
れわれは
by PCR method
川 県 木 田郡 三 木 町 池戸1750
香川 医科 大学 中央 検 査部
寺 田総 一 郎 感染 症 学 雑 誌
第66巻
第1号
精 液 か らのC型 肝 炎 ウイ ル スRNAの
PCR法
で 血 清 中 のHCV-RNAを
検 出 し えた 患
者 の精 液,尿 中 のHCV-RNAをPCR法
に て検 索
し た と こ ろ 全 例 で 検 出 さ れ な か った.夫 HCVAb陽
婦間の
性 化 率 の検 討 に お い て も夫 婦 間 の感 染
は 予 想 以 上 に 少 な い と報 告 され て お り6)今回 の 検 討 は そ れ を裏 付 け て い る.し か し,今 回 の 検 出法 の 感 度 は10∼100copy/100μl試 精 液 か らのHCVの
料 で あ り,完 全 に
感 染 が否 定 され た わ け で は な
く,血 液 の混 入 が な い限 り精 液 に よ る感 染 性 の低
of Hepatitis Patients
小 島 弘 敬: 違.
文 献 1) 寺 田総一郎 ら: 当科 におけ る肝硬変症の成因別実 態-過 去7年 間の検討-. 肝硬変の成因別実態, 1991, 日本医学館 (印刷中).
Analysis
2) Kuo, J., et al.: An assay for circulating antibodies to a major etiologic virus of human non-A,non-B hepatitis. Science, 244: 362-364, 1989. 3) Chomczynski, P., et al.: Single-step method of RNA isolation by acid guanidinium thiocyanate-phenol chloroform extraction. Anal. Biochemistry, 162: 156-159, 1987. 4) Okamoto, H., et al.: The 5'-terminal sequnce of the hepatitis C virus genome. Jpn. J. Exp. Med., 167-177, 1990. 5)
い こ とが 示 唆 され た も の とい え る.
107
検出
6)
C Virus RNA from with Chronic Type
性 行 為 感 染 症
日 本 医 事 新 報,
Esteban, bodies 294-297,
J. I., etal.: among
risk
(STD)
3500:
の 感 染 経 路 の 相
150-151,
1991.
Hepatitis groups
in
C Spain.
virus Lancet,
1989.
Semen and C Hepatitis
Urine
of the
Soichiro TERADA' , Kazuhiko KATAYAMA2), Kiyoshi NEGAYAMAn & Koichi KAWANISHI1) Division of Clinical Laboratory', Kagawa Medical School and Division of Molecular Diagnosis2), Biomedical Laboratory
平 成4年1月20日
antiii:
速
報
慢 性C型
肝 炎 患者 の精 液 お よび尿 中 か らのC型 香 川 医科 大 学 附属 病 院 中央 検 査 部1),BML総 寺 田 総 一 郎1)片
Key
C型
山
words:
肝 炎 ウ イ ル ス(以 下HCV)の
和 彦2)根
受 付) 受 理)
伝播経 路 とし
体 陽 性 の慢 性肝 疾 患 を調 査 し
て み る と輸 血 歴 の な い 症 例 が 意 外 に 多 い1).そ で,HCVの
者(以 RNAを
検 出 さ れ た 慢 性C型
下CH-C)の
肝炎 患
中 心 に 検 索 し た.
例(男
体(以
性 の み,平
下HCVAb)陽
性の
意 を 得 て 患 者 よ り血 清,精
を 採 取 し た.精
液 は 尿 採 取 後 の も の を 使 用 し た.
測 定 はELISA法(Chiron社)で
た2).HCV-RNAは guanidinium
各 試 料100μlか
行 っ
精 製 後,5'end
Table
1
別 刷請 求 先:(〒761-07)香 -1
例の血清 中の
をTable1に
示 す. 次 に,尿,精
液 中 のHCV-RNAを
測 定 した.
