日消誌

2015;112:270―277

大腸・胃・小腸に病変を認めた MALT リンパ腫の 1 例 佐 藤 門 神

原 原 馬 澤

康 太1) 崇 久美子2) 輝 実1)

田 畑 江 頭 比 島

拓 久 秀 人1) 恒 和3)

要旨:症例は 85 歳,男性.大腸 MALT リンパ腫と診断されたが,

荒 川 藤 原 小 泉

丈 夫2) 純 子 浩 一

の除菌治療は無効で,無

症状のため内視鏡的に経過観察していた.初診時より 9 年後,大腸病変の増大を認め,新たに胃と小 腸に MALT リンパ腫を認めた.遺伝子解析では API2! MALT1 キメラ遺伝子が陽性で,胃と大腸病変 は同一クローンであった.本症例は API2! MALT1 陽性 MALT リンパ腫の長期経過における多臓器浸 潤例と考えられた.MALT リンパ腫では注意深い全身検索と長期にわたる経過観察が重要である. 索引用語:大腸 MALT リンパ腫,胃 MALT リンパ腫,小腸 MALT リンパ腫,API2!MALT1,

はじめに

I

MALT(mucosa-associated lymphoid tissue) リンパ腫は,粘膜関連リンパ組織に由来する低悪





患者:85 歳,男性. 主訴:ふらつき.

性度の B 細胞性リンパ腫で,主に消化管,肺,

既往歴:胸膜炎(14 歳) ,高血圧(50 歳) ,一

甲状腺,唾液腺などの慢性炎症を背景として発生

過性脳虚 血 発 作(62 歳) ,早 期 胃 癌(74 歳,75

することが知られている.消化管原発としては胃

歳) .

が最多であり,Helicobacter

pylori(H. pylori)と

現病歴:20XX 年,便潜血陽性の精査目的に大

の関連性が明らかとなっている.これに対し,大

腸内視鏡検査を施行し,S 状結腸に 20mm 大の

腸や小腸の MALT リンパ腫は比較的まれであ

丈の低い隆起性病変を認め(Figure 1a) ,生検に

り,病因や治療法など一定の見解が得られていな

て大腸 MALT リンパ腫と診断された.上部消化

い.今回われわれは大腸 MALT リンパ腫の経過

管内視鏡検査では明らかな異常所見を認めなかっ

観察中に,胃・小腸・大腸に多発病変を認めた

たが,尿素呼気試験が陽性であったため,3 剤併

MALT リンパ腫の 1 例を経験した.MALT リン

用療法(クラリスロマイシン+アモキシシリン+

パ腫の多臓器多発例は比較的まれであり,MALT

ランソプラゾール)による H. pylori 除菌を行っ

リンパ腫の進展様式や長期予後を考える上でも示

た.除菌治療後に尿素呼気試験は陰性化したが,

唆に富む症例と考え,文献的考察を加えて報告す

大腸 MALT リンパ腫は内視鏡的に改善を認めな

る.

かった.除菌治療無効と判断し外科的切除を検討 したが,無症状のため経過観察を希望された.以

1)がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 2)がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 3)がん・感染症センター都立駒込病院病理科 Corresponding author:田畑 拓久([email protected]) (52)

2015年 2 月

271

Figure 1. 大腸内視鏡検査: (a)初診時の大腸内視鏡検査では S 状結腸に 20mm 大の丈の低い隆起性病変を認め, 生検にて大腸 MALT リンパ腫と診断された.(b)初診時から 9 年後の大腸内視鏡検査では S 状結腸病変は全体的 に厚みを増し,増大傾向であった.(c) (d)インジゴカルミン散布後の拡大観察では粘膜下の隆起成分により粘膜 が伸展され,腺管と腺管の間が開大し,粘膜下腫瘍の所見と考えられた.表面には木の枝状に分岐する異常血管(tree like appearance)が観察された.(e)上記病変の 3cm 肛門側に同様の性状を呈する発赤調の平坦隆起を認め,新 規病変と考えられた.

