原
著
低 レニ ン本 態 性 高 血 圧 症 の レニ ンー ア ル ドス テ ロ ン系 に か ん す る研 究 東 京 大 学 医 学 部 第一 内科 学 教室(指 導
日 高 A REDUCED
ALDOSTERONE IN LOW
宏
RESPONSE
RENIN
TOINFUSED
ESSENTIAL
Hiroshi
織 田敏 次 教 授)
ANGIOTENSIN
II
HYPERTENSION
HIDAKA, M.D.
The first Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine University of Tokyo (Director: Professor T. Oda)
概要
フ ロ セ マ イ ド+立 位 負荷 に よ る レ ニ ン刺 激 試験 に対 す る反 応 に よつ て選別 した"低
態 性 高 血圧 症(LRK)に
つ い て,アン
ジオ テ ンシ ンII注 入,金 成ACTH静
立 位 負 荷 に対 す る血 漿 ア ル ドス テ ロ ン(Aldo)の し て検 討 を加 え た.LRHで
レニ ン"本
注 お よび フ ロセ ミ ド+
変 動 を 観 察 し,正 常 人 お よび 各 種 疾 患 の そ れ と対 比
は ア ン ジオ テ ン シ ンII注 入 に対 す る血 漿Aldoの 反応 が,原 発 性 アル ドス
テ ロ ン症 と 同様 に抑 制 さ れ た が,正 常人 はdoseresponseを 示 して増 加 した.正 常 レニ ン 本 態 性 高 血圧 症 で は正 常 増 加 反応 を 示 し,二 次 性 アル ドス テ ロン症 で は 反 応 の 増 強 が 認 め られ た.LRHに ACTRに
おけ る
紺 す る血 漿Aldoの 反 応 は正 常 増 加 を 示 し,ま た フ ロセ ミ ド十立 位 負 荷 に対 し て も,血 漿 レ
ニ ン活 性 が低(反
応)値 に もか か わ らず,血 漿Aldoは 増 加 した .ま た,こ の ば あ い ア ンジ オ テ ンシ ン
に対 す る血 漿Aldoの 反 応 の抑 制 はKを 負 荷 して も認 め られ た が,Naを み られ た.以 上 の成 績 は,LRHに
お い て は,ア
制 限 す る とそ の反 応 に回 復 が II
ンジ オ テ ンシ ンIIに よ るAldo分 泌 刺 激 作 用 が,お そ
ら くNa代 謝 に 関 連 した 何 らか の メ カ ニズ ム に よつ て選 択 的 に抑 制 を受 け て い る こ とを示 し,こ れ は原 発 性 ア ル ドス テ ロ ン症 と共 通 の もの か も知 れ な い.こ の こ とは,LRHの
病態 生 理 に副 腎 の関 与 す る
可 能性 に つ い て の 有 力 な 示 唆 を 与 え る も の と考 え る.
I. 緒
つ た.一
言
ア ル ドス テロ ン(Aldo)分
リ ウ ム,ACTH
な どが明 らか に さ れ て い る が,と ン ジ オ テン シ ン系 のAdo分 割 は,Naバ しか し,本
が,多
ぼ 一 致 し て い る 点 は,1)血
ニ ン 活 性(PRA)は,多
く に,レニン ーア
が,約25%に る例 が あ り,低
視 され て きた.
態 性 高 血 圧 症 に お い て,レ
ジ オ テ ン シン 系 とAldoが
報 告 の う ち,ほ
泌 刺 激 因 子 と して の 役
ラン ス に 関 連 し て.重
性 本 態 性 高 血 圧症 に お け る レニ
ンーア ン ジ オ テン シ ンーア ル ドス テロ ン系 に 関 す る
泌調節因子を こは,レ
ニン ーアン ジ オ テ ン シ ン系,カ
般 に,良
と,表
ニ ンーア ン
必 ず しも平 行 しな い こ と
刺 激 に 対 す る 反 応 の抑 制 され て い レ ニ ン本 態 性 高 血 圧 症(LRH)
現 さ れ て い る.2)Aldo分
な い し低 下 の 傾 向 を 示 す が,一 の亢 進 を み る こ と が あ る 。3)そ
くの研 究 者 に よ つ て 指 摘 され る よ うに な
漿 レ
くは 正 常 範 囲 内 で あ る
泌 は 多 くは 正 常 部 の症 例 で は 分泌 の うち,LRH
に お け るAldoの 分 泌 に つ い て は 低 下 し て い る と す 〔昭和50年4月14日
昭和50年8月10日
る 報 告 も あ る が,大
受稿〕
(45)
部 分 は 正 常 範 囲 内 に あ り1)8),
798
低 レ ニ ン 本 態 性 高血 圧 症 の レ ニ ンーア ル ド ス テ ロ ン 系 に か ん す る研 究
ま たPRAレ
ベ ル に 比 べ て,血
漿Aldoの
レベル
が 異 常 に 高 い と考 え る 研 究 者8)も あ る.4)さ に,LRHの
患 者 にNa制
と,PRAと
血 漿Aldoの
が,一
限 ま た はNa負
な お,全
ら
く と も2週
荷を す る
した が つ て,わ
平行的相関関係の 解離
れ わ れ の 目的 は,LRHに
に 果 た し て い る 役 割 を 再 検 討 し,両
験 方法
(1)測
定方法
1)血
泌調節
て2回
こ の 意 図 を も つ て,LRHに
Bush
とAldo値
を 検 討 し,2)外
ン ジ オ テ ン シ ンII(AII)注
入,合
礎状 来性の ア
B5ペ
使 用 し,蛋
対 す る血
を 用 い た.回
反 応 がKお
よ びNaバ
II.対 (A)試
併 症 無 く,高
2)血
応)群32例,低レニ
ン(反
清K値
齢50才
以下
よつ た.正
と低 レ ニ ン本 態 性 高 血 圧 症5 入 試 験 の 対 象 と し た.な
レ ニン 群 に つ い て は,原
白結 合 法 に
の 方 法 を 改 良 した 加 藤 らの 変 法8)に あ る.
清 お よび 尿Na.,KとBUN値
は,オ
ー
トア ナ ラ イ ザ ー に よ つ て 測 定 した.尿17-OHCS測
則 と して 入 院 の
研 究 の 基 礎 的 臨 床 デー タ の 収 集 と と も に,
定 は,Porter-Silber反 (2)試
発
応 法 に よ つ た.
験方法
1)フロ
セ ミド 試 験("低
レ ニ ン"本 態 性 高
血 圧 の 選別)
努 め た. さ ら に,対
照 例 と し て,健
康 成 人 男 子3
早 期 安 静時 を 前 値 と し て,フ 口 投 与 し2時
術 に よ り副 腎 腺 腫 を 確 認 し得 た 原 発 性 ア ル
ドス テ ロ ン 症5例 5例(特
静臥 位 状
で あ る.
常 域 は5∼15,ug/100m1で
4)血
PR
社 の レ ニン
常 値 は,安
血 中 コ ー チ ゾル 測 定 法:蛋
よ るMurphyら
は
の 方 法 を 改 良 し 々ad玉oim-
ッ トを 使 用 した.正
3)
定 法:
に 準 拠 した ダイ ナボット
態 に て0.5∼2,pngAI/ml/時
性 ア ル ドス テ ロ ン症 お よ び 類 縁 疾 患 の 鑑 別 除 外 に
名,手
下 で あ り,こ の
あ る.
Aの 測 定 は,Harberら
RIAキ 正 常,年
所 定 の 方 式6)に よ る 内 分 泌 学 的 精 査 に よ り,原
3)
け る 平 均回 収 率 は
漿 レ ニ ン 活 性(PRA)測
munoassay法
ら に 両 群 の 血 漿Aldo値
血 圧 発 見 また は治 療 開 始 時 期
例 を 選 別 し て,AII注 お,低
操 作8'お
動 係 数 は10%以
5.0∼15.Ong/100m1で
ロ セ ミ ド試
以 内 の比 較 的 新 鮮 例 で あ る正 常 レニ ン
本 態 性 高 血 圧 症4例
上,本
に,フ
反 応 か ら後に 述 べ る よ
を 分 類 した.さ
群 か ら,血
が 過 去1年
レ ー サ ード 一 ズ の
血 漿 サ ン プ ル に 添 加 す る こ と8に
55.7±17.1%,変
測 定 を 行 な つ た.
2)両 で,合
のPRAの
正 常 レ ニ ン(反
とPRAの
体 を
測 定 方 法 に よ る 正 常 人 早 朝 安 静 臥 位 血 漿Aldo値
良 性 本 態 1) 性高 血 圧 症43例
うに
hemisuccinate抗
収 率 の 補 正 は,ト
よ つ て 行 な つ た.全
象 お よ び方 法
験対 象
験 を 実 施 し,そ
応)群11例
ラ ンス に よつ て 受
体 はNIH
白 結 合 ・非 結 合 の 分 離 は 硫 安 塩 析 法
H-aldosteroneを
討 を 加 え た.
塩 化 メチ レ ンに
行 つ た.抗
よ り 供 与 さ れ たaldosterone
反 応 態 度 を 観 察 し,さ
け る 影 響 に つ い て,検
れ=われ の 方
ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー で 精 製 分 離
漿Aldoの
漿Aldoの
の方法を 改
よ び 水 に て 洗 浄 し,
の 後,radioimmunoassayを
成ACTHお
AIIに
Mayesら で あ り,わ
抽 出,0.1N NaOHお
よ び フ ロ セ ミ ド+立 位 負 荷 に 対 す る,血 ら に,3)
定 法:
法7)に よ つ た.」 血漿2mlを10mlの
た ら し て い る メ カ ニ ズ ム を 解 明 す る こ とに あ る.
態 のPRA値
漿Aldo測
良 したradioimmunoassay法
者 の解 離 を も
お け る,1)基
な
間 前 に す べ て の 投 薬 を 中 止 し た 後,充
(B)実
おい
ニ ンーア ン ジ オ テ ン シ ン系 がAldo分
則 と し て 普 通 食 と し,少
分 の 安 静 臥 位 を と らせ て 以 下 の 試 験 を 行 な つ た.
層 明 ら か に な る こ と が 知 ら れ て い る4)5).
て,レ
例 と も,原
発 性 浮 腫2例,腎
伴 う肝 硬 変 症,ネ
RA値
お よ び 二 次 性 ア ル ドス テ ロ ン症 血 管 性 高 血 圧,腹
水を
越 え な い も の を,"低
フ ロ ー ゼ 症 候 群 各1例)の,A
注 入 に よ る 血 漿Aldoの
を 測 定 した.両
判 定 した.し とは"低
反 応 を 観 II 察 した.
(46)
ロ セ ミ ド80㎎ を 経
間 の 立 位 歩 行 負 荷 を 加 え た 前 後 のP 測 定 値 が1.OngAI/ml/時 レ ニン"本
た が つ て,わ
態性高血圧症 と
れ わ れ の"低
レ ニン・ 低 反 応 性"型
日内 会 誌
を
レ ニ ン"
を 意 味 す る.
第64巻
第8号
日高 一方
,こ
Aldoの
の 試 験 に お い て,PRAと
同時に血漿
宏
799
Table
1. Clinical
data
of patients
for studies.
レ ス ポ ン ス を 観 察 した .
2)
AII注
入 に よ る 血 漿 ア ル ドス テ ロ ン反 応
試 験 Val-angiotensinII-asp-amide(Hypertensin)を 生 理 食 塩 水20mlに
溶 解 し, constant
に よ り,2.5,5.0ま
infusion pump
た は10ngAⅡ/kg,体
重/分 の
速 度 で60分 間 注 入 し,前,15',30',45',60', 90'後 の 血
Aldoの 変 動 を,血
圧,血
マト ク リ ッ ト,脈 拍 と と も に,観 症 例に
い て は,AII注
清 電 解 質,ヘ
察 した .一 部 の
入 経 過 中 のPRAお
よび
血 中 コ ー チ ゾ ル を 測 定 した. さ ら に,LRH2例 100mEq/p)と
に,2週
と も にK薬(36.0mEq/日)を
与 した 後,AII注
入 試 験 を 行 な つ た.同
投 与 前 後 の 血 清K値 い て,厳
投 時 に,
を 比 較 した.LRH3例
K
につ
重 な 無 塩 食(Na0.05),低 もか か わ らず,血
昭 和50年80月10日
レ ニ ン群 で はPRAに 漿Aldoは
関 は 認 め な い.血
清K値
レ ニ ン 群4.0±0.2mEq/l,低 で,血
つ い て は 両群 間 に有 意 差 を 認 の 低値
清Na,
イ ドも,す つた 。
正 常 範 囲 内 に あ る.
(47)
漿Aldoの
相
常 レ ニ ン群 で は0.831(P0.05).い ン群 で は,PRAの 血 漿Aldoは
入 経 過 中,脈 拍,血
マ ト ク リ ッ トに は 有 意 の 変 化 無 く,血
清K 中 コ
ー チ ゾ ル 値 に も 変 化 は 認 め られ な か つ た(表2
レニ
Ns-1).一
ン群 で は,0.5±0,2ngAI/ml/時,21.3±6.1 ng/100m1で,両
AII注
値 は有 意 の 差 を い か え る と低レニ
反 応 の 低 下 に も か か わ らず,
例(Ns-3)に
値1.2ngAI/m1/時
に対 し,30分0.2,60分0.1ng
AI/m1/時
性PRAの抑
Aと の 間 に 解 離 が 認 め られ た.
(ii)原
と,有
薬 理 学 的 投 与 に よ る 内因
制 が 推 測 さ れ た. 発 性 ア ル ドス テ ロ ン 症(PA症)お
よ
Table 2. Plasma aldosterone response to angiotensin ll infusion in normal subjects, primary aldosteronism and secondary aldosteronism.
(48)
, 重/
分 注 入 経 過 中 のPRAは,前
意 に 低 下 を 示 し,AEの
正 常 対 照 群 と同 様 の 上 昇 を 示 し, PR
お け るAII10ng/kg体
日内 会 誌
第64巻
第8号
良高
宏
801
常 人 でsubpressor
doseと
A皿 注 入 に よ つ て,全
さ れ て い る5nglkg/分
の
例 と も拡 張 期 圧25㎜ ㎏ 以 上
の 著 名 な 昇 圧 反 応 を 示 し,AKに
対 す る血 管 系 の
反 応 性 の 増 大 し て い る こ と が 認 め られ た. SA症
の う ち,特
増 加 率 で582.3と 硬 変 症(SA-3)で
発 性 浮 腫1例(SA-1)で
過 大 反 応 を 示 し,腹 は160.4,ネ
(SA-5)は1G8.6で,腎 で は39.3と ばA皿
は%
水 を 伴 う肝
フ ロー ゼ症 候 群
血 管 性 高 血 圧 症(SA-4)
弱 い 反 応 を 示 した が,全
注 入 速 度5ng/kg/分
例 を平 均 す れ
お よ び10臓g/kg/分
そ れ ぞ れ115.4±30.3%,260.2±232.9と Fig. 3. Plasma II infusion
aldosterone in primary
response
to angiotensin
で, な
り,一 般 に 正 常 反 応 よ り も 増 大 傾 向 が 認 め られ た
aldosteronism.
(表2). び 二 次 性 ア ルド ス テ ロ ン症(SA症)(表2,図3) PA症5例
(iii)本 態 性 高 血 圧 症(表3,図4)
の 基 礎 状 態 のPRAは0.1ngAI/ml/
低 レ ニ ン本 態 性 高 血 圧 症 に,AII5ng/kg/分
を
時 以 下 で あ り 血 漿Aldoは28.4±14.2ng/10om1と 注 入 した と き,血 高 い が,一 部 は 正 常 上 界 値 を 示 した(16.0∼55.6)。 AII注
入 に よ る 血 漿Aldoの
率 で 表 わ す と,注
レス ポ ン ス を%増
入 速 度5.0ng/kg/分
加
加 率 は 少 な く,3症
て 低 下 を 示 した(表2,図3)。 Table
昭 和50年8月10日
な おPA症
3. Plasma
rimary
例 で は,か
aldosterone
増 加 率7.2±14.5%で 2例(LRK2,3)に
えつ では正
response
反 応 は5例
例 の み,%増
わ ず か な レ ス ポン ス を 示 した.5例
お よ び10ng
kg1分 に お い て そ れ ぞ れ19.0±20.3%,32.3±/ 20.4%と,増
漿Aldoの
全 く増 加 を 示 さ ず,一
中4例
では
加 率 で36.3と を平 均 す れ ば
あ る. お い て,
AH注
入経 過
中 の 血 中 コ ー チ ゾル 値 は 不 変 ま た は 若 干 低 下 を 示 to angiotensin
aldosteronism.
II in essential
hypertension
and p
(49)
802
低 レ ニ ン本 態 性 高 血 圧 症 の レ ニ ン ーア ル ド ス テ ロン 系 に か ん す る研 究
Fig. 4. Plasma II infusion
した が,全
aldosterone
response
in essential
to angiotensin
hypertension.
て 正 常 範 囲 内 で あ つ た.ま
値 は,AII注
入前
清K 入 後30
正 常 域 に あ り,試
後 値 間 に 差 を 認 め な い. 一 方 ,正 常 レ ニ ン群4例 て 血 漿AIdoが
た,血
で4.1±0.2mEqμ,注
分 で4.1±0.3mEq/lと
Fig. 5. Plasma aldosterone response to angiotensin II (5ng/kg BW/min) infusion in various diseases.
で は,AII注
験前
・
入 に対 し
増 加 反 応 を 示 した も の は3例
で,前
値 に 対 す る 増 加 率 は,そ れ ぞ れ74.0,64.2,111.9 で あ り,他
の 一 例 で は,よ
正 常 レ ニ ン群4例
わ い 反 応 を 示 した.
の 平 均 増 加 率 は67-3±32.9%で
あ つ た. な お,両
群 と も,血
リ ッ トに は,AII注
拍 数,ヘ
マ トク
入 に よ り有 意 の 変 動 を 認 め な
か つ た.AH5ng/kg/分 の 増 加 は,両
清K値,脈
の 注 入 に対 す る 拡 張 期 圧
群 平 均18.7±7.6㎜Hgで
ニ ン群 の うち に は,最
あ り,低
Fig. 6. Effects
レ
of
K
load
and Na restriction
on
plasma aldosterone response to angiotensin II in low renin essential hypertension and primary
高32㎜ ㎏ の 上 昇 を 示 し た 例
aldosteronism. も あ つ た. 以 上 の 実 験 で,AII注 応 が,原
入 に 対 す る 血 漿Aldoの
疾 患 と,正 常 レニ ン高 血 圧 群 お よび正 常 対 象群 の
反
発 性 ア ル ドス テ ロ ン症 の み な ら ず,低
基 礎 状 態 に おけ る 血 清K値 は,そ
レ
ン本態 性 高 血 圧 症 に お い て も抑 制 され て い る こ ニ と,一
方,正
0.2,4.0±0.2,4,0±0.2mEq/lで
常 レ ニン 群 で は か な りの レ ス ポ ン ス
意 の差 は無 い.さ 清K値 は4.5お
を 示 す こ と が 注 目 さ れ た(図5)。 (iv)低
レ ニ ン 本 態 性 高 血 圧 症 に お け る, 注 入 試 験 に 対 す る 血 清K値,K負 びNa制
こ の ば あ いA頁
増加 率2&3%お
あ り,有
らに,本 症2例 のK負 荷 後 の血
よび4.8mEqμ
若 干 上 昇 した が,AHに
AH
荷 お よ
限 の 影 響(表3,図6). に 対 す る 血 漿Aldoの
れ ぞ れ4.1±
で あ り1負荷 前 よ り
対 す る血 漿Aldoの 反応 は
よび無 反 応 で あ り,K負
荷 前 の反
応 と同様 に抑 制 が認 あ られ た. また,こ
反 応 が,カ
リ ウ ム 平 衡 に よ つ て 受 け る 影 響 を 検 討 し た.こ
る 目的 で,血
の反 応 に 対 す るNa平 衡 の 影響 を 調 べ
の
(50)
清Na値 お よびNa制 限 の 効 果 を 検 討
日内 会 誌
第64巻
第8号
日高
Table
4. Plasma
in essential ronism.
aldosterone hypertension
response
to
and primary
宏
803
ACTH aldoste
Fig. 7. Plasma
した.本
症 に お け る 血 清Na値
と正 常 で あ り,正
時 の 血 清Na,
K値 は,そ
4.3±0.1mEq/lで a負 平 衡,ヘ
ACTHを
常 レ ニン 高 血 圧 群141.0±2.
有 意 差 を 認 め な い 。 本 症3例
限を加えた
IV.考案. 低 レニ ン本 態 性 高 血 圧 症(LRH)の
Na制 限 に よ つ て 全 例
2.0㎏ の 体 重 減 少 を 示 す と と も に,著
が 認 め られ た.Na制
上,拡
て い な い.し か し,LRHを,そ
56.0,53.6お
よ び81.0%で
血 圧 症 の 中 で,一
に お け るA
とに つ い て は,ほ ぼ 一致 を み て お り,い わ ゆ る "低 レニン"本 態 性 高 血 圧 症 の定 義 や 病 因 に つ い
平 均63.5±12.3%で
ては,多 くの研 究 者 に よつ て報 告 され て い る1)2)9).
あ
現 在 の ところ,"低
らか に上 昇
態 のPRAに
傾 向 を 示 した.さ ら に ま た,PA症2例(PA-3,4' つ い て,Na制
血 漿Aldoの
で あ る.分 泌 刺 激 の方 法,PRAの
レ ニン 高
常 人 の反 応 との対 比 に よつ て,定 義 され て い る よ
レ ス ポ ン ス(表4,図7)
±66.0%,正 り,い
静 注 に よ る 血 漿Aldoの
率 で,同 な お,低
うで,そ の 頻 度 は,本 態 性 高 血 圧 症 の20∼30%と
反
み られ て い る.
で は 平 均 増 加 率183.9
常 レ ニン 群 で は128・1±36・4%で
ず れ も 著 明 な 増 加 反 応 を 示 した.ま
PA症2例
も,108.0%,お
よび116.5%の
レニ ン分 泌 刺 激 方法 に は,無 塩 食,立 位 お よび
あ
各 種 利 尿 薬,ヒ
た,
レ ニン 高血 圧 症1例
で は,ま
ドラ ラ ジ ンな どの薬 剤 の経口 また
は静 注 に よる 投 与 が 用 い られ て い る.わ
増加
は,フ
様 に 上 昇 反 応 を 示 し た.
昭 和50年8月10日
よ
多 少 の相 違 が認 め られ るが,い ず れ に して も,正
対 す る血 漿 ア ル ドス テロ ン の
応 は,低 レ ニ ン高 血 圧 群5例
測 定 法,お
び そ の判 定 基 準 な どに つ い て は,各 研 究 者 の間 に
血 圧 症 の 場 合 と 同 様 に 上 昇 傾 向 を 示 し た.
合 成ACTH0.25㎎
レニン"と は,単 に基 礎状
つ い て の み で は な く,レ ニン 分 泌 刺
激 試 験 を行 なつ た 場 合 に つ い て も用 い るの が 普 通
限 下 に 本 試 験 を 試 み た が,
平 均 増 加 率 は,60.1%で,低
(iv)ACTHに
つ のsubgroupと して 区 別す る こ
加 率 は それ ぞれ
り,基 礎 状 態 の 反 応 の 抑 制 に 比べ,明
表3)に
の臨 床像 お よび
い くつ か の病 態 生 理 学 的 特 徴 か ら,良 性 本 態 性 高
上)
g/kg/分 注 入 に 対 す る 血 漿A星doの 反 応 は,全 II5n 例 有 意 の レ ス ポ ン ス を 示 し,増
病 因 につ い
て,こ れ を独 立 した 疾 患 単 位 とす る に は ま だ至 つ
明な 血 圧 の
張 期 圧20㎜Hg以
限 下 の 本 症3例
注に
は 明 らか な上 昇 を 認 め た.
マ ト ク ジ ッ トの 上 昇 お よ び1.5∼ N
低 下(収 縮 期 圧35㎜Hg以
静 注 して観 察 した.血 漿AldoはAH注
れ ぞ れ140±0.8mEq/l'
あ る.
to ACTH.
入 に 対 して,増 加 しなか つた が,ACTH静
4mEq/l, の 間1に は
にNa制
response
注 入 に よ る血漿Aldoの 反 応 をみ た のち,引 続 い て
は144.0±1.8mEq/l
正 常 薄 照 群145±2。3mEq/Zと
aldosterone
れわれ
ロセ ミ ドの急 性 利 尿 効 果 の 有効性 お よび外
来試 験 と して の簡 便 さ を考 慮 し,レ ニ ン分 泌 刺 激
ず,AII
(51)
804
低 レニ ン 本 態 性 高血 圧 症 の レ ニ ン ーア ル ドス テ ロン 系 に か ん す る 研 究
と し て フ ロ セ ミ ダ80㎎ 経 口 十 立 位 歩 行 負 荷2時
間
は,原
を 採 用 した."低
激
で あ る5ngAH/kg体
レ ニ ン"の
料 定 基 準 に は,刺
前 お よ び 刺 激 後 の 両PRA値
が,1.◎
昭AI/ml/
時 以 下 で あ る こ とを 条 件 と して 用 い た.こ に よ るLRHの
頻 度 は25.6%(43例
少 な く と も,被
の試 験
中11例)で
則 と して 正 常 人 昇 圧 反 応 でsubpressor 重/分 を 採 用 した.この結
検 者 に 対 し危 険 な 副 作 用 を 認 め た
あ
象 症例 に お 対 け るAldo分
泌 能 を,血
漿 ア ル ドス
テ ロ ン濃 度 を も つ て 観 察 す る た め に は,肝 泌 刺 激 と して のAIIの
に 当 つ て は,正
最適 投 与 量 の決 定
腎 に お け る 異 常 なAldo代
常 人 に お け る 昇 圧 反 応 に よ り,
か らの 分 泌 と,主
と して,そ
よつ て,動
重/分 の
各 注 入 速 度 を 試 み た. 検 者 の循 環 血 漿 量 に影 響 を
漿Aldo値
が,副
と し て 肝 に お け るAldo代
入 に よ つ てAldoの
常人
半 減 期 が変
化 しな い こ と が 報 告 さ れ て い る10).AH注
入が 肝
及 ぼ さ な い た め に,注
入 液 量 と し て 生 理 塩 水20m1
に お け るAldoのmetabolic
を 用 い た 。5.0∼10ng
AII1kg体
重/分 の 投 与 量 は,
せ る とす れ ば,Aldo分
泌 量 増 加 が 血 漿Aldo濃
泌刺 激 量 と して採
正 し く反 映 さ れ ず,見
掛 け 上,分
従 来 の 研 究 者 ら に よ り,Aldo分
clearance
腎
謝 とに
的 に 変 化 し て い る か ら で あ る,正
に お い て は,AH注
実 施 に あ た つ て,被
お よび
謝 に よつ て影 響 され な い
こ と が 前 提 で あ る 。 そ れ は,血
non-pressor dose, subpressor doseお よ びpressor dose れ ぞ れ2,5,5.0,10ng/kg体
果
例 は 皆 無 で あ つ た.
つ た. Aldo分
dose
rateを 増 加 さ 度に
泌 反応 は 抑制 さ
用 さ れ て お り10)11),わ れ わ れ の 正 常 人 に お け る
れ る 結 果 を 示 す 可 能 性 が あ る.、 し か し,わ
AII注
の 正 常 人 お よ び 正 常 レ ニ ン本 態 性 高 血圧 群 に お け 、
入 後 の 血 漿Aldoの
の 少 な く と も2∼3倍
最 大 反 応 値 は,注 で あ り,ま
を 示 し て い た(図2).正 Aldoの
たdose
常 人 のAHに対
入前値 response
る,AHに
す る血 漿
し,ま
レス ポ ン ス の 成 績 に か ん し て はOelkerら10)
お よ びHollenbergら11)の
成 績 とわ れ わ れ の 成 績 と
は ほ ぼ 一 致 して お り,こ
の 試 験 に お け るARの
対 す る血 漿Aldoは
充 分 な増 加 反 応 を示
た ドー ス レス ポ ン ス を も つ て 反 応 した.し
た が つ て,AIIのAldo代
謝 に 及 ぼ す 影 響 が,血
Aldo値 の 解 釈 の 点 で,大
きな 問題 に は な らな い も
LRHの
え られ る.
レ ニ ンーア ル ドス テ ロ ン系 に 関 す る わ
れ わ れ の 研 究 の 成 績 を 要 約 す る と,以 の よ う な 昇 圧 物 質 の 非 生 理 的 量 を,
高血 圧 患 者 に 投 与 す る 場 合,充
漿
の と思 わ れ る
Aldo分 泌 刺 激 作 用 の 有 効 性 は 異 論 の な い も の と 考
し か し,こ
れわれ
で あ る(図8参 1)
分 の注 意 が払 わ れ
下 の とお り
照)、
LRHの
基 礎 状 態 に お け る 血 漿Aldo値
は,
る べ き で あ ろ う 。 わ れ わ れ は,こ
の試 験 に際 して
正 常 人 お よび 正 常 レ ニン 本 態 性 高 血 圧 症 と比 べ て
は,被
拍,心
有 意 の 差 を 認 め ず,そ
検 者 の 全 身 状 態,血
分 に 監 視 し,レ
圧,脈
正 常 域 を 越 え て い る 高 レ ニ ン群 を,
試 験 対 象 を 選 別 した.フ
れ た.一
血 圧 発 見 お よ び 治 療 開 始 時 期 が 過 去1
年 以 内,3)肝,腎,心 清K値
鑑 別 除 外 に 努 め た 症 例 を,試
と同様 に抑 制 が認 め ら
た,二
与量 と し て
(52) 日
常
次性 アル ド
般 に反 応 の 増 大傾 向 を は,
ACTHに
対 す る血 漿 た,フ
ド十 立 位 負 荷 に 対 し て も,,P.RA値
験 の 対 象 と した.ま
た 本 態 性 高 血 圧 症 群 に 対 す るAE投
PA症
Aldoの 反 応 が 著 明 に 認 め られ,ま
お よ び類 縁 疾 患 の
対す る
常 レニ ン本 態 性 高 血 圧 群 は,正
示 し た.3)二LRHで
血 管 系 に合 併 症 を 認 め な 正 常 でPA症
反 応 は,
方,正
に お け るAHに
ス テ ロ ン症(SA)は,一
令50才 以
低 値 に もか か わ
LR難
人 と 同 様 の 増 加 反 応 を 示 し,ま
ロ セ ミ ド試 験 を 実 施 した
良 性 本 態 性 高 血 圧 症 の 中 か ら,1)年
い,4)血
血 漿Aldoの
の基 準 に よ り
のPRAが
べ て 正 常 範 囲 内 で あ り,両 者 の 問 に 解 離
が 認 め られ た.2)
態性高血圧症 の う
試 験 対 象 よ り除 外 す る と と も に,次
下,2)高
らず,す
ニン 依 存 性 の 高 血 圧 発 作 な ど の
不 測 の 事 故 を 避 け る た め,本 ち,PRAが
電図を充
か わ らず,血
漿Aldoは
け る,AIIこ
対 す る 血 漿Aldoの
の抑 制 に もか
上 昇 した.4)
内会誌
ロセ マ イ
LRHに
反 応 は 高K摂
第64巻
第8号
お 取
日高
Fig. 8. Plasma
aldosterone
responses
宏
to angiotensin
805
II and ACTH
in, low renin hypertension.
後 に お い て も,基 礎 状 態 と同 様 に 抑制 さ れ て い
腺 腫 か らのAldo過 剰 分 泌 に よ り 体 内 にNa貯 留 を
た.5)Na制
来 た して,PRAが
限 を 加 え たLRHに
お け る,
AII
著 明 に抑制 され て い る こ とは,
に対 す る血 漿Aldoの 反応 は上 昇傾 向 を示 した.な
周知 の事 実 で あ る.さ
お,PA症
投 与 に対 す るAldo分 泌 反応 が,な ん らか の II 機 序 に
に お い て も同様 の 傾 向 が認 め られた.
らに,こ の病 態 で は,A
認 め られ た
よつ て抑 制 を 受 け て い る こ とが 知 られ てお り12),
AIIに 対 す る血 漿Aldoの 抑 制 反 応 とそ の抑 制 の メ
これ は,わ れ わ れ の 成 績 と も一 致 してい る 。 この
カニ ズ ム に つ い て,各 種 疾 患 と比 較 検 討 し,若 干
反 応 の抑 制 は,ア ルド ス テ ロ ン分 泌 腫 瘍 の 自律 性
以上 の成 績 に も とつ い て,LRHに
の考 察 を試 み た い.
に基 づ く もの か も知 れ な い.し か し,本 症 のAldo
正 常 人 お よび正 常 レニ ン本 態 性 高 血 圧 症 にお け る,AIIに
分 泌 は律 動 的 で あ り,日 内変 動 も著 明た 認 め られ る こ と,さ らにACTH投
鰐 す る血 漿Aldoは 明 らか に増 加 反 応 を
答 す る こ とは,わ
示 し,正 常 人 に お い てはdose responseを示 した.
与 に対 して 明 らか に 応
れ わ れ の 成 績 に も 示 され て お
ンーアン
り,ま た 血 清K値 がAldo分 泌 に強 い影 響 を与 え る
ジオ テ ンシ ン系 がAldo分 泌 刺 激 の 有 力 な 因 子 で あ
こ と も よ く知 られ てい る.こ の ば あ い め腺 腫 は レ
した が つ て,通
常 は両 群 に おい て,レニ
る こ とを示 す も の とい え よ う.こ の こ とは 従 来 の
ンーア ン ジオ テン シ ン系 の み に対 して 自律 性 を ニ
報 告 と同 じ く,わ れ わ れ も,両 群 の基 礎 状 態 に お
もち,他 の調 節 因 子 に 対 す る反 応 性 は充 分 に 存 在
け るPRAと
して い る こ とにな る.
血 漿Aldoに 有 意 の相 関 を 認 め た こ と
さて,低
か らも支 持 され よ う.さ らに二 次 性 アルド ス テ ロ
レニ ン本 態 性 高 血 圧 症(LRH)のAldo
ン症 に お け るAIIに 対 す る血 漿Aldoの 反 応 は,全
分 泌 能 に つ い て の報 告 は 少 な い.わ ずか に基 礎 状
例 を平 均 す れ ば,一 般 に 正 常 反 応 よ り増 大 傾 向 を
態 に お け るAldo分 泌 能 につ い て の若 干 の成 績 がみ
示 して い た.し か し,SA症
られ るの み で あ り,こ とに 分 泌 刺 激 に対 す る反 応
の こ の反 応 の意 義 に
関 して は,肝 に お け るAldo代 謝 を 初 め と して,そ
性 の 追 求 は ま だ な され てい な い.わ れわ れ の成 績
の基 礎 病 因 に 関 連 した 様 々な 未 解 決 の問 題 が 残 さ
に よれ ば,Aldo分
れ て お り,症 例 を重 ね て これ らの 諸 因 子 を 分析 検
ンーアン ジ オ テ ンシ ン系 の抑 制 に も かか わ らず,
討 す る 必要 が あ る.
血漿Aldo値 は 正常 に保 た れ てお り,ア ン ジオ テ ン
原 発 性 アル ドス テロ ン症(PA)に
昭和50年8月10日
泌 調 節 の 有 力 な 因 子 で あ る レニ
シ ンに対 す るAldoの 分 泌 反応 は 抑制 され て いた.
お い て は,
(53)
806
低 レ ニ ン 本 態 性 高 血 圧 症 の シ ニ ン ーア ル ド ス テ ロ ン 系 に か ん す る研 究
レ ニン とAidoの け るAldo代
解 離 を 説 明 す る に は,1)肝
謝 の 障 害:
の 低 下,2)
metabo1ic
にお
弱 して い る こ とを 報 告 した16).し か し,わ れ われ
rate
のLRHに
clearence
レ ニ ン以 外 の 調 節 因 子 の うち,カ
ウ ム ま た はACTRの
影 響,3)
リ
腎 のatrophy,5)副
お け る 選 択 的 機 能 低 下,6) に 関 連 した 末 知 のAldo分
Grimら は, LRHの
謝
り,PRAは
泌 調 節 機 序 の存 在 な どが
血漿Aldoは 正常 範 囲 内 に.あ
低値 を示 すが,日
漿AldoとPRAは
内変 動 に お け る血
有意 の桐関 を示 す こ とか ら,副
腎 皮 質 球 状 層 のAIIに 対 す る感 受性 の増 加 を 推定
あ げ られ る. Genestら
欠乏 を
裏 付 け る証拠 は皆 無 で あ り,本 反 応 の抑 制 がAC TH欠 乏 に基 づ く もの とは考 え難 い.
腎皮質球状層に お そ ら く,Na代
中 コー チ ゾル
値 お よび臨 床 所 見 か らは 内 因性ACTHの
副 腎1皮質 球 状 層
の レ ニ ンーア ン ジ オ テ ン シ ソ 系 に 対 す る 感 受 性 の 上 昇,4)副
お け る尿 中17・OHCS,血
は 本 態 性 高 血 圧 症 の 多 数 例 のAldo分
量 お よび 排 出 量 を 観 察 し,肝
泌
して い る17).し か しLRHにAHを
Aldoの 無 反 応 をみ た わ れ わ れ の 成 績 は, Gr三mら の
に お け るAldo代 謝 の
障 害 に よつ て そ の 血 中 レベ ル が 高 ま り,こ
説 を支 持 し得 な い. Ganongら は,Na負
れが高
血 圧 の 成 因 に 関 与 す る も の と 推 定 した13).し
注 入 して 血漿
か
荷 状 態 の 動物 で 刺 激 に 対 す
出量 は 多 く
るAldo分 泌 反 応 の低 下 して い る こ とを観 察 し,こ
漿Aldoが
正
れ をcirculating reini leve1の長 期 低 下 に よつ て も
常 範 囲 内 に あ る わ れ わ れ の 成 績 も 彼 ら の 説 とは 一
た ら され た 副 腎 皮 質 球 状 層 のatrophyの た め で あ
致 しな い.