液 と もに6例 全 例 で 肉眼 的 に血 液 の混 入 は
認 め られ ず,尿
沈 査 に お い て も多 い症 例 で 赤 血 球
は1∼3/HPFし
か 観 察 され なか っ た 。そ して,尿, 全 例 で 検 出 され ず,
等 の血 液 生 化 学 検 査 値 や 輸 血 歴 の 有
考 案:HBVは
ス ピ ロヘ ー タ等 と同 様,STDの そ の範 疇 に は い
る もの と思 わ れ るが,性 行 為 に よ る感 染 性 に 関 し
noncoding領
Characteristics
尿 採 取 時 の血 清GOT,GPT,r-gl値
病 因 と考 え られ て い る5).HCVも
らAGPC(acid
プ ラ イ マ ー セ ッ トを 用 い た4)RT-PCRに
性 のCH-C症
全 例 で 検 出 され た.血 清,精 液,
無 との 相 関 は み られ な か った.
thiocyanate-phenol-chloroform)
法3)に てRNAを
結 果:HCVAb陽 HCV-RNAは6例
血 清GPT値
液,尿
浩 一1)
semen
精 液 中 のHCV-RNAは6例
均 年 齢46.8±11.7歳)
を 対 象 と し,同
HCVAbの
PCR,
西
定 した.
尿,精
精 液 お よ び 尿 を 採 取 し,HCV-
対 象 と方 法:HCV抗 CH-C6症
こ
性 行 為 に よ る感 染 性 を し らべ る 目的
で 血 中HCV-RNAの
清1)河
(平成3年8月29日
て 輸 血 等 の 血 液 を 介 し て の 伝 播 は 広 く知 ら れ て い る.し か し,HCV抗
ケ山
C virus,
検出
合 研 究 所 分子 診 断 部2)
(平成3年7月12日
hepatitis
肝 炎 ウイル スRNAの
域 の
よって測
of the patients
with
て は不 明 な点 が 多 く,精 液,尿 か らのHCV-RNA の 検 出 の 報 告 は 過 去 に な い.今
chronic
hepatitis
C studied
回,わ
れわれは
by PCR method
川 県 木 田郡 三 木 町 池戸1750
香川 医科 大学 中央 検 査部
寺 田総 一 郎 感染 症 学 雑 誌
第66巻
第1号
精 液 か らのC型 肝 炎 ウイ ル スRNAの
PCR法
で 血 清 中 のHCV-RNAを
検 出 し えた 患
者 の精 液,尿 中 のHCV-RNAをPCR法
に て検 索
し た と こ ろ 全 例 で 検 出 さ れ な か った.夫 HCVAb陽
婦間の
性 化 率 の検 討 に お い て も夫 婦 間 の感 染
は 予 想 以 上 に 少 な い と報 告 され て お り6)今回 の 検 討 は そ れ を裏 付 け て い る.し か し,今 回 の 検 出法 の 感 度 は10∼100copy/100μl試 精 液 か らのHCVの
料 で あ り,完 全 に
感 染 が否 定 され た わ け で は な
く,血 液 の混 入 が な い限 り精 液 に よ る感 染 性 の低
of Hepatitis Patients
小 島 弘 敬: 違.
文 献 1) 寺 田総一郎 ら: 当科 におけ る肝硬変症の成因別実 態-過 去7年 間の検討-. 肝硬変の成因別実態, 1991, 日本医学館 (印刷中).
Analysis
2) Kuo, J., et al.: An assay for circulating antibodies to a major etiologic virus of human non-A,non-B hepatitis. Science, 244: 362-364, 1989. 3) Chomczynski, P., et al.: Single-step method of RNA isolation by acid guanidinium thiocyanate-phenol chloroform extraction. Anal. Biochemistry, 162: 156-159, 1987. 4) Okamoto, H., et al.: The 5'-terminal sequnce of the hepatitis C virus genome. Jpn. J. Exp. Med., 167-177, 1990. 5)
い こ とが 示 唆 され た も の とい え る.
107
検出
6)
C Virus RNA from with Chronic Type
性 行 為 感 染 症
日 本 医 事 新 報,
Esteban, bodies 294-297,
J. I., etal.: among
risk
(STD)
3500:
の 感 染 経 路 の 相
150-151,
1991.
Hepatitis groups
in
C Spain.
virus Lancet,
1989.
Semen and C Hepatitis
Urine
of the
Soichiro TERADA' , Kazuhiko KATAYAMA2), Kiyoshi NEGAYAMAn & Koichi KAWANISHI1) Division of Clinical Laboratory', Kagawa Medical School and Division of Molecular Diagnosis2), Biomedical Laboratory
平 成4年1月20日
antiii:
