臨

床

興 味 あ る伝 導 障 害 を 主 徴 と した parainfluenza

virus性

心 筋 炎 の1例

日本医科大学第一内科 大津

文 雄◇

大竹

稔

日 本医科大学CCU

豊田

都立広尾病院 A CASE

OF

PARAINFLUENZA

VARIOUS Fumio

KINDS

OTSU, MD,

Department

Minoru

Nippon

概要 LDH,

22才 の 女.か CPK,

BUN,

parainfluenza

YOKOTA, MD

痛,意

パ タ ン に 転 じ た.は 識 回 復 せ ず,高 た と こ ろ,症

現 病 歴:

22才,女

後 退 院 し た.Parainfluenza

の 原 因 がparainfluenza

管 内 挿 管 に よ る02吸

脚後 枝 ブ ロ ック のみ の 拍 数 増加 し た の ち も 意

入 お よび 人 工 透 析 を 施 行 し

virusに よ る 心 筋 炎 の 報 告 は ほ と ん ど な い が, よ る 心 筋 炎 の 存 在 す る 可 能 性 が あ る.

痛 な ど の 感 冒 様 症 状 を も つ て 発 病,15日

に つ き報 告 す

ま い あ り,起

立 不 能.16日

反 復出 現,午

後3時

症

例

分,意

務 員.

濁 を 来 た し,脈拍 熱,咳,咽

頭

某 病 院 入 院.当

識 清 明 で あ つ た と い うが,午 数30/分,収

滴 を 開 始 し た(こ

(44)

時 脈 拍 数801 後4時

意識混

縮 期 血 圧60㎜Hg,

著 明 な チ ア ノ ー ゼ を 呈 し た た め,担

第264圏 関 東 地 方会 推 薦 〕

高度のめ

正 午 頃 よ り前 胸 部 痛

に isoproterenol, noradrenaline, 〔昭 和51年3月13日

室 ブ ロ

過 性 に完 全 房 室 ブ ロ ックな い し高 度 房 室 ブ

子,事

昭 和49年3月13日,発

GPT,

電 図 は 最 初2:1房

候 群 に よ る 意 識 障 害 を 考 え た が,心

昇 あ る た め,気

る.

患 者:

中GOT,

よ び 心 筋 生 検 に お け る 心 筋 細 胞 萎 縮 消 失 ・間 質 筋 炎 と 診断 さ れ た.心

か ぜ 症 候 群 と し て 治 療 さ れ て い る 症 例 の な か には,本virusに

複 雑 な 不 整 脈 を 示 し,そ

球 増 多,血

に て 肺 炎 所 見 お よ び 心 拡 大 が 認 め ら れ,

脚 前 枝 ブ ロ ッ ク の パ タ ン を 呈 し た の ち,左

じめ,Adams-Stokes症

virusに よ る と思 わ れ る 心 筋 炎 の1例

Tokyo

脈 を き た し,白血

部X線像

後 枝 ブ ロ ッ ク を 示 し,一

度 のanoxiaとBUN上 状 改 善,50日

Hospital,

識 障 害,徐

virus III型血 清 抗 体 価 の 有 意 の 上 昇,お

よ び 右 脚 ブ ロ ッ ク+左

School, Tokyo

School, Tokyo

Hiroo

浮 腫 ・軽 度 細 胞 浸 潤 等 の 所 見 か ら,parainfluenza心

ロ ッ ク,お

HAYAKAWA, MD

Medical

TOYODA, MD

の 高値 と と も に,胸

ッ ク と と も に 右 脚 ブ ロ ッ ク+左脚

Hirokazu

Nippon

Medical

Metropolitan

ぜ 症 状 に 始 まり,胸 creatinine等

SHOWING

DISTURBANCES

and

Medicine,

Mannosuke Tokyo

MYOCARDITIS

OTAKE, MD

Toshio CCU,

利男

CONDUCTION

of First Internal

弘一

横 田万之助

VIRAL

OF

早川

当 医 は ただ ち

hydrocortisoneの

点

の 時 は 心 電 図 を 記 録 して い な

日内 会 誌

第67巻

第5号

大津

文雄他4名

い).

511

胸 部X線

心 電 図 所 見: 心電 図 で,2:1房

図1(a)は そ の あ と記 録 した 室 ブ ロ ッ クを呈 し,か つPR

常 だ が,両

時 間約0.30秒,右

軸 偏 位 を伴 う右 脚 ブ ロ ッ ク(い

SaO2

電 図(図2)で

午 後4時50分

はP-Pは0.58秒,R-R

全 房室 ブ ロ ッ クが 示 され た(Iで QRSが1個

の心

71%,

pH

LDH,

方向 の 異 なる

CPK,

(+),尿

の後 も上 記 薬 物 の点 滴 静

noradrenaline,

み られ な か つ た の で,17日

と と も に,ペ

転 送 され た.

し,心

転 送 直 後 所見: 意 識 依 然 混 濁,チ ア ノ ーゼ 著 明,収 縮期 血圧118㎜Hg,呼 吸 数30∼351分,両 側

糖143㎎/dl,

dexamethasoneの 投与 す る

の 後 心 電 図 は,図5に

示

す ご と き 伝 導 障 害 と 異 所 性 収 縮 が 混 在 す る複 雑 な 不 整 脈 が 出 現 し た(isoproterenolの て い る か も し れ な い).意 持 続 し,SaO2が59%に

如 く,前 回 と異 な り左 軸 偏 位 を 呈 室 ブ ロッ 重な

つ て い るの で あ ろ う.)

昭 和53年5月10日

.

CRP

ー ス メ ー カ ー ・カ テ ー テ ル を 挿 入

停 止 に 具 え た.そ

は図1(b)の

図1.心

GOT,

3.1㎎/dl,

炎 に 対 しcephalothinを

肺 野 に 湿性 ラ音,心 基 部 に奔 馬 調 律 聴 取.心 電 図

う一 つ のPはQRSと

あ

波 に は 徐 波 傾 向 が み ら れ た.

Isoproterenol,

本医大

示 す 如 くGPT,

蛋 白0.2㎎/dl,糖0.05g/dl,血

髄 液 正 常,脳

点 滴 静 注 続 行,肺

クが あ る と思 わ れ る(も

素

48㎜Hg ,

高 値 が あ り,白 血 球 数21900 清creatinine

注 を 継続 した が,症 状 お よび心 電 図所 見 の改 善 が

す る右脚 ブ ロ ッ クで,お そ ら く2:1房

脈 血Po2

心 静 脈 圧180㎜H2Oで

図4に

BUNの

な おCCLF(〓),血

なす な ら,房 室 干渉 解 離 を伴 う高 度房 室 ブ ロ ッ ク

CCUに

7.21,中

臨 床 検 査 所 見:

1.14秒 の完

午 後8時,日

正

つ た.

あ る.こ れ を伝 導 され た心 室 収 縮 とみ

とい うこ とに な る.)そ

如 く,心 胸 比 は50%で

2l/分,吸 入 中 に もか か わ ら ず,動

わ ゆ る希 有 型 脚 ブ ロ ッ ク)を 呈 した .意 識 混濁 は そ の後 もつ づ い た が,3月17日

像 で は 図3の

肺 野 に 肺 炎 像 が 認 め ら れ,100%酸

識 障 害 はCCU収

容後 も

低 下 し た の で,気

管 内挿

管 お よ び レス ピ レー タ 使 用.し

か しfurosemide使

用 の た め か,BUNお

よびcreatinine(9.7mg/dl)の

上 昇 を み た た め,血

液 透 析 を1回

電 図所 見 の変 遷

(45)

作 用 が 関与 し

行 なつ た と こ

512

興 味 あ る伝 導 障 害 を 主 徴 と し しparainfluenza

virus性 心 筋 炎 の1例

ろ,尿 量増 加 し,意 識 障 害 ・呼 吸 困 難 ・臨 床検 査

で,そ

所 見 い ず れ も改 善,4週

脚 後 枝 ブ ロ ッ ク と 思 わ れ る パ タ ン が つ づ き,3

後 に は す べ て 正常 に復

の 前 後 に は 図1(a)の

右 脚 ブ ロ ッ ク+左

し,肺 炎 陰 影 も消失,経 過 中60%と 拡 大 を示 した

月26日 に は 図1(c)の

如 く右 脚 ブ ロ ッ ク は 消 失

心 胸 比 も51%に 縮 小 した.

し,著

な わ ち 左 脚 後 枝 ブ ロ ック

こ の 間 に お け るvirus抗 体 価 の 推 移 は 表1の で,Ⅲ

型 のparainfluenza

virusの 価 が4倍

如 く

明 な 右 軸 偏 位,す

の み と思 わ れ る パ タ ン と な つ た.な

お こ の あ と4

に 上昇

した の が 注 目 さ れ た.

本 例 の心 電 図 で,図1(b)は 著 明 な左 軸 偏 位 が み られ右 脚 ブ ロ ック+左 脚 前 枝 ブ ロ ッ ク とみ な され るが,こ の パ タ ンが み られ た の は この時 のみ

図2.3月17日 完 全 房 室 ブ ロ ッ ク(Iの た も の と す る な ら,干

午 後4時50分

の心 電 図

上 向 き のQFSが

伝 導 され

渉 解 離 を 伴 う 高 度 房室 プ ロ

ッ ク)

図4.本

図3.胸

部X線 写 真

図5.3月18日

(46)

症 例 の経 過

午 前2時 の 心 電 図(説 明 本 文)

日内 会 誌

第67巻

第5号

大津 表1.Virus抗 4月 3日 Influenza

Pwalnfluenza

Coxsackle

体 価 の変 動 10日

A

< 4

< 4

< 4