後 4 年間は毎年大腸内視鏡検査にて経過観察を

大腸内視鏡検査:S 状結腸に,立ち上がりがな

行っていたが,明らかな増大傾向は認められな

だらかで小結節の集簇した隆起性病変を認めた

かった.その後外来通院を自己中断され,初診時

(Figure 1b) .色素内視鏡および拡大内視鏡観察

より 9 年後,歩行時のふらつきを主訴に近医を受

では粘膜下の隆起成分により粘膜が伸展され,腺

診し,貧血(Hb 9.0g! dl)を指摘された.上部消

管と腺管の間が開大していた(Figure 1c) .粘膜

化管内視鏡検査および大腸内視鏡検査で異常所見

下腫瘍を示唆する所見で初診時から指摘されてい

を指摘され,MALT リンパ腫の増悪を疑われ,

る MALT リンパ腫病変と考えられた.以前と比

精査・加療目的に当科紹介受診となった.

べ全体に厚みが増し,増大傾向であった.通常お

入院時現症:意識清明,身長 160.2cm,体重 68.2

よび NBI 拡大観 察(Figure 1c,d)で は 表 面 に

kg,体温 36.8℃,血圧 111! 61mmHg,脈拍 75 回!

木の枝状に分岐する異常血管像を多数認めた.主

分・整.眼瞼結膜に貧血なく,眼球結膜に黄染な

病変より 3cm 肛門側には新たに発赤調の平坦隆

し.胸部は心音・呼吸音ともに異常所見なし.腹

起を認め(Figure 1e) ,以前までの大腸内視鏡検

部は平坦・軟で圧痛なし.四肢に異常所見なし.

査では指摘されていなかったことから新たに出現

入院時検査所見(Table 1) :Hb 13.1g! dl と貧

した病変と考えられた.主病変および新規病変の

血は改善していた.その他,血算・生化学・凝固

それぞれより生検を行った.

系に明らかな異常所見は認められなかった.腫瘍

上部消化管内視鏡検査:穹窿部大弯に大きさ

マーカーおよび可溶性 IL-2 レセプターは正常範

10mm 程度の発赤と褪色を混じた凹凸不整な粘膜

囲内であった.尿素呼気試験は陰性であった.

を認めた(Figure 2a,b) .以前の上部消化管内 (53)

272

日本消化器病学会雑誌

第112巻

第2号

Table 1. 入院時検査所見 WBC RBC Hb Ht MCV MCH MCHC Plt

5200 486×104 13.1 40.2 83 27.0 32.6 17.9×104

/μl /μl g/dl % /fl /pg % /μl

TP Alb BUN Cr T-bil Na K AST ALT LDH ALP

7.3 4.5 17 0.9 0.3 138 5.2 17 13 167 321

g/dl g/dl mg/dl mg/dl mg/dl mEq/l mEq/l U/l U/l U/l U/l

Amy Glu CRP

80 U/l 92 mg/dl 0.14 mg/dl

CEA CA19-9 sIL2-R

1.5 ng/ml 28.6 U/ml 404 U/ml

尿素呼気試験 陰性

Figure 2. 上部消化管内視鏡検査: (a) (b)胃穹窿部大弯に発赤と褪色を混じた 凹凸不整な粘膜を認めた.(c)以前の内視鏡所見を retrospective に観察すると 同部位にわずかに発赤する粘膜を認めた(矢印) .

視鏡検査(Figure 2c)を retrospective に見直す

常所見は認められなかった.

と,同部位にわずかに発赤する粘膜を認め,増大

小腸内視鏡検査(Figure 3c,d) :経肛門的に

傾向と考えられた.

シングルバルーン小腸内視鏡で回腸の検索を行っ

頸部∼骨盤部 CT 検査(Figure 3a) :右下腹部

た.回腸中部に周囲粘膜のひきつれと狭窄をとも

の回腸中部に,長径 2cm 程度の限局性の壁肥厚

なう潰瘍性病変を認めた.潰瘍周囲の回腸粘膜表

を認め,周囲に腫大リンパ節を認めた.以前の CT

面には木の枝状に分岐する異常血管像を認め,

検査(Figure 3b)では,壁肥厚や腫大リンパ節

MALT リンパ腫の可能性を考え,生検を行った.

は認められなかった.頸部∼上腹部に明らかな異

生検病理所見: (54)

2015年 2 月

273

Figure 3. 頸部∼骨盤部 CT 検査,小腸内視鏡検査:(a)CT 検査では右下腹部の回腸 に限局性の壁肥厚(矢頭)とリンパ節腫大(矢印)を認めた. (b)2007 年の CT 検査を retrospective に見直したが壁肥厚やリンパ節腫大は認められなかった. (c) (d)シングル バルーン小腸内視鏡検査.回腸中部に周囲粘膜のひきつれと狭窄をともなう潰瘍性病変を 認めた.周囲には木の枝状に分岐する異常血管(tree like appearance)が観察された.