る と推定 した18).し か しな が ら,わ れ わ れ の実 験
し,低
レ ニン 本 態 性 高 血 圧 症 のAldo排
は 正 常 で あ る こ とが 知 られ て お り,血
araghら L は, に よ るK排
LRHの
病 因 と して腎 尿 細 管 異 常
泄 障 害 に 基 づ く体 内K貯
本 症 に お い て,低
で,LRHの
外 因性ACTHお
レ ニ ン に もか か わ らず 血 漿Aldo
が 正 常 値 を 示 す こ と は,過
剰 のKlに よ るA藍do分 泌
ま た,Weidmanら
は,無
腎 患 者 のAIIに
とは,副 腎 皮 質 球状 層 のatrophyの 存 在 を 否 定 す る
にLRHで
はK貯
対 す るAldo分 が,わ
以上 述 べ た よ うにLRHに お け るA豆 に対 す る Aldo分 泌 能 の抑 制 機 序 につ い て,わ れ わ れ の成 績
の推 定 す る よ う
留 が 存 在 す る と す れ ば,
は 多 くの 因子 を否 定 して きた.一 方 この疾 患 に お
AHに
け る レニ ン とAldoの 解 離 に つ い て のNa代 謝 の 関
泌 反 応 に 増 強 が み られ る は ず で あ る
れ わ れ の 成 績 は,む
ま た,逆
もの で あ ろ う.
対す る
と正 の 相 関 を もつ て 反 応 す る
こ とを 観 察 し て お り15),Laraghら
に,血
清K値
よび フロ セ ミ ド十 立 位 負 荷 の刺
激 に対 して血 漿Aldoが 正 常 の 増 加 反 応 を示 した こ
刺 激 の た め で あ る と説 明 し て い る14).
Aldo分 泌 が 血 清K値
血 漿Aldo値 は副 腎 の分 泌 不 全 を 予想
させ る程 の低 値 を示 す こ とな く正 常 で あ り,ま た
留 を 想 定 し,
与 に つ い て は 多 くの研 究 が あ るが,未 だ 完全 を こは
し ろ 抑 制 さ れ て い た.
は 正 常 で あ つ て も,体
解 決 され て お らず,と
内に
くにA皿 に 対 す るAldo分 泌
K欠 乏 が あ る とす れ ば,こ
の 反 応 の 抑制 が 引 き お
反 応 に つ い て のNa代 謝 の 直 接 的 な 影 響 に つ い て
こ さ れ る 可 能 性 が あ る.こ
の 疾 患 に お け る 血 清K
は い まだ 検討 され て い な い.
値,尿
中K排
で 血 清K値
泄 量 は 正 常 で あ り,ま た,高K摂 の 上 昇 を 示 した2例
対 す る 血 漿Aldoの さ れ て お り,こ
反 応 は,基
わ れ わ れ は,Na制
取
は,下
察 した.動
礎 状 態 と同様 に抑 制
に お い て,Aldo分
物 に お いて はNaq負荷 あ るい はNa濃 度
の上 昇 がAldo生 合成 経 路 の終 末 期 に抑制 的 に 作用
の 反 応 の 抑 制 機 序 の す べ て をK平
す る こ とが よ く知 られ て お り,われ わ れ も,生 理食
垂 体 疾 患 お よ びdexamethasone
投 与 に よ る 内 因 性ACTHの
に お い て,
AIIこ 対 す る血漿Aldoの 反 応 が 回 復 す る こ とを観
に お け る,AHに
衡 異 常 で は 説 明 で き な い. Hortonら
限下 のLRH3例
塩 水 を負 荷 した イ ヌでAII投 与 に対 す るAldo分 泌 反 応 が 抑制 され て い る こ とを観 察 した19.こ れ ら
欠 乏 また は抑 制 状 態
の成 績 は,こ
泌 能 が そ の分 泌 刺 激 に対 して減
(54)
の 疾 患 に認 め られ るNa過剰 状 態 が,
日内 会 誌
第64巻
第8号
日高
直接 また は 間 接 に 何 らか の メカ ニ ズ ムを 介 して,
は,Na制
よ るAldo分
泌刺 激 反 応 が 選 択 的 に 抑
制 を 受 け て い る こ と を 示 し,こ
の現 象
のAldo分
謝が 関与す る 両者に 共通 し
た,未 知 の メ カ ニ ズ ム の存 在 す る こ とが 考 え られ る.
1) Jose,
A.,
ressed
plasma
tension.
Gout,
52:
察 され て お り20),さ らに本 症 に未 知 の鉱 質 コル チ コイ ドの 過剰 産 生 を 推 定 して い る者 も あ る .Grim surveyに よつ て,副
Sealey,
J.E.
sterone
renin
and
-4)
tension
J.
て と らえ る立 場 か ら,詳 細 に観 察 す べ きで あ る と
Verlauf,
述 べ て い る17).LRHがPA症
J.A.,
Beckerhoff,
R.,
R.:
Incomplete
suppression
tion
and
と筒様 に, A丑 に
対 す るAldo分 泌 反 応 の 抑 制 を 認 め た わ れ わ れ の 成 績 は,以 上 の報 告 とあわ せ て,本 症 の病 因 に関
New
1972,
on
high
New
藤 達 雄:内
考 え る.
床 一 特 集 号,21:850,1973.
V.結 1)
高
論
フロ セ ミ ド十 立 位 負 荷 に よる レニン 分 泌 刺
激 に 対 す る反 応 に よつ て鑑 別 され たLRHに
おけ
テ ロ ン症 と異 な り,PA症
-8)K:ato,
T.,
Kash呈ma,
N.,Araki,
Y,
and
the
aldosterone
binding
Hypertension
pp.
Springer
286.
-6)‰Á
腎 皮 質,ホ
M.,
Tsai,
ル モ ン と臨 東 貞 三,日
Z.H.,
total
in
plasma
method
corticosteroid by
Endocrinol.
水 直 容,宮
Jap.,
対 す る血 漿Aldoは 正 常
の増 加 反 応 を示 し,ま た,フ
ロセ ミ ド十立 位 負荷
に 対 して も,PRAの
応)値 に もか か わ ら
ず,Aldoは 3)
低(反
J.J.,
cortex
日本 腎 臓 学 会
対 す るAldoの 反 応
angiotensin
ll
W.R.,
in
to angiotensin
Adams,
men
認 め られ た.
and
II
and in
normal
O.and
(55)
the
and
adrenal man.
of
renal man.
of primary
Genest,
and salt
Williams, intake
vascular J.
aldosterone
in
aldosteronism.
J.:Adecreased
on
responses clin.
R.:Stimulation
48:1230,1969.一13)Nowachinsky,
お い て は,副 腎 皮質 球
of
D.F.
54:34,1974.一12)Horton,
に お い て も同様 に
Brown, J.J.
sodiumd-deplete
influence
glomerulosa
suppression
Morton,
Res.,34:69,1974.一11}Hollenberg,
Chenitz,
adrenal
を 制 限 す る と反 応の 回復 が み られ た.こ のNa制 限
昭和50年8月10日
to
W.,
A.F.,
Sensitization
G.H.:Reciprocal
の 抑 制 は カ リ ウム を 負荷 して も認 め られ た が,Na
以 上 の 成 績 は,LRHに
Vevuer,
J.LS.:
Circulation N.K.,
時 の 反 応 の回 復 現 象 は,PA症
R.,
Robertson,
増 加 を示 した.
さ らに,LRHのARに
Eraser,
17:
下 英夫:furosemide
に よ る レ ニ ン 分 泌 刺 激 の 検 討,第15回
LRHのACTHに
and
competitive
総 会 予 稿 集:105,1972.一10)Oelkers,
2)
Shimizu,
Y.:The
of
analysis.
37,1970.一9)清
た.
secre
hypertensive
(ed.)
Yoshitoshi,
determination
protein
と同様 に抑 制 され て い
Wilkinson,
一7)伊
11-deoxycorticosteroid
正 常 レニ ン本 態 性 高 血 圧 症 お よび二 次 性 ア ル ドス
Luetscher,
and
宏,加 藤 達 雄,荒 木 嘉 隆,吉 利 和:ア ル ドス テ ン のradiohmmunoassay,最新 医 学,26:2115,1971. ロ
for
るAII注 入 に 対 す る血 漿Aldoの 反 応 は,正 常 人,
-5)
Kojo
分 泌 機 能 検 査,副
Springer
A.J.
in
1972,
与 す る可 能 性 につ い て有 力 な示 唆 を与 え る もの と
Hyper
(ed.)
intake. E.
and
volume
277.
of
sodium
York,
D.P. to
Kojo
pp.
and
32:
hypertension. E.
of
Cardiol.,
Lauler,
concentration
Genest
Verlauf,
J.
Dowdy,
plasma
patients `72 , J.
す る病 態 生 理 の少 な く と も一 部 に,副 腎 病 変 の関
York,
aldo forms
responses
and
52: J.H.
Plasma various
G.H.,
man,
Genest
Jr.:
Med.,
Laragh,
in Amer.
Normal '72,
J.
F.R.,
Aldosterone
-2)
V.J.
H.R.:
Williams,
R.G.:
1970.
Amer.
Brunner,
hypertension. 1973.
9,
hyper p
Johns,
interrelationships
manipulation;
の よ うな副 腎 疾 患 の混 在 型 と し
and
Buhler,
Sup
essential
72:
J.J.
-3)
N.M.:
in
Med.,
Harris,
1972.
Dluhy,
過 形 成 そ の他 の異 常 病 変 が高 率 に認 め られ た こ と を 報 告 し,PA症
457,
554,
Kaplan,
activity
hypertension.
essential
腎に
and
Inter.
M,G.,
Hyporeninemic
Aldo分 泌 反 応 を 示 す こ とはC。11insらに よつ て も観
献
J.R.
renin
Ann.
Crane,
Na平 衡 を 変 化 さ せ た 場 合 に, lnappropriateな
らは,LRHのsurgical
泌調
節 メ カ ニ ズ ム に よ る も の と考 え られ る. 文
泌調 節 の 中 に,Na代
れ は お そ ら くPA
症 と共 通 のNa代 謝 に 関 連 した 未 知 のAldo分
限下 の 原 発 性 アル ドス テロ ン症2例 に お
い て も 同様 に 認 め られ,LRHとPA症
807
状 層 のAHに
AIIに よるAldo分 泌 刺 激 作 用 を選 択 的 に抑 制 して い る可 能 性 を 示 唆 す る もの で あ ろ う.こ
宏
Invest., and
plasma
of
J.
clin. W.,
metabolic
normal Invest., Kuchel, clear一
808 低
レ ニン 本 態 性 高血 圧 症 の レ ニ ンーア ル ド ス テ ロ ン 系 に か ん す る 研 究
ance rate of aldosterone in benign essential hype rtension. J. clin. Invest., 50: 2184, 1971. -14) Laragh, J.H., Sealey, J. and Brunner, H.R.: The control of aldosterone secretion in normal and hypertensive man. Amer. J. Med., 53: 649, 1972. -15) Weidman, P., Horton, R., Maxwell , M.H., Franklin, S.S. and Fichman, M.: Dynamic studies of aldosterone in anephric man. Kidney internat., 4: 289, 1973. -16) Rayyis, S. and Horton, R.: Effect of angiotensin II on adrenal and pituitary function in Man. J. clin. Endocrinol. Metab., 32: 539, 1971. -17) Grim, C.J., Winnacher, T., Peters and G. Gilbert.: Low renin, "normal" aldosterone and hypertension. J. clin. Endocrinol.
Metab.,39:247,1974.一18)Ganong, Biglieri,
E.G.
goulating and
and
(56) 日
泌促
Progr. 越 洋,日
Weinberger, Gonzales,
高
Res.,
宏,宮
峰 達
M.H.,
sustained
salt_loading
in
Dowdy,
J.
and aldosterone
patients
の 影
rs74:一20)Collins,
C.M.
Abnormally
hypertension.
aldosterone
Hormone
た い す る 生 理 食 塩 水 負荷
本 腎 臓 学 会 誌,is:166,
G.W.,
of
re
木 嘉 隆:Angiotensin IIのaldoste
進 作 用に
R.D.,
J.:Mechanism
secretion Rec.
一19)水
男 。 加 藤 達雄,荒 rone分
igh
P.
adrencortical
glucocorticoids.
22:381,1966.
響,日
W.F.,
Mulrow,
with clin.
A.J.,
Nokes,
I,uetscher,,J.A.: secretion various
form
Invest.,49:1415,1970
内 会 誌 第64巻
during of
be n
第8号