大腸生検(Figure 4a,b,c) :CD10 陰性,CD20

のクローナルな再構成を示すバンドが同一部位に

陽性の小型∼中型の異型リンパ球の浸潤を認め

認められた.

た.一部では上皮内への浸潤像(lymphoepithelial

臨床経過:内視鏡所見および病理所見より,大

lesion(LEL))を認め,MALT リンパ腫の所見

腸・胃・小腸に多発病変を認めた MALT リンパ

と考えられた.主病変,新規病変ともに同様の病

腫と診断した.骨髄検査や FDG-PET は行ってお

理所見であった.

らず,正確な病期診断には至っていないが,CT

胃生検(Figure 4d,e,f) :粘膜筋板から粘膜

所見からは Lugano 分類 Stage II1 期と考えられ

固有層にかけて CD20 陽性の小型∼中型の異型リ

た.治療法として全身化学療法が検討されたが,

ン パ 球 が 集 簇 し,胃 底 腺 の 破 壊 像 を 認 め た.

高齢であること,無症状かつ進行が緩徐であるこ

MALT リンパ腫に矛盾しない所見と考 え ら れ

となどから無治療経過観察の方針とした.また,

た.

狭窄解除目的の小腸部分切除に関しては,現時点

小腸生検(Figure 4g,h,i):粘膜固有層の間

で明らかな狭窄症状を認めないことから,手術は

質に CD20 陽性の異型リンパ球が増殖し,間質の

症状出現時に再検討する方針となった.

開大と LEL 様の上皮破壊像を認めた.

II





遺 伝 子 解 析:生 検 材 料 を 用 い た 遺 伝 子 解 析

MALT リ ン パ 腫 は,粘 膜 関 連 リ ン パ 組 織

(fluorescence in situ hybridization;FISH)(Fig-

(MALT)を発生母地として生じる B 細胞性の低

ure 5a)では,API2! MALT1 遺伝子が陽性であっ

悪性度リンパ腫で,1983 年に Isaacson らによっ

た.また,初診時の大腸生検と今回の胃生検材料

て初めて提唱された疾患概念である1).原発部位

を用いた PCR 法(Figure 5b)では,IgH 遺伝子

は消化管が最も多く,頭頸部・眼付属器・皮膚・ (55)

274

日本消化器病学会雑誌

第112巻

第2号

Figure 4. 生検病理所見: (a) (b) (c)大腸生検.CD10 陰性,CD20 陽性の小型∼中型の異型リンパ球の浸潤を認 めた.一部では上皮内への浸潤像を認め,MALT リンパ腫の所見であった. (d) (e) (f)胃生検.CD20 陽性の異 型リンパ球が増殖し,胃底腺の破壊像を認めた.(g) (h) (i)小腸生検.粘膜固有層の間質に CD20 陽性の異型 B リンパ球が増殖し,間質の開大と LEL 様の上皮破壊像を認めた.CK7 染色でも上皮へ浸潤する異型リンパ球を認 めた.

肺などにも慢性炎症を背景として発生することが

だ明らかとなっていない.しかし,大腸 MALT

知られている.消化管原発としては胃が 85% と

リンパ腫に対する H. pylori 除菌治療の有効性を

圧倒的に多く,大腸の MALT リンパ腫はまれで

支持する報告も散見され,野村ら5)は大腸あるい

ある.胃 MALT リンパ 腫 で は 92∼98% と 高 率

は直腸 MALT リンパ腫に対して除菌治療を行っ

に H. pylori 感染が認められ,MALT リンパ腫の

た 26 例中 15 例(57.7%)で病変の消失が得られ

病 因 の 1 つ と 考 え ら れ て い る.1991 年 に

たと報告している.大腸 MALT リンパ腫に除菌

2)

Wotherspoon ら が,H. pylori の除菌で胃 MALT

治療が有効であった理由として,H. pylori 以外の

リ ン パ 腫 が 消 失 す る こ と を 報 告 し て 以 降,胃

micro

MALT リ ン パ 腫 の 60∼80% が H. pylori の 除 菌

MALT リンパ腫の発生に関与している 可 能 性

3) 4)

organism の感染による慢性的な刺激が

治療に反応することが明らかとなり ,現在では

や,除菌治療とは無関係に自然消失しているなど

H. pylori の除菌治療は胃 MALT リンパ腫では第

といったさまざまな推測がなされている.しか

一選択となっている.一方,大腸 MALT リンパ

し,本症例では大腸 MALT リンパ腫に対して除

腫の病因や治療方針に関しては一定の見解が得ら

菌治療を行ったが,大腸病変の改善は得られず,

れておらず,H. pylori との関連性についてもいま

除菌後に胃や小腸にも病変が認められたことか (56)

2015年 2 月

275

Figure 5. 遺伝子学的検査:(a)API2/MALT1 遺伝子に関する遺伝子解析(FISH). Fusion signal が認められた. (b)IgH 遺伝子再構成(PCR) .初診時の大腸生検と今回(初 診時から 9 年後)の胃生検材料で同一部位に IgH 遺伝子のクローナルな再構成を示すバ ンド形成を認めた.

ら,除菌治療は無効であったと判断された.その

考えられる.いずれにしても,MALT リンパ腫

た め,初 診 時 か ら 9 年 間 の 長 期 経 過 を 経 て,

の胃・小腸・大腸病変の経時的変化を追跡し得た

MALT リンパ腫が緩徐に進行し,病変が複数臓

点は貴重と考える.

器に及んだものと推察された.

近年,MALT リンパ腫に関する遺伝子学的解

以前,MALT リンパ腫は限局性病変と考えら

析の進歩により,いくつかの臨床的特徴と関連の

れていたが,本症例のように同一臓器あるいは他

ある遺伝子変異が明らかとなっている.その代表

臓器に多発する例が知られるようになり,現在で

的 な も の が,t(11;18) (q21;q21)転 座 に よ る

は長期経過で約 1! 3 が骨髄や他臓器に浸潤する

API2! MALT1 キ メ ラ 遺 伝 子 で あ る.API2!

6)

“disseminated disease”として捉えられている .

MALT1 キメラ蛋白が NF-κB を活性化すること

7)

消化管に関しても,Yoshino ら は MALT リンパ

で MALT リンパ腫の増殖に寄与すると考えられ

腫 304 例中 3 例に複数の消化管に病変が多発した

ており,API2! MALT1 キメラ遺伝子の陽性率は

8)

ことを報告している.また,Raderer ら は治療

胃 MALT リ ン パ 腫 で 5∼20%,大 腸 MALT リ

後の MALT リンパ腫の長期予後の検討におい

ンパ腫では 15% と報告されている18)19).本症例の

て,37% の症例で再発を認めたことを報告し,

生検材料を用いた遺伝子解析においても,API2!

そのうちの 68% が初発臓器とは別の臓器に再発

MALT1 キメラ遺伝子 が 陽 性 で あ っ た.API2!

をきたしたと述べている.この他にも複数臓器に

MALT1 陽 性 の 胃 MALT リ ン パ 腫 は,H. pylori

多発した MALT リンパ腫の報告は国内外に散見

感染による胃 MALT リンパ腫とは発症機序が異

9) ∼17)

.すなわち,MALT

なっており,H. pylori 陰性例や除菌無効例が多い

リンパ腫では原発臓器以外にも病変が同時性に存

と報告されている20).本症例で除菌治療が無効で

在あるいは異時性に発生する可能性を念頭に置く

あったのは,API2! MALT1 キメラ遺伝子が一因

され,決してまれではない

べきである.本症例において胃・小腸病変がどの

であった可能性がある.さらに,API2! MALT1

時点で発生したかについては定かではないが,初

陽性の MALT リンパ腫では複数臓器に病巣を有

診時より既に存在していた病変が緩徐に増大し顕

する例,すなわち多臓器浸潤例が多いのも特徴と

在化した可能性と,大腸 MALT リンパ腫が長期

される21).本症例では,初診時の大腸生検材料と

経過中に異時性に胃や小腸に浸潤した可能性とが

初診時から 9 年後の胃生検材料を用いた PCR に (57)

276

日本消化器病学会雑誌 文

て同一部位に IgH 遺伝子のクローナルな再構成 性が示唆され,API2! MALT1 陽性の MALT リ ンパ腫が長期経過の中で大腸・胃・小腸へ多臓器 浸潤をきたしたものと考えられた.また,Raderer MALT1 陽性例は再発までの期間が ら8)は API2! 陰性例に比べて有意に長く,18∼307 カ月(中央 値 76 カ月)と長期間であったことを報告してい る.こ の よ う に,API2! MALT1 陽 性 の MALT リンパ腫では,多臓器浸潤や長期経過後の再発が おこりうるため,注意深い全身検索と長期にわた る follow-up が重要である. 大腸 MALT リンパ腫の治療法には外科的切除 や放射線治療も考慮されるが,本症例では大腸・ 胃・小腸と病変が多発していたこともあり,全身 化学療法が検討された.しかし,高齢であること や無症状であること,MALT リンパ腫が低悪性 度で進行が緩徐であることなどから,無治療経過 観察の方針となった.しかしながら,MALT リ large

B-cell lymphoma(DLBCL)への形質転換がおこ ることが知られており22),消化管 MALT リンパ 腫においても DLBCL への形質転換には十分な注 意が必要である.一方で,API2! MALT1 陽性例 では DLBCL への形質転換がほとんど見られない との報告もあり22),この点では本症例は DLBCL への形質転換の可能性は低いと考えられる.しか し,小腸狭窄から腸閉塞に至った小腸 MALT リ ンパ腫の報告も散見されるため23),今後小腸病変 による狭窄症状の出現には注意が必要と考えられ た. 結

第2号



1)Isaacson P, Wright DH : Malignant lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue. A distinctive type of B-cell lymphoma. Cancer 52 ; 1410―1416 : 1983 2)Wotherspoon AC, Ortiz-Hidalgo C, Falzon MR, et al : Helicobacter pylori-associated gastritis and primary B-cell gastric lymphoma. Lancet 338 ; 1175―1176 : 1991 3)Fischbach W, Tacke W, Greiner A, et al : Regression of immunoproliferative small intestinal disease after eradication of Helicobacter pylori. Lancet 349 ; 31―32 : 1997 4)Wündisch T, Thiede C, Morgner A, et al : Longterm follow-up of gastric MALT lymphoma after Helicobacter pylori eradication. J Clin Oncol 23 ; 8018―8024 : 2005 5)野 村 栄 樹,内 海 潔,虻 江 誠,他:除 菌 療 法 が奏功した Helicobacter pylori 陰性直腸 MALT リ ン パ 腫 の 1 例.日 本 消 化 器 病 学 会 雑 誌 107 ; 1466―1473 : 2010 6)Thieblemont C, Berger F, Dumontet C, et al : Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma is a disseminated disease in one third of 158 patients analyzed. Blood 95 ; 802―806 : 2000 7)Yoshino T, Ichimura K, Mannami T, et al : Multiple organ mucosa-associated lymphoid tissue lymphomas often involve the intestine. Cancer 91 ; 346―353 : 2001 8)Raderer M, Streubel B, Woehrer S, et al : High relapse rate in patients with MALT lymphoma warrants lifelong follow-up. Clin Cancer Res 11 ; 3349―3352 : 2005 9)Okada H, Mizuno M, Yoshino T, et al : Concurrent gastric and colonic low-grade mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma in a patient without helicobacter pylori infection. Digestive Endoscopy 15 ; 55―59 : 2003 10)新倉則和,長谷部修,海野 純,他:胃・小腸・ 大腸 に 同 時 性 に 多 発 し た MALT リ ン パ 腫 の 1 例.日本消化器病学会雑誌 102 ; 1286―1292 : 2005 11)古元克好,小島秀信,藤 浩明,他:腸閉 塞 を 契機に診断され形質転換を認めた同時性胃,回 腸 MALT リンパ腫の 1 例.日本臨床外科学会雑 誌 70 ; 2036―2041 : 2009 12)喜多雅英,岡田裕介,竹中龍 太,他:胃・大 腸 に MALT リンパ腫を認めた 2 例.消化管の臨床 14 ; 75―82 : 2008 13)鷹尾まど佳,池原久朝,山口裕一郎,他:胃・ 直腸 MALT リンパ腫の 1 例.胃と腸 46 ; 1875― 1883 : 2011 14)松岡信良,村山 卓,堀木紀行,他:多発 性 大

を認めており,両病変が同一クローンである可能

ンパ腫では,約 10% に高悪性度の diffuse

第112巻



大腸・胃・小腸に病変を認めた API2! MALT1 陽性 MALT リンパ腫の 1 例を経験した.MALT リンパ腫は一般的に進行が緩徐とされるが,しば しば多臓器浸潤や長期経過後の再発をきたすこと があり,注意深い全身検索と長期にわたる経過観 察が重要である. 本論文内容に関連する著者の利益相反 :なし (58)

2015年 2 月

277

腸 MALT リンパ腫に Helicobacter pylori 除菌・化 学療法 3 年後,小腸に再発を認めた悪性リンパ 腫.診断と治療 100 ; 1753―1757 : 2012 15)Hirota-Kawadobora M,Matsuda K,Yamauchi K, et al:Waldenstrom macroglobulinemia transforming from t(11 ; 18)(q21 ; q21)-negative gastric MALT lymphoma after systemic dissemination. 臨床病理 60 ; 528―535 : 2012 16)Nakamura S, Matsumoto T, Nakamura S, et al : t(11 ; 18)(q21 ; q21)-associated low-grade mucosaassociated lymphoid tissue lymphoma involving the gastrointestinal tract, the lungs, and the salivary glands. J Gastroenterol 39 ; 1220―1222 : 2004 17)Streubel B, Seitz G, Stolte M, et al : MALT lymphoma associated genetic aberrations occur at different frequencies in primary and secondary intestinal MALT lymphomas. Gut 55 ; 1581―1585 : 2006 18)飯田三雄:胃 MALT リンパ腫 除菌無効例の特 徴と治療戦略.胃と腸 42 ; 1187―1189 : 2007 19)Sakugawa ST, Yoshino T, Nakamura S, et al : API2-MALT1 fusion gene in colorectal lymphoma. Mod Pathol 16 ; 1232―1241 : 2003

20)Ye H, Liu H, Attygalle A, et al : Variable frequencies of t(11 ; 18)(q21 ; q21) in MALT lymphomas of different sites : significant association with CagA strains of H pylori in gastric MALT lymphoma. Blood 102 ; 1012―1018 : 2003 21)Iwano M, Okazaki K, Uchida K, et al : Characteristics of gastric B-cell lymphoma of mucosaassociated lymphoid tissue type involving multiple organs. J Gastroenterol 39 ; 739―746 : 2004 22)Starostik P, Patzner J, Greiner A, et al : Gastric marginal zone B-cell lymphomas of MALT type develop along 2 distinct pathogenetic pathways. Blood 99 ; 3―9 : 2002 23)山崎一磨,坂東 正,増山喜一,他:繰り 返 さ れた腸閉塞に対し,腹腔鏡補助下に切除した小 腸悪性リンパ腫の 1 例.日本臨床外科学会雑誌 70 ; 1411―1415 : 2009 !論文受領,2014 年 1 月 29 日" # # 受理,2014 年 7 月 23 日% $

A case of MALT lymphoma of the colon, stomach, and small intestine Kota SAHARA1), Taku TABATA, Takeo ARAKAWA2), Takashi FUJIWARA, Hideto EGASHIRA1), Junko FUJIWARA, Kumiko MOMMA2), Tsunekazu HISHIMA3), Koichi KOIZUMI and Terumi KAMISAWA1) 1)

Department of Gastroenterology, Tokyo Metropolitan Cancer and Infectious Diseases Center, Komagome Hospital Department of Endoscopy, Tokyo Metropolitan Cancer and Infectious Diseases Center, Komagome Hospital 3) Department of Pathology, Tokyo Metropolitan Cancer and Infectious Diseases Center, Komagome Hospital 2)

An 85-year-old man was diagnosed with mucosa-associated lymphoid tissue (MALT) lymphoma of the colon in 20XX. Although Helicobacter pylori eradication was performed as part of the treatment, it was ineffective. He was followed-up by colonoscopy for 4 years without additional treatment and there was no interval change ; however, he was lost to follow-up 6 years after the first visit. Nine years after the initial diagnosis, he presented with new MALT lymphoma lesions in the stomach and small intestine. Genetic analysis showed that a biopsy specimen was positive for API2! MALT1 fusion gene, and IgH rearrangement showed monoclonal banding between colon and stomach. This suggested disseminated monoclonal API2! MALT1positive MALT lymphoma of the colon, stomach, and small intestine. Careful attention should be paid to the appearance of multiple lesions in MALT lymphoma.

(59)

[A case of MALT lymphoma of the colon, stomach, and small intestine].

An 85-year-old man was diagnosed with mucosa-associated lymphoid tissue (MALT) lymphoma of the colon in 20XX. Although Helicobacter pylori eradication...
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